普段何気なく使っている言葉が忌み言葉の場合もありますが、おめでたい言葉が忌み言葉になることもあります。
忌み言葉に気をとられるあまりに伝えたいことが上手く伝えられないようでは本末転倒です。
どんな言葉が忌み言葉か見極めたうえで、ご自身の気持ちを相手の方に伝えられるように注意しましょう。
忌み言葉の意味は?
忌み言葉とは、結婚式やお葬式、受験などで使用を控えた方が良い縁起の良くない言葉です。
分かりやすいのは「四」や「九」といった、「死」「苦しむ」という意味を連想させる言葉です。
日本人は昔から言葉には影響があると考えてきました。
「言霊」と言い、発した言葉がその場に影響を与えると信じ、現在にも忌み言葉として残っているのです。
不吉な言葉はそのまま現実になってしまうという事から、忌み言葉は別の言葉に置き換えるようになっています。
それぞれの場で忌み言葉は少し異なってきます。
手紙を書く時やスピーチをする時などは、忌み言葉を使用していないか事前にチェックしましょう。
式にはさまざまな年代の方が出席されていますから、自分にとっては平気な忌み言葉でもその方々にとってはやはり気にするということもあるので注意しましょう。
不幸を連想させる言葉が忌み言葉なのはわかりやすいのですが、重ね言葉はなかなか意識できないものです。
「どんどん」や「みるみる」「ますます」「わざわざ」などは、忌み言葉としてわかりにくいものです。
悪気がなくても忌み言葉になるものもあり、年配の方々は特に気にするので注意しましょう。
お祝いごとでの忌み言葉の種類
結婚祝いや出産祝いで手紙やスピーチをする場合には、別れや結婚を繰り返す言葉、流産や死産を連想させる言葉はやめましょう。
「別れる」や「もう一度」や「短い」という言葉は使ってはいけない理由はなんとなくわかるのですが、「近々」や「皆々様」という言葉も忌み言葉なんです。
しばらく会っていない方への結婚祝いのお手紙で「近々お会いしたいです」と書いてしまうと失礼にあたるので気をつけましょう。
「皆々様もお元気で」という言葉も使ってしまいがちです。
結婚祝いの忌み言葉には「切れる」「帰る」「重ねがさね」「くれぐれも」「再三」「二度と」などがあります。
出産祝いの忌み言葉では「失う」「悲しむ」「滅びる」「早い」などがあります。
手紙やスピーチをする場合には念を入れて確認しましょう。
「忙しい」という言葉も「心」を「亡くす」と書くので避けた方が無難です。
「忙しい」は「ご多忙」に言い換えましょう。
お祝いごとでは忌み言葉だけでなく、「、」や「。」も縁起が悪いと言われています。
これらは「区切りをつける」という意味がありますので避けましょう。
句読点をつけたい所ではい1文字分を開ければ良いでしょう。
段落を変える時にも文の頭を空けないという決まりがあります。
忌み言葉は気にし始めると多くてなかなか難しいものです。
ですが結婚式はおめでたい日ですので、よほどのミスがない限りは縁起の良い言葉になります。
万が一忌み言葉を使ってしまっても、それがお祝いの心から出た物なら聞き流してくれるでしょう。
ミスはない方が良いのですが、できるだけお祝いの気持ちがきちんと伝わるように確認しましょう。
お葬式での忌み言葉の種類
お葬式では、死や人が苦しむ事が続く事を連想させる言葉は避けましょう。
遺族の方の負担を少しでも和らげるために、「生」や「死」という言葉は柔らかい言葉に言い換えることが大切です。
お葬式は遺族の方だけでなく、周りの方も精神的に負担を感じています。
万が一にでも精神を逆なでや、悲しませることのないように細心の注意が必要です。
忌み言葉だけでなく、亡くなった原因を尋ねることや生前に伝えたかった言葉なども避けましょう。
お葬式では人が喜び楽しむということを連想する言葉も忌み言葉になります。
主な忌み言葉は「近々」「しばしば」「引き続き」「再び」などです。
日本にはさまざまな宗派が存在しているので、宗教上使ってはいけない言葉もあります。
事前に相手の方の宗派を確認しておきましょう。
仏教では常識的な言葉でも他の宗教や宗派では失礼な言葉も存在します。
最もよく聞くお悔やみの言葉では「ご冥福をお祈り申し上げます」という物があります。
この言葉は仏教用語なので仏教では良いのですが、浄土真宗やキリスト教、神道では使いません。
「冥福」という言葉は冥途の旅の事を意味しています。
仏教では死後49日の間は冥途と呼ばれるあの世へ行く道をさまよっていると考えられています。
この冥途の旅の最中に生前の行いに対するさばきを受けるのです。
「冥福を祈る」という言葉は、冥途の旅を無事に終えて成仏するようにお祈りすることなのです。
ですので全てのお葬式で使える言葉でなないのです。
浄土真宗やキリスト教、神道の場合には「哀悼の意を表します」や「安らかな眠りをお祈り申し上げます」といった言葉が良いでしょう。
仏教言葉は他にもあります。
「往生」や「成仏」「供養」も仏教言葉です。
ですので浄土真宗、キリスト教、神道では使用できません。
お葬式の際には気をつけましょう。
また、遺族の方を励ますつもりで「元気を出してください」や「頑張ってください」といった言葉も避けましょう。
まずは遺族の心に寄り添う事が大切なのです。
お見舞いや退院、全快での忌み言葉の種類
お見舞いや退院、全快では病気やケガが治ることが大切なので、再び入院することをにおわせるような言葉は避けましょう。
主な忌み言葉は「繰り返す」「落ちる」「枯れる」「長い」などです。
「死ぬ」「苦しむ」なども忌み言葉ですが、うっかり使う方は居ないでしょう。
無事に退院したことをお祝いする言葉なので前向きな言葉を選ぶことが大切です。
再発や新しいケガなどをにおわせる言葉には気をつけましょう。
長く入院している方にはお手紙を書くこともありますので気をつけましょう。
「追伸」という言葉も忌み言葉の様に重なりを連想させるので避けましょう。
新築や開業祝いでの忌み言葉の種類
新築や開業祝いでは、火災や災害を連想させる言葉は忌み言葉です。
また、経営が落ち込み、うまくいかない様子を連想させる言葉も避けましょう。
主な忌み言葉は「燃える」「負ける」「閉まる」「詰まる」「赤」などです。
新築の忌み事は比較的少なく、わかりやすいので間違えて使うこともすくないでしょう。
ご自身が家を建てた時にかけられたくない言葉を考えればわかりやすいでしょう。
忌み言葉は他の言葉に言い換えられるの?
忌み言葉を避けるあまりに、大切なお手紙やスピーチの言葉が不自然になってしまうことがあります。
そういう事を防ぐためには、まずは忌み言葉を含んだ文章を作成し、忌み言葉を別の言葉に言い換えていきましょう。
「新しいスタートを切る」という言葉は一見ポジティブですが、「切る」が含まれています。
「切る」は忌み言葉になるので使えないのです。
この場合は「新しいスタート地点に立つ」や、「新たに出発する」という言葉に言い換えられます。
「桜舞い散る季節」という言葉も風情がありますが、「散る」が忌み言葉になります。
「桜の花が舞い踊る季節」や「桜の花びらが舞う季節」に言い換えましょう。
退院祝いでよく使われる「仕事に戻る」も「戻る」が忌み言葉とされます。
「仕事に復帰する」と言い換えれば大丈夫です。
結婚式でしたらお祝いの席なので少しの忌み言葉は流されることもありますが、それ以外の場で使ってしまうことは厳禁です。
忌み言葉をご存じの方なら耳に残ってしまうので、少しの忌み言葉でも常識がないと判断されるおそれがあります。
文章をきちんとチェックして、万が一にでも失礼のないようにしましょう。
NGな言葉
普段話している時には気づかない、NGな言葉というものがあります。
友人どうしで会話している時には良いのですが、あらたまった時に使うと忌み言葉と同じ様に慎んだ方が良い言葉となる場合があります。
例えば「ぶっちゃけ」「ヤバイ」「マジで」などのカジュアルな言葉はNGなので避けましょう。
下ネタも同様で、相手や周囲の方に気を使う必要があります。
公の場にはさまざまな考えを持った、色々な立場の方が居ます。
どの立場の方にも不快感のないようにこころがけることが大切です。
きちんとした自分を見せることが相手のためであり、思いやりです。
品を見せるということは照れ臭くて普段はなかなかできないものです。
普段はカジュアルな言葉を使っていても、大切な日だけは言動に気を配り、大人として恥じないようにしましょう。
まとめ
忌み言葉は普段意識せずにつかっているものもあり、なかなか気づくことはできません。
手紙やスピーチの文章ができたら、忌み言葉をチェックしてくれるサイトや、目上の方に文章を見てもらって確認しましょう。
忌み言葉として扱われてない言葉でも、その場にふさわしくない言葉というものがあります。
さまざまな場面でかけるべき言葉とかけてはいけない言葉を瞬時に選ぶことは難しいものです。
事前に言葉を考え、細かくチェックすることで忌み言葉を含んでしまうミスは防げます。
大切な方にきちんと気持ちを伝えるために、準備をおこたらないようにしましょう。