赤ちゃんにとって人生で初めての大きなイベント、「お宮参り」。お宮参りにおける赤ちゃんの服装には、正式な祝い着と略式の祝い着が存在し、さらに男女で人気の模様や柄が異なります。ここでは、祝い着に関する基本的な知識や男女ごとの祝い着の違い、参加者の服装、七五三での再利用方法などについてご紹介します。
正式な祝い着と略式の祝い着の違い
正式な祝い着
お宮参りの正式な祝い着は、肌着の上に白羽二重(しろはぶたえ)という真っ白な着物を着させ、その上から紋の入った掛け着を羽織らせます。祝い着は高価なため、買うのに躊躇する方も多いと思いますが、最近ではレンタルのサービスなども多くあるのでうまく活用しましょう。
略式の祝い着
お宮参りの略式の祝い着は、肌着の上にベビードレスを着させ、その上からケープを羽織らせたものが主流です。ケープは冬の寒さ対策はもちろんのこと、夏の冷房が効いた室内での防寒にも役立ちます。肌着は、暑い時期は短肌着、寒い時期は肌着を重ねたり肌着の上にベビー服を着させてあげるなど、お宮参りを行う時期によってうまく調節しましょう。特に寒い日の場合は、ベビードレスの上からでも体を温められるおくるみなどを用意しておくと安心です。
正装と略式を使い分ける
最近では、写真スタジオで撮影する際には正式な祝い着を、お宮参りの際には略式の祝い着を使用するといったように、場面で祝い着を使い分けている人も多いです。赤ちゃんが祝い着を嫌がるようであれば無理に着させる必要はありません。生後1ヵ月頃の赤ちゃんは自分で体温調節することが難しいので、過ごしやすい服装を選んであげましょう。
男の子の祝い着について
模様
男の子の祝い着の模様は「熨斗目模様(のしめもよう)」が一般的です。熨斗目模様とは、着物の袖の下と帯付近に、横一文字に模様が入ったものです。色は黒や紺色が主流ですが、最近では白や銀、灰色なども人気があります。
人気の柄と意味
男の子の祝い着は、兜や鷹、龍などの勇壮な柄が人気です。
- 鷹
鷹は、はるか上空から地上の獲物をめがけて一直線に飛ぶことから、「先を見据える眼力」や「物事の本質を見抜く眼力」を養ってほしいという願いを込めて、祝い着の柄に選ばれます。また、獲物を鋭い爪でしっかりと捕らえて離さないことから、「幸運を掴んで離さない」という意味合いも込められています。 - 兜
兜は、頭部を守る役割があることから、邪気や災厄などから身を守り無事成長を願う目的で祝い着の柄に選ばれています。豪華な飾りの付いた兜は地位が高く権威のあるもののみ使うことが許されるため、そのような人生を送ることを願う意味も込められています。 - 龍
龍は鷹や兜に次いで人気の柄です。龍は最強の神獣であるといわれていることから、「強く」「たくましく」生きてほしいという願いを込めて祝い着の柄に選ばれています。もともとは大地と水の神であるとされていますが、悠々と天を昇っていく姿から、「出世」や「飛躍」を願う意味も込められているようです。
女の子の祝い着について
模様
女の子の祝い着の模様は「友禅模様」が一般的です。友禅模様とは、友禅染で用いられるような多彩な模様のことで、曲線を用いて花や鳥などの模様を絵のように表しています。色は赤やピンクが主流ですが、黄や水色なども人気があります。
人気の柄と意味
女の子の祝い着は、鞠(まり)や鈴、桜などの柄が人気です。
- 鞠
鞠は、蹴鞠(けまり)という貴族の遊びがあったことから、古くから高貴さの象徴として好まれていました。鞠の形状から「円満」や「丸々健康に育つこと」を願って祝い着の柄に選ばれています。また、鞠のような玩具は子供にとって欠かせないものであり、どこへ行っても寂しくないようにお守り代わりとして持たせたともいわれています。 - 鈴
鈴は音の縁起物であり、「音」というものは古くから獣や魔物などを追い払うお守りとしての役割や、神を呼び寄せる合図として活用されてきました。邪気や災厄などから身を守り、心身ともに健やかに成長することを願う意味で祝い着の柄に選ばれます。 - 桜
桜は日本の国花であり、米や麦、粟や豆などの穀物を豊かに実らせる「五穀豊穣(ごこくほうじょう)」の神が宿っているとされていることから、「繁栄」や「豊かさ」を願う意味で祝い着の柄に選ばれています。また、年度初めの春に咲き誇ることから、ものごとの始まりにふさわしい花として人気が高い柄です。
両親、祖父母の服装マナー
父親の服装
父親は冠婚葬祭用のスーツを着用するのが一般的で、赤ちゃんや奥さんが和装を着用していても合わせる必要はありません。デザインは無地が好ましいですが、薄いストライプなどの柄が入っていても問題ありません。色は黒や紺、チャコールグレーなどの落ち着いた色を選ぶのが無難です。靴下は黒や白で、靴は黒や茶を選びましょう。私服を着用する場合は、ある程度きちんとした格好で臨む必要があります。
母親の服装
母親は留袖や訪問着、ワンピースやスーツなどを着用するのが一般的です。
留袖や訪問着は、昔は黒留袖が主流でしたが、最近は色留袖を着用する人が多くなっています。
ワンピースやスーツを着用する場合は、膝下丈の無地のものが好ましいです。色は黒や紺、ベージュなどの落ち着いた色を選ぶのが無難です。簡単に授乳ができるように、授乳機能付きのワンピースを選ぶのも良いでしょう。
靴は、赤ちゃんを抱いて移動することを考慮すると、フラットなものを選ぶのが無難です。色は黒や紺などの落ち着いた色を選びましょう。
アクセサリーは、赤ちゃんを抱っこすることを考慮して装着しない人が多いですが、装着する場合はパールのネックレスやイヤリングなどのフォーマルアクセサリーが好ましいです。
祖父の服装
祖父は冠婚葬祭用のスーツを着用するのが一般的で、赤ちゃんや奥さんが和装を着用していても合わせる必要はありません。デザインは基本的にどのようなものでも問題ありませんが、色は黒や紺、グレーなどの落ち着いたものを選ぶのが無難です。
祖母の服装
祖母は黒留袖や色留袖、スーツやワンピースを着用するのが一般的です。父方の祖母の場合は、赤ちゃんを抱っこする役割を担う可能性が高いので、無理のない服装で臨みましょう。ワンピースやスーツを着用する場合は無地で、色は黒や紺、ベージュなどの落ち着いたものを選ぶのが無難です。靴も服装に合わせた、落ち着いた色合いのものを選びましょう。
両家で統一感を
両親や祖父母の服装を選ぶ際は、両家で相談して服装の系統をそろえると全体のバランスが整います。ただし、基本的に母方の祖父母よりも父方の祖父母の服装の方が格上になるようにするのが良いとされているので、その点は注意が必要です。また、しきたりを重んじるご家庭もあれば、あまり重要視しないご家庭もあるので、あらかじめ丹念に相談し、両家が納得のいく状態で当日を迎えられるようにしましょう。
お宮参りの祝い着を七五三で再利用
祝い着は高価なものであるため、お宮参りで着用した祝い着を七五三で再利用したいという方も多くいらっしゃると思います。七五三での祝い着の再利用方法は男女で異なるので、性別ごとにご紹介します。
男の子の場合
体格にもよりますが、お宮参りで着用した祝い着を3才・5才の七五三で再利用することが可能です。ただし、基本的に3才の七五三では着物と袴もしくは着物と被布コート、5才七五三では羽織と着物に袴を合わせて着用することが多いため、これらは祝い着と別に用意する必要があります。
身上げ加工の手順
1.着物をお子様に着させ、肩上げや腰上げが必要か確認します。
2.襦袢(じゅばん)の付け袖を外します。
3.袖の、手を通す部分以外を綴じます。
4.必要に応じて肩上げや腰上げをします。
5.結び紐を外します。
女の子の場合
お宮参りで着用した祝い着を3才の七五三で再利用することが可能です。
身上げ加工の手順
1.襦袢(じゅばん)の付け袖を外します。
2.袖の、手を通す部分以外を綴じます。袖の下部は丸みを付けて縫い込みましょう。
3.必要に応じて肩上げをします
4.必要に応じて腰上げをします。両端を1から2cmほど持ち上げ気味にし、縫い目が下にくるように縫うときれいに仕上がります。
身上げ加工は男女の祝い着ともにご自宅で行うことも十分可能ですが、有料で身上げ加工を行ってくれる店舗も存在するので、自分で加工するのが不安な方は利用すると良いでしょう。
まとめ
今回は、お宮参りで着用する赤ちゃんの祝い着や男女ごとの人気柄、両親や祖父母の服装、七五三での再利用方法など祝い着に関するさまざまなマナーについてご紹介しました。赤ちゃんにとって初めての一大イベントであるお宮参りではいろいろなシーンを写真に収めることと思います。場面に適したすてきな服装を選ぶことで、最高の思い出を残しましょう。
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