結婚式で思い浮かべるシーンは何があるでしょうか。新郎から新婦への誓いのキスやケーキ入刀、ブーケトスなどさまざまな印象的なシーンがあると思います。その中にベールダウンやベールアップを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。どちらも感動的なシーンです。今回はそんな感動を呼ぶベールの由来や意味などについてご紹介します。
概要
ベールとは、レースなどの素材で作られた布のことを指し、女性の顔や頭を覆うために使います。ベールにはさまざまな意味があるとされています。
・魔除け
ウェディングベールで最も有名な意味は、邪悪な物から身を守る魔除けです。ベールの可憐な見た目とは違い、邪悪なものから身を守る盾のような役割を担います。
・母親の愛情
花嫁を柔らかく包むベールは、母親の愛情の象徴という意味も持ちます。結婚式は親からの巣立ちですが、ベールは娘を守ってきた親の愛の証と言えます。
・貞操
ベールには“覆う”“隠す”という意味があります。イスラム社会では女性はベールを被り、肌の露出を避ける文化があります。この文化には“周囲の欲望の目から身を隠す”という意味があります。同じようにベールをまとう花嫁は貞操を守ってきた女性の象徴と考えられます。
この3つがベールの主な意味です。
ベールの長さ・種類
一口にベールと言っても長さや種類がありますのでご紹介します。
◇ベールの長さ
・ショートベール
二の腕が隠れる長さの短いベールです。すっきりとしており、かわいらしい印象です。カジュアルな結婚式にもおすすめです。
・ミドルベール
お尻の下まで長さのあるベールです。比較的どのドレスにも合わせやすい長さです。ただし、腰にデザインの入ったドレスだとベールが邪魔をしてしまう可能性があるため避けましょう。
・ロングベール
裾を引きずるくらい長さがあるベールです。シルエットが美しく重厚な雰囲気です。格式高い結婚式にもふさわしいベールです。
◇ベールの種類
・フェイスアップベール
ベールにコームを付け、折り返しや止めることのできるものです。「ベールダウン」や「ベールアップ」などの演出をしたい人はこちらのタイプを選びましょう。
・マリアベール
聖母マリアが身に着けていたことから名がついたのがマリアベールです。シンプルなドレスにはぴったりで、神聖な雰囲気をかもし出します。ただし、顔にベールをかけないためベールアップ・ベールダウンはできません。
ベールの選び方
ここではベールの選び方をご紹介します。
◇決める順番
ベールを選ぶときに大事なのが決める順番です。順番とはドレスやアクセサリーなど花嫁衣裳の決める順番です。1、ドレス
2、ベール
3、ヘッドアクセサリー
4、ネックレス
5、グローブ
選ぶ順番はこの順番がベストです。全体を決めていくものから決めて、そこから小物に移っていきましょう。
◇イメージ別の選び方
自分がどんな花嫁になりたいのかが非常に大事です。それに合わせてドレスとベールを決めていきましょう。
・キュート
ドレス:プリンセスライン、Aライン
ベール:ベールの端がふんわりとしたメロウベールがおすすめです。直線的なラインのベールを選ぶとかわいらしさが消えてしまう可能性があるので避けた方がよいでしょう。
・エレガント
ドレス:素材にこだわった気品のあるドレス
ベール:レースの中で最も格の高いリバーレースを使ったものがおすすめです。ドレスに装飾が多い場合はシンプルなロングベール、ドレスがシンプルな場合は刺繍の美しいロングベールがおすすめです。
・スタイリッシュ
ドレス:フリルやレースの少ないドレス、Aライン・スレンダーラインドレス
ベール:直線的なベールを選びましょう。またマリアベールもスタイリッシュスタイルにはおすすめです。
・シンプル
ドレス:シンプル過ぎないドレスを選びましょう。部分的な刺繍やレースなど少しの華やかさを取り入れましょう。
ベール:装飾がないドレスの場合はレースを使ったレースで華やかさをプラス。全体的にシンプルになりすぎに注意です。
◇シーン別の選び方
結婚式を挙げる場所によってもドレスやベールの相性があります。シーン別にみていきます。
・大聖堂
大聖堂はとても格式の高い場所です。ベールは長いほど格式が高いとされているので、式場に合わせてロングベールを着用しましょう。
・ホテル、専門式場
結婚式専用で使われる式場ではベールに“これ”というものはありません。ドレスに合わせて選びましょう。
・海外、リゾートウェディング
軽やかなミドル丈のベールがおすすめです。ショート丈だとカジュアルすぎるため避けましょう。
・レストランウェディング
カジュアルな結婚式にはショートベールがおすすめです。
ベールアップ・ダウンの意味
◇ベールダウン
ベールダウンとは、フェイスベールを顔の前におろす儀式を指します。ウェディングベールは頭頂部をピンで固定されていて、上げ下げできるようになっています。ベールダウンは、いよいよ自分の手を離れ新郎のもとへ向かう娘の、最後の花嫁仕度を手伝うお仕事です。
ベールダウンには二つのパターンがあります。
- バージンロードでのベールダウン
バージンロードのベールダウンは結婚式の演出として行い、ゲストにも見てもらえるという利点があります。また、母娘2人でベールダウンをするのは照れ臭い人にもおすすめできます。しかし、母親とゆっくり時間を過ごしたい場合はおすすめできません。
- ブライズルームでのベールダウン
ブライズルームでベールダウンを行うと、母親とゆっくりと話すことができ思い出に残ります。ここでもし泣いてしまってもメイクは直せるのもメリットの一つです。ただし、ゲストの人には見せることができないので演出を増やしたい方はバージンロードでのベールダウンがいいでしょう。
◇ベールアップ
花嫁がバージンロードを歩き、花婿のもとに到着して行うのがベールアップです。花嫁を守るベールを上げることで、二人を遮るものがなくなります。「これから先は何も隠さず幸せな家庭を気づきます」という決意も込められています。
和装の場合のベールダウンに替わる儀式
和装の場合、ベールダウンはありませんが、同じような意味合いの儀式があります。「末広の儀」や「懐剣の儀」、「紅置きの儀」があります。末広の儀は母親が花嫁の帯に扇子差し、花嫁の最後の身支度を整えます。紅置きの儀は花嫁の紅の最後の一筆を母親が仕上げます。懐剣の儀は花嫁の門出に母親が新婦の胸元に懐剣を指します。剣はベールと同じく、魔除けのお守りとして用いられる神聖なものです。このように、これらはベールダウンと同様、母親が娘にしてあげる最後のお仕事です。