タラの芽の天ぷらは、春を思わせる料理としても有名ですね。
タラの芽は山菜の王様と称されることも多く、その独特の苦味は癖になる方が多いといわれているほど魅力が多い山菜の1つです。
ですが意外にもタラの芽がどんな山菜で、どんな取り方があるのかなどを知らない方も多いことでしょう。
タラの芽は料理の仕方も実は少し難しく、知っておくべき知識も多いのです。
そこでこちらでは、タラの芽の意味を始め、おすすめの料理方法などをご紹介しましょう。
タラの芽ってどいういう意味なの?
もしかしたらタラの芽が、山菜であることを知らないという方もいるのではないでしょうか。
そもそもタラの芽とは、どういう意味があってその名が付けられたのでしょう。
実はタラの芽は、ウコギ科タラノキが出す新しい芽のことを指します。
タラの芽は全国の土地で自生していることでも知られ、旬の時期になるとタラの芽を摘みに多くの方が山に入ろうとするのを目にするかもしれません。
野生のものだと早くて3月、山間部になると6月頃にピークを迎えます。
昔はタラの芽は野生のものだけがほとんどで、自分で取りに行くことが楽しみであったり、店先にタラの芽が並ぶのを今か今かと心待ちにするなど、まさに春の食材でありました。
最近では富山県や山形県、徳島県を中心として作られたハウス栽培のタラの芽がシーズンを問わず登場すること。
そのため欲しい時に手に入れることができるものとして、少し有難みが薄くなってしまった山菜の1つとも言われているのです。
ハウス栽培のものだと、12月頃から出荷されるものもあり、ピークは春が見えてきた3月前後。
おそらくこの時期に料亭や飲食店などで、タラの芽の料理をだし、いち早く春を伝えるためであると考えられますね。
タラの芽には2種類あり、野生のものはオダラ(男ダラ)という種類が多く見られ、ハウス栽培のものは敢えてメダラ(女ダラ)を使っています。
オダラは芽全体に棘のようなものがいくつもあるのに対し、メダラはつるんとしていて綺麗なのです。
自分で山菜採りに出かけ、タラの芽を探す時は、2種類あることを覚えておきましょう。
棘があるオダラを探すことができた場合は、そのタラの芽らしきものが漆ではないかもしっかり見極めなければいけません。
また野生のタラの芽は採りに行ってみると「時すでに遅し」で、全て採られてしまっていたということも良くあります。
ピークを事前に調べて、早めに行くのがおすすめです。
タラの芽の取り方の注意点は?
それでは実際にタラの芽を自分で採りに行く際の、取り方とはどうすれば良いのでしょうか?
まずタラノキがどの辺りに生えているのかを、チェックしなければいけません。
タラノキは山菜なので山間部深くに生えているというイメージがあるかもしれませんが、実は林道の両脇など比較的人が歩行しやすい道の近くに生えていることが多いのです。
もちろん稀に林の中などにも見ることはありますが、山菜採りビギナーの方はそこまでいかなくても良いでしょう。
また日当たりが良い場所を好むので、日陰にはほぼありません。
これも山菜採りをしやすいポイントと言えるでしょう。
ただし林道や歩道などの道の脇のタラの芽は、やはり最初に採られてしまう場所でもあります。
もしもタラの芽が見当たらなくても、その道の裏側などを重点的に探しておくのがおすすめです。
ここで1つ、タラの芽を採りに行く際に注意したいことがあります。
先ほど天然のタラの芽には棘があるオダラも生息しているとお話ししましたが、このオダラと良く似ているのが漆です。
漆の芽は赤っぽく、木の表面はタラノキと違いつるっとしています。
そのため慣れている方には区別しやすいのですが、ビギナーにとっては見分けが難しいものとなるでしょう。
もしも漆に触ってしまうとかぶれてしまい、人によってはとても酷い状態になってしまうのでこの注意点だけは頭に入れておくことが必要です。
またこのようなこともあるので、タラの芽の取り方で他にも注意したいポイントとマナーをあげていきます。
- 自分の手を守る為、できるだけアウトドア用の手袋を用意すること
手袋に関してはタラの芽に棘があることが大きな原因ですし、素手で触ると枝が折れやすいからです。 - タラの芽を採る事ができるように、長めの棒や傘を用意すること
長めの棒や傘を用意するという点ですが、これはタラノキは全長3mにもなるものも多く、新芽が上に出来る傾向にあるため。
無理やり枝を引っ張ってしまうと折れてしまい、木そのものが ダメになってしまうので長い木や傘の柄の部分で枝をこちらに手繰り寄せ、そこで優しく新芽を積んであげてください。 - 全ての芽を採ってしまわないようにする
全ての芽を採ってしまうと当然木そのものが翌年育たなくなってしまうので、木々へのマナーの為にも全部積んでしまうということは避けましょう。
タラの芽の調理注意ポイントと保存方法
タラの芽はあくが強く、香りもとても大事な山菜です。
基本的には保存ができない食材だと思っておきましょう。
ただせっかく採ってきたのに…という方もいることでしょう、そんな時にはタラの芽の大敵である乾燥から守る為にすぐに新聞紙にくるみ、空気穴を作ったビニールなどに素早くいれ野菜室に入れましょう。
ただしこの状態でも、1日から2日の間だけの保存ということを忘れない様にして下さい。
タラの芽は香りが魅力の山菜なのですが、保存をしてしまうことでこの香りも消える上、えぐみが強くなってしまい食べにくくなります。
もしそれ以上の保存が必要であれば冷凍することも可能なので、沸騰したお湯に塩を入れてかために素早く茹でましょう。
この時の塩の量は2%を目標にし、あまり入れすぎないようにするのがコツですね。
また小さかったり、触った段階で少し柔らかいものは、あまり湯にくぐらせ過ぎると歯ごたえが失われてしまうので気を付けてください。
取り出したら流氷につけ、灰汁抜きをします。
その後はお湯からだしたら、すぐに冷凍してしまいましょう。
小分けにするのは冷凍が終わったらで大丈夫です。
一気に冷凍することが、タラの芽を保存するコツと言えます。
長期保存をするためには塩漬けすることもおすすめですね。
タラの芽を調理する方法は、生で調理をする場合をのぞいて灰汁抜きが必要です。
タラの芽の栄養素は?
タラの芽は旬の食べ物であり、歯ごたえがよいものというイメージしかない方もいるかもしれませんが、実はとても栄養素が豊富です。
まずは高血圧の方が食べるととても効果が期待できる、カリウムが多く含まれているのが特徴。
その他にもマグネシウムやリンも多く、何より胃弱などを強くする効果もあると言われているのです。
冬場は血行不良が続き、風邪を引くこともあるので少し体の免疫機能も弱まってしまっていることも。
タラの芽自体の旬の時期は3月前後ではありますが、最近は早めに出回ることもあります。
そのため正月明けや風邪を引いてしまった後の体にも、タラの芽の栄養は効果が期待できそうですね。
またB-カロテンも豊富なので、眼精疲労などにも良いとされています。
やはり昔から食べられているタラの芽には、様々な効果が期待されているからこそ。
そのような理由からも、山菜の王様と呼ばれているのでしょう。
旬のタラの芽は天ぷら以外に何がある?
タラの芽の旬の時期には、やはり美味しい天ぷらをと考える方も多いですよね。
実際天ぷらであるとタラの芽を一度湯にくぐらせなくて良いので、便利でもありますし、サクサクとした歯ごたえを楽しむこともできます。
ですがその他にもせっかくだから旬のタラの芽を味わいたい!という人もいることでしょう。
そんな時におすすめなのが、パスタの材料として使う事です。
あまり耳にしないタラの芽のパスタですが、実はそこまで味付けをせずともタラの芽自体に苦味があることで塩ゆでだけで充分味が出るのです。
ニンニクとオリーブオイル、塩コショウといった定番の調味料、またはベーコンなどを一緒に合わせるだけで旬のパスタが出来上がります。
また灰汁抜きをした後のタラの芽は、おひたしなどにもできますので、ポン酢やしょうゆなどで合わせて頂くだけでご飯のお供にもなりますよね。
最近暴飲暴食で胃が疲れてしまったなんて時も、旬のタラの芽の独特の苦みがおひたしに良く出ているのでを食べやすく食欲も増す可能性があります。
せっかくのタラの芽ですから天ぷら以外にも調理法を探し、家族全員で楽しんでみて下さい。
まとめ
こちらでは山菜の王様・タラの芽についての、基本情報や取り方などもまとめてきました。
山菜は自分で採る楽しみなどもありますが、その楽しみを存分に味わうためにも注意点などを知っておかないと危険が出てくることも頭に入れておきましょう。
またマナーなども重要となりますので、山に入る時には他の人との兼ね合いも大事にする必要がありますね。
ぜひ旬の季節のタラの芽を味わい、家族で春の息吹を感じてみてください。