お彼岸のお供え物として定番の「ぼた餅」。
似たような食べもので「おはぎ」があります。
この2つ、どこが違うのかわかりますか?見た目や味はほとんど変わらないようですが、名前が違うということは何かが違うんでしょうか。
ぼた餅とおはぎの違いは何か、名前の由来やお彼岸にお供えする理由など紹介します。
ぼた餅とおはぎの名前の由来は?
ぼた餅は春のお彼岸でお供えする食べ物です。
漢字で書くと「牡丹餅」となります。
小豆と春に咲く牡丹の花が似ていることが名前の由来です。
秋のお彼岸でお供えするのはおはぎです。
秋の七草の1つでもある、「萩」が名前の由来といわれています。
萩の花びらの形が小豆と似ているため、はじめは「萩餅」と呼ばれていました。
それが丁寧に「おはぎもち」になり、現在の「おはぎ」という名前になったといわれています。
あんこの種類で呼び名が変わる?ぼた餅とおはぎの違い
ぼた餅とおはぎはどちらももち米とあんこで作られる和菓子です。
基本的に同じ食べ物なのですが、お供えする季節によって呼び名が違います。
春はぼた餅、秋はおはぎです。
1番の違いはあんこの種類です。
こしあんが使われているのが春の「ぼた餅」、つぶあんが使われているのが秋の「おはぎ」です。
あんこの種類が違うのは、小豆の収穫時期と関係があるといわれています。
小豆の収穫時期は9月~11月頃の秋です。
秋のお彼岸のときは収穫したての小豆を使うことができます。
収穫したばかりの小豆は皮もやわらかいため、粒あんとして使います。
春まで保存しておいた小豆は皮が固くなってしまいます。
そこで、春のお彼岸のときにはこしあんを使うのです。
地域によって、ぼた餅とおはぎの区別の仕方が違うこともあります。
大きさによって呼び方を分けている地域もあるのです。
名前の由来になっている花の大きさが関係しています。
牡丹の花のように大きいものがぼた餅、萩の花のように小さいものがおはぎです。
そのほかにも呼び分け方はたくさんあります。
もち米で作ったものをぼた餅、うるち米で作ったものをおはぎと呼んだり、小豆のあんこで作ったものをぼた餅、きなこを使って作ったものをおはぎと呼ぶこともあります。
米粒を残さず餅のような状態にしたものをぼた餅、少し米粒を残した状態にしたものをおはぎと呼んだりもします。
呼び分け方は地域や販売店などによって異なるので、全国共通というわけではありません。
作り方は?
もち米は炊飯器で、あんこは市販のものを使うと、簡単に作ることができます。
《材料》
もち米:1、5号
水:270ml
あんこ:300g
塩:少々
- もち米を洗って炊飯器に入れ、水を入れて30分おいてから炊飯します。
- 炊き上がったら10分くらい蒸らし、塩を少々加えます。
- すりこぎを使って少しもち米の粒が残るくらいにします。
このときすりこぎは水でぬらして使います。 - もち米をいくつかに分けて丸め、それをあんこで包んで完成です。
あんこは小豆から作りたいという人のために、あんこの作り方も紹介します。
《材料》
小豆:250g
砂糖:300g
塩:少々
- 小豆を洗い、たっぷりの水といっしょに鍋に入れて中火にかけます。
- 沸騰したら、小豆の量の1/2くらいの水を加えます。
それが沸騰したら再び水を加えます。
3度目の沸騰で小豆をざるにあげ、軽く水で洗って鍋に戻します。
水を2回加えるのは、小豆に含まれるタンニンなどを流し、あんこを風味よく仕上げるためです。 - 小豆の量の3倍の水を加え、中火にかけます。
沸騰したら弱火にし、30分~40分煮ます。 - アクを取ります。
- 簡単につぶせるくらい小豆がやわらかくなったら、火を止めて、ふたをしたまま15分蒸らします。
鍋の水がなくなりそうなのにまだ小豆が硬いときは、水を加えてやわらかくなるまで煮続けてください。 - 鍋に砂糖を加えて弱火にかけ、ヘラなどでかき混ぜながら15分ほど煮ます。
砂糖が焦げないように気をつけましょう。 - 砂糖がとけたら塩を加えます。
塩を入れるとさらに焦げやすくなるので、かき混ぜながら5分ほど煮ます。 - あんこの硬さを調節して完成です。
お湯や水を入れたり、鍋に水がたくさん残っている場合は煮詰めます。
あんこは冷めると固くなるので、少しやわらかいかな?と思うくらいにしておくといいかもしれません。
お彼岸にお供えするのはなぜ?
ぼた餅やおはぎはなぜお彼岸にお供えするのでしょうか?
今は病気になっても病院や薬がありますし、食べ物も簡単に手に入れることができます。
しかし昔は、病気にかかると今よりは命にかかわることも多かったでしょう。
また、天気が良くなければ作物が育たず、食べ物を手に入れることができませんでした。 生きるということがとても大変なことだったのです。
今でもよく食べられている小豆は、縄文時代から食べられており、重宝されていた食材だったということがわかっています。
また、小豆の赤い色には魔除けの力があるとされ、儀式で祈願する際に捧げたり、食べてゲンをかついだりしていたそうです。
そのため、現在ではお彼岸のお墓参りのときに、先祖のおかげで今の自分たちがあるという感謝の気持ちと、家族が健康でいられるようにと願いをこめ、小豆を使ったぼた餅やおはぎをお供えしています。
もち米とあんこを合わせて作ることから、先祖と心を合わせるという意味もあります。
お彼岸のマナーは?
お彼岸は、春と秋の2回あります。
それぞれ7日間あり、春分の日・秋分の日を中日とした前後3日間がお彼岸とされています。
先祖や故人の供養のため、法要やお墓参りを行います。
お彼岸に他のお家を訪ねるときは、お供え物を持っていくのがマナーの1つです。
この品物でなければいけないという決まりはないので、自由に選びましょう。
一般的には、日持ちするものが喜ばれるでしょう。
お菓子は定番です。
ようかんやモナカ、まんじゅうなどの和菓子、小豆を使ったお菓子は選ばれることが多いお供え物です。
お彼岸の定番と思われるぼた餅やおはぎですが、鮮度が落ちやすく日持ちしないため、よそのお家のお供え物として持っていくのはあまりおすすめできません。
和菓子でなければいけないということもないので、ゼリーや缶ジュース、缶詰なども定番の商品です。
お彼岸の時期が近付くと、お店ではお彼岸用にさまざまな詰め合わせが販売されますので、その中から選ぶのもよいでしょう。
お彼岸のお供え物の金額は、3千円~5千円が相場です。
特にお世話になった方には、もう少し高額のものを贈ってもいいかもしれません。
お彼岸用のギフトセットであれば、予算の範囲内で探すことができ、失礼にもならないでしょう。
今はお店に直接買いに行かなくても、通販などで購入することができます。
お店に行く時間がない方や、買いに行くのが困難な方にもおすすめです。
また、お供え物として品物ではなく現金をお渡ししてもよいでしょう。
現金を供える場合も、品物と同様3千円~5千円が相場です。
現金だけではさみしいと感じるのであれば、お菓子やお花も一緒に供えたり、何かのギフトに少し現金を添えるという方法がおすすめです。
品物と現金を合わせて3千円~5千円に収まるようにしましょう。
あまり高額だと相手の負担になってしまいます。
お彼岸で現金を供えるときは、不祝儀袋に入れて持っていきます。
祝儀袋を使ってしまうと失礼にあたるので気をつけましょう。
のしにもマナーがあります。
お彼岸のお供え物には弔事用ののし紙を使いますが、地域によって異なる点もあります。
例えば、水引の色は関東と関西で違います。
関東では黒と白、黒と銀、双銀などの水引が使われることが一般的です。
一方関西では、黄色と白の水引が使われることも多いです。
相手の住んでいる地域に合わせて選びましょう。
形は、地域に関係なく「結びきり」のものを使います。
1度結んだら簡単にはほどけないことから、不幸を繰り返さないという意味がこめられています。
表書きは、上段の部分に「御供」または「お供え物」とするのが一般的です。
下段には名前をフルネームで入れます。
会社名を書く場合には、名前の右上に小さく書きます。
お彼岸にはお墓参りをするだけでなく、お寺で法要を行うこともあります。
お寺で行われている合同の法要に参加したり、個別に法要を依頼したりとさまざまです。
お寺で法要を行うときは、お礼として「お布施」を渡します。
金額はお寺によって異なりますが、合同の法要の場合は3千円~1万円が相場です。
個別に依頼したときは、3万円~5万円が相場です。
自宅で法要を行ってもらう場合、お車代を渡すこともあります。
距離によりますが、3千円~5千円を包むことが多いようです。
表書きは「お布施」と書くのが一般的です。
薄墨ではなく黒い墨で書きますが、何も書かずに渡しても問題ありません。
お布施を渡すときは直接手渡しせず、ふくさに包むか、小さなお盆などにのせて渡しましょう。
まとめ
お彼岸のお供え物として有名なぼた餅について紹介しました。
自分で小豆を買ってあんこを作る本格的なものから、市販のあんこを使って作る簡単なものやアレンジを加えたものなどさまざまです。
地域によっても異なる点はいろいろありますが、先祖への感謝の気持ちをこめてお供えするという点は全国共通ですよね。
興味がある方は、次のお彼岸のときにぼた餅やおはぎを作ってみてはいかがでしょうか。