お中元やお歳暮などに欠かせないものといえば「のし(熨斗)」ですが、実は多くの人がのしについて間違った知識を持っています。
これを読んでいるあなたも、勘違いしている可能性は大!
この記事では、多くの人が勘違いしているのしの認識と、のしの書き方などの基本情報を詳しくご紹介します。
のしとは?
突然ですが、上記の画像を見て正しいと思う文章を選んでみてください。
- のしをつけた箱
- のしがついたのし紙
- のしがついていない箱
- のしがついていないのし紙
どれが正解かわかりかすか?
正解は、2の「のしがついたのし紙」です!
もう一問。
デパートでお歳暮を購入した際に販売員の方に「のしはどうしますか?」と聞かれた場合、最適な答えはどちらでしょう。
- ついたものでお願いします
- つけてください
これはどちらでも通じますが、最適な答えは、1の「ついたものでお願いします」です!
この2つの問題の答えが間違っていたり、答えに違和感がある方は高確率で、のしとは何かを勘違いしています。
おそらくあなたがのしと思っているものは、のしではなくのし紙です。
こちらをご覧ください。
これが各名称です。
普段多く人が「のし」と呼んでいるものは正しくは「のし紙」で、本当ののしは右上にある飾りのような絵のことです。
さらに、のしの中にある黄色い3つの線、これを「のしあわび」といいます。
初めて聞いたという方が多いかと思いますが、この「のしあわび」がのしの始まりに大きく関わっています。
のし紙の始まりとその意味
始まりは1300年以上前
のしの歴史はなんと今から1300年以上前の720年(養老4年)まで遡ります。
日本書紀に書かれている神話によると、ある神様が海女さんからもらったあわびにとても感動して、伊勢神宮に献上してほしいいとお願いしましたところ、「生だと腐るので、のしあわび(薄く切って干したもの)にして献上いたしましょう」と答えました。
これがのしあわびの始まりとなり、1300年以上たった今でも伊勢神宮ではのしあわびがお供えされています。
現物ではなく飾りに
その後、高級で栄養価も高いのしあわびは心のこもった贈答品として扱われるようになりましたが、貴重なものがゆえ、人々は手に入れるのに大変苦労しました。
そこで、手に入れることができなかった人たちを中心に、贈答品にのしあわびに見立てたのし飾りを付けることが流行り始めます。
飾りから絵に
さらにその後のし飾りは絵で代用されるようになり、絵が描かれた紙は、のしあわびからその名を取って「のし」と呼ばれるようになって、今に至ります。
魚介を贈るときはのしをつけない
これはうっかり間違えがちなので今一度確認してくださいね。
のし紙に書かれているのしはあわびが描かれていますが、あわびは魚介です。
魚介類を贈る場合は、意味が重複してしまうため、のし(あわび)が描かれていない、水引だけが印刷されたかけ紙を使います。
また、ナマモノをお供えするのは良くないとされている仏前へお供えする場合ものしが描かれていないのし紙を使います。
理由は、のしに描かれているあわびがナマモノを意味するからです。
内のし・外のしとは
のしのかけ方は「内のし」と「外のし」があります。
外のしは、品物を包装した上からのし紙をつけることで、内のしは品物が入った箱にのし紙を付けて、その上から包装することです。
内のしにする場合
内のしは気持ちを控えめに表したい時に用います。
また、内のしには自身にめでたいことがあった時に「その幸せを周りにおすそ分けする」という意味も持つため、相手をお祝いする時にはふさわしくありません。
ただ、お歳暮を郵送する場合は、運ぶ際にのしが傷ついたり汚れたりしないように内のしをつけることもあります。お歳暮はめでたいことではないので内のしを使っても何の問題もありません。
外のしにする場合
外のしは飾られるなど人前で披露される可能性がある場合や、祝い事の場合、また気持ちを強く表したい時に使います。
お歳暮の場合はどっち?
お歳暮は感謝の気持ちのやり取りであって祝い事ではありませんので、お歳暮を贈る場合は「直接お渡しするなら外のし」「郵送なら内のし」と判断して差し支えありません。
ただ、のしは地域によって認識が変わることがありますので、購入する際にスタッフの方にお尋ねするのが確実です。
お歳暮に使うのし紙
のし紙には基本的に水引がついていますが、その水引ごとに意味があり、それに合わせて用途が変わります。
祝いのしは「紅白蝶結び」「結び切り(10本)」「結び切り(5本・7本)」があり、仏のしには「仏・藍銀水引」があります。
通常のし紙
お歳暮には通常、紅白蝶結びを使います。
紅白結びは、すぐにほどけて簡単に結びなおすことができる様子から「何度も繰り返したい」という意味を持つので、一般祝事やお中元やお歳暮の時に使います。
短冊のし紙
「短冊のしは使ってもいいの?」という疑問を持つ人が多いようですが、短冊のし紙は通常ののし紙と同じ意味と役割を持つので使っても何の問題もありません。
短冊のし紙とは通常のし紙より小さく、贈答品の右上に糊や両面テープなどで貼り付けて使います。
ただし、お相手が恩師など目上の方で、なおかつあなたが気になるのであれば短冊のしではなく通常ののし紙を使うと良いと思います。
お年を召された方の中には「短冊のし紙=簡略化されたもの」と捉える方も全くいないわけではないので、不安であれば通常のし紙が無難です。
喪中の場合ののし紙
一般的なお中元ギフトには通常ののし紙と紅白の水引が使われていますが、「のし」と「紅白」はお祝い事を意味するので喪中にはふさわしくありません。
喪中の場合は、送り先が喪中でもご自身が喪中でも、白い無地の奉書紙や白い短冊を使い、表書きに「御歳暮」と書きます。
喪中・忌中の場合の御歳暮に関して詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
のし紙の書き方
のし紙には「表書き」と「名入れ」をします。
表書きの書き方
期間内に贈る場合
お歳暮の期間内に贈る場合は「御歳暮」と書きます。
お歳暮の時期に関して詳しく知りたい方はこちらからどうぞ
年始〜松の内に贈る場合
お歳暮の期間に間に合わず、上記の期間以内に贈る場合は「御年賀」と書きます。
ただし、松の内は地域によって1月6日〜15日まで期間に開きがあるので事前確認が必要です。
松の内明け〜立春に贈る場合
忌中・喪中などの事情により御年賀の時期も超えてしまった場合は「寒中御見舞」と書きます。
立春はその年によって日にちが変わるのでご注意ください。(だいたい2月4日頃)
また、贈る相手が目上の方の場合は寒中御見舞ではなく、「寒中御伺」になるのでお気をつけください。
名入れの書き方
名入れは人数により書き方が変わります。
個人名の場合(一人)
名入れ部分に氏名を入れます。
3名以上の連名の場合
目上の人の名前から順に右から書いていきます。
夫婦の場合は、旦那様が右(フルネーム)、奥様が左(名字なしの名前だけ)にくるよう記入します。
4名以上の連名の場合
3名を超える場合は、中央に代表者の名前を書き、その左下に「他一同」もしくは「有志一同」と書きます。
省略した人の名前は中包みに記載します。
会社名を入れて贈る場合
中心より少しだけ右側に控えめに会社名を書き、中心もしくは中心より少し左に、会社名より低い位置に、会社名より大きな字で名前を書きます。
まとめ
お中元やお歳暮に欠かせないのし紙。
のし紙は目立つので間違いのないよう、注意が必要です。
しかし、最近はお歳暮の品物を購入する際にのし紙も一緒にお願いできる場合がほとんどなので、もし不安な方はその場でのし紙を書いていただきましょう。
感謝の気持ちを伝える年末のご挨拶。
年末は何かとバタバタしがちなので早めに準備に取り掛かりましょう。