特に大手の会社勤めであったりすると、夏場や冬場はお中元・お歳暮のことを考えなくてはなりませんよね。中小企業ではあまりみられなくなった習慣ではありますが、普段お世話になっている先輩や上司に感謝の意を表すギフトとして、まだまだ根強く残る文化です。
同じ地域で働いていると分かりにくいものですが、実はお中元やお歳暮は、地方によって時期が異なるとご存知でしたでしょうか?今回はそんなローカルなお中元・お歳暮の時期について詳しく解説してまいりますよ。
お中元・お歳暮にはどのような意味が?
まずそもそも、お中元やお歳暮はどういった意図で贈るものなのでしょうか。「会社の風習として何となく贈っていた」という方も実際多いはず、こちらでお中元とお歳暮の由来についても確認しておきましょう。
●お中元は半年間の感謝を表す
お中元は元々中国の風習で、三元と呼ばれる上・中・下元の内の一つ。この三元はそれぞれ1月・7月・10月の15日を指し、厄払いの日として考えられていました。中元は特にご先祖さまの供養も併せて行う日であったため、それが日本に伝来すると、元々お盆の習慣がある日本では徐々に形が変わっていき、「その年の夏場までの感謝を表す日」という習慣となっていったようです。
●お歳暮はその年1年分のお礼として
お中元は中国由来の習慣でしたが、お歳暮の起源は「御霊祭(みたままつり)」と呼ばれる日本の習慣です。12月にご先祖さまに感謝するためにお供え物をし、しばらくしてからそのお供え物を周囲の方に配っていたことが始まりとされています。ご先祖さまへの供養→お供えを周囲の方に配る→その年の感謝の念を贈り物で表す、という変化があったわけですね。
お中元の地域差はかなりある!?
お中元とお歳暮、どちらも起源は違えど、感謝を込めて贈り物をする習慣となっていったことが分かりましたね。感謝の念を込めて贈るものですから、失礼のない形で贈りたいものです。しかしここで注意しなくてはならないのが、お中元を贈るのに適切とされる時期は各地で異なるということ。地域によって差があるため、遠くの方へお中元を贈った際「遅かったな」と思われる可能性もあるのですよ。
以下で各地域の、お中元に最適とされている時期について確認しておきましょう。
●北海道
北海道では7月15日~8月15日までがお中元に最適な期間です。丁度旧盆にあたる時期ですね。北海道は他の地域と比べても違いがあることが多いですから、昨今は早めに届くお中元にも寛容になってきています。しかし8月15日以降は残暑見舞いと考えられますので注意が必要ですよ。
●東北・関東地方
日本の東側の地域では、7月1日~7月15日までがお中元のベストシーズン。15日間という期間の短さから、最近では6月下旬からお中元を贈るケースも増えているそうです。あまりに短期間に集中してしまうと、希望日に配達してもらえないということもあるようなので、そういったこともシーズンを早めている一因といえるでしょう。
●北陸地方
北陸地方は少し厄介な考え方で、北海道と同じ7月15日~8月15日までという地域と、東北・関東と同じ7月1日~7月15日までという地域とに分かれているようです。比較的東北・関東式に考えるところが多いようですが、北陸地方にお住いの方にお中元を贈る際は、念のため送り先の地域の考え方を聞いておく・調べておく方が良いでしょう。
●東海・関西・中国・四国地方
北海道と同じく、東海・関西・中国・四国でもお中元は7月15日~8月15日までに贈るものと考えられています。しかし少し違う点は、8月15日以降は残暑見舞いと考えられますが、こちらも9月までに贈るべきとされていることです。お中元を贈り忘れて残暑見舞いにしようと思っても、9月以降に届くようだと失礼にあたりますので気をつけてくださいね。
●九州地方
8月1日~8月15日までが、九州ではお中元に適した時期とされています。しかしかなり他の地域とも差があり期間も短いため、7月中に贈るようにしている方も増えてきてはいるようです。
●沖縄県
沖縄県はかなり特殊な考え方で、旧暦のお盆にあたる3日間の内に贈るべきとされています。暦によって変わるため、毎年微妙に日付はズレてしまいます。例えば、
- 2019年は8月13日~8月15日
- 2020年は8月31日~9月2日
- 2021年8月20日~8月22日
となります。
沖縄にお住いの方にお中元を贈るなら、カレンダーをあらかじめチェックしてからにすると確実といえますね。
お歳暮の時期はあまり変わらない!
お中元は地域によってかなり差があり、場合によっては1ヵ月ほど異なっていることもありましたね。それに比べるとお歳暮は、地域差はあるものの比較的同じような時期のため少し安心ですよ。多少前後することがあるので、念のため目を通しておいてくださいね。
●北海道・東北・北陸・東海・中国・四国・九州地方
12月10日~12月31日までが、多くの地域でお歳暮のベストシーズンです。場所によっては12月13日~というところもありますが、概ねこの期間に贈るようにすれば問題ないですよ。
●関東地方
関東では12月1日~12月31日までと、お歳暮は12月中に届けられるようにすべきと考えられています。関東圏内の方にお歳暮を贈るのであれば、ゆっくりギフト選びもできそうですね。
●関西地方
関西はかなり短く、12月13日~12月20日までがお歳暮に最適とされています。関西にお住いの方にお歳暮を贈る際は、遅れてしまわないよう、特に注意が必要でしょう。
●沖縄県
沖縄県では12月1日~12月25日までがお歳暮のベストシーズン。時間に余裕もありますし、クリスマスまでと覚えると分かりやすいですね。
もし遅れてしまったら…
日本各地のお中元・お歳暮のベストシーズンをまとめてきましたが、とはいえ誰しも失敗はしてしまうもの。「この日までに届くようにしよう」と考えていても、予想外に郵送の日数がかかってしまったり、ギフト選びをし忘れてしまうということもあるでしょう。そういった場合、お中元とお歳暮それぞれどのような対応をすればお相手に失礼にならないのでしょうか。
●お中元の時期を逃してしまった場合
お中元に最適とされる時期を過ぎてお相手に届いてしまう場合、「暑中見舞い」もしくは「残暑見舞い」としてギフトを贈ることが可能です。
- 暑中見舞いは、梅雨明け~立秋(8月7日頃)まで
- 残暑見舞いは、立秋(8月7日頃)~8月31日まで
暑中見舞いは「夏の一番暑い時期に贈る」、お相手の健康を気遣いうかがうためのもの。つまり梅雨が明けた頃から暦上の秋までにあたるというわけですね。残暑見舞いはそれ以降の、まだ暑さが残る時期に同じ目的で贈るギフトです。お相手に届けられる日にちに合わせて名目を変えると良いですよ。
●お歳暮の時期を逃してしまった場合
お歳暮がベストシーズン以内に届けられないということであれば、「お年賀」もしくは「寒中見舞い(寒中御伺)」として贈ることができますよ。
- お年賀は、松の内(元日~1月7日、地域によっては15日以内)と呼ばれる期間まで
- 寒中見舞いは、松の内を過ぎてから立春(2月4日頃)まで
松の内はいわゆる「明けましておめでとうございます」とあいさつする期間のこと。お歳暮に間に合わなくとも、届けられる日程によって名目を変えるようにしましょう。最悪立春までにはギフトがお相手に届くように手配してくださいね。
どちらかだけ、ということもアリ?
お中元とお歳暮は、それぞれ半年スパンで方々に贈り物をするわけですから、忙しい現代人にとっては中々難しい習慣といえます。またギフト自体もそこまでお安くありませんから、お若い方にとってはかなりの負担ですよね。社内でお中元・お歳暮の文化があるようでも、ご自身の身を削ってまで無理に贈る必要はありません。しかし、もしどちらか一方でもお世話になっている方に感謝の念を伝えたいというならば、お中元とお歳暮のどちらにギフトを贈るべきといえるのでしょうか。
●片方だけなら、お歳暮にすべき!
先ほど、お中元は半年間の感謝を、お歳暮はその年一年間の感謝を込めて贈り物をする、とお伝えしましたね。このことから、もしお中元かお歳暮かだけでも贈り物をしたいのであれば、お歳暮の時期にするべきといえます。その一年間の節目にあたる年末に贈るわけですし、やはり「この一年もお世話になりました、来年もよろしくお願いします」という両方の意味が込められて良いのではないでしょうか。
もちろん、可能であればお中元も喜ばれるギフトではありますが、どちらかにするのであればお歳暮を贈るようにすると良いですよ。
まとめ
お中元とお歳暮に関する地域差についてお話してまいりましたが、お住いの地域を離れると、同じ習慣でもまったく別の時期と考えられていることが分かりましたね。特にお中元はかなり時期がズレていることもありますし、贈り先の方の地域とベストシーズンについては事前に確認しておくべきといえます。お中元・お歳暮を贈る際は、ぜひこちらの記事を思い出していただき、丁寧な形で感謝の気持ちを贈るようにしてくださいね。