ご不幸があった際、葬儀で故人の冥福をお祈りするとともに香典をお供えしますよね。
当日返しをしない場合、貰いっぱなしでは心苦しいですし、やはりいただいた方にはお返しをすべきといえます。
しかしお一人おひとりにお返しするとなると品物選びも大変かと思いますが、そんな時に「商品券はOKなのかしら」と疑問に思ったことはありませんか?
そんなお悩みに今回はお答えすべく、香典返しに商品券はアリなのかナシなのか、徹底解説していきますよ。
そもそも香典返しとは?
まず香典返しは何故習慣化されているのか、という点について知っておきましょう。香典返しという文化に根付いている精神を知ることで、続くコーナーのお話についての理解も得やすくなるかと思いますので、ご存知ない方はこちらも読み進めてみてください。
●香典返しをする理由
香典を贈る・返す習慣のルーツには、相互扶助の精神が関係しています。香典を贈ることで、葬家が葬儀で負担する出費を軽くしよう、という意味がありました。昔は村落内の繋がりや助け合いが重要であったため、そういった習慣ができていったわけですね。
小さな共同体では「前回助けてもらったから、今回はこちらが…」という関係は続けやすいものであり、お互いに貸し借りなしの状態にすぐ戻ることができたでしょう。
しかし現代はより広範囲に交流があり、相互扶助の関係性、貸し借りなしの関係性が成り立ちにくい社会であるといえます。そこで、香典をいただいたら「借りを作らないように」「頂戴したらこちらからもお返しする」という意味で香典返しの習慣ができたというわけなんです。
商品券を贈るのは…あり!
香典返しは相互扶助の精神からきている習慣だとお分かりいただけたかと思いますが、それを踏まえたうえで先に結論を出しますと、「香典返しとして商品券は、あり」ということになります。先ほどのコーナーをお読みいただいた方は何となく納得されることでしょう。
以下で詳しく理由を説明いたしますね。
●商品券が香典返しとしてOKな理由
いただいた御香典に対してお返しをする意味で贈るものが香典返しですから、実際に使用でき、お相手にとってメリットがある商品券は贈り物として問題ないといえますよね。
役に立たないものであったり、相手を不快にさせる・逆に気を遣わせるような品でなければ香典返しとしてきちんと成立するといえるんですよ。
丁寧な印象にするには「のし」と挨拶状が不可欠!
商品券を香典返しとすることは問題ないということは判明しましたが、「商品券がOKか」という疑問を持つ方が多いことからも分かるように、注意しなければならない点もあることは事実です。日本の感覚では金銭の授受に対してあまり良い印象がありませんが、いわば商品券も形を変えたお札のようなものですよね。
そういった生々しさを回避するためにはどうすればいいのでしょうか。
●商品券を贈るなら、プラスアルファを忘れずに
商品券を注文する際には、最近ではきちんと「のし」を用意してくれるようですが、まずこの「のし」が重要なポイントです。
商品券の封筒をそのままお渡しするのではやはり丁寧さが出ませんから、きちんと「のし」を付けることを忘れないでくださいね。「のし」には「志」と墨で記すようにしましょう。
さらに香典返しのマナーとしては基本ですが、商品券とはいえ挨拶状を添えることもお忘れなく。「のし」と挨拶状の同封を守れれば、商品券を香典返しとしても丁寧さは失われませんよ。
金額はどのくらいが目安?
ちなみに香典返しの相場ですが、いただいた金額の半分~3分の1程度が良いと考えられています。ここで「あれ、相互扶助の精神で考えると、同額ではないの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに半分の額では同等とはいえないですが、少ないお返しだからこそ良いということもあるんですよ。
●お返しを少なめにする理由とは
香典を贈る側の気持ちとしては「これをお役に立ててくださいね」という思いがあるはずです。少しでも助けになれば、という考えから贈るものに対して同額のお返しをしてしまうと、逆にお相手の気持ちを汲まずにつき返してしまうことになります。
いうなれば貰ったプレゼントと同じものをお返しされるようなものです…そう考えるとお分かりいただけるのではないでしょうか。
似た者どうし?商品券とカタログギフトの使い分け方
香典返しを商品券で贈ること自体は失礼ではありませんが、場合によっては使い分けすべきものでもあります。以下に詳しくまとめますが、「現金と同じじゃない」と感じる方も中にはいらっしゃるからですね。
商品券のメリットの一つに選びやすさがあると思いますが、同じく使い勝手が良いカタログギフトと比較して、商品券を贈る際のメリット・デメリットをみておきましょう。香典返しの選び方の上手な使い分け方がこちらでお分かりいただけると思いますよ。
●商品券のデメリット
- 金額がはっきりしてしまう
- ご年配の方には喜ばれないことも
やはり商品券ですから、差し上げた金額が相手にも分かってしまうという点がありますね。それゆえに日本人らしい「謙虚さ」が損なわれる行為であると捉える方もいらっしゃいます。
特にご年配の方は馴染みがない贈り物に対し戸惑ってしまうことが多いですので、年上の方や目上の方に商品券を差し上げる際はお相手を選ぶ必要があるといえますね。
●カタログギフトのデメリット
- お相手が欲しいものが載っていない可能性がある
- 有効期限が比較的短い
たくさんの商品が掲載されているカタログギフトですが、意外にも「欲しいものがない」と感じる方も多いのだとか。もちろんカタログ自体にも種類はありますから、当たりはずれもあるのですね。
またカタログギフトは有効期限が1年ほどと比較的短期間で決める必要があるため、うっかり他の雑誌に埋もれてしまったという方には結果として何も差し上げられず終いということにもなりかねません。
●商品券のメリット
- 使い勝手が良い
- 有効期限を気にしなくても良い
商品券のメリットとしては、何よりも使えるお店で好きなものを買ってもらえるということですね。利用可能なお店でその時売っていなくとも取り寄せてもらえれば商品券でお買い物ができますし、さらにお釣りが出るタイプの商品券もありますから、お相手にとって嬉しいことずくしといえるでしょう。
また有効期限がない種類や、期限を過ぎた場合は返金してもらえる場合もありますので、お相手を急かす必要がないという点も魅力の一つですね。
●カタログギフトのメリット
- 自宅に居ながら商品を選べる
- オーソドックスな商品や日用品が多い
カタログギフトを香典返しとして選ぶ方も多いですが、理由としては気軽さと日用品が充実している点にあるでしょう。自宅でくつろぎながら好きなものを選んでもらえますし、日常で使える商品が多く掲載されているところがカタログギフトのメリットといえますね。
●商品券とカタログギフト、贈り分け方は?
それぞれのメリット・デメリットについてまとめてみましたが、両方ともそれぞれの使い勝手の良さがありましたし、また贈る側としても決めやすい品という点は共通していえることでした。
まとめた点を総合すると、「親しい方やお若い方には商品券、ご年配の方やあまり出歩けない方にはカタログギフトがおすすめ」ということがいえそうですね。
商品券を貰うことに抵抗感がないお若い方や親しい方には便利な商品券を香典返しとするのも良いのではないでしょうか。
自宅でゆっくり商品を選ぶことが可能なカタログギフトは、ご年配の方や妊婦さんといった、ご自宅から出歩くのが大変な方にピッタリといえますよ。贈る方に合わせて使い分けると良いですね。
まとめ
今回は香典返しとして商品券を贈っても問題ないのか否かについてご紹介してまいりましたが、商品券もOKということがお分かりいただけたかと思います。迷う方も多い点ですし、そもそも香典返しは気を遣って選ぶものですから、これで一つお悩みは解決できたのではないでしょうか。
葬儀でいただく御香典はたくさんの数になりますし、悲しみの中にあるご遺族にとって香典返し選びは大変なことです。お相手を選ぶ必要はありますが、贈る側も受け取った側も嬉しく便利な商品券も、安心して香典返しとしてご活用くださいね。
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