お葬式と聞くと、通夜や告別式を思い浮かべるでしょう。
一般的に遺族以外が参列するのは、通夜と告別式の場合がほとんどです。
ですが、通夜はどのようなものなのかを具体的に知らないという人も多いのではないでしょうか。
ここでは、通夜についてを詳しくご紹介します。
通夜とは一体どんなもの?
通夜(お通夜)とは、葬儀の前に行われる儀式のことを言います。
お通夜と聞くと、仏教での儀式のように感じられるかもしれませんが、キリスト教や神道でも通夜の儀式は行われます。
通夜という儀式は元々、お釈迦様が入滅した後、弟子が遺体を囲みながら7日間もの間釈迦の説法を話し合い死を悼んだという故事に基づいています。
日本における通夜とは、親族など近親者が故人を夜通し見守ることを言います。
夜を通して見守る事から通夜という名前が付いたのです。
しかし、近年では一晩中ロウソクや線香の火を灯していることが危険という、消防からの指導などで、夜通し見守るということは減ってきました。
そのため、現在では、二時間程度の半通夜という儀式が一般化しています。
また、火葬まで時間が掛かる場合には、仮通夜と本通夜というものを設け、仮通夜は親族だけ、本通夜は一般弔問客を招くという方法で、何日かに分けた儀式をすることもあります。
通夜の晩、火を灯すの意味は?
お通夜では、ロウソクや線香の火を絶やしてはならないという言い伝えが良く聞かれます。
通夜で火を絶やしてはならない意味があるのでしょうか?通夜の線香や火を絶やさない意味には諸説あります。
故人が寂しさを感じないようにするという説、安らかに成仏できるように冥土までの道筋を照らすという説、誰かを道連れにされないようにする魔除け説、通夜の場を線香の煙やロウソクの炎で清める説、野犬や野獣が遺体の臭いを嗅ぎ付けて襲って来ないよう、線香で臭いを消しロウソクの火で追い払うという説などです。
さまざまな説があり、通夜の夜は夜通し番をするということがありました。
しかし、近年では寝ずの番をする遺族が居ない、または負担が大きい、夜中火を扱うのは危ない、などの理由から夜通し火を灯すことは少なくなってきました。
また、比較的早く燃え尽きてしまう線香を絶やさないのは難しいため、長時間持つ渦巻き状の線香を使用することも増えてきました。
通夜の流れは?
一般的な通夜の流れは、僧侶の読経、その最中に、弔問客が焼香を行います。
読経が終わると、僧侶による法話などが行われ、閉式後に通夜ぶるまいが行われます。
通夜の席順は、棺に最も近い場所に喪主が座り、その隣に親族など近親者が着席します。
会場によっては、座る場所が異なる場合がありますので、事前に受付で確認をしてから着席すると安心です。
焼香の順も喪主や近親者から行います。
通夜の流れはおよそ決まっていて、参列者の人数や規模で変わりますが、2時間程度で終わるのが一般的です。
そこから、通夜ぶるまいが始まります。
また、通夜開始時間の30分前には受付をし、着席して開始を待つというのが一般的なマナーです。
通夜ぶるまいのマナーとメニュー
通夜ぶるまいは、故人と最後の食事をするという意味のある大切な時間です。
通夜ぶるまいの内容もさまざまで、喪主が駆け付けてくれた参列者のためを思い食事を用意するところもあれば、簡単にお茶や茶菓子だけを振る舞うところもあります。
食事の場合は、皆で取り分けができる大皿料理が主流です。
好きなだけ取り分けて食べるのですが、たくさん食べることはできません。
お腹が空いていても、少し口を付ける程度に留めておきましょう。
通夜ぶるまいは、故人の思い出をしめやかに語る供養の場です。
そのため、通夜ぶるまいはお断りをせずに参加し、少しだけ口を付けるようにしましょう。
また、通夜ぶるまいのメニューは、基本的に精進料理となっていて、肉や魚料理は出さないとされていましたが、近年では構わず出すところも増えてきました。
通夜の準備
通夜に参列する場合、準備しなくてはいけないことがあります。
まず、喪服(ブラックフォーマル)の着用が必要です。
通夜は略式喪服でも構わないとされている場合もありますが、事前に連絡が来て翌日以降に駆け付けるのであれば、喪服の着用をすべきです。
喪服は喪主よりも格の高いものを着るのはNGとなるため、和装の喪服はさけた方が良いでしょう。
次に、香典を用意します。
香典は故人との関係により金額が変わってきます。
新札は入れません。
表書きは「御霊前」が一般的で、薄墨で書きます。
仏式の通夜であれば、数珠も持参した方が良いですが、必ずしも必要ではないため、あれば持っていくようにします。
お悔やみの言葉も準備していきましょう。
まず受付でお悔やみの言葉を述べるのが一般的です。
飾った言葉でなくて構いません「この度は、まことにご愁傷さまでした」でも良いですが、「急な事で驚いております」など自分の気持ちをそのまま述べるだけでも良いのです。
仏式通夜の特徴
仏式通夜の流れは、前述の様に僧侶の読経、焼香または献花、法話が基本となります。
中でも、焼香は宗派により回数などが異なりますので注意が必要です。
浄土真宗は、おしいただかずに1~2回
浄土宗は1~3回、真言宗は3回、日蓮宗は1回か3回
曹洞宗は2回で一度目のみおしいただくという形になっています。
おしいただくというのは、抹香を親指・人差し指・中指の三本でつまみ、眉間にもっていくことを指します。
いただくと言いますが、間違えて口に入れる事のないようにしましょう。
また、立って行う焼香を立礼焼香、座って行う焼香を座礼焼香、焼香台をお盆で座席に回していくのが回し焼香といいます。
仏式通夜では、焼香の代わりに線香で行うところもありますが、その場合はロウソクで火を点け、手で仰いで炎を消し、線香を立てます。
息を吹きかけて消すのはマナー違反になりますので注意しましょう。
キリスト教式通夜の特徴
キリスト教のカトリックやプロテスタントでは、通夜の事を前夜式と呼ぶのが一般的です。
日本における前夜式の場合、仏式の様式になぞらえて行われることが多い様です。
仏式では僧侶による読経ですが、キリスト教の場合は、神父や牧師による聖書朗読や皆で歌う聖歌、賛美歌が中心となります。
キリスト教式の場合は、焼香や線香ではなく献花を行います。
1人一本を持ち、献花台に置く様にします。
通夜の後に通夜ぶるまいは行われません。
故人の遺族と神父や牧師だけでお茶を飲みながら次の予定を話し合う茶話会のようなものは行われます。
神道の通夜
神道では通夜とは言わず、通夜祭や遷霊祭(せんれいさい)と呼びます。
室内の照明を消した中で、神職が祝詞をあげ、参列者は玉串を持って拝礼します。
玉串の方法は献花のように一人ずつ置いていくのが基本です。
仏式のように数珠などは持ちません。
仏式通夜とは流れも方法も異なるため、はじめて神道の通夜に参列する場合は戸惑ってしまうかもしれません。
さまざまな通夜
日本国内でもさまざまな通夜の形式があります。
そもそも通夜というものを行わない地域もありますし、火葬の後に通夜や告別式を行う地域もあります。
また、告別式よりも通夜の方を盛大に行い、告別式は親族のみでこぢんまりと執り行うという地域もあります。
自分の地域の通夜が基準ではありませんので、不明点があれば必ず事前に確認するようにしましょう。
問い合わせは葬儀社へ
通夜の時間に遅れそうな時や、開催場所が分からない時など、通夜への参加の際に困ることが有るかもしれません、そんな時には開催する側へ確認をするのが一番ですが、遺族は非常に忙しくそれどころではありません。
そのため、連絡先が分かっていたとしても、遺族へ連絡するのは避けるべきです。
その代わり、葬儀社側へ連絡を入れると良いでしょう。
葬儀社でもきちんと把握しているため、伝えておけば遺族側へも伝わります。
また、仕事などで時間に遅れそうな場合でも、何時まで参列できるかなど、事細かに確認することもできます。
駆け付けたものの、参列できなかったのでは自分も遺族側もお互いに気まずい思いをしてしまいますので、事前に確認しておきましょう。
まとめ
通夜は元々遺体を囲み故人について語らうことを目的としていました。
現代では、故人との惜別の儀式の一つとして捉えられていて、近親者以外の人を広く招き、故人の死を悼み、通夜ぶるまいでしめやかに思い出を語るという形が一般的になっています。
仏教以外の宗派でも、通夜にあたる儀式は行われています。
しかし、その様式や方法は異なりますので注意が必要です。
不明点がある場合は、葬儀社へ事前に確認しておくと安心です。