手紙を出すことは減っても、年に1度の年賀状のやり取りは楽しみにしている人は多いでしょう。実際にはあまり顔を合わせていなくても、年賀状を見るだけでもその人とのつながりを感じることができます。
家族の誰かが亡くなると、その家は喪中になり、お正月の年賀状のやり取りがなくなってしまいます。年賀状の来ないお正月は、家族が亡くなったことと重なって、余計に寂しさを感じさせます。
喪中のときに出していいのが、寒中見舞いですが、喪中の人に出すときは、少し緊張するでしょう。どんなデザインのはがきを使うのか、出す時期はいつ頃か、などと疑問を感じることもありますね。
これらをすべて解消するために、今回は寒中見舞いについて解説します。
寒中見舞いとは何?いつ頃出すの?
寒中見舞いは、1年で最も寒い時期に、友人や知人にはがきを出してあいさつをすることです。
見舞いには、誰かのもとを訪れるという意味がありました。このため自分が訪れる代わりにはがきを出してあいさつすることにも、見舞いという言葉が使われるようになったと考えられます。
寒中は、1月5日頃から2月4日頃までのことで、これは二十四節気の小寒から立春の前日までにあたります。だからこの時期に出す、あいさつのためのはがきを寒中見舞いと呼ぶようになったわけです。
1月7日までは松の内といって(地域によっては1月15日までが松の内です)、お正月の飾りがあり、年賀状が届く期間ですから、寒中見舞いを出すなら、この日以降にしましょう。
立春を過ぎると、暦の上では寒中ではなくなるので、名称も余寒見舞いと変わります。
寒中見舞いは、さまざまなあいさつの代用ができる重宝な存在です。お付き合いをする上で、少し失敗したな、と感じることは誰にでもありますが、それを温かく支えてくれる存在でもあります。覚えておくと心強いですよ。
寒中は寒さが1段と厳しくなり、健康状態も不安が多い時期です。重宝なだけでなく実際に受け取ると、相手の温かな心を感じられるようでうれしいはずです。
自分が喪中の場合に出していい?
自分が喪中の場合に、寒中見舞いは出していいのでしょうか。
喪中のお知らせは年内に行いますが、12月に入ってから不幸があった場合、あわてて喪中のお知らせをしても、相手はすでに年賀状を出した後かもしれません。
それではかえって相手をあわてさせるし、悩ませてしまうことになるでしょう。
家族に不幸があってすぐは、誰でもいろいろと忙しいはずです。
年末にあわてるよりも年が明けるのを待って、落ち着いた気持ちで寒中見舞いを送りましょう。受け取る人にとっても、自分が年賀状を出した後で受け取る喪中の知らせよりも、年が開けてからの寒中見舞いの方が、落ち着いた気持ちで受け取れるはずです。
『ご通知が遅れてしまい、誠に申し訳ありません。本年もご厚誼のほどよろしくお願いします』と、喪中になった連絡が遅れてしまったことをおわびする文章を書けば、年賀状を出した人に負担を感じさせる心配がありません。そして喪中になった心細い時期こそ、これまでと変わらぬお付き合いをお願いしましょう。
ちなみに年内に喪中のお知らせをしたときは、年が開けてからのお知らせは必要ありません。
こんなときにも出していい!喪中の知らせを受け取ったとき
喪中の知らせを受け取ったときも、寒中見舞いを出していいときです。
1度年賀状を出さないと、2年近くも交流がなくなってしまう場合もありますから、相手にとってもうれしいはずです。
特に故人をよく知っていた場合などは、
『〇〇様ご逝去とのこと、大変驚いております。今でもお元気だった頃に楽しくおしゃべりしたことが忘れられません。これから寒さも厳しくなって参ります。みなさまお力を落とさぬよう、体に気を付けてお過ごしください』などと自分の思い出などを書くと、読んだ遺族が懐かしく感じてくれるでしょう。その後には、遺族を力づける一言を添えるのを忘れないでください。
直接お線香をあげに伺うのもよいですが、家族を失い、仏事に疲れている人には、それすらも負担に感じることがあります。気楽に受け取れるはがきでのお見舞いなら、負担を感じずに温かな心遣いだけを感じてもらえるはずです。寂しい思いをしている人を、ほんの少しでも慰めてあげられるとよいですね。
なぜ?喪中に年賀状はタブーなの?
相手が喪中なのに、年賀状を出してしまうことがあります。
早めに喪中の知らせを受けていたのに、忘れてしまったという場合もありますが、自分が年賀状を出した後で、喪中を知る場合もあります。これは、どうしようもありませんね。
この場合には、あらためて寒中見舞いでおわびとお悔やみの言葉を伝えることができますから、あまり気に病まないでください。本当に気まずい思いをしますが、実はこれはそれほどマナー違反とはいえません。
喪中を知らせるのは、新年のあいさつができないことを前もってお知らせして、おわびをするためです。決して喪中になった報告や年賀状を出さないで欲しいという通知ではありません。
喪中の人が自分からはできませんが、喪中でない人からは新年のあいさつをしてもマナー違反にはなりません。
その証拠にちゃんと年始状が存在しています。これは喪中の知らせを受け取った人が、その返事として、また新年のあいさつとして出します。新年のあいさつをしても、おめでたい言葉(寿や祝など)は使いません。
ただ、現在、年始状の存在はあまり知られていませんし、私たちの間では喪中の人に年賀状を出さないのが常識になっています。たとえ年始状でも、新年早々のあいさつでは、相手が年賀状を受け取ったような、居心地の悪い思いをするかもしれません。
寒中見舞いならお正月が終わる頃に届くため、わかりやすくて安心です。喪中の人も、その方が落ち着いていてよいと感じてくれるはずです。
どんなデザインがよい?テンプレートを使うと安心?
喪中の人に出すなら、新年を連想させるようなデザインは避けた方が無難です。おめでたい柄、華やかな柄は、家族を失った人の心を疲れさせてしまうかもしれません。
例えば、初日の出などは年賀状に使う柄ですから、使わない方がよいし、動物の柄も、干支ではないものにするなどの気配りが必要です。季節の花や草木、風景などはよく使わるれるようです。また、子どもの写真を入れるのもタブーではありません。
最近では寒中見舞いを無料で印刷できるサイトがたくさんできています。
テンプレートになっているので、必要に応じて名前などを入力して、自宅で印刷ができます。あいさつ文も、すでにできているものの中から、好きなものをえらべるので、自分であれこれと考える必要がありません。デザインも豊富なので、相手に合わせて心温まるものをえらんでください。
はがきや切手はどんなものを使うとよい?
自宅で印刷するときに、つい考えてしまうのが、年賀状のあまりを使ってもよいのかということです。
年賀状と寒中見舞いはまったく別ですから、年賀はがきが余っているからといって流用するのは、相手にいい加減な印象を与えてしまいます。また、いくら文面は寒中見舞いであっても、家族を亡くした人に、おめでたさを感じる年賀はがきを使うのは配慮が足りません。手数料を払えば、年賀状は郵便局で普通のはがきと交換してもらえますから、それを使ってください。
郵便局で販売している普通のはがき(通常はがき)は、切手部分の図案がヤマユリ、ヤマザクラ、胡蝶蘭の3種類です。
中でも胡蝶蘭のものは喪中の人に送る寒中見舞いとしてはピッタリです。日本郵便のホームページでも、寒中見舞いや喪中はがきに適していると紹介されていますから、安心して使うことができます。
自分で切手を貼ってはがきを出したい場合、切手には特に寒中見舞い用はありませんから、普通切手を使うとよいでしょう。
弔事用の切手は販売されていますが、これは喪中を知らせるときにつかうもので、寒中見舞いにつかうものではないので注意が必要です。
まとめ
今回は寒中見舞いについて解説しました。喪中の人に出していいのか、いつ頃出すのか、どんなデザインがよいのか、などの疑問を解消しました。
自分や相手が喪中のときも、誰も喪中でないときも、出していいのが寒中見舞いだとわかりました。喪中のときだけでなく、自分は出していないのに年賀状が届いてしまった、年内に忙しくて年賀状を出しそびれてしまったなど、失敗したな、と感じたときに使うことができます。
とても便利なごあいさつですから、使わないのはもったいないです。ぜひ、よく知ってから、重宝に使ってください。
寒中見舞いに込められた温かな心は、きっとお付き合いをうまく進めてくれるにちがいありません。