葬儀に参列した経験がある人でも、意外に弔事マナーについて知らない人が多いものです。
気持ちが合っても、遺族を不快にさせてしまうこともあるため、注意が必要です。
弔問時には香典を渡しますが、表書きの書き方にも気を付ける必要があります。
いざという時に焦らないため、不快な思いをさせないためにも、弔問前にしっかりとマナーを確認しておきましょう。
弔事の意味とは?
弔事の意味を、知っているようで知らない人も多いはず。
不幸があった時のこととは分かっていても、詳しい意味を知らない人も多いでしょう。
弔事の意味は、そもそも身近な方が亡くなった、葬儀があるといったお悔み事の全般のことをいいます。
また、弔事は遺族側になるか、弔問客側になるかによって、準備すべきことやマナーが変わってきます。
どんなに若い人でも、身内は全員、健康と思っていても、誰しも弔事というのは関わってくることですから、最低限のマナーは身につけておいた方が良いでしょう。
弔事は、自分にはまだまだ関係のないことと思わず、「いつ、何があるか分からない」という心構えも大切です。
仏式の弔事の表書き
弔事の際、通夜や告別式に行くとなれば、当然香典の準備が必要です。
そして、その香典には失礼のない、マナーに沿った表書きをすることが必要です。
しかし、この表書きで苦労する人が多いもの。
弔事は、頻繁に起こることではありませんから、過去に経験していても忘れてしまう人も多いでしょう。
香典の表書きの書き方は、宗教によって異なります。
そのため、本来であれば訃報の連絡を受けた際に、宗教や宗派が確認できれば理想的です。
どんな宗教でも失礼にあたらないのは、御霊前。
御霊前であれば、どんな宗教、宗派でも、通夜でも葬儀でも、失礼なく使えます。
しかし、蓮の絵などが入っている場合には、仏教しか使えないため注意が必要です。
御霊前の下には、名前をフルネームで書くようにしましょう。
また、葬儀の前にお供えする場合には、白の封筒、もしくは不祝儀袋に御悔と書くのが一般的。
霊前に、香に変わりお金を包みたい場合には、御香典と書きます。
遺族側となった場合にも、知っておくべきマナーがあります。
葬儀の際、寺院や僧侶へお願いをしますが、その際には、お礼として御布施として、お金を包みます。
その他にも、僧侶が飲食をしない場合には御膳料、戒名を付けてもらった時には戒名料などの準備が必要。
葬儀を手伝ってくれた人や世話役の人には、志としてお礼のお金を包む方もいます。
連名の場合の書き方葬儀に参列する際には、会社の代表として参列することもあるでしょう。
そんな時、香典は連名となることもあります。
連名となると、表書きをどのように書いたら良いのか迷われる人が多いでしょう。
連名で香典を出す場合は、3名までが目安。
まずは、右から会社名を書き、順に目上の人から目下へと名前を書きます。
3名以上の場合には、会社名と〇〇部一同といったように書くと良いでしょう。
水引は、銀色、黒白を使いましょう。
夫婦の場合には、一般的には夫の氏名を書くのが一般的ですが、夫婦揃って会葬する場合などは夫婦連名で包むこともあります。
香典の金額相場
香典を包む際、悩むのは香典額ではないでしょうか。
周りがどのくらい包んでいるのか気になるものの、聞くに聞けずにいる人もいます。
香典の額は、相手との関係性によって変わってきます。
そして、それぞれの経済状況によっても変わってくるでしょう。
香典額も目安としては、兄弟姉妹の場合には、3万円から5万円。
叔父、叔母などの親戚の場合には、1万円から3万円。
職場の上司や同僚は、5千円から1万円。
職場社員の家族は、5千円ほど。
知人、友人は5千円から1万円が一般的となっています。
もちろん、これは決められた金額ではなく、あくまでも目安ですから、必ずしもこの通りに包まなければいけないという訳ではありません。
それぞれ経済状況が異なりますから、生活に支障がでるような額を包む必要はないでしょう。
ただし、香典を渡した際には、香典返しを受けとります。
ご遺族の負担を考えると、香典返し金額も考え3,000円以上は包むようにしましょう。
中には、「ご遺族が大変だろう」と高額の香典を包む方もいますが、高額の香典もご遺族にとっては負担となってしまいますので、受け取る側の気持ちも考慮した額を包むことが大切です。
正しい包み方
香典袋の表書きをして、お金を入れたら、最後は包みます。
封筒型の場合には、お金を入れて封をするだけで良いですが、打ち袋がある場合には、内袋を最後に表書きした袋で包む必要があります。
購入時の状態を覚えていれば良いですが、準備をしている間に忘れてしまうことも多いでしょう。
正しい包み方は、まずは右側をたたみます。
この時、内袋の上下の角をしっかりと合せるようにしましょう。
次に、下を上にたたみ、上を下にたたみ、最後に左側をたたみます。
包み終わったら、最後に表書きの状態を確認し、水引きをつけます。
水引きの結び方は、弔事によっても変わってきます。
二度と起こってほしくない弔事の場合には、結び切りを選ぶようにしましょう。
袱紗の包み方の注意
香典の準備ができたら、そのままかばんに入れてしまう人もいますが、弔事の際にはそのままかばんから出すのではなく、袱紗に包んで持って行くのがマナー。
袱紗は、慶事の際にも使いますが、包み方は逆になるため注意が必要。
弔事の際の、袱紗の包み方は、まず上下左右合せた状態で袱紗を広げます。
その中央よりやや右側に香典袋を表の状態でおきます。
そして、袱紗を右側、下側、上側、左側の順で包んでいきます。
この状態でかばんに入れ、受付で渡すようにしましょう。
受付で香典を渡す際には、係りの人が香典袋を読める向きにして渡すように心がけましょう。
弔問について
親しい友人や親族の訃報が届いたら、まずはご遺族を訪ね、御悔みをお伝えします。
お仕事などの都合もあると思いますが、訃報が届いたら少しでも早く向かうようにしましょう。
しかし、長居はせず、あいさつを済ませたら、早めに帰るようにしましょう。
お仕事の都合や家庭の事情で、すぐに行くのがむずかしい場合には、弔電を打つと良いでしょう。
また、近隣の方が亡くなられた場合には、お手伝いを申し出ることも大切。
ご遺族は、葬儀の準備などで忙しいですから、お手伝いできるようであれば、積極的にお声をかけましょう。
お手伝いの際には、喪服を着る必要はありませんが、派手な色合いの洋服はさける必要があります。
また、お手伝いの際には、まだお香典の準備はいりませんから、通夜もしくは告別式の際に渡すようにしましょう。
弔事の相応しい服装
弔事に参列する際には、その場に相応しい服装をすることも必要です。
通夜の場合には、喪服が基本ですが、突然の訃報で準備できないこともあるでしょう。
そんな時には、男性は黒やダークスーツ、女性は黒、紺、グレーの地味なスーツやワンピースであれば構いませんが、宗教や地域によっては、これらの服装もマナー違反と思われることがあります。
心配な場合には、あらかじめ確認しておいた方が良いでしょう、告別式は、喪服が正式。
しかし、一般弔問客の場合には略式の喪服でも構いません。
略式の服装とは、男性はダークスーツに黒ネクタイ。
女性は、黒いワンピースもしくはツーピース、黒の着物などのことを指します。
弔事の場合、女性は真珠以外のアクセサリーや香水はつけないようにしましょう。
また、子供の場合には喪服を着る必要はありません。
子供にとって正式礼服は制服。
制服がない場合には、黒や紺、グレーなどの地味色の洋服を選ぶようにしましょう。
数珠の準備
弔事に欠かせないのは、数珠。
実は、この数珠も宗派によってデザインが変わってきます。
一般的には、市販されている数珠は多くの宗派に適応しているため、お持ちの数珠で問題ないでしょう。
数珠の種類はさまざまで、菩提樹の実で作られているものもあれば、推奨や真珠などで作られているものもあります。
基本、数珠の数は基本煩悩の数、108個となっています。
男性用は大きめの珠、女性は小さめの珠でできており、本来貸し借りをするものではないため、ご家族の分をそろえておくことが必要です。
お仕事をしている人は、仕事関係の弔事もあるため、職場にも一つ準備しておくと、突然の訃報で慌てる心配がありません。
また、数珠の使い方は、持ち歩く場合には左手の手首にかけて持ちます。
合掌の時には、両手の人差し指と親指の間にかけて、親指でおさえます。
長い数珠の場合には、両手の中指にかけるようにしましょう。
弔事は時間厳守
訃報というのは突然あるものですから、準備が間に合わないこともあります。
しかし、葬儀などに参列するのであれば、時間は厳守です。
本来であれば、読経が始まってからの入室はマナー違反ですので、注意しましょう。
基本、葬儀式がはじまる10分前までには受付を済ませておくことが理想的です。
また、小さなお子さんがいるご家庭も多いと思いますが、親族以外の通夜、告別式の場合には、できるだけ子供は連れて行かないようにしましょう。
親族の場合には、当然お子様もお別れをすることが必要ですが、親族以外であれば騒いだりすることで、迷惑をかけてしまうこともありますので注意が必要です。
弔問時のマナー
弔問の際には、まず受付で香典を渡し、記帳をします。
この際、御悔みの言葉を述べて渡すのが礼儀です。
場合によっては、受付がないこともありますが、その場合にはご遺族に御悔みの言葉をお伝えし、霊前にお参りをしてから、祭壇に香典を供えるようにしましょう。
会場には入れる準備ができたら、ご遺族のところに行き、御悔みの言葉を伝えてから、席に着きましょう。
通夜の場合には、読経が終わることで、焼香がはじまります。
通夜が終わったら、一般的には通夜ぶるまいをします。
これは、ご遺族による弔問客へのお礼ですので、喪家からすすめられた場合には、すぐに帰らず、一口だけでも足を付けることがマナーです。
通夜ぶるまいは、何時までと決められている訳ではありません。
そのため、頃合いを見て退席するようにしましょう。
弔電について
訃報が届いたものの、お仕事や家庭といった事情により、どうしても葬儀などに参列できないこともあります。
参加がむずかしい時には、弔電を打つと良いでしょう。
しかし、弔電の打ち方が分からない人も多いはず。
弔電は、自宅の電話から簡単に依頼することが可能です。
局番なし、115番にかけることで、簡単に依頼することが可能です。
まず、弔電を打つ際に必要なのは、送り先と宛名、文章です。
そのため、弔電を打つ際には、斎場の場所、喪主などを調べておく必要があります。
文章に関しては、担当スタッフに確認しながら、雛形文を使えるため、あらかじめ決めておく必要はありません。
弔電は、葬儀の前日までに打つようにしましょう。
弔電の受付は、19時までの受付であれば受付後2時間から3時間程度で配達されますが、葬儀がはじまる1時間前までには届くように準備が必要です。
まとめ
誰にとっても弔事というのは、突然起こるもの。
そのため、訃報の連絡がきて慌てる人が多いでしょう。
そうならないためには、事前に調べておくことが大切です。
通夜や告別式は、故人との最後の別れともなりますから、失礼にあたらないよう、しっかりとお別れの準備をしていきましょう。
弔事は、故人だけではなく、ご遺族にとっても大切なものですから、ご遺族の気持ちも配慮した行動を心がけることが大切です。