新型コロナウイルスも収束の兆しが見え、少しずつですが街が活気を取り戻しつつあります。
そんな中、日本の古き良き文化である「お中元」の季節がやってきました。
お世話になっている方々に日頃の感謝の気持ちをお伝えする気持ちの良い行事ですが、毎年必ずといっていいほど「喪中・忌中の場合はどうしたらいいの?」という質問をみかけます。
そこで今回は、お中元を渡したいお相手が喪中・忌中の場合、また、ご自身が喪中・忌中の場合のお中元マナーを質問形式でご紹介します。
喪中と忌中(きちゅう)の違いは?
まずはここを抑えていただいた上で話を進めたいと思います。
喪中と忌中の違いは、故人が亡くなってからの期間のことです。
忌中は、仏式の場合は命日から四十九日、神式の場合は五十日までのことを示し、喪中は忌中以降の命日から1年間のことを示します。喪中に関しては、仏式神式関係なく同じ期間を喪中とします。
一般的には仏式の家庭が多いでしょう。
喪中・忌中でもお中元は送っていいの?
お祝い事は避けるのが喪中・忌中ですが、お中元はお祝いではなくあくまで「感謝をお伝えするもの」なので贈っても問題ありません。
しかし、相手が忌中の場合は避けたほうが良いと思います。理由は、まだ相手先がバタバタしていたり、故人との別れに心の整理がついていない可能性があるからです。
相手に感謝の気持ちを伝える行動は素晴らしいことですが、もらった側はお返しをしたりお礼状を準備しなければなりません。
相手の負担にならないタイミングかどうかを考えた時に、忌中は避けたほうが良いかなと思います。
ご自身が忌中の場合は、無理して送る必要は全くありません。
喪中の場合は、相手が喪中でも自分が喪中でも送って問題ありませんよ。
忌中でもどうしても送りたい場合は?
毎年恒例になっていたり、どうしても感謝の気持ちを伝えたい場合は、忌中が過ぎるのを待って「御中元」ではなく「残暑御見舞」として贈ります。ちなみに、相手が目上の方なら「残暑御伺い」になるのでお気をつけください。ついうっかり「残暑御見舞」で贈ってしまう人をよくお見かけします。
喪中の時の熨斗(のし)はどうしたら良い?
喪中にお中元を贈るのは問題ないですが、のし選びには注意が必要です。
一般的なお中元ギフトには通常ののしと紅白の水引が使われていますが、のしと紅白の水引はお祝いを意味するものなので喪中の方に贈るにはふさわしくありません。
白い無地の奉書紙や白い短冊を使い、表書きに「御中元」と書くのが一般的です。
ネットで注文する場合は、備考欄に喪中であることを忘れずに記しておきましょう。
これは送り先が喪中の場合も、ご自身が喪中である場合も同じです。
のしについて詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください
喪中の相手には何を贈るべき?
個人的にはそこまで神経質になる必要はないと思っておりますが、忌中の間などは相殺は避けたほうがベターなので、魚や肉を外し、先方が喜びそうなものを選びましょう。
また、きらびやかなものや派手な装飾のものも避け、落ち着いた色合いのものを選びます。
めでたいイメージのある紅白の品も避けましょう。
家族構成をふまえた上で、贈る品やギフトの中身の数などを考慮しましょう。
もし送り先が忌中が明けたばかりでまだ何かとお忙しそうなら、料理が楽になる品や、そうめんなどを送る、小さなお子さんがいるご家庭ならゼリーやジュースなどにする、などの配慮をするとより喜ばれるかと思います。
故人宛にお中元が届いた場合はどうしたらいい?
これは「他界したことを知らない」場合と「知ってはいるけれど毎年の習慣だったので」という場合が考えられます。
知っている場合
生前と変わらぬご厚情に感謝を申し上げる旨のお礼状をお送りします。
お返しの品を送る場合はいただいたものの半額〜同等の品をお送りします。
知らない場合
亡くなったことを知らない場合は、お礼と共に亡くなったことをお伝えし、連絡しなかったことへのお詫びをお礼状に必ず書きます。
内容は、
- 季節の挨拶
- いただいた品へのお礼
- 亡くなったことのご報告
- 連絡が行き届かなかったことへの心からのお詫び
- 相手の今後の健康などを祈念する言葉
- 結びの言葉
にまとめます。
例文
拝啓 残暑お見舞い申し上げます。
この度は父〇〇に思いがけず結構なお品を頂戴し、誠にありがとうございました。
父〇〇は、2020年○月○日に老衰のため亡くなりました。
ご報告が遅れましたことを深くお詫び申し上げます。
頂戴した品は早速仏前に供えさせていただきました。
父が生前に賜りましたご厚情に深く感謝いたしますと共に、皆様の健康とご多幸を心より祈念いたします。
などとお礼状を書きます。
また、お返しの品を送る際には、「心ばかりの品をお送りしましたのでご受納いただける幸いです」などと書き足しましょう。
喪中の期間にお中元をもらった時のお返しは?
喪中に関わらず、お中元をもらったら、できるだけ早く(2〜3日以内)にはお礼状を出しましょう。
また、基本的にはお中元のお返しは不要とされていますが、マナーなどではなく、気持ちの問題でお返しをしたい場合はいただいた品の半額程度のものを選ぶと良いでしょう。
お返しが必要ない場合
お仕事関係の取引先や部下、教え子などから頂いたお中元には、喪中でなかったとしてもお返しをする必要はありません。お礼状だけお送りましょう。
お返しをする場合
上下関係や仕事の付き合い一切関係なく、日頃からお世話になっていたり親族同士の場合はお返しをすることが多いです。
喪中であっても同じです。ただし、忌中のタイミングの場合は時期をずらしてお返しをしましょう。
贈りたい本人が亡くなった場合、お中元は家族宛に送って良いの?
これはよくありません。特に忌中や喪中の場合、故人のご家族が辛い思いをしてしまう恐れがあります。
もし故人との家族とも深い付き合いがあり、お中元を贈りたい場合は、家族宛に贈ります。
しかし、故人の家族と付き合いがない、もしくは今後もずっと関わっていくほどの深い付き合いがない場合は、当人が亡くなったのを機にお中元を贈ることをやめるのが一般的です。
まとめ
お中元とは相手に感謝を伝える夏の行事です。
大切なのは、感謝している相手に嫌な思いをさせたり、負担をかけてしまわないこと。
この記事でご紹介したように基本的なマナーはありますが、これは贈る相手によっても変化します。
例えば忌中を過ぎてもショックから立ち直れない人や、しなければいけないことが山積みな人もいるでしょう。
まずは相手の状況を把握して、お中元を送っても負担にならないか考えてから贈るかどうか決めるのが一番です。
今回はお中元について書きましたがお歳暮もマナーは同じですので、お中元、お歳暮を贈る際に参考にしていただけたら幸いです。