会社などではお得意様にいただいたお菓子を持って、部下が「課長!このお菓子、〇〇様からのお裾分けです、どうぞ!」というやり取りがおこなわれていますよね。
上記のやり取りは、実は「お裾分け」の使い方としては正しくありません。
お裾分けの意味を知っていれば、目上の人に使う言葉としては間違っているということが分かると思います。
お裾分けの正しい意味や使い方はどのようなものなのか、断りたい時の適切な断り方も気になりますよね。
目上の人に使って、失礼にならない言い方はどうすれば良いのでしょうか。
今回はお裾分けの意味や使い方、目上の人への言い方や適切な断り方について詳しくご紹介していきます。
お裾分けの意味や語源とは?
お裾分けという言葉はごくごく日常的に使っていると思いますが、正しい意味について考えたことのある人は意外に少ないものです。
今まで当たり前のように使っていたものが、実は間違っていたということにも気づけるかもしれません。
まずは本当の意味や語源を知って、正しい使い方ができるように下準備しましょう。
①どんな意味がある?
まずはお裾分けという言葉の意味について、詳しく見ていきましょう。
お裾分けは他の人からいただいたものの量が多かった時など、さらに他人に分け与えることをいいます。
本来自分のものではないことから、自分にとって「つまらないもの」を目下の人に分け与えるために使われる言葉なのですね。
基本的に立場が上の人が下の人を哀れんで自分の裾を与えるような意味合いです。
本来目上の人が使うべき言葉なので、立場が下の人が上の人に対して使うのはとっても失礼なのです。
今では同僚や友人、家族など割と近しい人との間で物を分け合う時にお裾分けという言葉が使われることがほとんどです。
お裾分けの本来の意味に関しては、結構勘違いしている人が多いのが特徴です。
②語源はなに?
お裾分けは江戸時代から使われている言葉ですが、そもそも語源は何なのでしょうか。
お裾分けの「裾」は江戸時代で着られていた着物の裾のことをいい、自分には特に必要ないけれど余ったので分けるというのか語源です。
着物の裾は地面に一番近い部分であり、下々の者に与えるにはちょうど良かったということです。
お裾分けの正しい語源や意味を知った上で、今まで上司などに使っていたかと思うと…なんだか恥ずかしくなってしまいますよね。
でも意外に聞いていた側の上司も、お裾分けの本当の意味を知らなかったというケースも多そうです。
お裾分けの正しい使い方とは?
お裾分けは正しい使い方をして、やり取りの中で誤解が生まれないようにしたいですよね。
おそらく世間一般の中で多くの人が使っているお裾分けは単に他の人にたくさん物をもらったり自分がたくさん物を持っていた時に、立場を問わず他人に分けるシーンで使っていると思います。
正しい使い方は異なり、目上の人から立場が下の人に対して使うようにするのが正解です。
例えば先輩から後輩へ、上司から部下へ、年上から年下へ使うのが正しい使い方なのですね。
「部長、実家からお菓子が送られてきたので少しお裾分けします」というのは、実はかなり失礼な言い方なんです。
「部長ひもじそうだから、この私がお菓子でも分け与えてやろうかなって思います」と言っているようなものなんですね。
正しい使い方をマスターして、お裾分けを美しく言えるようにしていきましょう。
お裾分けの断り方はどうする?
お裾分けをされることは、社会に身を置いていたり近所づきあいをしたりしていれば年に何度もありますよね。
お裾分けをされたものの、特に必要ないものや好みでない場合もあります。
お裾分けを断りたいけれど、断り方がわからないという人も意外に多いものです。
お裾分けというのは基本的によほど悪意がない限りは、好意で声をかけてくれています。
良い断り方というのは、面と向かって「要らない」ことをつたえるのではありません。
一応お裾分けを頂戴しておいて、角が立たないようにすることが大人においての正しい断り方なのです。
もちろん非常に親しい間柄であれば「実は家にたくさんあるので、今はまだ大丈夫です」などとやんわりお断りしても問題ありません。
ご近所さんやママ友などであれば、なるべくお裾分けは必要不必要問わず受け取っておくのがベターでしょう。
相手の好意からくるお裾分けは、とりあえずいただいておくのが円滑な人間関係を築く上でのポイントです。
お裾分けはお返しをした方が良い?
プレゼントやご祝儀などをいただいた場合には内祝いなどのお返しが必要ですが、お裾分けの場合お返しは必要なのでしょうか。
お裾分けはあくまで余ったものを分けてくれたり、そこまで重要でないものをくれたりすることです。
律義にお返しをすることで、かえって相手から気軽に渡しただけなのに…と思われてしまいます。
お裾分けしてもらってからすぐにお返しをするのはあまりおすすめしませんが、なにかの機会があった時にちょっとした気持ちを贈るくらいで良いのではないでしょうか。
たとえばどこかに出かけた際に、小さめのお菓子などのお土産を渡すなどですね。
お裾分けの容器のお返し方法
お菓子などの食べ物をお裾分けをされた時に、相手の家庭で使っているお皿やタッパーなどに入れていただく場合があります。
一般的にお裾分けでお返しは必ずしも必要ではないですが、やはり容器があると迷ってしまうもの。
空の容器だけを返しに行くだけなのも味気ない気がしますし、最適な方法はないのでしょうか。
実は昔から「お移り」というものがあって、お裾分けのお返しとして空の容器にマッチなどを入れて渡すというものです。
「お裾分けありがとうございます、これからもよろしくお願いします」といった意味が込められています。
さすがに現代で空の容器にマッチを入れてお返しをしても、相手から謎に思われてしまいますよね。
もし容器に入れてお裾分けをいただいたときには、代わりにクッキーなどつまめる簡単なお菓子を入れてお返しすると良いでしょう。
現代バージョンのお移りだと思えば、相手に「これからもよろしくお願いします」という気持ちは伝わります。
もしお裾分けをする機会があった場合は、お移りに関して相手に気を遣わせてしまわないように使い捨ての容器を使うのも良いですね。
お裾分けする際の適切な個数とは?
お裾分けは一般的に、たくさん物がある時に他の人に少し分け与えていきます。
無造作に好きなだけ分け与えても良いのかというと、実は良くないのです。
日本での相手への贈り物に関するマナーとして、数に厳しいという点が挙げられます。
結婚式のご祝儀では2で割り切れる数字は避ける、4や9などは縁起が悪いので避けるなどですね。
お裾分けも個数などの数字には厳しく、お悔やみごとでは偶数で慶事では奇数とされています。
お裾分けはお祝いとまではいかないものの、ポジティブなイメージなので奇数をお渡しするのが一般的です。
偶数は縁起が悪く避けた方が良いですが、奇数でも9は「苦しい」というネガティブなイメージがあります。
特別に「8」だけは末広がりということで縁起が良く、偶数でも送って良いことになっています。
お裾分けをする相手の家族が偶数だったとしたら、何個か追加して奇数にすると良いでしょう。
「お裾分け」を目上の人に使う場合
お裾分けは本来目上の人から目下の人に対して言うことなので、目下の人は使うことができません。
目下の人が目上の人にお裾分けのようなことを言いたい時には、どうすれば良いのでしょうか。
実は立場が上の人に使う場合は「お福分け」という別の言葉が存在するのです。
実際、お福分けといきなり言われても意味を知らない人がかなり多いことが予想されます。
あまり知られていない言葉を使って変に誤解を招いてしまうのも面倒なので、お福分けよりも言いやすい言葉にしましょう。
「つまらないものですが、こちらをどうぞ」と言うと一番角が立たないと思われます。
上下関係がきちんとしている関係であればなおさら、お裾分けという言葉は使わないように気をつけましょう。
まとめ
お裾分けの意味や使い方、目上の人への言い方や適切な断り方について詳しくご紹介してきました。
お裾分けは地面に一番近い着物の裾部分を目下の人に分け与えるということが語源の、目上から目下の人に向かっていうのが正しい使い方の言葉です。
断り方は面と向かって断るのではなく、表面上は受け取っておくのが良いでしょう。
目上の人には通常「お福分け」を使いますが「つまらないものですが」という簡単な言い回しに変えておくと良いですね。
お裾分けは意味をきちんと把握して、正しい使い方をしていきましょう。