身内に不幸があった時は忌引き休暇を申請しなければなりません。しかし、二親等・三親等などの分類がわからない場合やそもそも忌引き休暇の制度についてあまり知識がない場合もあるかもしれませんね。また、葬儀後も忌中・喪中の間は喪に服す必要があり、日数や過ごし方といった知識も必要です。
本記事では喪に服する際のマナーや忌引き休暇の一般的なルールなどを解説します。皆様の参考になれば幸いです。
喪中とは
喪中は「一周忌法要」を行うまでの期間を指します。
遺族の悲しみが癒えるまでに必要な期間とされており、喪に服して過ごします。遺族が喪に服することを「服喪」といい、祝い事を控え慎んだ生活を送ります。
忌中とは
喪中のほかに忌中という期間があります。忌中は故人が亡くなった日から「四十九日法要」を行うまでの期間を指します。
古くから死は“穢れ”という概念があり、忌中は穢れを他人へ移さないために慎んだ生活をすべきとされてきました。
仏教では故人の魂は死後49日目に導かれると考えられています。四十九法要をもって「忌明け」とされ、忌中の終わりを意味します。
喪中は何親等まで?三親等は入る?
喪中は二親等までとされるのが一般的です。年賀状や初詣などの行事も二親等まで控え、三親等では通常通り行うことが多いでしょう。
- 0親等……配偶者
- 1親等……(実・義理に関わらず)両親、子ども
- 2親等……(実・義理に関わらず)兄弟・姉妹、祖父母、孫、兄弟・姉妹の配偶者
- 3親等……曾祖父母、伯叔父母、甥姪、伯叔父母の配偶者
服喪する日数は?続柄ごとにご紹介
喪中とする日数は基本的には一周忌までの約一年間とされていますが、厳密に決まっているわけではありません。一般的に喪に服すべきとされる期間は、続柄ごとに目安があります。
自分から見た続柄 | 服喪期間 |
配偶者 | 12〜13ヶ月 |
(義)両親 | 12〜13ヶ月 |
子ども | 3〜12ヶ月 |
祖父母、兄弟・姉妹 | 3〜6ヶ月 |
悲しみが癒えず上記の期間が過ぎても祝い事に前向きになれない場合や、学校や仕事の関係で祝い事に出席が必要な場面もあるでしょう。それぞれの事情に合わせて喪中期間を設けると良いですね。
忌中・喪中の正しい過ごし方は?
忌中・喪中の間は、祝い事や華やかな場面を避けた生活が基本です。
特に忌中の間は、身内以外との接触をなるべく控えて過ごすべきと考えられています。昔は忌中期間に家の入口を閉め、忌が明けるまで家の中で静かに生活を送っていたことがわかっています。
現代では忌明けまで完全に外部との接触を避けることは不可能ですが、レジャーや娯楽を控え慎んで過ごすことが望ましいでしょう。
また、忌中期間を過ぎても喪中の間は、故人の冥福を祈り悲しみを癒す期間です。派手な行動をしないよう注意しましょう。
忌中・喪中は控えた方が良いこともある
喪に服している期間は以下のことを控えるのがマナーです。
◆結婚式
・招待された場合
結婚式への出席は事情を伝えお断りするべきとされています。“死による穢れ”の考え方から縁起が悪いと捉える人もいるためです。
ただし、新郎新婦からどうしても出席してほしいと言われた場合は、忌明け後であれば出席を考えてみても良いでしょう。
・主催する場合
結婚式の開催を予定していた場合は延期しましょう。
基本的には喪中の挙式は避けた方が良いとされていますが、最近では、結婚式の日程が忌明け後であれば予定通り開催することもあるようです。故人との関係性や気持ち、家庭間の事情などさまざまなことを考慮して慎重に検討しましょう。
◆年賀状
喪中の場合は年賀状は送りません。かわりに喪中はがきを11月中旬~12月初旬に送り、喪中であるため年賀状は遠慮させていただく旨を伝えます。
◆初詣
神社への初詣は控えましょう。神社は神様を祀る場所であるため、“穢れ”を持ち込んではならないという考えがあるためです。ただし、お寺への初詣は問題ないとされています。
◆正月の挨拶やお祝い
「明けましておめでとうございます」といった新年を祝う挨拶は、喪中の間はしないように気を付けましょう。また、しめ縄や門松、鏡餅といった正月飾りも避けるのがマナーです。
昔は、おせちやお雑煮などの正月料理も控えていましたが、現代では華やかな盛り付けをせず普段の食事として食べる人もいるようです。同様に、お年玉も「お年玉」という名目ではなくおこづかいとして渡すようにしましょう。
◆旅行
忌中の旅行は控えるべきとされていますが、忌明け後の旅行に関してはさまざまな意見があります。忌明け後であれば、悲しみを癒すための気分転換を目的にした旅行ならしても良いという考え方を持つ人もいます。
◆お歳暮・お中元※忌中のみNG
お歳暮やお中元は喪中でも贈って良いものとされていますが、忌中は避けて時期をずらしましょう。忌明け後に贈る際は紅白の短冊は使用せず、のしの付いていない無地の短冊や奉書紙をつけて贈ります。
忌中に取得する忌引き休暇とは
忌引き休暇とは、近親者が亡くなった時にお通夜や告別式などの葬儀のため、数日間の休暇を取得できる制度です。法律で明記されているものではありませんが、会社・学校(の地域)ごとに設定されている場合がほとんどです。
忌引き休暇は何親等まで?三親等でも取得できる?
多くの会社・学校では、故人との関係性が一親等から三親等までの場合に忌引き休暇を取得できます。
【三親等にあたる続柄】
A,(実・義理に関わらず)配偶者、両親、子ども、祖父母、兄弟や姉妹、孫
B,(実・義理に関わらず)曾祖父母、伯叔父母、甥姪
三親等までとされている会社が多いものの、上記のBに当てはまる場合は忌引き休暇が適用されない可能性もあります。
会社や学校の規則によって異なるため、忌引き休暇の適用範囲を上司や総務担当などに確認すると良いでしょう。
忌引き休暇の日数は?一親等~三親等まで続柄ごとにご紹介
忌引き休暇の日数も、会社・学校により違います。ただし、一般的には以下のように定められることが多いようです。
故人との関係 | 日数 |
配偶者 | 10日 |
実の父母 | 7~10日 |
子ども | 5~7日 |
実の祖父母 |
3~5日 |
実の兄弟姉妹 | 3日程度 |
孫 | 1~2日 |
義理の父母 | 3日程度 |
義理の祖父母 | 1~2日 |
日数はあくまでも目安のため、勤務している会社の規則を確認しましょう。
公立の学校の場合は、管轄の教育委員会規則で定められているため、学校のある地域によって異なります。
忌引き休暇の連絡方法。メールはマナー違反?
忌引き休暇の連絡は、口頭で伝えることを重視しましょう。ただし、時間帯によってはすぐに電話ができない場合もあります。口頭で伝えられない場合はメールで連絡を入れ、タイミングをみて電話を入れましょう。
子どもの学校への連絡は、担任の先生へ電話を入れるのが基本です。最近ではアプリを使って出席管理をしている学校もあるでしょう。アプリで忌引き休暇の連絡ができる場合はアプリを使用し、タイミングをみて休暇日数や事情を電話で伝えると安心です。
忌引き休暇取得の注意点。確認しておきたいこと
忌引き休暇がいつから適用されるかチェック
忌引き休暇の適用期間には大きく分けて2つの傾向があります。
①忌引き休暇を申請した日(または翌日)を1日目として数える
②申請日に関わらず亡くなった日(または翌日)を1日目として数える
会社によってどちらを採用しているかが異なるため、確認した方が良いでしょう。
土日や祝日は休暇日数にカウントされる
一般的には、土日や祝日も休暇日数としてカウントします。
金曜日から忌引き休暇を取得した場合は土曜日が2日目、日曜日が3日目になります。
必要書類を確認しておこう
忌引き休暇の申請用に書類が必要な会社もあります。死亡診断書や火葬証明書の写し、会葬礼状などを求められることが多いため、すぐに提出できるよう準備しておくと安心です。
忌引き休暇明けには挨拶とフォローを
忌引き休暇明けには、部署の人や上司へ休暇をいただいたお礼を伝えましょう。休暇明け1日目に手土産を持って出勤するとスムーズです。手土産は個包装されているお菓子の詰め合わせがおすすめです。
まとめ
今回は忌中・喪中・忌引きの日数やマナーをお伝えしました。
身内が亡くなると悲しみの中慌ただしく対応に追われますが、同時にマナーがとても大切な場面でもあります。忌引き休暇の取得から忌中・喪中の過ごし方まで、しっかりと把握して落ち着いて行動しましょう。
喪に服す期間は遺族の心を癒すためにも必要です。守るべきマナーを押さえ、ゆっくりと日常生活を取り戻していきましょう。