お歳暮については分かっているつもりの人も多いかもしれませんが、いつ誰に差し上げる贈り物をお歳暮と呼ぶのでしょうか。
普通のプレゼントとは違う、お歳暮の意味から、正しい贈り方や贈るタイミングまで詳しく解説していきます。
実際にお歳暮を贈る前に知っておいた方がよいことを、たくさんお伝えします。
ただのプレゼントではない!!お歳暮には意味がある。
歳暮には年末という意味があります。
かつては正月に先祖の霊が神様として家に帰ってくると考えられていました。
その神様にお供えするものを持って、外で働いている人や、分家になった人が年末に実家に集まりま
た。
いつしかその年にお世話になった人に贈り物を差し上げる習慣に変化したといわれています。
現在ではお歳暮は年末に、その年にお世話になった目上の人、例えば会社の上司、習い事の先生、仲人さんなどに1年の感謝の気持ちとともに差し上げるものになっています。
お歳暮は決して義務ではありませんから、自分で贈りたい人に贈ってよいのですが、感謝の気持ちを表し、年末の挨拶をするという意味がありますから、品物だけを贈るのは止めた方がよいでしょう。
直接持参して差し上げるときだけでなく、宅配便を利用するときも必ず品物だけではなく、感謝の言葉を伝えるのが大切です。
目上の人には手紙を書くのが丁寧ですが、電話でも構いません。
電話なら直接声を聞けるため、楽しい時間が過ごせるので、かえって喜ばれることもあります。
手紙ならいつ、何を贈ったかを知らせるとともに、こちらの近況も伝えましょう。
品物を選んだ理由を書き添えるとよいですね。
例えば、「当地の名産は緑茶です。ぜひ〇〇様にもおいしいお茶を飲んでいただきたい、と思って選びました。」などと書けば、相手もお歳暮を楽しみにしてくれるでしょう。
お歳暮の正しい贈り方が知りたい!
目上の人に差し上げる贈り物といえば、夏のお盆の頃に差し上げるお中元も有名です。
差し上げる時期が違いますが、お中元とお歳暮は同じ役目のものです(もちろん季節によって贈り物の内容は変えましょう)。
お中元とお歳暮は対になっているので、
お中元を贈ったら、必ずお歳暮を贈ります。
もしどちらか1度にしたい場合は、お歳暮にしてください。
また、今年お世話になったから、
1度だけお歳暮を贈るというのは失礼にあたります。
また贈り物の値段を、その時々で変えることも失礼にあたります。
この先ずっと贈れるかをよく考えてから、贈るかどうかを決めましょう。
そして贈ることを決めたときも、無理せず、贈り続けられる値段の贈り物を選んでください。
1度だけお世話になったお礼をしたいなら、お歳暮ではなくお礼という名目で贈るようにすれば、失礼になりません。
公務員の人など、職業によってはお歳暮を受け取れないことがあります。
あらかじめお歳暮を贈ってもよいのか、確かめることも必要です。
習い事の先生に自分だけの考えでお歳暮を贈ると、抜け駆けととらえられることもあります。
周りの同じ立場の人とよく相談してからお歳暮を贈りましょう。
お歳暮はいつ贈る?正しいタイミングとは
お歳暮を贈る時期には、地域によって少しズレがあります。
関東では12月1日から20日頃、関西やその他の地域では12月10日頃から20日頃まで、沖縄では12月初旬から25日頃までとなっています。
現在では11月末からお歳暮を贈ることもあり、早いぶんには問題ありませんが、あまり遅くなってしまうと年末の忙しい時期に重なり、相手に負担を与えてしまいます。
贈る側としても年末の忙しい時期にお歳暮のことまで考えるのは負担になりますから、どの地域に住んでいても、12月中旬までにはお歳暮を贈ると考えていればよいでしょう。
本来お歳暮は持参して手渡しするものでしたが、忙しい年末に自宅に訪ねて来られるのを嫌う人もいるので、宅配便を使っても失礼にはあたりません。
しかしお歳暮を贈る前には、あらかじめ相手に連絡をしておくのが親切です。
宅配便を受け取るためには、相手が家にいなければなりませんし、贈り物によっては冷蔵庫の中をあけておかなければならないかもしれません。
事前に手紙や電話で連絡をするのは、感謝の気持ちを伝えるだけではなく、いきなり品物を送りつけて、相手を困らせてしまわないように、という実用的な意味もあるのです。
お歳暮を贈るタイミングを逃して年が開けてしまったら、お年賀として贈ってもよいでしょう。
お年賀を贈る期間は、関東は1月7日まで、関西は1月15日までです。
その後にも、寒中御見舞、寒中御伺として贈ることもできます。
お歳暮を贈る時期は意外に短いので、これらのことを覚えておくとよいですよ。
お歳暮にはどんな贈り物がふさわしいのか?
実際にお歳暮を贈るとき、目上の人にはいったい何を贈ったらよいのか迷う人もいることでしょう。
あらかじめ相手の好みをリサーチできれば、それが最もよいのですが、分からない場合は家族構成を考えて決めても良いでしょう。
夫婦2人だけの家庭なら、何を贈るにしてもそんなに量はいりません。
スイーツでもグルメでも良質のものを少量、食べ切れる程度でよいでしょう。
小さな子どもさんのいらしゃるご家庭なら、保存できるスイーツやジュースをたっぷり贈ると喜ばれます。
子どもがいると洗濯の回数も増えますから、洗剤なども喜ばれます。
どんな相手に贈るときにも、後に残るものより、消えものと呼ばれる、使うと無くなる飲食物や洗剤などが歓迎されます。
お歳暮の相場は、値段は3千円から5千円の間です。
自分の年齢も考えて値段を決めますが、20代から40代くらいの年齢なら、この値段で十分です。
毎年差し上げるお歳暮が家計の負担になっては困りますし、受け取る相手もあまりにも高額なお歳暮は心の負担になります。
相手の好みに合わなかった場合を考えて、最初にお歳暮を贈る人へは、飲食物なら保存がきくもの、たくさんあっても困らないものを考えるとよいでしょう(他人にお裾分けできるからです)。
何を贈るか迷ったら、カタログギフトを利用すれば、
好みの品を選んでもらえます。
これなら、頭を悩ませることも減りそうですね。
お歳暮にはのしが必要!のしの書き方とは
お歳暮にはのし紙という白い紙をかけます。
昔からのしきたりですが、お歳暮を贈ったのが誰なのかはっきりわかるようになっている、機能的なしきたりです。
のし紙には水引をかけますが、お歳暮は何回も贈るものなので、蝶結びの水引を選んでください。
何回も結び直せることから、蝶結びの水引は何回あっても嬉しいこと(お歳暮以外には出産など)に使います。
水引より上の中央部分には、「お歳暮」と表書きを書きます。
水引の下の中央部分には、自分の名前を書きます。
周りに同じ名字の人がたくさんいる状況でなければ、名字だけで構いません。
のし紙には、品物に直接のしをかけて、その上から包装する内のしと、包装紙の上からのしをかける外のしがあります。
宅配便を利用する場合は、のし紙が傷まないように内のし、直接手渡しでお歳暮を差し上げるときにはのし紙が目立つように外のしを使うことが多いようです。
お歳暮を贈るときに使う、水引が印刷されたのし紙は、喪中の人にはお祝いのようで使いにくいですね。
お歳暮はお世話になったお礼であり、お祝いではありません。
お歳暮を贈ること自体は悪いことではありませんが、喪中の人はいろいろと忙しいので、四十九日法要が終わってから贈るとよいでしょう。
そのときは水引が印刷されていない無地の白い紙にお歳暮と書いて贈りましょう。
お歳暮は変化している・新しいカタチのお歳暮とは
少し前までお歳暮は持参して直接手渡すのが常識でした。
しかし今では宅配便を利用するのが新しい常識になっています。
カタログギフトを利用するのは、失礼といわれたこともありましたが、予算に応じて好きな品を選んでもらえるカタログギフトは、贈る人、受け取る人両方に喜ばれる新しい常識になっています。
ネットでお歳暮を購入して、配送することも可能になりました。
自分の家からは遠いデパートの特別な品物を、家にいながらにして贈ることもできるのです。
お歳暮を贈る相手も、今までとは違って、実家の両親や友人など身近な人に贈るようになりました。
気が付かない内にお歳暮は変化を続け、昔に比べて、自由に贈りやすくなりました。
身近な人にはなかなか感謝の言葉を伝える機会がありませんから、お歳暮はよい機会です。
お歳暮の形や常識が変わったように、しきたりやマナーも変化します。
今まではお歳暮を贈ったことがないという人も、昔のしきたりやマナーを気にしすぎることなく、お歳暮の習慣を取り入れてみてください。
まとめ
お歳暮の意味から始まり、正しいお歳暮の贈り方やお歳暮を贈るタイミングなどについて解説しました。
どんなことについても、ただ単にしきたりを覚えるのは難しいですが、きちんと意味を理解していると、自然にどうすればよいのかわかってきます。
お歳暮についても、正しく基本を理解していれば、後はネット通販やカタログギフトなど、自分がよいと思うことをどんどん取り入れていけばよいのではないでしょうか。
自分の周りの人への感謝の気持ちを忘れなければ、きっとよい贈り物になりますよ。