年末になると、お世話になった先輩や上司にお歳暮を贈る文化がありますよね。実際に贈ったことがない方でも、ご実家で見かけたりテレビなどでも宣伝されていたりと、何となくはご存知なのではないでしょうか。お歳暮は全国的に行われている習慣ですが、沖縄県では少し変わったスタイルがみられます。今回はそんな沖縄県のお歳暮事情について詳しくまとめてみました。興味深い一面が見えてくるかと思いますので、一見の価値ありですよ。
お歳暮は何のために贈るの?
まず、そもそもお歳暮とはどういった習慣なのかという点からおさらいしておきましょう。お歳暮を贈り慣れている方であればご存知かもしれませんが、社会人になりたての方や学生さんにはあまり馴染みのないことでもあります。せっかくなので、こちらでお歳暮の歴史を含め、何故こういった文化が続いているのかについてをチェックしていきましょう。
●お歳暮は室町時代から続く伝統
あまり馴染みのない方でも、テレビCMなどが流れているので、お歳暮は冬に贈るもの、ということはご存知なのではないでしょうか。そう、お歳暮の起源は室町時代に年末に執り行われていた「御霊祭り(みたままつり)」という、ご先祖様への感謝を表すためのお祭りであると考えられています。その時にお供えされたものを周辺に住む方々に配っていたということがお歳暮の原型といわれているそうです。
ご先祖様へ1年の感謝を表す品が、現代では形を変えて、お世話になった方へ1年の感謝を表す習慣として現代まで続いているのですね。
お歳暮はいつ贈るもの?
先ほど少しお話しましたが、お歳暮は冬・年末に贈るものであるということはご存知のとおりです。しかし沖縄県ではお歳暮の時期もかなり他の地域とは異なってきます。以下で全国的なお歳暮の平均時期と、沖縄県で一般的なお歳暮の時期を比較してみましょう。
●全国平均は12月中
お歳暮の時期は各地で違いがみられますが、概ね12月中に贈るのが適切と考えられています。中には12月の中旬~が最適と考えられている地域などもありますが、12月いっぱいまでが全国的にはお歳暮の期間とされているようです。
●沖縄県ではクリスマスまで!
一方沖縄県では、お歳暮の時期にも本島とは違った点がみられ、12月1日~25日、クリスマスまでがお歳暮の期間という捉え方がされています。他地域と比べ、終わりが少し早まっているということですね。これはどうも本島とのやりとりでは、という考えのようで、沖縄県内ではお正月(1月1日~1月3日)中にお歳暮を贈るという考え方も広く根付いているそうですよ。
一般的なお歳暮には何が選ばれる?
沖縄県のお歳暮は時期も少し違っていましたが、贈る品にも特徴がみられます。その違いを比較するために、まず一般的にはどういった品が選ばれているのかを以下で確認しておきましょう。
●断トツ人気は食品系
テレビのCMでも見かけるように、やはりお歳暮の定番は食品系となっています。例えば、
- 日持ちのするハム類
- 蕎麦やうどん
- 酒類
- 菓子折り
といったものがよく選ばれているようですね。その他、アロマセットなどの変わり種にも注目が集まっていますが、やはり冬の時期に温まりながら食べられるような商品や、日持ちのする食品系は贈り物の代表格として根強い人気があるようです。
お歳暮ギフトにも独特の沖縄文化が!
ではいよいよ、気になる沖縄県のお歳暮事情の中心を覗いてみるとしましょう。ギフトとして選ばれる品々には随所に沖縄県らしさを感じられ、興味深い内容となっていますよ。
●食品は食品でも…
沖縄県でもお歳暮の定番品はやはり食品系。しかし他地域とはかなり違った商品が選ばれているようです。例えば以下のような品が沖縄県では定番品としてお歳暮で贈られるそうですよ。
- ツナ缶
- お米
- 削り節
- スパム缶
- ブルーシール社のアイス
- シークァーサーのジュースやジャム
- 海ぶどう
- 泡盛
ぱっと見ただけでも、「ザ・沖縄県」という雰囲気が伝わってきますよね。ツナ缶、スパム缶、削り節、お米は普段の食卓でよく使用されるからこそ選ばれているのでしょう。その他のものも県内・県外問わず頂いて嬉しい品々ばかりですが、冬場にアイスクリームを贈るのは、沖縄県では一般的なブルーシールがあるからこその特徴ですね。
沖縄県のギフトショップやデパートでは、こういった品がお歳暮コーナーにずらりと並べられているそうなので、旅行の際はご自身用や会社用のお土産に選ぶのにも困らなさそうです。
お歳暮をいただいた後は…
一般的にはお歳暮を頂いた後、そのまま箱から出して冷蔵庫にしまったりするご家庭が多いですよね。中には神棚や仏壇にお供えしているというお宅もあるかと思いますが、そういったお家は現在では少なくなっていることでしょう。比べて、沖縄県ではお歳暮を頂いた後はどのように扱っているのかもご紹介いたしますね。
●ご先祖様にお供えするのが沖縄式
何かギフトを頂いた後は、必ずといっていいほど仏壇にお供えするのが沖縄県では一般的です。少なくとも年末に集まる親戚のお宅には必ず仏壇があり、お歳暮はその際に持ち寄って、一度お供えしてから分け合って持ち帰るのだそう。頂いたものが全てそのお家のものになるわけではなく、親戚内で必要な分だけ分け合うというわけです。沖縄独自の相互扶助精神である「ゆいまーる」の表れともいえる習慣ですね。
これはお歳暮の起源とされる御霊祭りに通じるものがありますし、お歳暮を一番きちんと行っているといえるのは、沖縄にお住いの方々かもしれません。
まとめ
沖縄県のお歳暮事情をピックアップしてお話してまいりましたが、かなり違いがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。独特の贈り物がたくさんあり、珍しさや楽しさが感じられましたよね。また、お歳暮を分け合う習慣もあり、何だか心が温まるような気がしませんでしたか?沖縄県のお歳暮は他地域とはまた違った特徴がありましたが、地域独自の文化として、これからも続いていってほしいですね。