葬儀に出席すると、必ずいただくのが香典返しです。
現在は葬儀の当日に香典返しをいただくことも多いのですが、
四十九日法要が終わる頃に、わざわざ自宅に香典返しが届いた場合は、
もらったままでよいのか、と気になります。
まず香典返しにお礼をいう必要があるのか、
お礼の言葉を伝えるなら手紙にするべきか、電話やメールでもよいのか、言葉だけでなくお礼の品も送った方がよいのか、など色々と疑問が出てきます。
香典返しには、葬儀を終えて間もない遺族の方の心遣いが感じられるからこそ、私たちも香典返しへの対応に悩みます。
今回は、香典返しのお礼について解説します。
香典返しにお礼は必要ない?でも、こちらの心を伝えたい!
葬儀に出席すると、必ずお香典を差し上げます。
葬儀は何かと物入りのことが多いため、遺族に役立ててもらうために
金品をおくったのが香典の始まりです。香典は助け合いの精神で出されるもので、いただいたとしてもお互い様だったのです。
だから本来香典にお返しは必要ないのですが、日本人の性質からすると、もらいっぱなしでは嫌だという気持ちの人が多かったようです。
それに葬儀に出席してもらったことへのお礼の気持ちが加わって、香典返しが遺族から出されるようになりました。
四十九日法要が終わるまでは、忌中・喪中の時期なので、本来は香典返しやお礼はしないことになっています。四十九日法要が終わってから、葬儀に出席してくれた方の自宅に伺い、お礼の言葉とともに渡すのが香典返しです。
香典返しが本来お返しの品であることを考えると、香典返しに更にお礼の言葉を述べたり、お返しの品をおくったりしなくてよいことがわかります。
直接香典返しを持参していただいたなら、その場で相手を気遣う言葉を伝えられますが、最近は宅配便で香典返しが届く場合が多いため、それができません。
香典返しの性質から、お礼の言葉を伝えなくても失礼にはあたりませんが、わざわざ香典返しをおくってくれた心遣いに対して、お礼の気持ちを伝えたいですね。
四十九日法要が終わる頃は、ちょうど遺族の方も普段の生活へと戻り始めています。
それまでは葬儀に関することで忙しくしていた遺族の方も、普段の生活に戻るとともに、大切な人を亡くした寂しさを実感しているはずです。
温かな心遣いを感じる手紙やメッセージを受け取ったら、とても励まされるに違いありません。
直接話そう!久しぶりの会話が相手を和ませる、電話
香典返しをいただいたのが、親しい間柄の人だったら、電話ですぐにお礼の気持ちを伝えてください。
相手が目上の人の場合、手紙を書くほうがよいかも知れませんが、手紙はハードルが高いと思う人が多いでしょう。
何日も迷った挙げ句、結局書かなかったということがないとは限りません。
それならば、すぐに電話をかけましょう。
もちろん相手の生活サイクルを考えて、電話をかける時間は考えてください。
早朝や深夜を避けることは常識ですが、年代によっても個人によっても生活サイクルは違います。
午前中なら10時から11時頃まで、午後なら1時から3時頃までが就寝時間にも、食事の時間にもかからない無難な時間帯でしょう。
また相手は四十九日法要を終えたばかりで、疲れているかも知れません。
普段の調子で長電話をしないよう、早めに切り上げることを心がけてくださいね。
電話では品物が到着したこと、お礼の気持ちとともに、「その後、どうしているかと気にしていました」などと相手の状況を気遣う言葉を伝えましょう。
香典返しへのお礼の気持を伝えるとき、「ありがとう」という言葉は、お礼のお礼になってしまうので、「ご丁寧に、恐れ入ります」などと伝えるとよいでしょう。
ざっくばらんに「大変なときなのに、気を遣わせてしまって、ごめんなさい」でもよいですね。
多くの香典返しを手配した人ほど、無事に届いたかどうかを気にしています。
香典返しが届いたという知らせは、相手にとってもありがたいものです。
また大変な状況の相手の話を聞いてあげれば、大切な人を亡くし、葬儀で疲れた心を和ませてあげることができます。
親しい人の声を聞くだけでも、心を明るくする助けになるかも知れません。
これは直接声が聞ける電話ならではのメリットといえるでしょう。
いつものメールなら、さり気なく気持ちを伝えられるのがメリット!
香典返しをいただいた相手と親しい間柄で、その後どうしているのか気になっていても、どの時間帯に電話すればよいのかわからない場合があります。
小さな子どもやお年寄りがいてお世話をしている場合などは、電話に出てもらうのもためらってしまいますね。
その場合はメールを使ってみるのもよい方法です。
目上の人にはメールは失礼になる場合もありますが、親しい間柄なら、メリットの方が多いでしょう。
メールは電話のように時間帯を気にしなくてよいし、つい話がはずんで相手の時間を奪うこともありません。
相手の暇なときに読んでもらえばよいので、こちらも気を楽にして送ることができますね。
電話と同様、「ありがとう」という言葉を使うのは控え、相手の状況を気遣う言葉とともに、「落ち着いたら、お昼ご飯をご一緒しましょう」など、次の機会につなげる前向きな言葉を入れるとよいですね。
この時代だから嬉しい!手書きの手紙は大切な人を何度も慰める!
どんなときでもお礼の気持ちを伝えるのに、手紙はとてもよい方法です。
手紙なら目上の人にも使えますし、相手のことを気遣いながら時間をかけて書けば、余計なことをいってしまう心配がありません。
それにメールでの連絡が多くなった現在、手書きの手紙はそれだけで温かな気持ちを伝えてくれます。
やはりお礼の気持ちを表すのに「ありがとう」を使うのは控えます。
「本日、お香典返しが届きました。ご丁寧な品をいただき、反って恐縮しております」
または「お気遣いいただいて、反って申し訳なく思っております」などと書くとよいでしょう。
手紙には時候の挨拶がつきものです。季節に応じた挨拶を入れることで、相手の気持ちを和ませることに役立ちますが、本当に親しい間柄なら省略しても構いません。
その時は頭語と結語を、「拝啓」、「敬具」ではなく、「前略」、「草々」としましょう。
細かな礼儀を気にするよりも、「ずっと貴女がどうしているかと気にしていました」、「みなさん、いかがお過ごしですか」などと相手を気遣う気持ちを表す方が大切です。
届いた手紙はきっと何回も相手を励ましてくれることでしょう。
縁起が悪い?香典返しへのお礼は、相手への思いやりがあれば大丈夫!
香典返しにお礼をいうのは、縁起が悪いとされている場合もあります。
お礼にお礼を重ねることで、不幸も重なってしまうと考えることが理由です。
(不祝儀のときには、手紙などでも重ね言葉(返す返す、重ね重ね)などを使いません)
先程から、香典返しが届いたときに「ありがとう」という言葉は使わない、と説明してきましたが、これは香典返しに添えられているお礼状に、「ありがとう」と書かれているため、重ならないようにという縁起に対する配慮でもあります。
普通の贈り物のように、いただいた品物について気に入った点などはいわなくてもよいし、それをいただいて喜んでいるなどの表現も避けた方が無難です。
葬儀があったということは、非日常ですから、多少気を付けなくてはならないことがありますが、あくまでも香典返しが届いたことを知らせ、相手の状況を気遣う気持ちを伝えることをメインにするなら、香典返しへお礼をすることは決して悪いことではありません。
親しい間柄なら、葬儀を行った人が、四十九日法要が終わる頃には、どうしているかと気になるのが自然なことです。
香典返しへのお礼は、相手への気遣いを表すきっかけになるのです。
また、反対に香典返しが届いたけれど、何と言葉をかけてよいかわからない場合は、無理せずにそっとしておきましょう。相手をそっとしておくのが気遣いになる場合もあるからです。
相手に対する思いやりの気持ちは、また別の機会に表せばよいのです。
きっとそんな機会が巡ってきますから、それをゆっくり待っているのもよいでしょう。
まとめ
今回は香典返しのお礼について解説しました。
香典返し自体がお礼の品ですから、お礼の言葉を述べるのはおかしいしというのは確かに正論です。
縁起が悪いと思われることもあるなら、お礼はしない方がよいと思ってしまうのも仕方のないことでしょう。
でも、もし自分の身近な人に不幸があったとき、こちらに思いやりの心があったとしても、自分から声をかけるのは難しいことです。
きっかけがないまま、下手をするとお付き合いが疎遠になってしまうこともあります。
香典返しが届くときというのは、お互いにとってよいきっかけになるのです。
ぜひ、香典返しが届いたら、その機会を無駄にせず、思いやりのある言葉をかけてみてください。相手の立場をよく考えてから、言葉をかけるなら、決して失礼になることはないはずです。
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