誰かが亡くなったときに、供養のためにお香典として現金を包むことがあります。これは個人と個人のやり取りとは限りません。
亡くなった人が会社員だった場合は、会社からお香典を頂くことがありますし、同僚の方が連名でお香典を包んでくれることもよくあります。
また、取引先の人が亡くなれば、会社の社長の名前でお香典を包むこともあるでしょう。
香典を包むときにも色々と疑問に感じることがありますが、香典を頂いた後も、どうすればよいのか迷ってしまいますよね。
今回は会社からお香典を頂いた後の対応について、また自分が会社員としてお香典を包むときの注意点について解説します。
「表書き」にも違いがある!葬儀のときに使えるのは?名前の書き方は?
ほとんどの場合、のし袋の表書きはその用途によって印刷されていますから、そのまま利用しましょう。
表書きは封筒ならば宛名にあたる部分ですが、宛名と違い、こちらには目録の意味があります。
包みの中が何なのかをはっきりさせるために書くのが表書きです。
不祝儀ののし袋の表書きは、「御霊前」と「御仏前」の2種類あります。
葬儀の際に使うのは御霊前の方です。
御仏前は一般的に四十九日法要のときから使います。
宗教や宗派によって、葬儀の際の表書きは違います(例 神道は御玉串料)が、御霊前なら共通で使うことができますから、間違いがありません。
表書きの下・中央には、香典を出す人の名前(ほとんどは自分の名前です)を書く場所があります。
取引先の人が亡くなって、会社としてお香典を包むときは、もし自分が葬儀に参列する場合でも、自分の名前ではなく、社長など会社の責任者の名前を書き、その名前の右上に会社名と役職名を書きます。
このような場合、葬儀に参列するか、香典を包むかは自分の一存で決めることではありません。
まずは上司に相談して、指示を待ちましょう。
亡くなった人(またはその家族)のために、所属部署の同僚たちが連名で香典を包むときは、一番目上の人の名前を中央(表書きの下)に書き、順に左側に小さめに名前を書きます。
ただし、連名で名前を書くときは、3名までに留めてください。
あまり人数が多いときは〇〇一同と書いた方がよいでしょう。
自発的に包んだ香典であっても、故人とどんな関係なのかわかるように、名前の右上には会社名と部署名を忘れずに書いておきましょう。
連名で香典を頂いたとき、香典返しはどうする?宛名は何と書く?
自分が葬儀を行う側で、会社からお香典を頂いた場合、香典返しをするためには、いくつか考えなければならないことがあります。
頂いた香典の名義(のし袋に書かれている名前)がどうなっているかを確かめてください。
香典が会社の名義で出ている場合は、ほとんど社内規定により出されています。
これは福利厚生の一環なので、特にお返しの必要はありません。
会社の代表者の名前と、会社名が書いてある場合も、会社として香典を包んでいる場合が多いですが、会社の代表者が自分の意思で個人的な香典を包んでいる場合もあります。
もし、どちらか分からないようなら、会社の総務部などに問い合わせてみましょう。
個人的な香典なら、もちろん香典返しをするべきです。
自分が会社員で、勤めている会社の所属部署の人たちが連名で香典を包んでくれたなら、自発的に香典を出してくれたと考えられます。
香典返しが必要になりますが、連名での香典で、一人分の負担金額が小さい場合は、一人ずつ香典返しを渡すよりも、会社の休憩時間にみなで食べられるお菓子などを持っていくとよいでしょう。
葬儀のために仕事を休んで、周りの人に負担をかけているわけですから、そのお詫びとお礼の気持ちを表すために、香典返しが役に立ちます。
個人名で香典を包んでくださった方には、通常通りの香典返しが必要です。
自分が勤める会社の人に対してなら、香典返しは郵送ではなく会社に持参して、直接葬儀に参列して頂いたお礼などを述べた上で、手渡しするとよいですね。
亡くなった家族が会社員で、その同僚や上司が香典を包んでくれた場合は、やはりのし袋に書いてある名前を見て香典返しが必要かどうかを判断します。
自分の勤める会社から香典を頂いたときと同様、個人名で香典を包んでくださった人には通常の香典返し、連名で香典を包んでくださった人たちには、休憩時間に使えるようなお菓子や、コーヒー、日本茶などを差し上げます。
自分の職場でないなら、相手に手渡しすることにこだわらずに、香典返しを郵送しましょう。四十九日法要に合わせて、わざわざ自宅まで1件ずつ香典返しを持参するのは大変な手間です。郵送するのは決して失礼にはあたりません。
直接持参するのが、一番丁寧でよい方法ではありますが、相手の仕事の手を止めてしまい、対応する手間をかけさせるため、送る側も受け取る側も郵送する方がよいと考える人が多くなっています。
個人名で香典を包んでくださった人には、それぞれ自宅に香典返しを郵送すればよいのですが、連名の人たちには会社に送るのが、一番確実で手間がかかりません。
このとき宛名を何と書くか迷うところです。
まさか会社の名前だけというわけにはいきません。
大きな会社なら、のし袋に書いてある一番年長の人の名前(のし袋の中央に書いてある名前です)に御一同様と加え、忘れずに部署名も書きましょう。
会社がそれほど大きくない場合は、会社の代表者の名前(代表取締役社長など)を書いて、その後に御一同様と付け加えれば、大丈夫です。
気を付けたい!会社の規定で香典返しが受け取れないことがある!
昔から、香典返しを受け取らない場合はありました。
一家の大黒柱が亡くなってしまった場合は、少しでも香典を家庭の役に立てて欲しいとの願いがありましたし、連名で香典を包んだ場合、一人ひとりの金額が少なくなるため、香典返しを不要としたのです。
これは葬儀をする人に対しての気遣いです。
この気遣いとは違い、最近は香典返しを一切受け取らないという規定がある会社が増えています。
また、公務員なども香典返しを受け取るかどうか、かなり慎重になっている人が多いようです。職場の規定で受け取れな いという人に、香典返しを差し上げるのはトラブルの素になります。
本当に香典返しが不要な場合は、のし袋の中にその旨を書いた一筆箋などが入っているはずです。その場合は、香典返しを巡っての押し問答などをしないで、相手の意思を尊重してください。
もともと香典は相互扶助的な役割があり、葬儀を出して何かと物入りな家庭の役に立てるために、金品を包んだのが始まりでした。
本来、香典はお返しを望むべきものではなかったのです。
日本人はたとえ香典でも、もらいっぱなしにできないため、お礼として香典返しを贈るようになりました。
だから、香典返しは半返し(頂いた金額の半分をお礼として返すこと)が相場などといわれていますが、あまりこだわりすぎることはないでしょう。
香典返しは不要といわれたら、ありがたくお気持ちを頂戴しましょう。
ただ香典返しを送らない場合でも、相手にお礼の気持ちを伝える必要はあります。
香典返しを贈らなくても、感謝の気持ちを伝えたいから、お礼状は必要!
葬儀に参列して頂いたこと、無事に葬儀が済んだことへのお礼と報告を伝えるためには、お礼状が必要になります。
きっと相手も葬儀のその後のことを気にかけてくれているはずです。
お礼状を受け取れば、少し安心してもらえるでしょう。
連名で香典を頂いた場合、香典返しもまとめて1つだったりしますが、一人ひとりの宛名でお礼状を送れば、お礼の気持ちがきっと相手に届くことでしょう。
お礼状を送るタイミングは四十九日法要が終わった頃がよいでしょう。
これは香典返しを送るタイミングと同じです。
四十九日法要が終わると、遺族の生活は落ち着きを取り戻しますから、お礼状を書く気持ちになれるはずです。
四十九日法要が終わると忌明けといって、普通の生活に戻ります。
お礼状を書くときも、通常通り、頭語と結語(拝啓・敬具)を入れても構いません。
葬儀や法事が滞りなく終わるように、という意味から、忌明けに送る挨拶状には句読点を入れないそうです。
絶対に入れては行けないということではなさそうですが、目上の人に送るときのために覚えておくとよいかも知れませんね。
できれば近況なども少し知らせるとより相手が安心できるでしょう。
まとめ
今回は会社関係の香典で注意するべき点について解説しました。
自分が会社員として香典を包む場合、個人で香典を包むときとは名前の書き方も違うことがあります。本当に気を付けたいですね。
また会社関係の香典に香典返しをするときは、個人に対するそれとは少し勝手が違います。
今回の記事で得た知識を活用して、上手に乗り切ってくださいね。
会社の規定などで香典返しを受け取らない人がいた場合、頂いた金額が多いほど心の負担を感じることもあるでしょうが、これから先、お返しできる機会はたくさんあるはずです。
葬儀に関係することは、何とか早く終えてすっきりしたいと思う気持ちはわかりますが、どうか焦らずにお返しできる機会を待っていてください。
香典はいってみればただの現金ですが、その現金は誰かの好意の表れです。
好意を受け取った人は、次はきっと誰かに好意を渡す役割ができるはずです。