お祝いごとは縁起のよい『大安』に行うとか、今日は『大安』で日がいいなどと聞いたことがありませんか?『大安』という日はどうして縁起がよいといわれているのでしょうか。カレンダーに書いてあるので『大安』という言葉は知ってはいるものの、由来や意味についてはわからないことが多いですよね。『大安』は、一体どんな日のことをいうのか、由来や意味をご紹介します。併せてこの日に行うとよいとされていることと行っても良いのかと迷うケースについても紹介します。
『大安』とはどういう意味?
『大安』は、『たいあん』と読むのが一般的ですが、『だいあん』と読んでも間違いではありません。この『大安』には一体どんな意味があるのでしょうか。カレンダーに書いてあるので知っているけれど、いざ説明しようとすると知っているようであまり知らない、なんてことありませんか。
『大安』とは何をするのにも、とにかく良い日、つまり吉日で、縁起が良い日のこと。特に一日中時間に関係なくずっと、縁起が良いというのが特徴です。『大安』の語源としては、『泰安』説と『大いに安心できる』説がありますが、どちらの説でも縁起が良いといわれているため、結婚式や、神社へのお参りをする人が多い日でもあります。
普段は日柄を気にしなくても、結婚やお参り、お祝い事や縁起を担ぎたいことを行う時には、お日柄を気にする人は結構多くいます。その一番いい例が、結婚式ですね。大安の日の結婚式はとても人気で、週末の大安の日から予約が埋まっていきます。
それではこの一日中吉日が続く『大安』には、どんないわれがあるのでしょうか。日本には現在使われている暦の太陽暦の他にもカレンダーを見るといろいろなことが書かれています。節分、夏至、立秋などの24節気、暦の節目を指す端午、七夕などの節句、24節気を更に細分化した72候、大安、仏滅などの吉兆を表す六曜がカレンダーに並んでいますね。
六曜って一体何?
六曜入りといわれるカレンダーがあり、これには、日にちのそばに小さな文字で、大安、仏滅、などの言葉が書いてあり、これが『曜』といわれもので6個あるので『六曜』といわれています。この六曜は、日時や方位などの吉凶・運勢を表す、日本では一番馴染み深い暦注(れきちゅう)です。そしてこの暦注が一番影響するのが、冠婚葬祭の儀式です。このほかに、『大安』の日に合わせてお祝いが届けられたりすると、とても気配りのできる人というイメージを持つことがあるのではないでしょうか。その他では、日付が月だけ書いて日付の部分を吉日と書いた手紙を見かけることもありますね。日常生活ではそれほどお日柄を気にしない人でも、冠婚葬祭となるとこの六曜を気にかける人が格段に多くなるのです。
暦注の多くは、陰陽五行とか十干十二支がもとになっていることが多いのですが、六曜は、室町時代に中国から伝わった六壬時課や小六壬といわれる時間の吉凶占いが日本で変化し、江戸時代に大衆向けに広まったものです。この六壬時課の由来は、唐の李淳風という説や、三国時代の諸葛孔明という説もあり、はっきりしていませんが、軍事戦略を立てるときに時間の吉兆を占うために使われていたものです。六曜は日本で広まるまでには陰陽道の影響を受けて変化したといわれていますが、中国で使われていた時とは目的が異なるため、日本で広まる時には六曜の指す意味も中国とは違っているといわれています。
江戸時代には、幕府が根拠のあいまいな六曜を信じないようにとお触れを出すくらい六曜が流行ったというから、どれだけの影響があったのか興味津々ですね。
『大安』は縁起がいいのか
六曜の根拠があいまいだといわれると、お日柄や縁起が良いという『大安』とどう付き合っていったらよいのか悩んでしまいますね。六曜の中には、いかにも宗教と関係がありそうな『仏』や『安』や『友』という字が使われているので、仏教や神道と関係があると思われがちですが、六曜の成り立ちから見て分かる通り、そもそも宗教とは関係がありません。
仏教との関係
仏教では、日に善悪はないという教えがあります。これは、『涅槃経』で『如来の法の中に吉日・良辰を選ぶことなし』とあるからです。如来とは仏教という意味で、吉日も良辰もどちらも良い日という意味で、日の良し悪しや占いは、人の運命とは関係ないという教えです。人の幸せは、日に影響されるのではなく、自分の行いで決まるという考え方をするので、日の良しあしを決める六曜とは関係がありません。実際に、仏教の行事は六曜に関係なく行われています。涅槃絵(ねはんえ)、仏生会(ぶっしょうえ)成道会(じょうどうえ)などの年中行事は暦で決まっており六曜がたとえ仏滅であっても日程に影響しません。
神道との関係
六曜は、神道とも関係がないため、神道の行事が六曜に左右されることもありません。神道での年中行事である例大祭や大祓(おおはらえ)などはすべて暦で決まっていて、毎年同じ日に行われることが多く、その日が大安か仏滅かなどによって日程が変更されることはありません。
宗教とは無関係な大安との付き合い方、六曜の順番ってあるの?
六曜が宗教とは関係がないことはわかりましたが、そもそもどうやって吉兆を占い、大安や仏滅といったお日柄が決まるのでしょうか。カレダーを眺めると規則性があるように見えますが、突然規則性が崩れているところもありどうやって決まっているのかよくわからないと感じる方も多いのではありませんか。
そもそも六曜は各曜の並び順が決まっていて、適当に決められているわけではありません。ただ、常に同じ順番に並んでいるわけではないことが、かえって神秘性を高めているのかもしれません。
六曜は、先勝から始まり、次が友引、先負、仏滅と続き、さらに大安、赤口で一巡します。基本的にはこれを繰り返していくのですが、カレンダーを見ると時々この順番でないことがあります。これは、六曜の配当のもう一つのルールに基づくものです。それは、旧暦の各月の1日には、どの曜が当たるかというのが決められていて、旧暦の1日には決まった曜を当て、そこからまた決められた順番に六曜が割り当てられていくのです。これをさらに複雑にしているのが旧暦との関係です。いわゆる旧暦は、太陽太陰暦で1年が354日で4年に一度閏月があるため、旧暦の各月の1日というのは、必ずしも現在のカレンダーの1日に当たるわけではありません。そのため、順番に並んでいるようで月の途中で急にその順番が狂ったりするのです。
旧暦の各月の1日に割り当てられている曜は次の通りです。
先勝:1月1日と7月1日
友引:2月1日と8月1日
先負:3月1と9月1日
仏滅:4月1と10月1日
大安:5月1日と11月1日
赤口:6月1日と12月1日
お祝い事はやっぱり大安?弔事の大安はどうしたらいい?
『大安』は、陰陽道の影響は受けているといわれていますが、その縁起の良さの科学的根拠を見つけるのは難しそうです。科学的根拠を見つけるのも難しく、宗教にも拠り所はなく、さらに迷信という人さえいる六曜の『大安』ですが、全く関係なしと切り捨ててしまってもよいでしょうか。
お日柄を「気にするあまり何もできなくなってしまっては本末転倒ですが、江戸時代に広まって今日まで残っている暦注は、何に重きを置くかは個人が決めることですので、個人的な行動としてはまったく気にしないで生活をするのは当然問題ありませんよね。ただ、冠婚葬祭の場合はそうとも言っていられません。というのは、お祝い事を単独で行うのであれば、個人が縁起をかつぐかどうかという問題ですが、結婚式やお参りのようにほかの方に参加してもらう場合は、少し気にする必要がありますよね。
『大安』は六曜の中でも際立って多くの方に認識されているお日柄なので、自分は気にしないけれど、中にはとても気にする方もいるかもしれないのです。ただ、残念ながら、お日柄にこだわりを持っているかどうかというのはこうした行事を通じて気が付くことが多いということです。そうした方をお客様としてお招きする場合に、その行事とお日柄があまりにも合わない、不適切とされているような場合の配慮も必要ではないでしょうか。
結婚式やお祝いの行事を『大安』の日に行うことが多いというのは、せっかくのお祝い事なので縁起をかつぎ、縁起の良い日に行いたいということと参加者にも喜んでもらうという理由もありそうですね。
弔事を『大安』に行うことはどうでしょうか。これも仏教では問題ないといわれています。葬儀関係の弔事では、大安よりも『友引』の方が避けられているため、『大安』の日に葬儀を行うこともタブーとはされていません。
まとめ
- 『大安』は、六曜の1つで、一日中縁起の良い日。
- 六曜は、カレンダーの暦注として記載されており、江戸時代に広まった中国を起源とする時刻の吉兆を占うものでした。
- 六曜は、仏教や神道などの宗教には関係がなく、科学的な根拠が乏しいもの
- 六曜は順番と旧暦の各月の1日の配当が決まっているため、配当順序が連続しないことがある
- お祝い事は、やはり『大安』が人気
- 弔事は『大安』でも問題なし
『大安』は一日中、縁起の良い日といわれていますが、その根拠ははっきりしていません。お祝い事や冠婚葬祭では、暦も味方につけるという意味で縁起をかついでみるのもいいのではないでしょうか。