寒い季節になると、お汁粉が食べたくなるという人も多いのではないでしょうか?温かくて甘い、ほっとする食べ物で、老若男女どの世代からも人気のある食べ物です。
でも、お汁粉って一体どういう食べものなのでしょうか。
ここでは、お汁粉がどんな食べ物なのか、中身はどんなものを入れるのか、作り方などを詳しくご紹介します。
お汁粉とはどんなもの?
お汁粉とは、砂糖で甘く煮た小豆などの中に白玉で作った団子や餅、栗の甘露煮などを入れた汁状の食べ物のことを言います。
「汁粉(しるこ)」「おしるこ」などと呼ばれています。
お汁粉は、かなり昔からあったとされていますが、一般社会に広まったのは、砂糖が潤沢に手に入るようになった江戸時代頃だと言われています。
江戸時代には、既に「すすりだんご」と呼ばれるものが存在し、もち米とうるち米で団子を作り、小豆の汁で煮込み、塩で味を付け、その上から砂糖を掛けた汁物として食べられていました。
元々は塩で味付けされたものであったため、当時は酒の肴として用いられることもありました。
お汁粉には意味がある?
お汁粉はなぜ食べられるようになったのでしょうか?室町時代の「尺素往来(せきそおうらい)」という書物には、新年にはぜんざいを食べ祝うという内容の文章が記されており、「節気の始めに邪気払いの意味を込め、小豆と餅を食べるということが福を呼ぶ」と考えられていました。
元々、小豆は祝膳に用いられている食べ物です。
無病息災を願い食べるのです。
また、鏡餅をお汁粉にして食べるというのは、神様のご利益を縁起良い食べ物と美味しくいただくためとされています。
そのため、お汁粉には一年の始まりを縁起が良いもので迎えたいという大切な意味が込められているのです。
お汁粉の具はどんなもの?
お汁粉の中に入れる具材は、白玉団子や焼いた餅、栗の甘露煮、蒸したアワなどが一般的ですが、その他にも地域ごとで様々な具材を入れることがあります。
かぼちゃ団子、よもぎ団子、紫芋団子、豆腐団子、ジャガイモ団子、トウモロコシ団子など、団子だけでも様々な種類があります。
その土地の名物を団子にして入れることが多いのです。
鏡開きをした鏡餅を入れるという家庭も多いものです。
また、お汁粉をの味付けも各家庭で様々です。
甘さが強めのものを好む家庭もあれば、あっさりと水気の強いものを好む家庭もあるためです。
お汁粉を一種のデザートと捉え、アレンジする家庭もあります。
温かいお汁粉に適量のバターを溶かすと美味しいといわれています、その他にも、バニラアイス、生クリーム、いちごなどの具材を用いることで、少し洋風なデザートのようになることもあります。
喫茶店などで出される際には、桜の塩漬けを乗せたり、塩こんぶや漬物を添えて出される場合もあります。
具材とは少々異なりますが、暑い時期には、氷を入れて冷やし汁粉とすることもあります。
お汁粉の作り方は?
お汁粉の作り方は、小豆から煮るもの、小豆の缶詰から煮るもの、既にできた餡子から作るものなど、様々な作り方があります。
一番手が掛かるのは、やはり小豆を豆から煮るタイプの作り方です。
ここでは、小豆から煮る5~6人分のお汁粉をご紹介します。
<準備するもの>
- 小豆 600g
- 砂糖 300g(好みにより少し減らしても増やしても良いです)
- 塩 一つまみ程度
- 水 好きな量
- お餅 好きな量
<作り方>
- 小豆は軽く水洗いをして鍋に入れ、小豆がしっかり浸かるくらいの水を入れて火にかけます。
- 沸騰してきたら一度差し水を行います。再沸騰したらザルに上げ、湯を捨てます。
- その後、再びたっぷり水を張った鍋で小豆を煮ます。
- 沸騰したらザルに上げ湯を捨てます。
- その後、もう一度たっぷりの水を入れた鍋で小豆を煮ます。
- アクを捨てながら柔らかくなるまで煮ます。
この時、水が少なくならないように注意します。
小豆が水から出ないようにしましょう。 - 小豆が柔らかくなったら、砂糖を半量入れます。
10分程煮たら、残りの砂糖を入れ、焦げ付かないようにかき混ぜながら煮ます。 - 隠し味に塩を一つまみ入れます。
- 煮汁が少なくなり、好みの固さになったら餡子の完成です。
1~2時間置いておくと味がなじむため、より美味しくいただけます。 - お餅を焼き、汁椀に入れた餡子の上に入れます。
- お汁粉の完成です。
お餅の他にも白玉や栗などを入れても美味しくいただけます。
お汁粉の種類は?
お汁粉といえども、その形状や作り方により様々な種類があります。
御前汁粉・・・一般的なこしあんを使って作られているものを指します。
田舎汁粉(小倉汁粉)・・・つぶしあんを使って作られているものを指します。
懐中汁粉・・・様々な形の最中のなかに、あられや粉末状のこしあんを入れてあるものを指します。
お湯を掛けると最中が溶けるため、それらを混ぜて食べます。
上記以外にも、缶入りのおしるこや、インスタントのものもあります。
缶入りのおしるこでは、餅などは入っていないのが一般的ですが、あっさりと飲める工夫がなされています。
お汁粉には、小豆以外にも白あん、かぼちゃ、くり、ずんだ(枝豆)、百合根など様々な食材で作られるものがあります。
日本各地で食べられるお汁粉
日本各地で食べられているお汁粉には、地域により特徴が見られる場合があります。
主なお汁粉には以下の様なものがあります。
山梨県・・・山梨では餅の代わりに「ほうとう」といううどんの一種を入れてある「小豆ぼうとう」が食べられています。
長野県・・・長野県の松本市辺りでは、餅の代わりにそばがきを入れてある「そばがき汁粉」が食べられています。
北海道、青森県・・・北海道の十勝地方や青森県では、餅の代わりにカボチャで作ったカボチャ団子を入れてある「カボチャ汁粉」が食べられています。
福井県・・・福井県内でも、かぼちゃ団子を入れた「冬至南瓜」という料理があります。
高知県・・・皿鉢料理としてぜんざい(小倉汁粉)が鉢に盛られて出されます。
餅の代わりに蒲鉾やなるとが入れられていたり、鯛やほうぼうといった魚が入れられることもあります。
島根県・・・松江市や出雲市周辺では、すまし汁に餅を入れて、その上に小豆を乗せて砂糖をかけて食べるお汁粉風お雑煮が食べられています。
大阪府・・・大阪では「夫婦ぜんざい」として白玉団子の入った田舎汁粉が小さな二つの汁椀に入れられて出されています。
宮城県・・・仙台ではずんだで作ったウグイス色の汁に餅などが入れられています。
長崎県・・・長崎県では、「梅椀」という名前で御前汁粉がデザートで食べられています。
梅の花の塩漬けを汁粉に乗せたからこの名前になったとされています。
大分県・・・トウモロコシ団子を入れたりする「すすりだんご」の名残を持つ汁粉が食べられています。
海外のお汁粉
日本以外でもお汁粉のような食べ物が存在します。
中国では、緑豆沙と呼ばれる緑豆を使ったお汁粉や、合桃露と呼ばれるクルミのお汁粉があります。
ベトナムのチェーなども、お汁粉に似ている食べ物です。
バナナやタピオカの上に温かいココナッツミルクをかけて食べられています。
チェーには、氷を入れて冷たく食べられているものもあります。
マレーシアではモーモーチャーチャーと言い、タピオカ団子や栗、芋、ハスの実、ココナッツミルクなどを使った食べ物です。
日本のように小豆を使うお汁粉はあまりありませんが、各地で様々なお汁粉が存在するのです。
お汁粉とぜんざいの違いは?
関東ではこしあんで作ったものも粒あんで作ったものも、お汁粉と呼びますが、関西では、こしあんで作った物をお汁粉、粒あんで作ったものをぜんざいと呼びます。
また、汁気のないものは「金時」や「亀山」と呼ばれることもあります。
お餅が入っていない方が好きという人もいるため、関東では餅が入ったものをお汁粉、餅が入っていないものをぜんざいと呼ぶこともあります。
こしあんで水気の多いものが好きな人、粒あんで水気の少ないものが好きな人と様々な好みがあるため、なるべく分かりやすく区別するという意味合いもあるのかも知れません。
まとめ
お汁粉は、祝い事に使われる小豆を使用していて、厄払い、邪気払いなどの意味も持つ食べ物でもあります。
地域により様々なものを入れたり、様々な素材で作られています。
お餅が入っていないもの、水気の多いもの少ないものなど、好みにより色々なお汁粉が作られています。
お汁粉に添えるものも、自分の好みでアレンジしてみても面白いかも知れません。