そんな不安な気持ちが少しでも楽になるよう、結婚式に参列する男性の基本的な着こなしから、小物のチョイス、NGな着こなしについて説明していきます。
結婚式には何を着たらいいの?
結婚式にゲストとして参加する場合、何を着ていけばよいのでしょうか?和服での参列、スーツでの参列があります。和服で参列するのであれば、美容院やヘアサロンで着付けをしてもらう必要があるでしょう。今回は、手軽で多くの人が着て参列する“スーツ”についてシチュエーションごとに見ていきましょう。
一般ゲストとして参列する場合
友人や会社の同僚として参列する場合は、ブラックスーツやダークスーツを着て参列するのが一般的です。ブラックスーツやダークスーツについては後程お伝えします。
主賓や上司スピーチ、挨拶を依頼されて参列する場合
ゲストの中で代表を務める場合には、他のゲストよりも品格のある服装で参列する必要があります。そのため、頭の上から足の先までビシッと決めたタキシードやディレクターズスーツを着て参列するのが一般的です。タキシードやディレスターズスーツについては後程お伝えします。
友人代表スピーチや挨拶を依頼されて参列する場合
こちらも友人の代表を務めるので、一般ゲストよりも品格のある装いが良いでしょう。ただ、タキシードやディレスターズスーツよりもフランクな、ブラックスーツやダークスーツが、おすすめです。他のゲストよりもフォーマル感を演出するために、ベストやチーフなどの小物を用いてコーディネートするのがおすすめです。
親族として参列する場合
親族として結婚式に参列する場合は、新郎新婦と共にゲストをもてなす側でもある為、礼服やブラックスーツを着て参列するのが一般的です。新郎のおじさんについては、乾杯の発声をお願いされる場合もあるので、その場合は、礼服やブラックスーツよりも格式の高いタキシードやディレスターズスーツを着るとよいでしょう。また、新郎新婦よりも年下の親族の場合にはダークスーツを着ても問題ありません。もちろん、高校生以下の学生の場合は学校の制服が礼服になるので学校の制服での参列で問題ありません。
新郎新婦の父親の場合
こちらも親族と同様、同様以上に新郎新婦と同じ主催者側になるのでゲストをおもてなしするホスト側になります。両親はゲストへの挨拶だけでなく、見送りなどもする立場なので、参列者の中で一番格式の高い着こなしをする必要があります。そのため、モーニングコートや燕尾服(テールコート)を着ます。モーニングコートや燕尾服についても後程お伝えします。
スーツの種類
スーツは大きく分けて「ビジネススーツ」と「礼服」の2種類があります。ビジネススーツと聞いて就職活動時に着用するリクルートスーツを思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。では、礼服と聞いてどのようなスーツを思い浮かべますか。礼服は冠婚葬祭時に着用するフォーマルウェアで、ビジネスシーンでの着用はNGとされています。
ビジネススーツと礼服の違い
ビジネススーツと礼服の違いを色、生地、ラペル、ペント、シルエットの5点から説明していきます。
《色》
ビジネス用ブラックスーツの黒と礼服の黒は、全く別物です。ビジネス用ブラックスーツは黒い生地で仕立ててありますが、光に反射して白っぽく見えてしまったり、グレーがかったように見えてしまいます。ですが、礼服の黒は艶や光沢の出ない“漆黒”です。礼服の価値の一つとして色の濃さだと言われるほどです。礼服は黒が濃いほどフォーマル度が高く上質なものとされています。そのため、ビジネススーツの様に光に反射して白っぽく見えてしまうことはありません。
《生地》
ビジネス用ブラックスーツはポリエステルが採用されていることが多く、着心地を重視した生地の折り方、素材選びをして仕立てられています。礼服は、上質なウールが採用されており、色にもこだわっているため、色が濃く見える生地の折り方、色がより濃く染まる素材選びをして仕立てられています。
《ラペル》
ラペルとは、ジャケットの襟部分のことを指します。
ビジネススーツは、襟に沿って細かい縫い目があるのに対して、礼服には基本的にはそのようなステッチははいっていません。稀に略礼装に分類されるブラックスーツには入っていることがあります。また、ピークドラペルと言って下衿の先が尖って上を向いているデザインはドレッシーさを演出しておりフォーマルジャケットこみに使用されるデザインです。
《ペント》
ペントとは、ジャケットの裾に入っているスリットのことを指します。
ペントは動きやすくする為のものなので、仕事着であるビジネススーツにはペントがあり、礼服やフォーマルジャケットにはなく、ノーペントとなっています。
《シルエット》
ビジネススーツのシルエットはその時々の流行によって多少異なりますが、最近では、細身でスタイルが良く見えるシルエットのデザインが一般的です。逆に礼服は流行には左右されず、また、頻繁に買い替えるものではない為、長期にわたって着ることができるようにゆったりとしたシルエットのものが多いです。
いかがでしたでしょうか。ビジネススーツと礼服の違いについてお分かりいただけましたでしょうか。まとめると、ビジネス用ブラックスーツは光の反射があり、着心地の良いおしゃれなスーツ。礼服は漆黒、ノーラペル、ノーペントでゆったりとしたシルエットのスーツということでした。
ビジネス用ブラックスーツや礼服を購入する際は、お店でも売り場が分かれていたり、違いが表記されていたりと違いを知っていないと購入することができないと言うわけではありません。しかし、違いを理解しておけばビジネス用ブラックスーツで冠婚葬祭に出席すると他のゲストや主催者側にバレてしまう可能性があるということがわかります。結婚式は新郎新婦の門出を祝うよき日ですので、失礼のない装いで参列したいものですね。
礼服の種類
礼服は「正礼装」「準礼装」「略礼装」の3種類があります。
正礼装
正礼装は最も格式高い礼装で、“モーニングコート”“燕尾服”を指します。
《モーニングコート》
・新郎や両家の父親が着用
・午前中から18時頃までの結婚式で着用可能な正礼装(昼間の正礼装)
・媒酌人が着ることも
◆着こなし◆
・コールパンツ
・ベスト(ジャケットと同生地同色)
・シャツ(ウィングカラーシャツorレギュラーカラーの白生地ブロードクロス)
・ネクタイ(シルバーグレーのネクタイor白黒のストライプタイのコールタイ)
・ポケットチーフ(色は白、リネン素材orシルク素材)
・カフス(白蝶貝or白ベース)
・革靴(本革の黒の内羽根ストレートチップ)
モーニングコートは、古来イギリスより伝わる伝統的な格式の高い紳士礼服です。前裾から後ろ裾にかけて曲線的にカットされたコートを合わせるスタイルで、ベルトは使用せず黒か、白黒縞柄のサスペンダーを使用します。
《燕尾服(イブニングコート)》
・新郎や両家の父親が着用
・18時以降の結婚式で着用可能な正礼装(夜の正礼装)冬場は17時以降から着用可能
◆着こなし◆
・スラックス(ジャケットと共布で側章2本の入ったもの)
・白いベスト
・ウィングカラーシャツ
・白の蝶ネクタイ
燕尾服は別名「ホワイトタイ」と言われ、ドレスコードにホワイトタイと書かれている場合は、燕尾服での参列が必要となります。また、モーニングコート同様にベルトは使用せず黒か、白黒縞柄のサスペンダーを使用します。
燕尾服の特徴はコートの丈にあります。前はベスト丈で短く、後ろはマントの様に長い丈で2つに別れているため、横から見ると燕のように見えます。
準礼装
準礼装は正礼装の次に格式高い礼装で“タキシード”“ディレクターズスーツ”を指します。
《タキシード》
・主賓や上司代表スピーチわ挨拶を依頼されたゲストが着用
・一日中着用可能な準礼装
・カジュアルな会場では新郎が着用する場合も
◆着こなし◆
・ジャケット(ピークドラペルorショールカラー)
・スラックス(ジャケットと共布で側章が入ったもの)
・白いシャツ(白無地のウィッグカラーシャツ)
・蝶ネクタイ(黒のシルク素材)
・黒のカマーバンド
・ポケットチーフ(シルク素材or麻素材のホワイト系スリーピークス)
・靴(黒いエナメル素材のオペラパンプスorスリッポン)
従来は18時以降着用可能な準礼装でしたが、近年では正礼装と準礼装を兼ねるようになり、着用可能な時間帯も夜のみではなく一日中と変化していきました。また、タキシードは別名“ブラックタイ”と言われ、ドレスコードにブラックタイと書かれている場合はタキシードでの参列が必要となります。
正礼装と同様、ベルトは使用せず黒のサスペンダーを着用。また、ベストの略式であるカマーバンドですが、現在では省略可能なアイテムの一つとされています。
《ディレクターズスーツ》
・主賓や上司代表スピーチわ挨拶を依頼されたゲストが着用
・午前中から18時頃までの結婚式で着用可能な準礼装(昼間の準礼装)
・カジュアルな会場で結婚式や披露宴を行う際、新郎新婦の父親が着用する場合も
・ゲストの中で一番フォーマルな装い
◆着こなし◆
・ジャケット(黒orダークグレーのシングルまたは、ダブル)
・コールパンツ
・シャツ(白無地のレギュラーカラー)
・ネクタイ(シルバーorシルバーグレー)
・ベスト(ジャケットがシングルの場合、必ず必要)
・靴(ブローグのない黒のストレートチップ。もしくは革靴のストレートチップorプレーントゥ)
正礼装と同様、ベルトは使用せず黒または、白黒の縞柄サスペンダーを着用。また、ジャケットはダークスーツのジャケットでも可。
略礼装
略礼装は一般的な礼服で“ブラックスーツ”“ダークスーツ”を指します。
ドレスコードに「平服」と書かれている場合は略礼装で参列します。
《ブラックスーツ》
・友人、会社の同僚、上司が着用
・新郎新婦の兄弟も着用
・一日中着用可能な略礼装
・冠婚葬祭で一番一般的な礼装で汎用性の高い着こなしが可能
◆着こなし◆
・シャツ(白無地のレギュラーカラー)
・ベスト(グレーorシルバー)
・ネクタイ(シルバーor白)
・革靴(内羽根ストレートチップor内羽根プレーントゥ)
一般的なドレスコードの結婚式・披露宴に参列する際の最もポピュラーなゲストスタイル。フォーマルスーツの着こなしに自信のない方でも安心なフォーマルうぇあと言えるでしょう。
《ダークスーツ》
・カジュアルな会場で友人や会社の同僚、新郎新婦の兄弟も着用
・最もカジュアルな礼装
◆着こなし◆
・スーツの色(濃紺orダークグレー)
・スーツの柄(無地、控えめなストライプorチェック柄など)
・シャツ(白無地のレギュラーカラー)
・ネクタイ(シルバーorホワイトベース)
友人として参列する場合は、光沢のあるカラフルで華やかなネクタイでも可
・ポケットチーフ(ネクタイと同色でより華やかな印象に)
・革靴(ストレートチップoプレーントゥ)
ダークスーツは以前まで、礼装とは見なされていませんでしたが、近年、略礼装に含まれるようになりました。その為、格式高い高級ホテルや式場での参列の場合は着用を控えた方が良いでしょう。逆にカジュアルな会場であれば、遊び心を表現できる礼装と言えるでしょう。
避けるべき着こなし
冠婚葬祭での着こなしには、避けるべき着こなしがいくつかあり、注意が必要です。
《スーツ》
✖️新報衣装と同系の白やグレー
✖️派手なカラー
✖️アニマル柄プリント
✖️側素材
✖️体型に合っていない
《シャツ》
✖️カジュアルな印象を与えてしまうボタンダウン
✖️半袖
《ネクタイ・蝶ネクタイ》
✖️喪服をイメージされる黒
✖️派手すぎる柄物や動物柄
✖️くたびれた生地
✖️カジュアルなニット素材
《ベルト・カフス・タイタック・ネクタイピン》
✖️動物の革
✖️ドクロなど死をイメージするデザイン
《靴》
✖️ブーツやスニーカー
✖️動物の革靴
✖️メダリオンタイプ
✖️汚れ、着古した感じがある
《靴下》
✖️くるぶし丈
✖️黒以外の色
《鞄・荷物》
✖️ビジネスバック
✖️大きな荷物
荷物はクロークに預けておくのがマナー
まとめ
結婚式に初めて参加する男性の不安な気持ちを少しでも軽くできたらと、フォーマルスーツの着こなしについてまとめていきましたが、いかがでしたでしょうか。礼服と言っても“誰が”“どのような会場で”“何時ごろの式”に参列するのかによって着用する礼服の種類が変わるという事がわかりました。結婚式への参列は頻繁にある事ではない為、着こなしで不安がある場合には、冠婚葬祭用洋服売り場のスタッフに確認するのも一つのでです、ご両親や、一緒に参列する仲間と相談するのも良いでしょう。さらに、冠婚葬祭には昔から続いているマナーやNGマナーもありますので注意も必要です。
結婚式へ参列する場合、装いも大切ですが一番大切なことは新郎新婦を祝福する気持ちです。ぜひ、結婚式や披露宴への参加を楽しんでください。