お葬式と一言にいっても、さまざまな種類があります。
お葬式に参列する経験は少ない方が良いのですが、いざと言う時に何も知らなくて恥をかくことは避けたいものです。
いざという時に慌てないよう、一般的なお葬式についてをご紹介します。
前もって確認をしておきましょう。
お葬式とは?
お葬式とは、人が亡くなった際に行う、弔いを目的とした儀式のことです。
葬式には宗派や弔う人々の死生観などが強く反映される傾向にあります。
葬式や葬儀は、旧石器時代から行われていたとされており、古代から宗教的行為が存在していたことの証となっています。
また、お葬式は故人のためだけではなく、残された遺族などのために行われるという意味もあります。
残された人々が、故人の死を受け入れるためにお葬式をするということです。
古代ギリシャや古代エジプトなどの古代社会では、死者が腐敗するということに非常に恐怖を感じていました。
そのため、腐敗を見る前に葬儀を行っていました。
お葬式と葬儀との違い
お葬式と葬儀は何が違うのか?迷う人も居るのではないでしょうか?
実は葬儀と葬式では、基本的に同じ意味を持ちます。
そのため、あまり厳密に使い分ける必要はないと言えますが、葬儀は故人を弔い葬る工程全体のことを指し、葬式は葬儀と告別式など一部の儀式だけを指すと考えられます。
葬儀には、故人の看取りから、納棺、お通夜、葬儀、告別式、出棺、火葬、納骨、初七日、四十九日と喪に服す期間の一切の儀式があります。
その中の葬儀と告別式が葬式と呼ばれるのです。
このように、お葬式と葬儀との違いはそこまで気にしなくても良いのかもしれません。
葬儀と告別式の違い
では、葬儀と告別式はどのような違いがあるのでしょうか?
葬儀は近親者が故人の成仏と冥福を祈る宗教的儀式です。
家族や親族が集まり読経をあげてもらい弔うというものです。
この葬儀には、残された近親者が故人の死を受け入れられるように援助するという意味があります。
告別式は故人に関わりのあった人たち全てがお別れをする社会的な儀式です。
昔の告別式は遺体を埋葬する前に行う儀式で葬儀とは別日に行っていましたが、現在では同日に行われています。
お葬式のルール
人が亡くなると、お葬式を執り行います。
通常、葬式の前夜には通夜を行い、近親者が交代で寝ずの番をして、夜明けまでロウソクや線香の火を絶やさないようにします。
これらの火には魔除けの意味合いがあるため絶やしてはいけないとされています。
近年は防犯面から一晩中火を焚くことが問題視されてきましたので、半通夜という形で夜間は遺族が帰宅する方法をとるところも増えてきました。
遺体を安置している際に、遺体の胸の上に刃物を置きます。
これは魔除けの意味をもつものです。
遺体を安置している際には供物を供えます。
枕飯、枕団子などで、枕団子は米粉で作られます。
団子の数は地域差があります。
葬儀では僧侶が読経などを行い、葬儀が終わると出棺となります。
出棺の際に座敷を掃き出ししたり、カゴや臼を転がしたり、茶碗を割る風習のあるところも。
棺をその場で三回まわしたり、建物の周りを三回まわってから出棺する地域もあります。
火葬場には行く道と帰ってくる道が同じにならないようにします。
これは、死霊が後を付いてこないようにするためと言われています。
しかし、地域によっては逆に同じ道を通ることにしているところもあります。
葬儀告別式は、友引の日は避けます。
友を引くという良くないイメージがあるためです。
葬列をする際に振り銭、振り餅を行う地域もあります。
お葬式の時間はどのくらい?
お葬式に参列したいけれど、どのくらいの時間がかかるのかを知らない人も多いのではないでしょうか。
一般的な葬儀・告別式は、その後の火葬場の予約時間や移動時間を考慮して、開式時間が決められます。
告別式は開式から閉式までがおよそ40分、その後、出棺のお見送りをして、トータルおよそ1時間前後になります。
告別式に参列するのであれば、お見送りまでをするのがマナーですから、時間に余裕を持ち参列しましょう。
焼香は必ずしなければならないの?やり方は?
お葬式の際によく目にする焼香ですが、一体どのように行えばよいのでしょうか?
見様見真似でやろうと考えていても、自分が一番になってしまうことも有り得ます。
そのため、恥をかかないように覚えておくと安心です。
そもそも、焼香とは、故人や仏に向け香を焚き、拝むことをいいます。
お葬式の他にも法要で行われています。
細かくした香を高炉に落としますが、こうすることで、心や身体の穢れを取り除き、清い心でお参りするのです。
一般的には数珠を左手に掛け、右手で焼香します。
基本的な焼香のやり方としては、右手親指、人差し指、中指で香を少しつまみ、眉間の高さまで持ち上げます。
この眉間まで上げる動作を「おしいただく」と言うのですが、実際に口に入れたりしないように注意しましょう。
そしてその香を香炉へ落とすのです。
繰り返し1~3回行います。
宗派により回数は異なりますので、事前に調べておくと良いでしょう。
献花がある場合も・・・
告別式では、お焼香の代わりに献花をする場合もあります。
献花は祭壇にお供えする場合と棺の中へ入れる場合とがあります。
基本的に参列者が1人一本ずつお供えします。
献花は供花や枕花とは違います。
供花は祭壇などに近親者や関係者が用意したお花を飾ったものです。
枕花は、遺族や知人が白い花を中心にアレンジメントしたものを用意し、故人の枕元に置きます。
供花や枕花は飾り要素が強いため、花束やアレンジメントになっていて献花の花とは異なります。
献花をする際には、会場係から両手で花を受け取ります。
この時右手側に花が来るように持ちます。
その後、遺族へ一礼し祭壇へ進みます。
祭壇へも一礼し花が付いている方を自分に向けて花を置き、遺影を見て黙とうします。
再び後ろへ下がり、遺族に一礼します。
お葬式にふさわしい服装
お葬式に参列する場合、ふさわしい服装があり、ブラックフォーマルを着用するのが基本的なマナーです。
男性の場合は黒いスーツに白いシャツ、黒いネクタイ、靴も靴下も黒いものを身に付けます。
喪服として購入していればその一式となります。
お葬式の場では和室が用意されていることもあり、靴を脱ぐ場合もあり得ますので靴下はくるぶし丈は避けましょう。
金色の時計などは外します。
女性の場合は、黒いワンピースとジャケットがセットになった喪服が良いでしょう。
夏場でも極力肌の露出を極力避けるため、5分丈より長い袖の物を身に付けましょう。
冬場はそこへジャケットを羽織ります。
スカートの下は黒いタイツを履き黒いパンプスを合わせます。
パールネックレスは一連だけのものにしましょう。
学生の場合は、学生服や入学・卒業式の際に着用したフォーマルウェアを身に付けます。
服装が比較的自由なお通夜とは違いますので、お葬式用のブラックフォーマルを用意しておくと安心です。
お葬式に持参するお金
お葬式に持参するお金は香典と言います。
香典の相場は3千円~5万円程になります。
顔見知り程度であれば3千円~5千円、友人や知人の場合は5千円~1万円、特に親しければ1万円~3万円、親族は1万円~5万円と故人との関係と、精進落としなどに参加するか否かで金額が変わってきます。
精進落としなどの会食に出席する場合には1人あたりプラス1万円程が相場となっています。
また、故人が部下などの場合は、自分の方が立場上ですので1万円~が相場となります。
香典で包む金額は、1.3.5.10が主流です。
あまり割り切れる数字は良くないとされています。
また、4や9など死をイメージする額や枚数も避けます。
香典の場合は新札ではなくても構いませんが、しわくちゃ過ぎるものは避けましょう。
香典袋は黒白水引のものを使用します。
表書きは「御霊前」などとし、氏名を薄墨で明記します。
世界のお葬式
近年ではグローバル化が進み、世界中の人と知り合いになる可能性が高くなってきました。
世界でもお葬式は行われていますので、代表的なお葬式の概念や方法を知っておくと良いでしょう。
キリスト教のお葬式・・・カトリック教会の葬式では、人の死は完全な終わりではなく、永遠の命と復活への希望に通ずると考えられています。
また、世界統一の葬儀を行うのではなく、その地域の文化に合わせた柔軟な者であると言えます。
そのため、日本では焼香の文化を取り入れる式もあります。
死者のために祈るだけでなく、残された者に対しても祈りを捧げます。
キリストが死んで復活を遂げたように、自らも祈ることでそれにあずかるという信仰を持つのです。
ギリシャ正教(正教会)では、埋葬式を行っています。
連祷と無伴奏声楽の聖歌から構成されています。
故人が神から罪の赦しを得て天国に行き、神からの記憶を得て永遠の命と復活を祈願します。正教会では、逝去を永眠、亡くなるを永眠する、故人を永眠者と呼びます。
正教会での死は、来世の復活までの仮初の眠りとして捉えているからです。
プロテスタントの葬式は、日中の埋葬、礼拝の葬儀である場合がほとんどです。
プロテスタントの死は、肉体を離れて天の神やキリストの下へ召されるだけで、また天国で再開するまでの一時的な別れであり、悲しむべきではないとされています。
イスラム教のお葬式・・・イスラム教の死は、神であるアッラーの審判の日に復活すると信じられています。
そのため死後は早めに土葬をします。
土葬の際は、頭部をメッカに向け、右腕が下になるように埋葬します。
遺族は一定期間喪に服しますが、男性は3日間、女性は4カ月と10日間派手な生活は控えます。
道教のお葬式・・・道教では、風水に影響を受けた葬式が行われています。
葬式では白を基調とし、埋葬場所や時間は風水師に聞きます。
埋葬後は四十九日まで七日毎に墓へ出向き、紙銭を焼いて読経をして弔います。
最終的には遺体の骨を洗い、金塔という陶器製の納骨器に納め直されます。
儒教のお葬式・・・儒教では、道教の葬礼に似ている部分が多いと言われています。
儒教の死生観では、人が死ぬと魂(こん)と魄(はく)との二つに分かれるとされています。
魂は精神、魄は肉体を司り、魂は天に昇り神となり、魄は地に還ります。
葬儀では天国や地獄など7つの世界を巡らせ、再びこの世に生まれ変れるようにと願いを込めます。
バリ島のヒンデゥー教・・・水辺で火葬をしてそのまま水に流します。
水辺や海辺まで死者を運びますが、葬列は非常に手間やお金がかかり、同じ地域から他の死者が出るまで待つこともあります。
お葬式の種類
お葬式には、さまざまな種類があります。
密葬・・・自害した方や死因などを公にしたくない方が選ぶ事が多い葬儀方法です。
生前の遺言で密葬を指定する人もいます。
家族葬・・・家族だけで見送るお葬式です。
国葬・・・故人が国家の功労者などの場合、国費で行われる葬儀のことです。
市民葬(区民葬)・・・市などの自治体と葬儀社が提携し、安い価格でお葬式が挙げられるプランです。
福祉葬(民生葬、生活保護葬)・・・葬式代の捻出が難しい方が葬祭扶助を受けて行うお葬式の事を指します。
企業葬・・・故人が企業役員などの場合、会社をあげて行うお葬式のことです。
生前葬・・・生前に自分の意思で葬式を行うことです。
まとめ
お葬式は、故人の死を悼み、安らかに眠れるように弔う儀式のことを指します。
故人や遺族の宗教や死生観でどのように捉えているかが少々異なりますが、どの考えも間違いではありません。
葬式の種類も遺体の処理方法も世の中には数多くのパターンが存在するのです。
ここでは、一般的なお葬式についてを主にご紹介しましたが、今後、時代の変化と共に更にさまざまな様式のお葬式が現われると考えられます。
しかし、根本的なマナーなどは変わりません。
知らずに恥ずかしい思いをしないよう知識を身に付けておく事をおススメします。