入院中に職場の人からお見舞いをもらった場合、退院時や職場復帰時にお礼の品を渡すのがマナーです。とはいえ、贈り主の立場や関係性によってお返しの相場や渡し方が違うため、失礼にあたらないか心配になる方もいるでしょう。 本記事では、快気祝いや快気内祝いの選び方やのしの書き方、渡す時期などお見舞いのお礼についてのマナーを解説します。また、快気祝いにはタブーとされる品や職場へのお礼におすすめの品も併せてご紹介します。
連名?個人?職場へのお礼は贈り主によってマナーが違う
職場へのお礼は、いただいたお見舞い・お見舞金が会社としてのものか、また、複数名からか個人からかによって渡し方や選び方が変わってきます。失礼のないようにするためにも、誰からどういったものをいただいたのかわかるようにしておきましょう。
贈り主が会社名(社長)の場合は職場へ確認を
お見舞いの贈り主が会社名、社長名の場合は、会社慶弔費から贈られているケースが考えられます。
会社慶弔費とは、会社ごとに定められている社員の慶弔事に使用するための福利厚生費です。すべての会社で規定があるわけではありませんが、多くの会社で導入されている予算です。
会社慶弔費からのお見舞いか社長や社員からのお見舞いか迷う場合は、職場の総務や経理、秘書に確認をしておくと安心です。
【お礼のポイント:会社慶弔費(福利厚生)】
会社慶弔費から出されたお見舞いには、形式的なお返しを用意する必要はありません。
在籍する部署や普段一緒に働いている人達へ、快気祝いとしてお菓子を配ったり簡単なギフトを用意したり、仕事を休んでいる間のお礼を準備しておく程度で良いでしょう。
贈り主が“部”や“課”の名前、一同や有志なら連名
贈り主が〇〇部や〇〇課など部署名の場合、一同や有志といった言葉がついている場合は連名で贈られたお見舞いです。
仕事のチームやグループ、担当など、色々なケースがあります。職場から連名でお見舞いをいただいた時は、贈り主の人数を把握しておきましょう。
【お礼のポイント:連名①】
連名の場合は、お見舞い金の総額を贈り主の人数で割ります。一人当たりの金額の“3分の1から2分の1”程度がお礼の目安となります。
例:お見舞金10,000円を5人からもらった場合
10,000÷ 5=2,000(一人当たりのお見舞い金の額)
3分の1→約700円、2分の1→1,000円
つまり、5人の連名で10,000円のお見舞金をもらった場合は、一人当たり700円~1,000円程のお礼が適切です。
【お礼のポイント:連名②】
連名になっている人の数が多い、または一人当たりの金額が1,000円を下回る時は、お菓子やギフトを箱でまとめて用意する方法でも良いでしょう。
連名でいただいたお見舞金の“3分の1から2分の1”を目安にお礼の品を選びます。
例:お見舞金10,000円(5人連名)なら、3,000円から5,000円の品が適切です。
社長、上司や同僚などの一個人の名前の場合
贈り主が社長・上司・同僚・部下など、一人の名前である場合は個人から贈られたお見舞いです。
ただし、贈り主が社長の場合は「会社慶弔費」からのお見舞いの可能性も考え、職場へ確認をしておきましょう。
【お礼のポイント:個人】
基本的には、半返しといわれる“いただいた額の2分の1”が目安です。
しかし、社長や上司からのお見舞いが高額の場合は、3分の1程度の金額で考えても良いでしょう。
職場の人へお見舞いのお礼を渡すタイミングは?
◆連名の場合
連名でお見舞いをいただいた場合は、職場に復帰する日に快気祝いを持っていきましょう。業務中は避け、始業前や休憩時に一人ずつお礼を伝えながら手渡しすると良いですね。
◆個人の場合
個人からお見舞いをいただいた場合は、退院から10日ほどを目安に快気祝いを渡すようにしましょう。体調が良ければ、退院後すぐにでもお礼の電話を入れると丁寧です。
※すぐに職場復帰できない場合
退院後も自宅療養を必要とするケースでは、快気内祝いを贈ります。ただし、体調にもよるため無理はせず、自分のペースでかまいません。お礼を用意できていない場合でも、職場への電話は入れるようにしましょう。
快気祝い?快気内祝い?のしや表書きはどれが適切?
水引は紅白・結び切りを
◆色
水引は慶事・祝い事には紅白、弔事・お供えなどには黒白(または黄白)を用います。退院や療養期間を終えたことをお礼とともに報告する「快気祝い」も紅白の水引が適切です。
◆形
水引の形は「結び切り」を使用します。結び切りは結び目が固結びになっており、飾りひもの両端は上を向いています。
引っ張っても解けない結び方のため「一度きり」や「二度同じことが起こらない」という意味があり、快気祝いとしては「病や事故などがもう起こらないように」という願いを表しています。
ただし、入院や療養が長引いてしまう場合はのしをかけない方が良いという考え方もあります。
表書きは回復状況によって異なる
お見舞いのお礼に使用できる表書きは複数あり、体調や復帰の状況によって適切な文言は変わります。状況ごとにどんな文言が適しているかをご紹介します。
①退院&全快し、元の生活に復帰できる
→快気祝い・全快祝い
病やケガから回復&退院した場合に「快気祝」「全快祝」と記し、お見舞いをいただいた方へお礼を贈ります。
全快祝いの方が文字通り“完全に回復した”状態を指していますが、一般的には「快気祝」の方がよく使われています。
②退院後も自宅での療養・通院を続ける必要がある
→快気内祝い、御見舞御礼、退院内祝い
ある程度回復し退院したものの、全快まで時間を要する場合は「快気内祝」「御見舞御礼」が適切です。職場復帰に時間がかかる場合、体調のため時間や業務へ配慮してもらう必要がある場合に使用すると良いでしょう。
「快気内祝」と四文字での記載は縁起が良くないのではという考えの人もいるため「快気之内祝」と五文字で記す方法もあります。
「退院内祝」も快気内祝いと同じ意味ですが、あまり一般的ではない書き方です。
③入院や療養が長引いてしまう場合、退院できなかった場合
→御見舞御礼、御礼
入院中にお見舞いをいただいたものの入院期間が伸びてしまったときは「御見舞御礼」「御礼」を使用します。また、退院が叶わず亡くなってしまった場合には、遺族が「御見舞御礼」として入院中にいただいたお見舞いのお礼を忌明け後に送ることもあります。
職場への「お見舞いお礼」を郵送する場合のマナーは?
直接職場へ出向くことが難しい場合やすぐに復帰できない場合は、お礼品を郵送するのも一つの手です。
基本的には、郵送する際ものしはかけるのがマナーです。通販ショップで購入する際はのしの有無を確認しましょう。
手渡しの時と違い直接お礼を伝えられないため、お礼状を添えることを推奨します。お礼状の書き方は目上の人には丁寧な文章を、仲の良い同僚宛ならば形式ばった書き方でなくても良いでしょう。メッセージには、入院期間にお見舞いをいただいたことへの感謝や、おかげさまで回復しましたという旨を記載しましょう。
お見舞いのお礼には向いていない品物は?快気祝いの品NG例
・後に残るもの
昔から、快気祝いは“後に残るもの”は避け“消えもの”を渡すという風習があります。後に残るものとは、食器やインテリアなど長く使っていけるものです。病や怪我が「残る」という考え方から、お見舞いのお礼品としてふさわしくありません。
また、鉢植えの植物も根付く様子から「寝付く」をイメージさせやすいため快気祝いに適していません。
・寝具
寝具関連は入院生活を連想させやすいため、快気祝いとして贈ることは避けた方が良いでしょう。
・金券、商品券
一目で額面がわかってしまうものはタブーとされる風潮があります。金券や商品券、ギフトカード、現金などは避けましょう。
特に、目上の人への贈り物に金額がわかってしまうものを選ぶのは失礼にあたります。
職場への「お見舞いお礼」におすすめ!快気祝い・快気内祝いの品物
職場の人からいただいたお見舞いのお礼によく選ばれているギフトは以下のものです。おすすめの5つをご紹介します。
快気祝いおすすめ①お菓子
消えものとして代表的なものがお菓子です。個人へ贈る場合も、複数名へまとめて用意する場合も、選ぶ商品によって柔軟に対応できることがポイントです。
連名でいただいたお見舞いへのお返しには、個包装タイプの詰め合わせを選びましょう。賞味期限が近い商品は避け、人数分がまかなえる商品を探すと良いですね。
快気祝いおすすめ②紅茶、コーヒー
紅茶やコーヒーは仕事中や休憩時に飲まれやすいため、職場の人へのお礼としておすすめです。ドリップコーヒーや個包装のティーパックなら複数名にも配りやすいでしょう。お菓子では好みがわからず困るといった方は紅茶やコーヒーを選んでみてはいかがでしょうか。
快気祝いおすすめ③洗剤、石鹸
洗剤や石鹸は、病や怪我など悪いものを洗い流すという意味があり、快気祝いに向いている贈り物です。
ただし、香りの好みは個人差があるため、無香料や無難な香りのものを選ぶことをおすすめします。
快気祝いおすすめ④入浴剤
食べ物の好みが心配な場合は入浴剤を選ぶという手段もあります。入浴剤も洗剤と同様に香りの好みが分かれてしまうため、さまざまな香りのものが詰め合わせされている商品を選ぶと良いでしょう。
快気祝いおすすめ⑤タオル
タオルは消えものではありませんが、病や怪我などの悪いものを拭い去るという意味があり、快気祝いに選ばれやすい贈り物です。デザインの好みを把握している相手でない場合は、派手なものを避け無難なものを選びましょう。
まとめ
ここまで「職場の人からいただいたお見舞いへのお礼」について解説しました。
ひとえにお見舞いへのお礼といっても、回復状況や職場復帰の状況によって「快気祝い」とするのか「快気内祝い」とするのかお返しの種類自体が変わってきます。相手の立場や関係性にも気を付ける必要があるため、きちんとマナーを守りたいですね。
病み上がりや回復途中には無理せず体調と相談しながら準備することも大切です。ぜひ記事を参考にして、感謝の気持ちを伝える品を選んでみてくださいね。