神社や寺院に行ってお詣りをした時には、お賽銭を投げる人がほとんどだと思います。
何も考えずにいると、ちょうどお財布の中に入っていた小銭を投げるといったイメージですよね。
お賽銭には縁起の良い意味を持つ金額や、逆に悪い意味を持つ金額もあるのです。
お賽銭箱も日本だけでなく、世界で存在しているものなんですね。
今回はお賽銭の意味や由来について、縁起の良い金額やお賽銭箱の構造などを詳しくご紹介していきます。
お賽銭がもつ意味とは?
お賽銭の世間一般でのイメージは「お賽銭を投げるので、お願い事を聞いてください」といったものです。
実はお賽銭の本当の意味は異なっていて「前回のお願い事に対するお礼」となっています。
お詣りをする時にお願い事をする前にお賽銭を投げるのは「この前はお願いを叶えてくれてありがとうございます」という気持ちなのです。
お願い事を叶えてもらうためのお賽銭ならば、お願いをした後に投げるはずですからね。
お賽銭の「賽」がもつ意味は、神様や仏様から福を授かった事に対して感謝して祀るということです。
願いを叶えてもらったお礼のお金なので、先にお賽銭を投げてからお願い事をするのですね。
お賽銭の由来とは?
お賽銭の意味がわかったところで、今度は由来や歴史について見ていきましょう。
お賽銭と聞くとすぐにお金が思い浮かびますが、実は昔はお金を奉納していませんでした。
神様などへのお礼は珍しいものや、価値のあるものが主に納められていたのです。
代表的なのが金や銀、貴重な食糧源であるお米などですね。
たくさんのお米がお賽銭のような位置付けで奉納されることを「散米」と呼んでいました。
日本でも物々交換でさまざまなものを手に入れていた時代から、徐々に貨幣が出回ってきたのです。
お金を渡すことが相手への感謝を表すという考えになり、室町時代くらいからお賽銭として神様に金銭を投げ入れる方式に変わっていきました。
多くの人がお賽銭を投げてしまうと、神社などではお金が散乱してあふれてしまいますよね。
お金を一カ所に集めやすいように、自然にお賽銭箱が置かれるようになったのだそうです。
お賽銭箱の由来は、実は親切な人たちの心遣いだったのですね。
お賽銭の金額はいくらが良い?
お賽銭はお願い事を叶えてもらった時に、神様や仏様へのお礼としてお渡しするものです。
願い事の大小は人それぞれなので、金額はいくらが良いかという細かいところは決められていません。
本人が「ものすごく大きい願い事が叶った」と感じたら相応の金額でお返しするのが良いかと思います。
ありふれた小さな願い事だった場合は、ささやかなお礼の気持ちをお賽銭に込めれば金額は関係ないのです。
金額うんぬんよりも、一番大切なのは神様や仏様に感謝を伝えるための気持ちなのですね。
お賽銭に入れると縁起の良い金額
お賽銭の金額は人それぞれとは言いつつも、誰もが「できれば縁起が良い方が良い」と考えます。
お財布に入っていた硬貨を無造作に投げるのではなく、縁起の良い金額を用意して入れたいですよね。
一番縁起が良い金額として有名なのが「ご縁がありますように」との願いが込められた5円玉です。
5円玉を単体で投げる人も多いのですが、実は5円玉をさらにバージョンアップさせた縁起の良い金額もあるので見ていきましょう。
- 5円玉2枚(10円):重ねがさね(2枚)ご縁がありますように
- 5円玉3枚(15円):十分ご縁(15円)がありますように
- 5円玉4枚(20円):良い(4枚)ご縁がありますように
- 5円玉5枚(25円):二重(5円玉5枚)にご縁がありますように
- 5円玉8枚(40円):末広がり(8枚)にご縁がありますように
- 5円玉10枚(50円):五重(5円玉10枚)のご縁がありますように
- 5円玉11枚(55円):いつでも(55円)ご縁がありますように
- 5円玉21枚(105円):十分(105円)にご縁がありますように
- 5円玉25枚(125円):十二分(125円)にご縁がありますように
- 5円玉97枚(485円):四方八方(485円)からご縁がありますように
金額を見てみると、語呂合わせで縁起の良さを決めている感じですね。
5円玉97枚というのは、なかなか自然には集まらないので銀行で両替してから準備しましょう。
一気に投げ入れられる金額ではないので、袋から丁寧に出してお賽銭箱に流し入れるようにしてくださいね。
お賽銭に入れると縁起の悪い金額
お賽銭に入れる金額で縁起の良いものもあれば、逆に縁起が悪いので避けた方が良い金額もあります。
縁起が良い金額と同様に語呂合わせなのですが、お賽銭などは気持ちが大切なので避けるようにしましょう。
まずは、お賽銭に使うべきではないとされる効果の種類からご紹介します。
ひとつめは10円玉で、10が「とお」と読むことから「遠縁」を連想させて縁が遠ざかるといわれているためです。
10円を5円玉2枚に変えると縁起が良くなるので、用意しておきたいですね。
ふたつめは500円玉で、硬貨の中では500円玉が一番大きな金額になります。
「これ以上の硬貨はない」というのが「これ以上効果がない」と連想されてしまうんですね。
もしお財布に10円玉か500円玉しかないときには、崩しておくと良いでしょう。
硬貨の種類だけではなく、お賽銭も縁起が悪いので避けた方が良い金額があります。
- 65円:ろくなご縁(65円)がない
- 75円:なんのご縁(75円)もない
- 85円:やっぱりご縁(85円)がない
縁起が良いか悪いかというのは決して神様や仏様の怒りを買うなどという意味はなく、お賽銭を投げる本人の気持ちが影響します。
なるべくなら気持ちが良い状態でお賽銭を投げたいので、語呂合わせは大切にしましょう。
お賽銭箱に入れる前の硬貨の清め方
お賽銭箱に入れる時の硬貨の状態について、深く考えたことがある人はいるでしょうか。
銭洗弁天で洗った硬貨は縁起が良いというように、お賽銭を投げる前の硬貨もなるべく清めた方が良いのです。
清めた硬貨を投げ入れることでご利益がアップして、願い事を叶えられる確率が上がるかもしれません。
お賽銭の清め方はたったの4ステップで完了するので、わざわざ銭洗弁天までいかなくても自宅で手軽におこなえます。
まずは硬貨に塩をふりかけて、邪気を祓いましょう。
硬貨についた塩を水で洗い流して、汚れを落とします。
最後に清酒を硬貨にふりかけて、お清めをしてください。
硬貨についたお酒を布できれいに拭き取ったら、天日干しにしましょう。
たった4ステップで硬貨のお清めができたら、あとはお詣りに行くまで大切にとっておいてくださいね。
お賽銭はどのような使われ方をする?
初詣など非常に多くの人が訪れた時には、塵も積もれば山となるではありませんが莫大な金額になります。
お賽銭として投げ入れられたお金の、その後の使い道はどうなっているのでしょうか。
実はお賽銭箱の中に入れられたお金は神主さんが手元に集めて神社の修繕費や管理費、神主さんの生活費などに充てられます。
神社を続けていくには、お賽銭がキモとなっているのですね。
お賽銭は神様に納めるのではなく、神社を運営している神主さんに納めるものだという考えも一部ではあるくらいです。
たまに賽銭泥棒も出没していますが、お賽銭を勝手に盗み出すのは神社の運営にも関わる非常に悪質な犯罪になります。
神様が住む神社という場所を続けてくれている神主さんに感謝しつつ、毎回のお詣りでお賽銭を投げていきましょう。
お賽銭箱の構造について
お賽銭箱は多くの人たちが投げたお金を受け止める箱であり、非常に丈夫なイメージがあります。
お賽銭箱の具体的な構造はどのようになっているのか、素材は何で作られているのかなどを見ていきましょう。
①構造とは?
お賽銭箱の構造は長方形の箱型で、上の部分にハシゴのように柵がついています。
手を伸ばしてもお金が取られないように、お金を取る際は引き出し式で開けるようになっているのが特徴です。
引き出しには鍵がついており、金銭管理がきちんとできるよう金庫のような扱いになっています。
お正月は非常に多くの参拝客が訪れるため、お賽銭箱も特大のものに変わっていることが多いです。
②何の素材でできている?
圧倒的に木製が多いのですが、賽銭泥棒対策として金属製のお賽銭箱を置いている神社もあります。
金属製のお賽銭箱は重量もあるため、簡単には運び出せなくなっているのです。
③進化系お賽銭箱とは?
お賽銭箱には通常硬貨を投げ入れるのですが、実は現代ならではの進化系お賽銭箱が一部の神社で登場しています。
なんと、電子マネーをかざしてキャッシュレスでお賽銭ができるというもの。
白木の箱には電子マネーの支払い端末がおいてあり、かざすと納められます。
まとめ
お賽銭の意味や由来について、縁起の良い金額やお賽銭箱の構造などを詳しくご紹介してきました。
お賽銭の意味は「神様や仏様にお願いを叶えてもらえたお礼」で、もともと米や価値のあるものを神様に奉納していたことが由来です。
縁起の良い金額の多くは5円玉で構成されているので、語呂合わせなどを考えて準備してみてください。
逆に10円玉や500円玉は縁起が悪いので、要注意です。
投げ入れる硬貨はお清めをするとご利益がアップして、よりおすすめです。
お賽銭箱の中に入れられたお金は、主に神社の運営に使われます。
お賽銭箱は日々進化しており、中には電子マネーの支払いが可能なものもあるくらいです。
ぜひお賽銭の本当の意味を理解して、心を込めて感謝しながらお願い事をしたいですね。