冠婚葬祭のマナーで欠かせないのが袱紗です。
袱紗という名前はよく見聞きしていても、実際はどんなものなのか、どんな目的があるのか、どの場面でどんなものを使用するのか、をよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
よく知らずに使用して恥をかくのは避けたいものです。
ここでは、そんな袱紗について詳しくご紹介します。
袱紗とは?
袱紗とは、贈り物を包むために使用される裏地付きの布のことを指します。
絹で作られていることが多く、色柄もさまざまなものがあり、用途により変える必要があります。
袱紗は元来、貴重品を収蔵した箱に掛けられていた風呂敷で、貴重品や贈答品を持ち運びする際に汚れを防ぐ目的で使われていました。
現在でも、袱紗は金品を贈る際に包んで持ち運べるようになっていますが、ご祝儀袋の美しい水引が汚れたり崩れたりしないようにする目的もあります。
ご祝儀には、赤などのきらびやかな色やデザインの袱紗を用いて喜びを表し、不祝儀にはシックな緑や紫色などの袱紗を用いて悲しみを表わしています。
袱紗は、絹やちりめんで作られたもので、風呂敷よりも小さいのが特徴です。
紫色のものは慶弔時兼用で使用できます。
四方に亀房の付いたものが多く、広蓋(ひろぶた)と呼ばれる黒塗りの盆と合わせるのが一般的です。
袱紗は持ち運ぶことが多いため、現代ではより快適に使用するためにさまざまな種類のものがあります。
また、袱紗や帛紗は茶の湯で使用されることもあります。
茶道具を拭いたり、お盆や茶托の代わりに敷いたりするのに使います。
茶道に利用するものは、27センチ×29センチくらいのサイズです。
袱紗の読み方
袱紗は「ふくさ」と読みます。
袱紗よりサイズの小さいものは「帛紗」と書かれますが、これも読み方は同じ「ふくさ」です。
基本的にはどちらも同じものを指しますので、表記の際には注意が必要です。
袱紗の主な用途と色柄
袱紗の用途は進物を包んだり、上に掛けたりとさまざまですが、近年ではもっぱら結婚式のご祝儀や葬儀・法要の際に香典を包むのに使用されています。
袱紗で包むことで、渡す相手への敬意を表しているのです。
御祝い事に使う袱紗は、暖色の華やかなものを選びます。
赤やピンク、金、オレンジ、えんじなどの色が好ましいでしょう。
柄は入っていないものもありますが、鶴亀、松竹梅、扇など、めでたい柄の入っている物を使用しても構いません。
近年ではリボンやレースがあしらわれた珍しい袱紗もありますが、慶事にはそういったものを使用してもよいでしょう。
お悔やみの際や法要には、寒色のシックなものを選びます。
グレーや紺、緑などが好ましいといえます。
御祝い事にもお悔やみにも使用できる兼用色は、濃い紫色です。
一枚持っていると使い勝手が良いので、紫色を選ぶ人も多いようです。
しかし、薄紫や藤色は御祝い用ですので、使用する際には注意が必要です。
袱紗の種類と基礎知識
袱紗は前述の通り、サイズにより袱紗と帛紗に分かれますが、その中でもさまざまな種類があります。
袱紗は絹で作られている亀房付きの風呂敷に広蓋が合わせてあるものが正式なものです。
(あわせふくさ)と呼ばれるものは、裏地付きで作られており、品格が一番高いものです。
袱紗には掛け袱紗とよばれるものがあります。
それは広蓋や切手盆と同じ位のサイズの袱紗で、御祝いなどを渡す際に広蓋に乗せた金品の上に掛けて使用します。
もともとは家紋や寿の文字を入れてお嫁に行く際に持たせるのが一般的でしたが、あまり使用する機会がないことから、嫁入り道具として持たせない家庭も増えました。
帛紗は袱紗より小さく、小風呂敷や手帛紗ともいいます。
小風呂敷や手帛紗は祝儀などを持参する場合にちょっと包める正方形の布です。
裸で持っていくのは失礼に当たるような場合に手軽に包めて非常に便利なものです。
広蓋や切手盆(きってぼん)がないため、使い終わったら隙間にさっと収められるため、日常生活で一番使用するのがこの小風呂敷や手帛紗となるでしょう。
その他にも台付き帛紗や爪付き帛紗、簡易帛紗などがあり、簡易帛紗には挟み帛紗や金封帛紗があります。
台付き帛紗は、帛紗の真ん中に金封を乗せる台が付いていて、帛紗の中でよれたり型崩れするのを防いでくれます。
爪付き帛紗は、包んだ際に帛紗が開かないように引っ掛ける爪が付いているものです。
挟み帛紗や金封帛紗は財布のように作られていて、のし袋や香典袋がそのまま差し込めます。
包む手間が省けるため人気があります。
このように、帛紗にはたくさんの種類があるので、自分が一番利用しやすいものを持っておくと安心です。
袱紗の包み方
袱紗の包み方は、御祝い事やお見舞いの際と葬儀や法要の際とで少々異なります。
<御祝い事やお見舞いの際の包み方>
- 袱紗を広げます。自分から見てひし形になるよう、内側が上面になるように広げます。
- のし袋の表面を上に向け、中央よりやや左側に置きます。
- 向かって左側の角を内側に折り込みます。
- 次に上側の角を折り込みます。
- 続いて下側の角を折り込みます。
- 最後に向かって右側の角を折り込みます。余った部分は裏へ折り返します。
<葬儀や法要の際の包み方>お悔やみの際は、慶事の反対です。
- 袱紗を内側が上面になるよう、ひし形に広げます。
- のし袋の表面を上に向け、中央よりやや右側に置きます。
- 向かって右側の角を内側に折り込みます。
- 次に下側の角を折り込みます。
- 続いて上側の角を折り込みます。
- 最後に向かって左側の角を折り込みます。
余った部分は裏へ折り返します。
袱紗はハンカチで代用できる?
いざ袱紗を使おうとした時に「手元にない!どこにしまったか分からない!」という場合もあるかもしれません。
そんな時、小さな風呂敷もなかったらハンカチで代用できます。
しかし、ハンカチには色や柄があるため、どういったものを選べば良いのか分からないでしょう。
どんなものなら代用できるのでしょうか?
結婚式などの慶事では、白いハンカチや袱紗と同じようにめでたい色味や柄であれば使用できます。
しかし、キャラクターが大きくプリントされたものや非常にポップな色柄は避けた方が良さそうです。
また、生地は綿素材のもので、きれいにアイロンがけをしておくと安心です。
タオル地のものはカジュアル過ぎますし、シワシワのハンカチでは渡す際に目に付き失礼にあたります。
また、御祝いの際に弔事を連想させる蓮や菊の花柄は避けた方が無難です。
弔事の際は、シンプルなグレーや黒などのハンカチで代用できます。
しかし、ハンカチを使用するのはあくまで緊急時です。
事前に用意ができる場合は、あらかじめ忘れずに用意しておくようにしましょう。
近年では可愛い袱紗がブーム
近年では、かわいいオシャレなデザインの袱紗が増えています。
そのため、オシャレな女性の中には冠婚葬祭だけでなく、日常でも袱紗を積極的に取り入れて使用している人もいます。
アクセサリーを入れて汚れや傷から守ったり、デジタルカメラやスマートフォンの充電器などをひとまとめに入れるために使用したり、母子手帳ケースとして使用している人もいるのです。
気に入った生地で袱紗を作るという女性もいます。
金封帛紗などは布地を切って縫うだけで簡単に作れますので、作ってみてもよいかもしれません。
自分の気に入ったすてきな色柄の袱紗を慶事の際だけに使用するのはもったいないので、いろいろなシーンで登場させるとよいでしょう。
外国人のお土産にも人気
風呂敷や袱紗は外国人にも人気の品物です。
そのため、海外に住む友人へのプレゼントやお土産にするのも喜ばれます。
最近では、海外からの観光客にも人気があり、美しい刺繍などが施されたものも多く販売されています。
特に金封帛紗などは、財布のようにいろいろ入れられて重宝します。
風呂敷は持っていても、袱紗は持っていないという人も多く、プレゼントにする際は名入れをしたものを贈ると、さらに喜ばれます。
まとめ
袱紗は昔から進物に掛けられ、汚れや日焼けをしないようにという目的で使われていました。
袱紗を掛けたり包んだりすることで、「この金品を大切に扱っている」ということが分かり、渡す相手に敬意を払っているのが伝わります。
袱紗にはさまざまな種類があり、明るい華やかな物は慶事用、暗くシンプルなものは弔事用となっています。
暗い紫色のみが慶弔兼用ですので、紫色を一枚用意しておくと安心です。
近頃では美しい装飾が施された慶事用の金封帛紗もありますので、自分好みのものを持ってもよいかもしれませんね。