寒中見舞いに比べて、あまり聞くことがない余寒見舞いですが、実は私たちのお付き合いに役立つ便利な存在です。聞いたことがない名前なので、身構えてしまう人もいるかもしれませんが、とても簡単に相手に届けられます。
寒い冬こそ、暖かな人の気持に触れると、うれしいものです。余寒見舞いについて知って、今年は大切な人に届けてみませんか。
余寒見舞いとは何?いつまで出せる?寒中見舞いとの違い!
余寒見舞いとは、寒い時期に大切な人たちを気遣ってするあいさつのことです。
現在でははがきを出すのが一般的ですが、封書を出す、あるいは直接相手の家を訪ねて安否を確かめるのも、余寒見舞いです。
寒い時期には体調を崩したり、外出がおっくうになって家に閉じこもりがちになったりします。そんなときに「体調は大丈夫ですか?元気でいてください」というメッセージを相手に伝えるのが余寒見舞いの役割です。
寒中見舞いの方が、名前に聞き覚えがある人も多いでしょう。寒中見舞いも役割は余寒見舞いと同じですが、出す時期が違います。寒中見舞いはお正月の松の内が終わった後(1月8日頃)から、立春の前の日(2月3日頃)までに相手に届けます。
立春からは暦の上では春ですが、まだ寒さは厳しいので、余寒見舞いと名前を変えて、あいさつ状を届けます。余寒には立春の後まで残る寒さという意味があります。
余寒見舞いがいつまで出せるかは、その地方によって違います。寒さが厳しい地方では、3月上旬まで出せる場合もありますが、大体の場合は2月いっぱいまでと思っていた方がよいでしょう。
寒中見舞い、余寒見舞いはともに同じ役割を持っていますが、時期によって名前が違うことは覚えておきましょう。せっかくのあいさつが時期外れの名前では、何となく気が抜けたようになってしまうかもしれません。
余寒見舞いはどんな人に、どんなときに出せる?
余寒見舞いは誰にでも出すことができます。寒中見舞いと同じで、喪中はがきの代わりにする人もいます。年末に葬儀をしたなら、余寒見舞いの方が時期的に余裕を持って出せますね。反対に喪中はがきを受け取った人が、相手を気遣って出すこともできます。
葬儀のときはどんな人でも忙しく、連絡に漏れがあるものです。だから相手が喪中だと知らずに年賀状を出してしまうことや、喪中はがきを受け取っていない人から年賀状が届くこともあるでしょう。そんなときにも、余寒見舞いで、おわびのメッセージを伝えられますから、慌てないでくださいね。
ただし、喪中の人に送るときは、言葉使いに注意しましょう。おめでたい言葉(慶びや年賀など)、不吉な言葉(去る、病むなど)、重ね言葉(たびたび、重ねがさね)は使わないようにしましょう。つい使ってしまう怖れがあるのは去年という言葉です。これには去という字が使われているため、使うのは縁起が悪いといわれています。昨年、旧年などと言いかえてください。
もちろん、ご無沙汰をしている友人、知人に出しても構いませんし、寒中見舞いをいただいたのに、返事が遅くなった場合にも余寒見舞いが使えます。年賀状のように、1度出したら毎年出さなくては、元日に到着するように出さなくては、と考える必要がないので、気楽に相手に届けられます。特に寒い時期にあまり出歩けないお年寄りや、妊婦さんに出すと喜ばれるでしょう。
年賀状を出しそびれた人が寒中見舞いのはがきを出すことがあります。もし遅れて立春が過ぎてしまったら、余寒見舞いのはがきを出してください。
余寒見舞いは、はがきと封書、どちらがよい?
誰にでも気楽に出せる余寒見舞いは、はがきが使われることが多いです。
はがきは長文を書く必要がありませんから、手紙を書き慣れていない人も気楽に出せます。
でも、相手に伝えたいことが多い場合は、はがきではスペースが足りません。封書(封筒と便せん)を使うとよいでしょう(封筒に入っていれば、文面が外から見えないので、いろいろと書いても安心ですね)。
はがきにはかわいい色や柄がそろっているのもうれしいポイントですね。まだ寒い時期ですが、春の訪れを感じさせる色や柄を選べば、受け取る人にもきっと喜んでもらえるはずです。梅にウグイスの柄や、椿の花の柄は色合いも華やかで、一目で春を感じられるでしょう。
余寒見舞いはがきは購入してもよいですが、自宅にプリンターがあるなら、無料で作ることもできます。【余寒見舞い はがき 無料】とネットで検索すると、無料で使えるテンプレートがたくさん出てきます。
目上の人に使えるスタンダードなものから、ポップでかわいいデザインまでいろいろと選べますから、余寒見舞いを出すのが一層楽しくなるでしょう。
また、寒中見舞い、余寒見舞いともに余った年賀はがきを使うのはマナー違反ですから、十分に注意してください。もし余った年賀状を使いたいなら、郵便局の窓口で所定の手数料を支払うと、普通の官製はがきに取りかえてもらえますから、それを使ってください。
どうやって書き出す?あいさつは決まっている?
余寒見舞いでは、「余寒お見舞い申し上げます」という冒頭のあいさつが、もっともポピュラーです。
春寒や残雪という言葉を使うこともあります。これらはどちらも春の季語として使われています。春寒は余寒と同じで、立春を過ぎた後の寒さのことで、残雪は春になっても残っている雪を意味しています。受け取る相手が住んでいる地方に合わせて、言葉を選ぶとよいでしょう(雪が多い地方なら残雪を選ぶなど)。
ほかに残寒や残冬という言葉が使われることもありますが、これらは春寒と同じような意味で、暦の上では春になったから、使える言葉です。どんな言葉をあいさつに使おうかと考えるのも、余寒見舞いを書くときの楽しみだと考えるとよいですね。
親しい相手ならあいさつの言葉をもっとくだけたものに変えてしまっても、問題はありません。「ご機嫌いかがですか」や「寒いけれど、いかがお過ごしですか」などでもよいのです。
余寒見舞いは、あいさつをする相手によっていろいろな表情を見せます。それだけ、懐が深いということができるでしょう。
ただ、どんなときにも相手の健康を気遣う言葉を忘れずに入れるようにしましょう。
先程も紹介しましたが、もともと日本には寒い時期や暑い時期に、相手の健康を気遣って、あいさつをする習慣がありました。それが余寒見舞いを始めとするあいさつとなって現在も残っています。このことを忘れずに、寒いけれどカゼなどひいていませんか、と一言を書き添えると受け取る人はもっとうれしくなるはずです。
冬のごあいさつには年始状もある!
寒中見舞い、余寒見舞いはともにお正月が終わってからのあいさつになるため、新年にあいさつをしたい人には不向きだと思われるでしょう。もちろん、年賀状で新年のあいさつができますが、大抵の場合、喪中の人は出すことも受け取ることも遠慮しているはずです。
そこで最近になって登場したのが、年始状です。年始状は年賀状と同じく、元日に届くように出しますが、お祝いの言葉を使っていないので、喪中の人が出しても受け取ってもよいとされています。だから相手が喪中かどうかがわからない場合や、喪中の知らせをするべきか悩んでいる相手にも出すことができます。
年始状と寒中見舞い、余寒見舞いで、冬の寒さの厳しいときのあいさつを、いつでもできますね。ただし、お祝いの言葉をつかわない年始状は年賀はがきも使いません。早めに出すと年内に相手に届いてしまいますから、投函する日に注意してください。もし心配なら、郵便局で年始状として出したいと、職員に伝えるとよいでしょう。
1度でも体験した人はわかるでしょうが、年賀状の来ないお正月はとても寂しいものです。
そんなときに、元日に年始状が届けば、喪中の人の心を慰めることができるはずです。ぜひ、余寒見舞いとともに、年始状の存在も覚えておいてくださいね。
まとめ
今回は余寒見舞いについてお知らせしました。余寒見舞いとは何か、いつまで出せるのか、また寒中見舞いと違いなどもわかりましたね。とても便利に使えるので、ぜひ今年の冬、1度は大切な人に寒い時期のごあいさつをしてみましょう。
今回は年始状の存在についてもお知らせしました。喪中のときでも、寒中見舞い、余寒見舞いとともに冬のお付き合いに役立ててください。年賀状のやり取りができないと、お付き合いに空白期間ができてしまう場合がありますが、これらを上手に使うことで、空白を埋めることができるでしょう。
寒さが厳しいときのごあいさつが、きっと春、暖かくなってからの楽しいお付き合いにつながりますよ。