お歳暮とは、結婚相手の実家や親戚、ビジネス関係、友人・知人など、日頃お世話になっている方に感謝の気持ちを伝えるために、一年の終わりに贈る品物です。
必ず贈らないければならないという決まりはありませんが、こういったタイミングで日頃の感謝を伝えると今後も気持ちよくお付き合いを続けていくことができます。
今回は、お歳暮を贈る基本的な時期や「のし」のマナーを解説。
また、相手からお歳暮をいただいた時に送りたいお礼状の例文、親しい間柄の方に送るメールの例文もご紹介します。
お歳暮はいつ贈る?時期は12月上旬~20日までが目安
お歳暮は、12月上旬~20日頃までの間に届くようにするのが一般的なマナーです。
ただし、贈る時期の目安は地域によって少し違いがあります。
各地域の平均的な時期は以下のとおりです。
- 関東…12月初旬~12月20日頃まで
- 北海道・東北・北陸・関西・中国・九州…12月10日~12月20日頃まで
- 沖縄…12月初旬~25日頃まで
このようになっていますが、上記はあくまで目安。
細かい地域ごとに時期が多少前後することもありますので、念のため周りの方に確認しておくと安心です。
全体的には関西より関東の方が早めに贈る傾向があり、11月下旬頃に贈るケースも増えています。
関東にお住まいで地域の習慣が特にないようであれば、上記の期間より少し早めに贈っても問題ないでしょう。
ただ、関東の方が関西の方に贈る際などは早過ぎると驚かれてしまうかもしれませんので、注意してくださいね。
お歳暮を贈る時期は26日以降にならないよう注意!
地域を問わず気をつけたいポイントは「あまり年末のギリギリに贈らないように」することです。
26日以降になると実家への帰省や海外旅行のために家を空ける方も少なくありませんし、そうでなくても年末年始の準備で慌ただしくなりますよね。
そのため、やはり地域を問わず12月20日~25日くらいまでを目安に届くようするのがベターです。
品物と相手の事情によっては26日以降に贈ってもOK
26日以降に贈ってもいい例外として、以下のようなケースが挙げられます。
- あまり日保ちがしない「お正月用の生鮮食品」(魚介類や肉類)を贈りたい
- なおかつ相手の了承がとれている
お正月用の生鮮食品を贈る場合は、品物が届いてからなるべく早く消費してもらう必要がありますよね。
そのため、あらかじめ先方の了承がとれていれば26日~31日頃に贈っても構いません。
ただし、相手が不在がちではなく品物をきちんと受け取れるか、受け取った後に品物を消費できるか、といった点に考慮して贈ることが大切です。
不在がちの方や同居しているご家族の少ない方に贈るのであれば、缶詰や海苔などの日保ちがする食料品、洗剤などの消耗品が適していますよ。
お歳暮ののしは紅白・蝶結びの水引!表書きは「お歳暮」
結婚祝いや内祝いなどの品物と同様に、お歳暮にも「のし(のし紙)」を掛けます。
のしとは、「水引」という贈答品用の帯紐や、黄色の紙を長六角形の色紙で包んだ「のし飾り」が印刷された掛け紙(品物に掛ける紙)です。
のしに印刷されている水引には、「結び切り」「蝶結び(花結び)」「あわじ結び」の3種類があります。
また、水引の上部中央には「表書き」(贈り物の目的を表す言葉)、下部には自分の名前を書き入れるのがマナーです。
お歳暮の場合は以下のポイントを押さえておきましょう。
- 「紅白の蝶結び」の水引が印刷されたタイプを使う
- 表書きは「お歳暮」または「御歳暮」と書く
- 水引の下部中央に自分の名前を書く(表書きよりやや小さめに)
お歳暮は何度繰り返してもいい贈り物なので、すぐに解けて何度でも結び直せる「蝶結び」の水引を用います。
水引の本数は5本がおすすめです。
お歳暮の「のし」の名入れは間柄や個人・連名で書き分けよう
名入れのやり方は相手との間柄、個人で贈るのか、連名で贈るのかによって異なります。
贈り方 | 名前の書き方 |
個人で贈る | 姓名(フルネーム)。ただし目上の方(上司や恩師)に贈る場合は姓のみでも構わない |
家族で贈る | 姓のみ、または大黒柱の姓名 |
夫婦連名 | 中央に夫の姓名、その左側(夫の名前に並べる形で)妻の名前を書く。または中央に書いた姓の下に二人の名前を並べて書く。夫婦別姓の場合はそれぞれの姓名を並べて書いてもOK |
連名 | 目上の方の姓名を右側から順に書き入れる。4名以上なら代表者の姓名のみを記し、その左側(少し下)に「他一同」「営業部一同」などと書き入れ、別紙にて全員の名前を記載する。順位がない場合は五十音順に右側から順に記載する。 |
会社で贈る | 中央に代表者の名前、その右側に会社名を書き入れる(会社名は代表者名より小さめに) |
表書きや名前は毛筆や筆ペンで書くのが正式ですが、難しい場合はサインペンやマジックでも構いません。
ただし、ボールペンはNG。
読みやすい字ではっきりと丁寧に書きましょう。
お歳暮が届いたらお礼状を送ろう!書き方や例文を紹介
お歳暮はお世話になっている方に感謝の気持ちを伝えるための贈り物なので、贈っていない相手からお歳暮をいただいた場合でもお返しの品は原則不要です。
お礼状や電話、メールで感謝の気持ちを伝えれば大丈夫。
お礼状はお歳暮が届いてからなるべく早く、3日以内には送るようにしてください。
もし、それより遅くなってしまう場合はお詫びの言葉を一言添えましょう。
ケース別にお礼状の書き方や例文をご紹介していきます。
ビジネス関係の方に贈るお礼状の書き方と例文
会社の上司や取引先など、ビジネス関係や目上の方からお歳暮をいただいた際はきちんと「お礼状」を書いて感謝の気持ちを伝えるのが正式なマナーです。
また、ビジネスシーンで送るお礼状は縦書き(手書き)の封書が最も丁寧ですが、関係性によってはハガキでも問題ありません。
以下に例文をご紹介しますので、参考にしてくださいね。
【取引先に送るお礼状の例文】
拝啓
歳晩の候 貴社におかれましては益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます
さて このたびはご丁寧に結構な品をお贈りいただき 誠にありがとうございます
日頃は弊社の方こそ何かとお力添えいただいておりますのに 細やかなお心遣いをいただき恐縮に存じます
今後も変わらぬご指導をいただきますよう よろしくお願い申し上げます
寒さ厳しき折から 皆様より一層ご自愛くださいますようお祈りいたします
略儀ながらまずは書中をもって御礼申し上げます
敬具
令和〇年12月〇日
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇
お礼状の文頭には頭語(拝啓など)を用い、「〇〇の候」といった時候のあいさつを入れ、
- お歳暮をいただいたことへの感謝
- 自分や周りの者が喜んでいること
- 今後のお付き合いをお願いする文章
- 健康を気遣う言葉
などを書き入れます。
最後は結語(敬具など)で締め、日付、会社名、役職・氏名を入れて終了です。
知人・親戚など個人で贈るお礼状の例文
知人や親せきなど比較的近しい関係の方であれば、横書きで頭語や結語を使わない、少しくだけたお礼状でも構いません。
【知人に送るお礼状の例文】
〇〇様
師走に入り、あわただしい日々をお過ごしのことと存じます。
さて、このたびは結構なお品をいただき、誠にありがとうございました。
甘さ控えめの食べやすいお菓子で、祖父母や子ども達も大喜びで、大変美味しくいただいております。
この寒さもますます強まるようですので、どうかご自愛いただき、よいお年をお迎えください。
略儀ながら取り急ぎ書中をもってお礼申し上げます。
令和〇年12月〇日
氏名
親しい方にはメールでのお礼でもOK!例文を紹介
普段仲良くしている友人や親戚などからお歳暮をもらった際には、電話やメールでお礼しても構いません。
ビジネスシーンでも、親しく付き合っている取引先や、取り急ぎのお礼であればメールで問題ないケースもあります。
あくまで基本は封書の手紙やハガキのお礼状ですので、メールにしたい場合はこれまでの慣習について事前に上司などに確認してからにしましょう。
【義父母に送るメールの例文】
件名:ありがとうございます
めっきり冷え込んできましたが、お変わりありませんか?
本日、送っていただいたお歳暮の品が届きました。
さっそく家族一同で有難くいただきました。とても美味しくて子ども達も大喜びです。
こちらは、子ども達も冬休みに入り慌ただしい日々を過ごしていますが、全員変わらず元気です。
〇〇さんは〇日からお正月休みに入る予定です。
お正月には家族全員でお世話になり恐縮ですが、よろしくお願いします。
いつもお気遣いいただきありがとうございます。
取り急ぎメールにてお礼申し上げます。
正しいマナーのお歳暮を贈って感謝の気持ちを伝えよう
お歳暮は今年一年お世話になったことへの感謝の気持ちや、相手の健康を願う気持ちを伝えられる大切な機会です。
贈り方やマナーを知らないと最初は不安に思うかもしれませんが、贈る時期、のしや表書きの種類さえ分かっていれば大丈夫。
ネット通販であればのしの名入れまでサービスでやってくれるところが多いですし、お店では店員の方にお願いできます。
お歳暮が届いたらなるべく早くお礼状や電話、メールでお礼することを忘れずに、マナーを押さえたお歳暮のやり取りで気持ちよく新しい年を迎えましょう。