もうすぐお中元の季節。日頃の感謝の気持ちを込めて贈るお中元の準備はすすんでいますか?
この記事では、お中元に欠かせないのし(熨斗)について、基本から意外と知られていない知識やマナーまで幅広くご紹介します。
知らず知らずの内にマナー違反していませんか?
のし(熨斗)紙とは?
多くの人がのしと呼んでいるものは、正式には「のし紙」のことを指します。
先ほどはのし紙のことをあえてわかりやすく「のし」と書きましたが、本来のし紙とのしは別のもの。
のしとは、のし紙の右上に書いてあるのし絵という小さな絵の中に描かれている黄色くて細い棒のようなもののことです。
ちょっとややこしいのですが、のし絵とのしを合わせて「のし」と呼ぶ場合も多いです。
デパートでお中元ギフトを買う際に「のしはどうしますか?」と聞かれることがあるかと思いますが、この場合ののしはのし絵のことを指しています。
のし絵が描かれているものはのし紙、のしが描かれていないものを掛け紙といい、お中元やお歳暮にはのし紙が、弔辞では掛け紙が使われるのが一般的です。
のしの意味
のしはもともとアワビの干物を表したものです。
古来からアワビは縁起物とされ、熨したアワビ(熨斗鮑)は神様へのお供え物として奉納されたり、不老長寿の薬として重宝されてきました。
それから、「めでたいもの」というイメージが強くなり、贈答品に添える文化が生まれました。
しかし、熨斗鮑はとても高価でなかなか手に入らないため、添えたくても添えることができません。
そこで代用として熨斗飾りが作られるようになり、さらには熨斗飾りを印刷で代用するようになって今に至ります。
熨斗鮑から熨斗という名前がつきました。
ちなみに伊勢神宮では2000年前から鮑をお供えしており、今では熨斗鮑がお供えされています。
お中元には蝶結びの水引を選ぶ
水引にはいつかの種類があり、その種類によって意味を持ちます。
お中元に使うのは、すぐほどけて結び直すことができるさまから、「何度繰り返しても良い」という意味を持つ蝶結びの水引が描かれているものを選びます。
短冊のしは使ってもいい?
のし紙にはお中元の品をくるっと包むのし紙と、小さい短冊のしがあります。
短冊のしは小さいだけで通常ののし紙と同じ意味があるので、使うことは全く問題ありませんが、お年を召した方の中には「簡略したもの」というイメージを持つ方もいますので、もし気になるようでしたら通常サイズののし紙を使った方が無難です。
ちなみに短冊のしは贈答品の右上に糊や両面テープなどで貼り付けて使います。
贈る品が魚介類ならのし(絵)はつけない
意外と知られていないマナーです。
先にのしが縁起物の熨斗鮑を表していると書きましたが、理由はそこにあります。
のしそのものがナマモノを意味するので、魚介類を贈る際は意味が重複してしまうため、のし(のし絵)が描かれていない、水引だけが印刷された掛け紙を使います。
また、仏前へのお供え物の場合ものし絵がない掛け紙です。理由は仏前にはナマモノをお供えしないからです。
これらのマナーは見落としがちなので気をつけてくださいね。
内のしと外のしの違い
のし紙の掛け方は「外のし」と「内のし」の2種類があり、お中元を買いに行った際に「内のしと外のしどちらにしますか?」と聞かれる機会があるのでぜひ知っておいてくださいね。
内のしは、品の入った箱にのしをつけて、その上から包装することで、外のしは包装した上からのしをつけることです。
内のしにする場合
内のしは内祝いに用いられることが多いです。
もともと内のしは「自分にお祝い事があったときに幸せをおすそ分けする」という意味を持つので、結婚祝いなど相手をお祝いするシーンでは基本的に使いません。
お中元を郵送する場合はのしが汚れたり傷つかない様に内のし、また気持ちを控えめに表現したいときも内のしを使います。
外のしにする場合
外のしはお祝い事や、人前で披露される機会がある場合、気持ちを強く表したい場合に用います。
お中元の場合は内のし?外のし?
「控えめな気持ち」「強い気持ち」といわれても抽象的で迷われる方も多いと思います。
なので、直接お渡しするなら外のし、郵送するなら内のしと考えれば問題ありません。
ただ、地域によって内のし外のしの使い方が変わる場合もあるのでネットショップではなく直接購入する際はスタッフの方に尋ねるのが一番確実です。
のしの書き方
では実際に書いてみましょう!
表書きの書き方
まずは表書きの書き方からご紹介します。
御中元
基本的には「御中元」と書きます。これは御中元の期間内に贈る場合に使います。
暑中見舞い・暑中御伺い
暑中見舞いは季節の挨拶なのでお中元とは意味が異なり、基本的にハガキを送るのが一般的です。
しかし、お中元を贈るタイミングを逃してしまった場合、立秋までは「御中元」と記載する部分に「暑中見舞い」と記載し贈ります。
目上の方に贈る場合は暑中見舞いではなく「暑中御伺い」と書くのがマナーなのでお気をつけください。
うっかり「見舞い」で贈ってしまう方を多くお見受けします。
残暑見舞い・残暑御伺い
お相手やご自身が忌中でお中元を贈る時期をずらしたい方もいるかと思います。立秋を過ぎてしまったら「御中元」ではなく「残暑見舞い」と記載します。しかし、遅くとも8月末までに贈るのがマナー。8月末までに忌中があけないのであればその年は贈らないことも検討してください。
残暑見舞いも暑中見舞いと同じく、目上に方には「残暑御伺い」と書きます。
名入れの書き方
続いて名入れの書き方をご紹介します。
個人名で贈る場合
名入れ部分にフルネームを入れます。目下の方へのお中元なら名字だけでも良しとされていますが、フルネームの方が親切です。
夫婦など連名で贈る場合(3名まで)
右側に旦那様、左側に奥様の名前を書きます。この場合奥様の名字は必要ありません。
基本的に目上の人は右、目下の人が左に続きます。
名前を載せるのは3名までです。
4名以上の連名で贈る場合
3名を超える場合は、中央に代表者の名前を書き、その左下に「他一同」もしくは「有志一同」と書き、省略した人の名前は中包みに記載します。
会社名を入れて贈る場合
中心よりやや右側に小さく会社名を書き、中心もしくは中心よりやや左側に、会社名の書き出しより低い位置に、会社名より大きな字で名前を書きます。
相手や自分が喪中の場合
忌中なら贈るのは控えましょう。
喪中の場合は、御中元を贈るのは問題ありませんが、のし選びには気をつけなければなりません。
一般的なお中元ギフトには通常ののしと紅白の水引が使われていますが、のしと紅白の水引はお祝いを意味するものなので喪中の方に贈るにはふさわしくありません。
白い無地の奉書紙や白い短冊を使い、表書きに「御中元」と書くのが一般的です。
ネットで注文する場合は、備考欄に喪中であることを忘れずに記しておきましょう。
これは送り先が喪中の場合も、ご自身が喪中である場合も同じです。
喪中・忌中の場合のお中元に関して詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
まとめ
御中元を贈る際に重要な役割を担うのし。
のしには様々な種類と意味があり、一歩間違えるとマナー違反になることもあります。
その場その場にふさわしいのしを用意して、お世話になっている方に感謝の気持ちを伝えてくださいね。