突然の訃報メールにどのように返信したらいいのかと悩んだことはありませんか?メールの贈り主にとってはデリケートな時期であり、返信の際には使ってはいけない言葉や気を付けるべきマナーなどさまざまな配慮が必要です。 本記事では訃報メールへの返信の際におさえておきたいマナーを解説します。親族や知人、ビジネスなど関係性ごとに文例もご紹介します。ぜひ参考になれば幸いです。
訃報の連絡にはメールで返信してもいい?
訃報メールへの返信方法はメールで問題ありません。ただしメールでの返信は略式の方法であるため、本文に略式での返信を詫びる文を入れましょう。
最近ではメールのかわりにLINEを使用して訃報の連絡をすることもありますが、この場合も返信はLINEで良いとされています。
他には電話、ハガキといった手段もあります。電話で連絡を受けた際は電話で、ハガキでの連絡にはハガキでお悔やみを伝えるのがマナーです。相手からきた連絡と同じ手段で返信することを覚えておきましょう。
訃報メールへの返信のタイミングは?
訃報メールが送られてきたら、なるべく早めに返信することが大切です。
ただし、メールに気付いた時間が深夜の場合は、朝まで待ってから返信しましょう。身内が亡くなると葬儀の準備や心労により睡眠が思うように取れないこともあるため、連絡をとる時間帯には配慮が必要です。
翌朝メールを返信する際には、返信が遅くなったことに対する謝罪を一文入れて送りましょう。
訃報メールへの返信マナー
訃報メールへの返信は慎重な配慮が必要です。タブーとされる言葉や内容もあるため、注意点を一通り確認してから返信しましょう。
故人には敬称を
故人には敬称を使用して、文章を作成しましょう。
例えば、“お母さま”と記載したいときは、“お母上様”や“ご母堂様”と言い換えが必要です。“ご母堂様”というのはより丁寧とされる敬称です。訃報メールの贈り主や故人が目上の方である場合に使用することが望ましいとされています。
【敬称一覧】
送り主から見た故人 | 敬称 | より丁寧 |
祖父 | ご祖父様 | |
祖母 | ご祖母様 | |
父 | お父上様 | ご尊父様 |
母 | お母上様 | ご母堂様 |
夫 |
ご夫君様 |
ご主人様 |
妻 |
ご令閨様 |
ご令室様 |
息子 | ご子息様 | ご令息様 |
娘 | ご息女様 | ご令嬢様 |
訃報メールの贈り主が友人や親しい間柄の場合は、必ずしも敬称を使わなくても良いとされています。相手との関係性によって判断しましょう。
時候の挨拶を省き簡潔に
訃報メールへの返信は簡潔な文章が適切です。長い文章は遺族にとって負担になってしまう恐れがあるためです。
返信文は時候の挨拶も省き、お悔やみや必要事項を入れるのみにしましょう。
句読点・絵文字を控える
句読点は仏事では使用を避けた方が良いという習わしがあります。“区切り”を意味する句読点を省くことで「お通夜や告別式が滞ることなく行えるように」という思いを表します。メールならば句読点を使っても問題ないとする説もありますが、気になる人もいるかもしれないことを覚えておきましょう。
また、親しい間柄でも絵文字や顔文字は控えた方が無難です。絵文字や顔文字は人によって受け取り方が違うため、訃報メールの返信で使用すると失礼な印象を与えてしまう可能性があります。
忌み言葉の使用はNG
忌み言葉は不幸や悲しみを連想させる言葉で、弔事ではタブーとされています。訃報メールへの返信時も例外ではありません。すべての忌み言葉を覚えておく必要はありませんが、一般的によく知られている言葉や種類は覚えておくと良いでしょう。
忌み言葉を避けるためには、言い換えが大切です。慎重に言葉を選んで返信の文章を作成しましょう。
【種類別の忌み言葉と言い換え】
①重ね言葉
重ね言葉は同じ言葉が重なっている様子から、不幸が重なることを連想させてしまうため避けるべきとされています。
[例] たびたび→よく ときどき→時折 くれぐれも→どうぞ |
②死を連想させてしまう言葉
遺族の悲しみに配慮するためにも、死に関する直接的な言葉は控えるべきというマナーがあります。
[例] 死ぬ→逝去 生きていた頃→お元気な頃 |
③続くことを連想させる言葉
死や悲しみが続いてしまうことや繰り返されてしまうことを連想させるため気を付けたい言葉です。
[例] 引き続き→今後も また→さらに 追って→後ほど 繰り返し→しきりに |
④不吉なイメージがある文字や数字
“忙”には“亡”が入っているため不吉であるという考え方があります。“大変”も不吉な言葉として捉えられます。四や九も読み方から四は死、九は苦を連想させるため極力使用しないようにしましょう。
[例] 忙しい・多用→多用 |
宗教・宗派に配慮を
宗教や宗派によって死についての考え方が違うため、言葉の選び方に気を付けましょう。仏教(浄土真宗)、神式、キリスト教でふさわしくないとされる言葉をご紹介します。
◆仏教
浮かばれない、迷う |
仏教では、死者は死後の世界(冥土)を旅し、最終的に極楽浄土へ成仏するという考え方をもっています。“浮かばれない”や“迷う”といった言葉は「極楽浄土へたどり着けない」「報われない」といった考えを連想させるため、不吉な言葉とされています。
◆浄土真宗
冥福、霊前 |
仏教でも浄土真宗は、死後に冥土を旅するという教えはありません。死後すぐに極楽浄土へ迎えられ成仏すると考えられています。無事に冥土の旅を終え成仏することを願う“ご冥福をお祈りします”という表現や、冥土にいる故人を表す“霊前”といった言葉は、浄土真宗ではふさわしくありません。
◆神式
冥福、成仏、供養、冥土、往生、焼香 |
神式では仏教と違い仏様になるという概念がありません。死後、故人は家の守り神になるという教えから、葬儀は御霊を神として祀るための儀式です。一般的に仏教の葬儀で使われる言葉は、神式では適していません。
お悔やみを伝える時は“冥福”は使わず、“ご愁傷様でございます”や“お悔やみ申し上げます”といった伝え方を選びましょう。
◆キリスト教
冥福、成仏、供養、お悔やみ、冥土、往生、ご愁傷様 |
キリスト教ではそもそも“お悔やみ”といった考え方はありません。死は生前の罪を許され神のもとへ召されることであり、祝福すべきと考えられています。仏教で使われる言葉は避け「安らかな眠り(または安らかな旅立ち)をお祈り申し上げます」といった言葉を選びましょう。
死因を尋ねない
死因を尋ねることは配慮に欠けた行いです。死因に関する話は控え、お悔やみや必要事項のみを簡潔に返信しましょう。
訃報メールの返信内容は?
①件名
件名には「お悔やみ申し上げます」の文と「名前」を明記しましょう。
特に相手がビジネス関係の場合は件名に“お悔やみ”の文字が入っていることで何のメールか一目瞭然のため、お相手もメールの確認がしやすいでしょう。取引先の方へ返信する場合は件名に①お悔やみ②会社名③名前を入れてよりわかりやすいように配慮すると丁寧です。
②内容
訃報メールの返信は簡潔かつ丁寧な文章で相手を気遣いましょう。とはいえ「元気を出して」や「頑張って」といった励ましは厳禁です。以下の内容を中心に文章を考えましょう。
・お悔やみを伝える
・相手を気遣う一文
・返信不要と記載する
《関係性ごと》訃報メールへの返信例文
①親族
〇〇様のご逝去を知り 突然のことで驚いております
私にできることがあれば 遠慮なさらずお声掛けください
心よりご冥福をお祈りいたします
※返信は不要でございます
②ビジネス(上司)
ご母堂様のご逝去に際し 心よりご冥福をお祈りいたします
直接お悔やみをお伝えすべきところ 略儀ながらメールで失礼いたします
返信のお気遣いは不要でございます
お力落としとは存じますが どうぞご自愛くださいませ
③ビジネス(取引先)
お身内のご訃報に 心よりお悔やみを申し上げます
本来ならば直接お伝えするべきではございますが
略儀ながらメールでのご連絡 失礼いたします
このメールへの返信はお気遣い不要でございます
ご冥福をお祈り申し上げます
④ビジネス(同僚・部下)
お父上様のご訃報を受け 謹んでお悔やみ申し上げます
略式ながらメールでのご連絡となり失礼いたします
仕事のことは気にせず ご家族とゆっくり過ごしてください
故人様の安らかな眠りを お祈りいたします
※返信は不要です
⑤友人・知人
お母様の突然のご訃報に 驚くとともに悲しみでいっぱいです
〇〇さんが無理をしていないか心配です
私で役に立てることがあれば いつでも力になります
ご冥福をお祈り申し上げます
(返信は不要です)
まとめ
今回は訃報メールへの返信マナーについて解説しました。
訃報メールには気を付けるべきマナーが多いことがわかりましたね。種類の多い忌み言葉や宗教によってのタブーなど、知らないうちに使用して失礼な印象を与えてしまうのは避けたいものです。突然知識が必要になった時のために基本的なマナーは覚えておきましょう。
返信文は例文を参考にして考えてみても良いですね。相手を気遣う気持ちを大切に、なるべく簡潔な文章になるよう意識して考えてみましょう。