近年、若い女性や外国人を中心に神社、仏閣ブームが起こっています。
それに伴い、結婚式でもチャペルを使う教会式ではなく、日本独自の神前式、仏前式を選択するカップルも増加傾向にあります。
神前式や仏前式では、普段見聞きすることの無い作法が多くあります。
中でも夫婦の契りを交わす「三三九度」という儀式は多くの式で行われています。
しかし、三三九度と聞いても、どんなことをするのか?いまいちピンとこない人もいるのではないでしょうか。
ここでは、そんな三三九度について詳しくご紹介します。
三三九度とは何?
三三九度とは、三献の儀とも呼ばれ、結婚式で行われる儀式のひとつです。
男女が同じ盃に注がれた酒を飲み交わし、夫婦になることを参列者に認識してもらう儀式です。
それと共に両家の魂の共有や結び付きをはかる儀式でもあります。
三三九度は主に神前式や仏前式、和の人前式などで、大小三つ重ねになった盃を用いて行われています。
夫婦間で婚姻の契りとして行われるのが一般的ですが、地域によっては親や親族間で盃を交わす親子盃などを三三九度と呼ぶ場合もあります。
また、三三九度は夫婦盃、逢い盃、結び盃、こんこん盃、固めの盃などと呼ばれることもあります。
結婚式では、夫婦二人の仲を裂くという意味合いの割り切れる数字(偶数)は縁起が悪いとされています。
しかし、この三三九度は全て縁起の良い割り切れない数字(奇数)で成り立っていて非常に縁起が良い儀であると言えます。
三三九度にはどんな意味が込められているの?
古来より三は目出度い数字であり、九は最も目出度い数字でした。
吉数の三を重ね九になるという非常に目出度い意味が込められています。
三三九度に使われる盃は、大中小がワンセットになっており、3つの盃は、それぞれ天・地・人を表わしています。
1つの盃が一巡することを一献と呼び、3つの盃が一巡することを三献といいます。
これを三回繰り返すため三三九度という呼び名になりました。
三つの盃ですが、これにもそれぞれ意味があり、大きな盃は未来を表わし子孫繁栄への願い、中くらいの盃は現在を表わし夫婦2人の誓い、小さな盃は過去を表わし先祖への感謝が込められています。
三三九度に使われるお酒は本物のお神酒である場合が多く、魔除けや2人の繁栄の願いが込められています。
お神酒を三回に分けて飲むことにも意味があり、一度目は神に、二度目は家族に、三度目は参列者に対しての感謝や誓いが込められています。
三三九度の詳しいやり方は?
最初に神官が夫となる男性(新郎)に小さな盃を渡します。
そこに巫女または雄蝶雌蝶がお銚子を三度傾けます。
一度目と二度目は注ぐ真似をし、三度目にお酒を注ぎ入れます。
次に新郎が注がれた酒を飲みます。
この時、一度目二度目は盃に口を付け飲む真似をするだけで、三度目のみ酒を飲みます。
新郎が飲み終わると次は女性(新婦)の番です。
新郎から小さい盃を受け取り、酒を注いでもらい二度飲む真似をし、三度目に飲み干します。
飲み終わったら更に新郎に戻します。
この手順を中くらいの盃でも行うのですが、中くらいの盃の時は新婦から新郎、再度新婦の順番に変わります。
そして、最後の大きな盃を新郎から新婦、再度新郎の順で飲みます。
小さな盃:男性→女性→男性中くらいの盃:女性→男性→女性大きな盃:男性→女性→男性夫婦で合計九回酒を飲むのですが、一度目と二度目は飲む真似をするだけですので、そこまで大変な事ではありません。
一般的には三回目で飲み干すようにするのですが、注がれた量が多く飲めない場合は、少し口を付けるだけでも問題ありません。
また、神社によって手順や回数が異なる場合がありますので、事前に確認しておくと安心です。
三三九度を綺麗に見せるためには?
和装での三三九度は非常に美しく、写真や動画の撮影にも力が入るところです。
しかし、美しく見せるためにはきちんとポイントを押さえておかなくてはなりません。
まず、猫背にならないように気を付けましょう。
白無垢や色打掛は想像以上に重く、特に背が低く腕が短めな女性が着ると非常に腕が上がり辛くなります。
そのため、盃を手にした時、猫背になってしまったり首が前に折れてしまったりすることがあります。
首を前に突き出したような姿はとてもみっともなく見えますので、口を盃に近付けるのではなく、背筋を伸ばし手を口に近づけるようにしましょう。
可能であれば、前撮り写真などの際に動作を確認し、介添人さん等と対策をしておくと安心です。
手は指を揃えて盃をしっかり持つようにします。
しっかり持とうとして盃を囲うように持ってしまうと盃が口元まで運べません。
手前を親指で隠さないよう盃の下を持ち上げるようにすると綺麗
盃を持つ際、男性は脇を開けて盃を持ちますが、女性は脇を締めて持つようにします。
緊張の中、飲みなれないお神酒を勢い良く飲むと思わずむせてしまう場合があります。
そのため飲む量は自分で加減するようにしましょう。
結婚式に三三九度はつきもの?
結婚式には必ず三三九度が必要なの?と不安に感じる方もいるかも知れません。
しかし、三三九度が行われるのは神前式や仏前式、和の人前式がほとんどです。
教会式を選択した方は、ウェディングドレスを身に纏い、チャペルで誓いのキスを行うのが一般的です。
稀に人前式でチャペルを使用し三三九度を行うカップルもいます。
洋風なチャペルの中で和装を身に纏い三三九度を行うのですが、思いの外馴染んで良い式になることも多いものです。
まずは、自分たちがどんな式にしたいかという明確なヴィジョンを持って計画することが大切です。
雄蝶雌蝶とは?誰が務めるの?
人前式で三三九度を執り行う際に、新郎新婦にお酌をする子供達の事を雄蝶雌蝶(男蝶女蝶)と呼びます。
雄蝶雌蝶は身内で10歳位までの子供が男女対になり行うのが古くからのやり方ですが、現代では子供が少なくなり、丁度良い年頃の子供で男女となると協力が難しい場合があります。
そんな時は、男同士でも女同士でも構いませんし、友人知人の兄弟姉妹にお願いしても構いません。
また、10歳を過ぎても小学生くらいの子供であれば十分に役目を果たせます。
あまり小さすぎると緊張感で泣き出してしまうなどトラブルが起こりがちになりますので、5歳くらいからの子供にお願いすると良いでしょう。
昔から雄蝶雌蝶として子供達が手伝いをすることで冠婚葬祭の作法や礼法を学んでいきました。
子供にとっても良い経験になります。
尚、人前式では雄蝶雌蝶が行いますが、神前式や仏前式では巫女さんが行うのが一般的です。
結婚式に三三九度と併せて行われる儀
人前式の場合、三三九度と共に取り入れられるのが水合わせの儀や貝合わせの儀です。
貝合わせの儀は、二つで一対になるハマグリで作られたキットを使い夫婦の誓いの場面で使用します。
ハマグリの貝殻は、対になっているもの以外とぴったり合うことはありません。そのため、結婚相手が唯一無二という意味が込められています。
使用したハマグリは、箱に入れられひな祭りの飾りに使用されることが一般的です。
水合わせの儀は、新郎新婦がお互いの実家より水を汲んで持ち寄り、それを一つの杯に注ぎ合わせ、その水を飲む儀式です。
違う土地や環境で育ってきた二人が新たに一つの家庭を築いていけるようにと願いを込めた儀式です。
水合わせの儀は和装ではもちろんのこと、洋装でも違和感なく行えるため結婚披露宴の余興演出の一つとして行われることもあります。
教会式のため三三九度はできなくても水合わせの儀は行うという人も多いのです。
また、水合わせの儀はアレンジすることで参列者の方々にも楽しんでもらえるものになります。
例えば、両家の地元特産のフルーツジュースを持ち寄り、ミックスジュースを作り披露宴で振る舞ったり、キャンドルサービスの代わりにお互いの地元特産のサイダーを持ち寄り、各テーブルに据え置かれたフルーツの中に注ぎフルーツポンチを作ったり、持ち寄った水を炊飯器に注ぎ、披露宴の終盤に出るご飯を炊いたりとさまざまな楽しみ方を考えることができます。
まとめ
三三九度の儀など、あまり馴染みの無い作法の多い神前式や仏前式、和の挙式は堅苦しいイメージがあります。
しかし、儀式の意味を知ると、とても素敵なものだということが分かります。
三三九度は日本でしか行われていない伝統的な儀式です。
和の心を大切にしたいカップルにはぴったりの挙式になるでしょう。
また、神前式や仏前式では三三九度が一番の見どころとなり、注目も集まります。
新婦は言うまでもなくその日に一番美しい存在ですが、更に美しく見えるよう所作を事前に学んでおくとよいでしょう。