冠婚葬祭のマナーは、社会人になると身に着けているのが当たり前であると思われがちです。
知らないことで咄嗟にマナー違反であることをしてしまったり、または後からもっとこうしておけばよかったなどと後悔することもあることも。
大人として避けたい香典返しの無知識。
身内、他人同じように香典は貰う物ですが、そのお返しについては詳しく知られていないところ。
そこでこちらでは大人として知っておくべき、シーンやケースで変わる香典返し事情をまとめていきます。
もしかして香典返しは身内にも返すべき?
香典返しを行う時には、当然身近な誰かが亡くなっているということが想定されています。
香典返しが意味するのは、「貰ったお香典に対する返礼品を渡す」ということ。
葬儀時に返礼品を返されたという記憶がある方もいるかもしれません。
香典返しという風習は古来の日本では四十九日法要、つまり納骨の後に行うものでした。
ですが最近は葬儀の帰路に着く前に渡されるケースが増えていますよね。
これは地方の方などで法要後に直接連絡をとることが難しい場合や、数日前に身内を亡くした遺族に対する気遣いでもあります。
香典返しの歴史が変わったきた理由は、遺族は法要前にしなければいけない準備や公的な手続きなども多くやることがたくさんあるから。
そこで遺族が少しでも楽に過ごせるように、香典返しを当日に返してしまうというシステムが確立され始めたのでした。
とはいえ香典は他人だけにあげるルールはありません。
もちろん近しい身内からも貰いますし、親族から貰う物でもあります。
ただし亡くなった方が両親のどちらかなどで、兄弟での香典受け渡しについてはあまり厳格な決まりはありません。
一般的マナーの中で兄弟や姉妹などの香典は亡くなったのが実の両親の場合、10万円の香典を相場することが多く喪主に渡します。
ただしこの場合は喪主が亡くなった親の最期を看ていた、または葬儀を執り行ったの兄弟だったなどの時。
兄弟の誰かがこのようなことを行った場合に関しては、香典を包むのが通例です。
ですが事前に葬儀の費用を折半する、または兄弟分で割るなどという取り決めをした時は香典は無しとして、葬儀全般の費用負担を双方が受け持つということもあります。
これは兄弟間で相談すべきことですので、近しい身内の香典は1通りではないということを覚えておきましょう。
まずはその時に兄弟間、近しい親族間で香典についてどうするかを相談するのも良いかもしれません。
会社の香典返しの礼儀作法は重要
次に香典返しを会社の方にする際に、どのくらいが相場なのかということを解説していきます。
会社の方の場合は個人名義で香典を貰う場合と、ユニットなどの連名で貰う場合があります。
個人で貰った場合は日常的にお付き合いがある方であるはずなので、香典返しは葬儀場で返す分と同じ金額を返すのが良いでしょう。
とはいえ個人同士で貰うくらい親しい方であれば、葬儀に来てもらっているという可能性が高いですよね。
その際には香典返しを通夜ないし告別式参加時の帰りがけに渡しているので、それ以上を渡す必要はありません。
ただしチームや部署などでまとめて香典を貰った場合が問題です。
このケースは大体1人が代表で葬儀に参列している、または個人で付き合いのある同僚などに託すということが良くあります。
もしチームの連名で香典を貰ったのであれば、忌引き明けに会社に初出勤をした際にお礼の言葉と菓子折りなどを持参。
連名で貰っているので、一人一人に返す必要はありません。
大きな箱詰めの菓子や、休憩で分けやすいスティックタイプのコーヒーなどを持っていくのがおすすめです。
その場合、5千円くらいのお菓子などを持っていき、挨拶をしながら配っていくと間違いありません。
またチームとまでいかず、特に仲の良いメンバー3人から連名で貰ったなどという時は、出勤の際に一人ずつハンカチや菓子などを返すなどの気遣いを見せるのがマナーです。
思ったよりも高額を貰ってしまって困ったら?
相場が5千円という、誰もが気になる香典を包む金額。
稀に可愛がってくれいる上司や、恩師などは1万円を香典としてくれる場合もありますがそちらの方がイレギュラーだと考えて良いでしょう。
ただ1万円以上の高額香典を持参してきてくれる方もいます。故人との関係性や、親族とどんなお付き合いをしているかで、香典相場は変動もします。
当然付き合いがある場合は、その分高額を気持ちの代わりとして「香典」という形で表現する方も。
もちろん香典を貰ったら、香典返しを贈るのは常識ですよね。
そこまで高額な香典返しは、葬儀の際に渡すものだけではタブーです。
そこで高額香典を式に包んで持参してくれた方は、葬儀ですでに渡している香典返し3千円分前後の金額を除いた「差額分の半分」で品物を用意することになります。
例えば3万円の香典を参列の際に持参した状態で貰った場合は、2万7千円の半額を返すということになるのです。
すでに返礼として、当日に3千円分は返しているので差し引きましょう。
このケースでいくと、実質の香典返しは1万4千円弱ということになります。
ここまでの金額になってしまうと、菓子折りを贈ることはほぼありません。
そんな時には、カタログギフトなどを贈るのはいかがでしょうか。
カタログギフトは最近内容も大分変化し、今までの様に物を選んで頼むもの以外にグルメや体験系、宿泊ができるものなどもあります。
あまりに高額な香典を貰った場合はカタログギフトだと返しやすく、なおかつ相手も自分の好きな物を選ぶことができるので安心。
このように高額な香典の場合は無理に品物を選ぼうとせずに、香典返し金額相応のカタログを選んでみるのがおすすめです。
時差があった時の香典返しはいつが正解?
訃報はいつ飛びこむかわからないもの。
会社に勤めているなどの場合は休暇申請でその話が伝わるものですが、自宅にいる方などは自分から連絡を取らないと、周囲に伝わらないということがあります。
また「家族葬で」と、故人が生前に希望しているということもあるでしょう。
その際には当然友人に知らせるなどということはないので、故人の知り合いが後から訃報を知り、自宅に訪ねてくるということもあります。
その時差は人それぞれ。
付き合いが深い方は1か月以内に連絡をしてくれるという方も多いですが、地方の友人などは半年から1年後ということもあるのです。
葬儀から日がそう経っていないのであれば、香典返しも多めに用意しているかもしれませんが3か月以上もあくと、そうもいきませんよね。
ただ急な弔問をする方はあまりいず、遺族の予定を電話等で伺ってくれる方がほとんど。
弔問時に香典を包んで来てくれるかに関わらず、来てくれた相手へのお礼は無難に用意しておくのが良いでしょう。
大体相場度通り3千円相当の香典返しをしておくと、香典を持参してもらった時にも不安にならなくて済みます。
ただ実際にいくらを香典として持参してくれるかはわからないので送り先をきいておいて、後日改めて香典返し贈るということでも良いですね。
香典返しの品物は定番の品でなきゃだめ?
香典返しの品物を探す際に、定番である品物ではなくてはいけないのか?と疑問に思う方もいるかもしれません。
香典返しの定番を探して見ると必ず出てくるのがお茶や海苔、タオルなどです。もう少し変わったものをと思う方もいるかもしれませんが、香典返しはあくまで故人へのする線香代に対するお礼。
そこまで華やかにする必要はありませんし、お茶や海苔には「死者をあの世に送る」というような意味も込められています。また商品券などを贈る方が好きな物を選べるのではないか?と考える方もいることでしょう。
確かに商品券は買い物などに便利ではありますが、金額が明確になってしまうため香典返しには相応しくありません。
特に高額の香典に対し、商品券を返す傾向があると言われています。
高価な物であればあるほど選びにくいものなので、確かにその思考になる方も多いはず。
ですがなるべくなら先ほどご紹介した通り、カタログなどで代替をして贈る事が望ましいといえます。
まとめ
こちらでは香典返しをする際のケースの違いについて、ご説明してきました。
特に会社からの香典はしっかりしたマナーで対応しないと、立場がよくないものになってしまうことも。
大人としての常識は守りながら、感謝の気持ちも忘れてはいけませんよね。
また身内への香典返しは、基本的にはするものと思っていましょう。
ただしこちらも葬儀費用などの支払いによっては、香典を渡されることもあれば返すことがなくなることもあります。
あくまで身内の中でのルールは変動しますので、柔軟に対応していくのがおすすめです。