鰹を食べたことがある人は多いと思います。
春先になるとスーパーでもよく目にすることがあり、つい手に取ってしまうという人も居るのではないでしょうか?
では、鰹とは一体どんな魚なのでしょうか?
ここでは、何を基準に選べば良いのか、どんな食べ方をすれば良いのかなど、鰹についてを詳しくご紹介します。
鰹とは一体どんな魚なの?
鰹(かつお)とは、スズキ目のサバ科に属している魚です。
大きなものでは1メートル、20キロ程になりますが、主に捕獲されるのは40センチ前後のものとなっています。
背中側は藍色をしていて、腹側は銀白色をしています。
興奮すると腹に横縞が出てきますが、死ぬと横縞が消えて縦縞が現われてきます。
この縦縞が鰹の大きな特徴になるため、類似魚との判別になっています。
鰹は、熱帯、温帯海域に生息しているため、世界中で広く見られています。
主に19~23度ほどの海にいて、日本では、太平洋側で多く見られますが、日本海側にはほとんど生息していません。
日本に来るのは春に黒潮に乗って北上してきます。
その後、秋には再び南下していきます。
初鰹は夏の訪れを告げる魚!?
鰹は春になると日本に向け黒潮に乗り北上してきますが、夏頃の黒潮と親潮がぶつかる三陸海岸の辺りまでやって来ます。
そのため、その年に初めて鰹が水揚げされると、夏の到来と言われているのです。
初めて水揚げされた鰹は「初鰹(はつがつお)」と呼びます。
捕れ高の多い静岡県や高知県では、4月~6月頃のものを初鰹とし、全国的にも浸透しています。
暖かい海水の中で北上している初鰹は、脂が少なくあっさりとした味わいで、価格も安価です。
鰹は、宮城県の金華山辺りで北上を止め南下を始めます。
南下を始める頃には海水温も低めになるため、鰹自身にも脂が乗り始めます。
宮城県では初鰹でも脂が乗っているのはこのためです。
南下をしている鰹のことは「戻り鰹(もどりがつお)」と言います。
脂が多くなるので南の方で水揚げされる初鰹とは味が異なります。
脂が多くなってくるにつれ、価格も上昇してきます。
鰹という名前の由来は?
鰹(かつお)はなぜこの名前になったのでしょうか?
名前の由来は諸説ありますが、幾つかの説をご紹介します。
まず、鰹の身が堅いという事から昔は堅魚(かたうお)と呼ばれていました。
万葉集や古事記には既に「堅魚」という表記がされており、この堅魚が変化して鰹になったと言われています。
また、疑似餌を使って釣れる「頑なな魚」だから「かたうお」で鰹になった説や、イワシに対して強い魚という意味で「勝ち魚」と呼ばれ、武士に好まれて徐々に鰹となった説もあります。
これらの様々な由来がありますが、かなり昔から人々に親しまれていた魚だという事がわかります。
鰹の旬はいつ?漁獲量はどこが一番なの?
前述の通り、鰹は北上、南下の時期で水揚げができるため、旬が長くある印象です。
そんな中でも一番の旬と言える時期は、4~5月、8~9月になります。
とは言え、3月から10月頃まで半年程に渡り捕れるので、その年の気温や水温により少々ずれることも有り得ます。
鰹の漁獲量は、一番が静岡、次いで東京、三重、宮崎、高知と続きます。
全国的には、高知の鰹が名物というイメージがありますが、高知で捕れるのは「宗田鰹(そうだがつお)」という種類です。
尚、宗田鰹の漁獲量は、一番が高知、次いで富山、宮崎、静岡、鹿児島と続きます。
全国各地で水揚げがされているため、様々な食べ方があるのも特徴です。
鰹料理で有名なものは?
鰹といえば、刺身、たたき、手こね寿司などの料理が有名です。
刺身やたたきは生臭さを取るため、
ショウガやニンニク、ネギ、青しそ、玉ねぎなどの薬味をたっぷり乗せて食べられています。
地域によっては行者にんにくなどを合わせるところもあります。
脂が乗ったものは、ユッケのようにしても食べやすくおススメです。
カルパッチョのように、ごま油や醤油、ごまなどに漬け、どんぶりにしたりする方法でも美味しくいただけます。
アボカドを合わせたり、レタスやトマトを合わせてサラダ風にしてもさっぱりと食べられます。
鮮度が落ちたものは、唐揚げや竜田揚げにしたり、煮付け、ステーキなどにしても良いでしょう。
ただ、鰹の身は火を通すと堅くなってしまうので、調理には工夫が必要です。
片栗粉をまぶすなど、水分が出ていかないようにするとジューシーに仕上がります。
味付けした鰹に片栗粉やゴマをまぶしてソテーしても良いでしょう。
パン粉を付けてカラッとあげてもヘルシーなとんかつ風になります。
オリーブオイルやガーリックを合わせるとイタリアンにもなりますし、ごま油やコチュジャンを合わせて韓国風に、醤油やショウガを合わせて和風にもなり、色々な料理スタイルで楽しむことができます。
珍しい鰹料理
鰹の腸を塩辛にしたものを「酒盗」といい、お酒の肴などとして親しまれています。
また、静岡県ではおでんの具に鰹の心臓を使うこともあります。
九州の鹿児島県では、鰹の頭を煮た「ビンタ」という食べ物が有名です。
高知県では余った鰹を炊き込みご飯にする「かつおめし」が食べられています。
鰹のハラミを塩漬けし、柔らかくしたものを「パイレン」と呼び、提供しているお店もあります。
高知ではお祝い事や人が集まる際には大きな皿に様々な料理を乗せた「皿鉢(さわち)料理」が振る舞われます。その中にも鰹の刺身や寿司が入れられています。
鰹の鮮度の見分け方は?
前述の通り、鰹は火を通すと身が堅くなりやすいため、生食で消費されることが多い魚です。
生食をするのであれば、やはり鮮度が気になるところですが、鮮度を見分けるにはどこに着目したらよいのでしょうか。
スーパーマーケットでは、サク、半身、刺身など様々な状態で置かれていますが、空気に触れる面積が多ければ多いほど傷む速度も速くなるのが一般的です。
また、脂がのるほどに傷む速度が早まります。
それを踏まえると、刺身よりはサク、サクよりは半身を選びたいところですが、自分で捌けるかどうかも大きなポイントとなってきます。
自分でサッと捌けないと、まな板の上で時間が経つ毎にどんどん傷んでしまいますので注意が必要です。
切り口が虹色になっているものは、あまり鮮度が良くないものです。
魚屋や市場で選ぶ場合は、扱っている人に鮮度を見て貰っても良いでしょう。
縞がしっかり出ているもの、エラが赤いものが新鮮なものです。
時間が経つと縞は薄くなり、エラも黒くなります。
魚屋であれば、持ち帰る直前に捌いて貰えたりもしますので、新鮮なものを選ぶと良いでしょう。
鰹といえばかつお節!
鰹の身を乾燥させて、燻して水分を除去することで長期保存できるようにしています。
この方法は、江戸時代から続けられています。
かつお節の質で出汁の良し悪しも左右されますので、こだわりを持つ人にとっては、かつお節を選ぶ所から料理が始まっているのです。
かつお節にもその形状で種類があり、仕上節、削り節、顆粒だしなどがあります。
仕上節は、自分で削るもの、削り節は既に削られているもの、顆粒だしなどはそのまま使えるものになります。
仕上節は香り、風味も良いのですが、自分で削ることが必要になるため、最初はなかなか思うようには削れませんし、手間も掛かります。
それを考えると削り節が使いやすいと言えます。削り節であれば、出汁取り以外の料理にも使用できます。
おかかは一般的に仕上節、削り節のかつお節を指して言われます。
缶詰の鰹も活用できる!
鰹は缶詰にもなっています。「かつおフレーク」の名前で広く販売されています。味付けがされているため、そのままでも充分美味しく食べられますが、アレンジしておかずとして活用する方法もあります。
ツナ缶が有名なので「かつおの缶詰なんて見たことも無い」という人も居るかも知れませんが、様々なアレンジが可能で重宝しています。
かつおフレークを刻んだキュウリや白菜と和えて食べたり、パスタの具にしたり、炊き込みご飯にも良く合います。ピーマンなどの野菜と軽く炒めても食べやすくなります。
様々な鰹フレークレシピが紹介されていますので、「あと一品欲しい」という時に積極的に使ってみても良いかも知れません。
まとめ
鰹は、老若男女に親しまれている魚です。
魚というと、夏より冬の方が美味しいというイメージがありますが、鰹は春先から真夏に旬を迎える魚です。
同じ鰹でも、あっさりしたものから脂が乗ったものまであり、様々な料理で楽しむことができます。
生で食べるのが一番ですが、臭みを消して調理をしても美味しくいただけます。
なるべく鮮度の良いものを見分けましょう。
釣りに興味がある人であれば、船釣りができます。
鰹の群れに当たると面白いほど釣れるといわれていますので、レジャー、アクティビティとして挑戦してみても良いかも知れません。