お目出度いイベントがある時に祝儀袋が必要になることがあります。売り場を目にしたことがある人は多いかも知れませんが、バリエーションが非常に多く、一体どれを選べば良いのか分からず迷ってしまう、正確なマナーが分からなくて困るという人も居るのではないでしょうか。ここでは、祝儀袋の正しい選び方から、基本マナーまでを詳しくご紹介します。
祝儀袋とは?一体どんな意味を持つものなの?
日本では、お目出度い時に祝儀袋にお祝いを入れて渡す風習・習慣があります。そんなとき、必ず祝儀袋を用意すべきなのか、普通の封筒ではダメなのだろうか?と悩む人も居るかも知れません。では、なぜわざわざ祝儀袋を用いるのでしょうか?
我が国では昔から“人は生活をする中で日々穢れている”と考えられてきました。そのため、神社やお寺に入る際には手水で手や口を清めますし、一年の節目節目で穢れを祓うイベントを行ったり、贈り物を袱紗や風呂敷に包んで渡します。自分の穢れが他人に移らないようにするという優しい考えからこのような方法をとるようになったといわれています。
御祝儀は、目出度いことに用いられますので、尚更、穢れには気を遣います。汚れの無い真っ白な封筒の中に新札を入れ清浄を表わし、周りを美しく水引きで飾り綺麗でカラフルな和紙で装飾することで、お祝いの気持ちや華やかさを表わしているのです。相手の幸せを願って用意されているのですね。面倒だから買わなくて良いやと考えている人は是非本来の意味を考えてみてください。
用途で変わる!?祝儀袋の種類とチョイスの仕方
祝儀袋は同じ物のように見えますが、実は種類があります。用途によって選び方が変わりますので、注意が必要です。
祝儀袋には水引と呼ばれる飾りが付いていて、ここが見分けるポイントです。その形は3パターンあり、それぞれの名称と用途は以下の通りです。
⓵結び切り
結び切りは、特殊な結び方を施され、一度結んだら簡単には解けません。そのため、“何度も繰り返さないように”という願いを込める時に最適です。具体的には結婚式の御祝いです。紅白や金銀の水引が一般的ですが、近年では結び切りをアレンジした複雑かつ華やかな色、デザインのバリエーションも多く、選ぶ際にも楽しめるようになっています。
②蝶結び(花結び)
蝶結びは紐を解いて何度も結び直せます。そのため、“何度起きても嬉しい”とされるイベントに最適です。具体的には出産祝いなどです。
③あわび結び
結び切りの一種です。ウェディングや病気や怪我からの全快祝いなどに最適です。お見舞いの際にも利用しますが、熨斗を付けないのが一般的です。
このように、種類別に選ぶ目安があります。水引の他に、熨斗が付いていて、熨斗の有無でも用途が少し異なります。
また、飾りが派手でサイズが大きいものほど包む金額が多くなるという暗黙の了解があります。自分の包む金額に合わせて選ぶようにしましょう。
金額の相場はあるの?
祝儀袋に入れる金額には相場があります。贈る相手との関係性によって大きく変わりますので、事前に確認しておくと安心です。
ここでは、主に結婚、出産、お見舞いについてみてみましょう。
<結婚の場合>
兄弟姉妹・甥・姪は5万
同僚・友人は3万
挙式や披露宴に出席しない場合には1万~
披露宴に出席する場合は3万~
夫婦で披露宴に出席する場合は5万~
ウェディングでは、分かれる、割れるは忌み言葉として避けられるため、割り切れる金額はいけないとされていました。でも、近年では2万は対、ペア、2人というハッピーな意味を持ち良いとされています。ただし、4や9は死や苦しみを連想させるので避けましょう。
<出産の場合>
兄弟姉妹は1~3万
甥、姪、いとこなど親族3千~1万
友人5千~
会社関係1人幾らなど決めた金額を出し合う
相場はありますが、普段の親しさで金額は変動します。親交が深ければ多く渡しても構いません。
<お見舞いの場合>
親戚5千~1万
友人3~5千
会社関係3千~1万
会社の場合、社内規定で決められていることがありますので、トラブルを避けるためにも確認してから用意するようにしましょう。尚、個人的にお見舞いを渡す分には構いません。ただ、自分にお金があるからといって突然大金を渡してしまうのは相手が困ってしまうため、程よい金額で手を打ちましょう。
表書きや中袋の書き方は?
祝儀袋は慶事に使用されるため、表書きの氏名は、歓びを表現するため黒く濃い墨で書きます。正式には毛質で書きますが、筆ペンやサインペン、万年筆など裏写りしないペンでも構いません。
短冊の上段に“寿”“御祝い”などの文字が印刷されていますが、名前は上の文字よりも一回りほど小さめに書きます。1人の場合は、短冊の中心に、2人以上の連名の場合は、右から年長者順に書きます。3人以上になる場合は、代表名を書いた左側に“外一同”と書き、別紙に全員の氏名を書き連ねます。会社名を入れる場合には、右側に小さめに会社名を書き、その横に代表者の氏名を書きます。
中袋にも濃く黒い墨ではっきり見やすく書きます。表書きと同様のペンで構いません。中袋の表側に“金〇〇萬圓”と旧漢字で書きます。封筒の裏面には、左下に住所と氏名を書きます。
近年では、毛筆風のお名前スタンプなどもあり、字があまり得意でない人でも簡単に御祝儀が完成します。スタンプを使用する場合は、色が薄くならないよう、インクをしっかり補充してから使いましょう。
ふくさって一体どうやって包めば良いの?
祝儀袋は俗世の穢れから守るため、袱紗(ふくさ)に包んで持ち歩きます。でも、ふくさにどうやって包めば良いのか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか?詳しい包み方をみてみましょう。
⓵まず、袱紗を広げます。ツメが向かって右側に来るように、菱形状に広げます。
②祝儀袋の表側を上にして真ん中に置きます。
③左側を中央に折り込みます。
④上側を中央に折り込みます。(③の上に重ねるようにします)
⑤下側を中央に折り込みます。(④の上に重ねるようにします)
⑥右側を折り込み、ツメで留めます。
上下左右の順番に気を付ければそこまで難しいものではありませんので、気軽に活用してみましょう。
祝儀袋は再利用しても良いの?
結婚や出産などで祝儀袋をたくさんいただいた場合、再利用したい!!と考える人も居るかも知れません。
はたして、再利用は可能なのでしょうか?
再利用といっても、祝儀袋をそのまま使うケースと、別物として活用するケースとがあります。
祝儀袋としての再利用は、賛否両論があります。賛成意見としては「幸せの御裾分けで縁起がいい」とプラス思考に考えるものが多いようです。反対意見としては「使い古しでは失礼ではないか」と主に衛生面や日本古来の穢れ・汚れを懸念するものが多いようです。賛成派と反対派のどちらの意見も一理あります。また、そのまま再利用するには新しい中袋や短冊を別途購入する必要があるため、手間や値段を考えると凄く得をする訳ではなさそうです。その点を理解した上で、どうしても使いたいという場合にはそれも良いのではないでしょうか?
祝儀袋とは別物にリメイクする手段もあります。美しい和紙と水引を生かしたものにすることが多く、箸袋やポチ袋、メモ帳が人気です。水引だけを取り外し、箸置きにしたり、ヘアアクセサリーやイヤリング、ブローチ、帯留めなどのアクセサリーにして身に付けられるようにする人も居ます。普段使いはもちろん、和服の際にも重宝します。
上品なイメージを持つ水引で和の小物を作るのも素敵ですし、大切な人から頂戴したもので作るのは思い出になり嬉しいですね。
これは失礼!?NGマナー
祝儀袋を扱う上で、相手に失礼になるNGマナーがあります。折角、祝福する気持ちがあるのに、相手を不快にしてしまっては意味がありません。では、具体的にどんな点に気を付ければ良いのでしょうか。
まず、慶事の場合は表書きを濃い墨で書きます。反対に弔事は薄墨で書きます。掠れたペンでは悲しみを表現してしまいますので、インクの補充をしたもので書きましょう。お札の入れ方や祝儀袋の合わせ方も慶事と弔事では反対です。よく確認してから入れるようにしましょう。
また、袱紗の色にも注意します。慶事では赤やオレンジ、ピンク、イエローなど明るい色のものを使用します。紫や紺、グレー、黒、深緑などは弔事に使いますので目出度いイベントには用いらないようにします。
一番NGなパターンは中身が入っていなかった!!というエピソードです。本人は渡したつもりでも中身がない空袋では相手はがっかりです。時々、中袋自体を入れ忘れるということも起こり得ますので、要確認ですね。
まとめ
祝儀袋は結婚や出産など慶事の際に用いられます。祝儀袋にはバリエーションがあり、用途により選ばれています。種類が多く見えますが、大きく分けて3種類なので、簡単に覚えられます。近頃では、紙ではなく手ぬぐいや風呂敷素材のものもあり、再利用を見据えたエコな祝儀袋として人気です。中には11月22日(いい夫婦の日)の新聞模様の和紙で作られたものもあり、オシャレな演出と人気です。
基本的なマナーはそう難しくありませんので、分からない事は確認しながら使うようにしたいですね。