梅雨の時期の代名詞ともいえるあじさい。最近ではカーネーションではなくあじさいを母の日用のプレゼントや贈り物にするなど人気がありますね。あじさいは花の色により、花言葉が違うことから、花言葉を添えてプレゼントにするという粋な計らいができることが人気の一因かもしれません。
ここでは、知っているようで知られていないあじさいの由来や種類、花言葉について紹介すると同時に、たくさんの品種の中から好みのあじさいを見つけることも、その魅力を存分に味わることもできる名所についてもお伝えしていきます。
お好みの種類のあじさいを見つけて、あじさいの魅力を再発見できるといいですね。
あじさいとは
じめじめとした梅雨の時期、雨のしずくすら魅力的に見せてしまうあじさい。あじさいに雨のしずくがついている情景を見ていると、梅雨のうっとうしさもどこかに吹き飛んでしまう気がしますね。そんな身近なあじさいの意外と知られていない豆知識ついてご紹介します。
豆知識1 原産地は日本
あじさいは、実は日本が原産ユキノシタ科の落葉樹で高さが1~2m程度の低木です。品種改良がおこなわれていて現在50種類とも100種類ともいわれる品種があります。あじさいは大きく分けて2種類の系統がありますが、いずれも原産地は日本となっています。
1つ目が『ガクアジサイ』で、中心に小さい丸い粒のような花があります。もう1つの種類は、こんもりと丸く小さい花がまとまって咲く『ハイドランジア』です。『ハイドランジア』は、ガクアジサイの品種改良版で『西洋あじさい』といわれています。
『紫陽花』と書き、『あじさいと』よみますが、カタカナで『アジサイ』と書かれることも多く、どれも正しいです。ここでは、丸みのあるイメージから『あじさい』と表記していきますね。
豆知識2 名前の由来は色
あじさいの名前の由来は、『藍色』の花が集まったものという意味の『あづさい(集真藍)』といわれています。これは、日本の土は、酸性が強く、青色のあじさいが多かったことからの命名と考えられています。
豆知識3 なじみのあじさいは逆輸入品?
あじさいといってイメージするのは、ブーケのようにこんもりと丸く咲いた花ですが、実はこれは『ハイドランジア』(Hydrangea)という西洋種です。
この西洋種というのは、元々日本にあった『ガクアジサイ』がヨーロッパや北米に伝わり品種改良され、大正時代に日本に逆輸入されたもの。普段、目にすることが多い『あじさい』は、逆輸入品の『ハイドランジア』でした。
豆知識4 花の色の変化
あじさいは、一度花が咲いてから散るまでの間に花の色が、葉の色に近いクリーム色から、水色、青、青紫、赤紫というふうに変化します。このように土の性質のほかに、咲き始めから散るまでの間に変化していくことからあじさいには、『七変化』や『八仙花』という別名もあります。
豆知識5 色の変わらないあじさいもある?
あじさいといえば、土の色によりリトマス紙のように花の色が変わることで知られていますが、実は土の色に影響されない種類のあじさいもあります。それは、元々色を持たない「白色」のあじさいです。白色のあじさいは、土の性質の影響を受けずどこでも白い花を咲かせます。
あじさいにはどんな種類があるの?
あじさいは、大きく分けると2つの種類ですが、ここではもう少し詳しく紹介していきます。
<ガクアジサイ>
あじさいの原種で、中央におしべとめしべ両方を持つ小さな花がありその周りに額のような花が咲くタイプのあじさいです。こんもりと丸く咲くのではなく、平らに咲きます。額縁のような花が咲くことから『ガクアジサイ』と呼ばれています。
<手まり咲きあじさい>
手まりのように丸い花の形のあじさいで他のあじさいと区別するために『本あじさい』と呼ばれることもあります。
<ヤマアジサイ>
山間部に自生するあじさいで、『サワアジサイ』とも呼ばれているあじさいで、ガクアジサイやホンアジサイと比べて枝が細く繊細なイメージのあじさいです。あじさい好きな方の間では特に人気の品種ですね。
<ハイドランジア>
『西洋あじさい』といわれる種類のあじさいで日本原産のあじさいが、ヨーロッパやアメリカで品種改良され、日本に逆輸入されたものです。現在の主流のあじさいで、贈り物として花屋さんの店頭にあるのはこのハイドランジアが多いですね。
<外国種のあじさい>
北アメリカ原産のあじさいで円すいのような形に花がつきます。柏のような葉の形の『カシワバあじさい』やアメリカのあじさいで白くて小さな花がたくさん丸いボールのように咲く『アナベル』が有名です。
あじさいの主な分類としてはこの5つですが、品種改良によりガクアジサイタイプ、手まり咲タイプ、円すい(コーン)タイプで花が垂れ下がるもの、花の先がフリル状になっているもの、一重タイプ、八重タイプ、絞りのあるタイプ、2色タイプがあって、更にその組み合わせもあり、種類がとても多いのが特徴です。
あじさい専門の図鑑が出ているほどです。興味があったら是非一度見てみるといいかもしれません。
贈り物に人気のあじさいは?
その中でも、贈り物として人気の品種をいくつかご紹介します。
八重咲のガクアジサイでピンク系の小さな花が四方に飛び散るようにたくさんつく「ダンスパーティ」や、同じく八重咲のガクアジサイで大玉の花火が咲いたような花が広がる「隅田の花火」などが人気です。
そのほかには、八重咲で花に浅いギザギザの入った「フェアリー」はピンク、青、紫があり、ボリューム満点の花が咲くことと時間が経つと花の色が変わっていくので色の変化が楽しめる点で人気があります。
「アナベル」は真っ白な30㎝程度の大輪の花を咲かせ、形もシンプルな点が人気です。切り花にしたりドライフラワーにしたりしても楽しめる品種です。
メッセージとして花言葉を添えたい!
あじさいは、土の状態によって花の色が変化したり、咲き始めから順次花の色が変化していくことから、「移り気」、「浮気」、「無常」などのようにあまり良い意味の花言葉がありませんでしたが、最近では色ごとに違う花言葉のために贈り物として、あじさいの種類だけでなく色を含めて選ばれるようになりました。
色別の花言葉を紹介していきます。
青~青紫のあじさいの花言葉は『冷淡、無常、高慢、辛抱強い愛情、あなたは美しいが冷淡だ』です。梅雨の雨に耐え忍ぶ姿をイメージさせますね。
ピンク~赤紫のあじさいの花言葉は、『元気な女性』と『強い愛情』です。
この花言葉から母の日にはピンクのあじさいが選ばれています。
白のあじさいの花言葉は、『寛容』です。相手を認め合う意味から、結婚式でも使われるようになっています。
ガクアジサイの花言葉は、『謙遜』です。
そのほかに、あじさいの花言葉として、あじさいが小さな花の集合体であることから、『家族のだんらん、家族の結びつき』があります。最近では結婚式の花としてブーケや卓上花としても使われています。
あじさいの花言葉にはマイナスのイメージのものもありますが、プラスのイメージの言葉も多くあり、花の色により違う花言葉を使ってメッセージと一緒に贈り物にできると人気になっています。
そして母の日用には何といっても『マザーピンク』という種類のあじさいもあるくらい、『ピンク』のあじさいが人気ですね。
どうやって育てたらいいの?
プレゼントにする場合でも自宅で楽しむときでも、あじさいはどうやって育てたらいいのでしょうか?お世話が難しいと、ちょっとためらってしまいますよね。でも大丈夫です。あじさいのお世話はあまり難しくないので、この点でも贈り物としての人気が高まっているようです。
あじさいのお世話の最大のチェックポイントは「水」です。
あじさいは水切れにとても弱い植物ですので、鉢植えで育てる場合はしっかり水をあげてください。
また、あじさいは太陽が大好きなので、日陰ではなく日の当たるところでの栽培が向いています。
そして花が終わった後の剪定がお世話のポイントです。、2節目の上2センチで茎をカットすることです。こうすることで次の年もきれいな花を咲かせることができるようになります。
花の色については、土が賛成であれば青、アルカリ性であれば赤系の花が咲きます。白系の花については土の性質の影響は受けません。最近は園芸店で、発色の良い花を咲かせるための水が販売されていますのでこうしたものを活用することできれいな色のあじさいの花を楽しむこともできますよね。
今年訪れたいアジサイの名所は?
あじさいの名所というとお寺や植物園を思い起こされる方が多いのではないでしょうか。名所といわれるところは、お寺や植物園に限りません。多目的施設のある公園や動物園、他の用途で有名なテーマパークでもあじさいを楽しむことができます。名所といわれるところには、多いところでは1000本単位のあじさいがあり、種類も豊富です。
あじさいの見ごろ
あじさいの花は5月~7月に咲きますが、見ごろは6月中旬~7月上旬です。品種によっては秋まで咲くものもあり長く楽しめるのがいいですね。
身近な名所の探し方について
地域を限定してホームページで検索すると、意外な場所がアジサイの名所な場合があります。桜で有名なところがアジサイでも有名であったり、テーマパークだと思っていたところがアジサイの栽培をしていたりなどです。
この他には、あじさいの名所を巡るツアーも多くあります。旅行会社のツアーを検索することで、意外な名所を発見できることもあります。ツアーを利用するとたくさんの種類を栽培している名所を訪問するのに便利ですね。
それから忘れてはならないのが、あじさいは身近な植物ですし、栽培も難しくはありませんので、自宅近くでもいろいろな種類のあじさいに出会えることもあります。
今年は、ツアーを利用して本格的に名所を巡るもよし、隠れた名所を探してみるもよし、自宅近くのあじさいを堪能するもよし。あじさいの種類を知って楽しみたいですね。
まとめ
梅雨の時期に咲くあじさいは、最近では母の日のプレゼントや贈り物として人気があります。育てやすさと花言葉が贈り物として人気の理由です。
- あじさいは日本原産の植物ですが、普段目にすることが多いブーケのようにこんもり丸く咲いたあじさいは、逆輸入品の『ハイドランジア』という西洋種で、日本の伝統種は、ガクアジサイ。
- 花の色により花言葉が違っていて、マイナスのイメージの花言葉もありますが、ピンクの『元気な女性、強い愛情』、白の『寛容』は、花言葉からそれぞれ母の日や結婚式用に使われています。
- 品種改良により、一重のほか八重咲のもの、フリルのある花、色、形、大きさなど種類が豊富で、育てやすいのが特徴です。
- 人気のあるあじさいには、ピンクの『ダンスパーティー』、白の『アナベル』などがあります。
鉢植えでも切り花にしてもドライフラワーにしても楽しめるあじさい。ぜひお好みのあじさいを見つけて楽しんでください。