結婚式(披露宴)や二次会では、新郎新婦と関係の深い方々のスピーチが行われます。今この記事を読んでいる方の中には、スピーチを頼まれたことがある方もいるでしょう。
新郎新婦への想いが溢れるスピーチは時には泣かされ、時には笑わせてくれ、新郎新婦の新たな一面を知ることができるだけではなく、会場全体の雰囲気作りにも一役買います。
もちろんゲストだけではなく、主催者(新郎新婦とその親族)のスピーチもあります。
この記事では結婚式や結婚パーティー、二次会の司会歴10年の筆者が結婚式のスピーチについて、基本からスピーチを成功させるコツまで詳しくご紹介します!
スピーチの種類
スピーチには役割によって求められるものが違います。
結婚式の式次第に沿ってスピーチの種類をご紹介します。
新郎によるウェルカムスピーチ
新郎新婦入場後、披露宴の最初に行われるのが新郎(基本的には)がゲストの皆さんに向けてお礼を述べるスピーチです。披露宴の最初とあって緊張する新郎が多いですが、このスピーチは難しいことは考えず、お礼を述べる簡単なスピーチで問題ありません。
主賓祝辞
これは新郎新婦の会社の上司が行うことが多いです。基本的には職場で関わりのある人の中でも一番立場が上の方にお願いします。
乾杯の挨拶
これも新郎新婦にとって目上の立場の方が行います。主賓祝辞よりもくだけた内容で、短めのスピーチを行います。挨拶からそのまま乾杯のご発声に移り、これをきっかけにゲストは飲食を始めます。
友人代表挨拶
新郎新婦と特に仲の良い友人が挨拶を行います。1人でする場合と複数人でする場合があります。
親族による謝辞・挨拶
新郎新婦の両親や親族がゲストに感謝の気持ちを述べます。新郎側の両親(親族)のみが行う場合、両家とも行う場合があります。しっかり喋るというより1,2分で簡潔に感謝の気持ちを伝えます。
新郎の挨拶
披露宴の締めくくりのスピーチで、新郎が本日のお礼、未来への決意表明などを行います。
結婚式二次会の場合
二次会だと主賓の祝辞や親族による謝辞はなく、乾杯も友人が務める場合が多いです。また、スピーチ内容もだいぶラフになります。
基本知識
ここからは披露宴などのスピーチの基本知識を。
披露宴のスピーチは役割にもよりますが、基本的に5分以内が目処。
特に乾杯の挨拶の時は、ゲストが立ち上がってグラスを持っている状態なので、できるだけ簡潔なスピーチにした方が印象も良いです。
また、スピーチの最初は自己紹介をします。時間は30秒以内がちょうど良いでしょう。
よっぽど慣れている人以外はスピーチ内容をメモや清書しておくことをお勧めします。本番で緊張し、頭が真っ白になって話せなくなってしまった人をこれまで数え切れないほど見てきました。
例えば、あがり症な人、スピーチが不安な人は会場に入ってから司会にその旨を伝えれば、もし言葉に詰まっても頭が真っ白になっても司会がフォローしてくれるので安心ですよ。
私たち司会者の業務にはゲストやホストのサポート&フォローも含まれているので遠慮なくおっしゃってください。
気をつけること
披露宴はおめでたい場です。
参加しているすべての人が気持ち良く幸せな時間を過ごせるよう、スピーチにはいくつか気配りも必要です。
新郎新婦の名前を間違えない
これは主賓祝辞のスピーチでときおり見受けられます。
部下のお相手である新郎もしくは新婦の名前の読みを間違えてしまうパターンは意外と多い。
その場では笑いがおきることもありますが、間違えられた側の親族はいい気はしませんのでご注意ください。
話していいエピソードか確認
話すつもりのエピソードは、いろいろな立場の人が集まる披露宴会場で披露しても問題のない話か考えてみてください。
特に友人代表スピーチの場合は、友人同士しか知らない内緒話もあるでしょうから話していいかどうか事前に本人に確認した方が良いと思います。
下品な話(ふさわしくない話)をしない
お酒が入ってついつい下品な話、下ネタ、下世話な話をしていませんか?
特に酔っ払った年配の方に見受けられます。その場が凍りつくので絶対にやめましょう。新郎新婦の親族も聞いています。
自虐も含めネガティブな発言も避けましょう。
自分の出番の時間を把握しておく
結婚式の司会をしていて本当に良く起こるアクシデントが「スピーチする人がいなくなった」なんです。お名前を呼んでも誰も前に出てこず、式場スタッフが慌てて探すのですが、だいたいはお手洗いかタバコ休憩で席を立っておられます。
スピーチをお願いされている人は披露宴が始まる前に司会者もしくはスタッフが一度挨拶と確認にいきます。その時にご自身の出番の時間も一緒に確認して覚えておいて頂けたらと思います。
自分の話になっていないか
無意識のうちに自分の話にすり変わっている人がたまにいます。会場にいるすべての人が聞きたいのは「新郎新婦のエピソードや人柄など」ということを忘れないようにしましょう。
披露宴で使ってはいけない忌み言葉
結婚式、披露宴では使ってはいけない「忌み言葉」というものがあります。
ラフな結婚パーティーや二次会でもご法度です。
スピーチを考える際には絶対に使わないように注意が必要です。
別れや離婚を連想させる言葉
別れる/終わる/離れる/捨てる/去る/逃げる/消える/流れる/割れる/壊れる/ほころぶ/ほどける/ほどける/離婚…など
不幸・不吉を連想させる言葉
衰える/悲しい/辛い/病む/滅びる/消える/絶える/壊れる/終わる/飽きる/亡くなる/葬儀/災い/敗れる/苦しい…など
再婚を連想させる言葉(繰り返しの言葉)
くれぐれ/度々/かさねがさね/わざわざ/ますます/日々/時々/ますます…など。
繰り返しの言葉はついうっかり使っている人が本当に多いです。
特に「ますます」「くれぐれも」「日々」「かさねがさね」は普段からスピーチ(挨拶)でよく使う音葉なので、つい使ってしまっている人をよくお見かけします。気をつけましょう!
スピーチを成功させるコツ
ここからは司会歴15年、結婚式司会歴10年の筆者がスピーチを成功させるコツを伝授いたします。
最初の一言に全てをかける
人前で上手くしゃべるコツを聞かれるたびに伝えていることなのですが、スピーチで大事なのは最初の一言です。これが例え「初めまして」の短い一言でも構いません。最初の一言をはっきりと大きな声で言うことで聞いている人たちに安定感安心感がある印象を持たせ、さらに自分自身も大きな声を出すことでリラックス効果があり、緊張がとけます。
ゆっくりしゃべる
緊張していると多くの人が早口になります。そして早口になることで噛みやすくなり、噛むことで動揺し、さらに緊張します。
話している本人と聞いている側は体感にズレがあるので、いつも通りしゃべってもマイクを使うと早口に聞こえてしまいます。
ちょっと違和感があるくらいゆっくりしゃべると、聞いている人にとってはちょうどいいスピードになります。
背筋を伸ばす
緊張すると猫背になりがちですが、足を閉じて背筋を伸ばし、まっすぐ前を見ます。声の通りも良くなりますし、堂々として見えることでスピーチも上手に聞こえます。
人の目ではなく眉間を見る
スピーチ中は大勢の人に注目を浴びます。ただでさえ緊張している中、誰かと目があうと「見られている!」と動揺してしまうことがあるので、周りを見渡す時はできるだけ目ではなく、目の前にいる人たちの眉間を見ます。
笑う
無理にでもいいので笑顔を作ります。あなたの笑顔でその場の空気が柔らかくなり、あなた自身が喋りやすい環境になりますし、笑うことでリラックスできます。
上手に喋ろうとしない
言っていることが矛盾しているようですがこれが一番大事。
上手に喋ろうとするから緊張しますし、噛んだ時に動揺します。
15年間しゃべることを生業にしてきた筆者が断言します。
スピーチは技術ではなく「気持ち」です。
人の心を動かすのも技術ではなく「気持ち」です。
噛んでも言葉に詰まっても頭が真っ白になっても、心からのお祝いの気持ち、感謝の気持ちは必ず伝わるので大丈夫です。
それこそが上手なスピーチです。
まとめ
スピーチは慣れていないと緊張もしますし、プレッシャーも大きいですよね。
ですがスピーチの役割を理解すれば実はそんなに難しいことではありません。大切なのは何より「気持ち」です。
冠婚葬祭は独特なマナーが存在しますが、根本にあるのは相手を思いやる「気持ち」です。
相手のことを第一に考え、心からの感謝の気持ち、お祝いの気持ちがあればあなたのスピーチは必ず成功します。胸を張って頑張ってください!