還暦を迎える家族がいる家庭では、「お祝いはした方が良いの?」「どうやって祝えば良いの?」と、還暦祝いについて悩むことがあるでしょう。
祝いたい気持ちはあるけれど、具体的にどんなことを祝い、どんな方法で祝えば良いのかが分からないという人も居るかもしれません。
ここでは、そんな悩みにお答えするために、還暦とは何か、還暦の祝い方についてを中心にご紹介します。
還暦とは何?由来は?
還暦とは、60歳の誕生日を迎える年のことを指します。
数え年で言えば61歳になります。
還暦は、本卦還り(ほんけがえり)とも呼ばれ、60種類ある干支が一巡して誕生した年の干支に還ることを言われます。
干支と言うのは本来、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥という十二支と、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の十干の組み合わせであり、60パターンあるのです。
還暦の還は、かえる・戻るという意味があり、歴は干支を指します。
一昔前では、60歳定年が一般的で、60歳を期に第一線からは退くのが一般的でしたが、近年では定年を65歳、70歳と引き延ばしている会社も多く、医療の進歩や社会の変化により活躍し続ける人が増えてきました。
また、現在では、二十歳の会(旧:成人式)と同じ様に還暦式を行う自治体もあります。
日本の長寿祝いは、60歳の還暦から始まり、70歳の古希、77歳の喜寿、80歳の傘寿、88歳の米寿、90歳の卒寿、99歳の白寿、100歳の紀寿と続きます。
赤いちゃんちゃんこを着る意味は?
一般的に、還暦というと赤いちゃんちゃんこを思い浮かべる人も多いと思います。
日本では還暦祝いに赤いちゃんちゃんこを身に付け赤い頭巾を被るというのが習わしのようになっています。
では、なぜ赤いちゃんちゃんこを着るようになったのでしょうか?日本では古来から、産まれたばかりの赤ちゃんに赤い産着を着せ、魔除けとしていました。
干支が一周してまた更なる人生を生きるために生まれ変る変わるという門出の60歳に、また赤い衣装を着て魔除けをするという意味が込められています。
しかし、近年では、還暦祝いとして赤いちゃんちゃんこを贈ってもあまり実用的ではないと感じる人も多く、赤いちゃんちゃんこや頭巾はレンタルを利用し、お祝いの席だけの着用で済ませる場合がほとんどです。
その代わりに赤いTシャツ、ワインレッドやエンジ色のベストやカーディガン、赤い下着など実生活でも使いやすいものを贈る場合が増えてきました。
赤色をモチーフとしたオシャレな贈り物を選んでも良いでしょう。
赤いものを身に付ける意味を知らない人にとっては、不思議に思われるかもしれませんが、意味を知ると是非贈りたい・使いたいと感じるでしょう。
どんなお祝いをするの?やり方は?
では、還暦祝いではどのようなお祝いをするのでしょうか?多くの場合が、家族で集まって食事などを楽しみます。
自宅で少し豪華な祝膳を設けても良いですし、近くの料亭やレストラン、ホテルなどで個室を貸し切りコース料理などの食事を楽しむ家庭もあります。
特にこれをしなくてはならないという決まりはありません。
お祝いのやり方は、家庭によりさまざまです。
これまでの慰労も兼ねて、温泉宿などに家族旅行へ出かけることも有ります。
60歳とは言え、まだまだ元気に動けるため、少し遠くまで旅行に行くという人も増えてきました。
旅行会社でも、還暦パックなど国内外での家族旅行をお得に楽しめるプランを用意している場合があります。
また、会社の福利厚生で60歳の時に勤続手当としてお金や旅行券を配るところもあります。
会社の保養所などを優先的に予約でき、そこへ家族旅行に行くという人も多いのです。
勿論、夫婦2人だけで旅行に行く家庭もたくさんあります。
家族で集まって食事をする際には、還暦を迎える主役が赤いちゃんちゃんこや頭巾を被り全員で記念撮影をしたり、お祝いや感謝の言葉を伝えたり、楽しくゆったりと過ごすと良いでしょう。
尚、還暦の食べ物には決まりはありません。
好物や体調を考慮した食事やお酒を用意すれば良いのです。
迷った時は、旬の食材をふんだんに使うと美味しくて身体にも良いため、そういった祝膳を準備すると良いでしょう。
お祝いの席には誰を招くべき?
還暦のお祝いには、親しい人を招くのが一般的です。
大切な家族だけで祝う人が多く、あまり他人は招かない傾向にあります。
家族で気を遣わずにゆっくり祝うのが定番ですが、60歳となると子供や孫が遠方に住んでいる家庭も多く、家族全員が顔を合わせる機会も減っている場合もあります。
しかし、還暦祝いでは、皆が集まり久しぶりに家族全員が顔を揃える良い機会にもなります。
住む場所や仕事内容により、なかなかスケジュール調節が難しい場合がありますので、還暦祝いの予定は早めに立てておくのが安心です。
ゴールデンウィークやお盆時期、シルバーウィークや年末年始のように集まりやすい時期に合わせて還暦祝いを行っても良いでしょう。
還暦を迎える主役の親や兄弟姉妹が近くに住んでいる場合、その家族も一緒に還暦祝いの祝膳を囲むことがあります。
気遣って声を掛けなかった場合、後々わだかまりを残してしまう可能性がありますので、「恐らく参加しないだろうな」と分かっていても念の為、声は掛けるようにしましょう。
一方、会社の上司などを祝う場合には、なるべく大勢で祝うと豪華な感じが演出できますし、1人当たりの負担も少なく済みます。
会社の慰安旅行や忘年会・新年会といった大勢が集まる時期を有効に利用して、還暦祝いも併せて行うところがあります。
お祝いのお返しはどうしたら良いの?
還暦のお祝いは、食事会を開きおもてなしをすることがお返しとなるため、基本的に内祝いのお返しは不要とされてきました。
通常の食卓で誕生日祝いを兼ねて還暦をお祝いするというだけであれば、特別なお返しは不要です。
しかし、近年ではレストランや料亭、ホテルなどで家族が集まり豪華なお祝いをする家庭も増えました。
わざわざ場所を選んで還暦祝いをし、プレゼントも貰ったという場合には、しっかりお礼返しをしておきたいところです。
還暦祝い出席者には、引き出物として当日に内祝いを渡すようにします。
もしも、出席できない遠方の親族にお祝いを貰った時は、郵送で内祝いを送りましょう。
郵送で内祝いを贈る際は、頂いたお祝いの半返しを目安にします。
タオルセットや菓子折りなど、相手の家族構成を考え選びます。
なるべく日持ちのするものであれば相手も困りません。
お礼状と合わせて送るようにすると感謝の気持ちがより伝わります。
会社で還暦祝いをしてもらった場合は、後日、皆でつまめる菓子折りを持参しましょう。
還暦祝いの記念品は何をプレゼントすべき?
還暦祝いの記念品やプレゼントは何を贈れば良いのでしょうか。
60歳となると既に欲しい物は自分自身で手に入れられますし、仕事や社会生活で使用する物は、もう新調する必要性が減ってきます。
そう考えると贈り物を選ぶのに迷ってしまいますが、そんな時は発想を変え、「思い出を贈る」というということに注目してみてはどうでしょうか。
例えば、夫婦旅行をプレゼントしたり、孫一同からの唄やメッセージカードなども人気です。
撮影した写真を部屋に飾れるようにオシャレな加工をして渡せば、それを見る度に「楽しかった」という思い出が浮かびます。
サプライズパーティのようにしても印象深くなり良いかもしれません。
また、赤いちゃんちゃんこや頭巾の代わりに、赤モチーフのファッションアイテムをプレゼントしても喜ばれます。
職場によっては上司の還暦をお祝いするという場合もあるでしょう。
そんな時も赤を使ったアイテムをプレゼントすると喜ばれます。
還暦祝いの贈り方
還暦祝いとして現金や金券などを贈る場合は、紅白水引で蝶結びのものを使用します。
長寿祝いでは、どのお祝いでも基本的に紅白蝶結びののし袋を使用します。
還暦祝いの場合、表書きは、「祝還暦」「還暦御祝い」などと書き、氏名を濃い墨でしっかり書きます。
もしも、連名で贈る場合は、「家族一同」「兄弟一同」「孫一同」などとしても構いません。
気楽な仲なのであれば「可愛い娘達より」など、少し茶目っ気を出してみても良いかもしれません。
還暦祝いは親孝行をするチャンス
還暦である60歳は、今まで社会生活を送ってきて当たり前のようにしてきた日常の生活を見つめ直し、健康や長寿を意識した生活にシフトチェンジしていく良い機会です。
還暦を迎える人の中には、子供や孫がいる人も多く、還暦祝いで改めて「自分の育てた子が、こんなに大きくなったのだ」と実感する機会でもあります。
育ててくれたことに感謝をし、これからは自分のために生きて欲しい、これからも元気でいて欲しいという思いを伝える場でもあります。
子供や孫が主体となりパーティーを企画すると喜びもひとしおです。
いつもはなかなかできない親孝行を、長寿祝いの機会に実行してみてはいかがでしょうか。
海外での還暦祝い
還暦祝いは日本だけで行われている訳ではありません。
お隣の中国では、古くから還暦のお祝いを行っており、日本へ飛鳥時代に伝わったとも言われています。
中国の還暦祝いは、家族一同が集合し、紅包という袋にお金を入れ本人に渡します。
日本の様に家族と祝うのです。
勿論、西洋にも還暦祝いという文化はあります。
例えば、アメリカでは60歳の還暦をダイヤモンド記念日として、記念品としてダイヤモンドを贈る風習があります。
パーティーも盛大に行われます。
また、ドイツでは還暦祝いを盛大に祝うダンスパーティーが行われます。
ドイツ人は元々パーティー好きですので、夜通しパーティーをするという家庭も多い様です。
イギリスでは、50歳から10年毎に長寿のお祝いを行います。
カンボジアでも60歳の年にお坊さんを呼び盛大に祝います。
その他にも、オランダでは50歳と80歳、タイでは72歳など、国によって祝う年齢が異なる場合もありますが、長寿祝いは広く一般的に行われています。
まとめ
還暦は、60種類ある干支が一周したことを記念し、それを機に生まれ変り、更なる人生を歩むための大切な節目となります。
以前は、60歳定年としている企業も多く、還暦の節目で社会人生活から退くことが一般的でしたが、現代の60歳はまだまだ若く、定年制度も65歳、70歳と徐々に伸びつつあります。
そのため、還暦を老人扱いしてしまうと、当人は気を悪くする可能性があるため、注意が必要です。
近年では「今までお疲れさま、これからも身体に気を付けて頑張って」というスタンスで祝うのが一般的です。
還暦は、人生の節目であるため、いつもとは違う誕生日祝いをしましょう。
決して豪華でなくても、心がこもったお祝いになれば良いのです。
還暦は一度しかない長寿のお祝いですので、大切な人と楽しい時間を過ごせるようにしましょう。