「年賀状じまい」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?最後に送る年賀状なのですが、一体どういう意味のものなのでしょうか?また、頂いた場合にはどうすれば良いのでしょうか?ここでは、年賀状じまいや終活年賀状についてを詳しくご紹介します。
年賀状じまいとは?どんな方法や流れですればいいの?
年賀状じまいとは、翌年以降の年賀はがきの授受を辞退・失礼する旨を記したものであり、最後の年賀状のことです。「年賀状を辞める宣言」とも言われています。
送る方法や流れはとても簡単で、通常の年賀状に、翌年からの賀状挨拶を辞退する旨を記載するだけです。
年賀状は毎年、年末年始の忙しい時に作成し、送らなければならないため案外負担を感じている人も多く、最後の挨拶自体をせずに送る事を止めてしまう人もいます。そういったことを考えると、けじめとして最後に挨拶をすることで、送る側も受け取る側も区切りや整理が付くため、後腐れなく葉書のやりとりを終えられると考えられます。方法や流れは非常に簡単ですので、年賀状を辞めたいと考えている方は検討してみても良いでしょう。
年賀状じまいの理由は主に高齢なの?SNSやメールの普及も?
年賀状じまいの理由として圧倒的に多いものは、やはり「高齢」です。
高齢で目が見えない、文字が書けない、枚数の管理ができない、そもそも年賀はがきを買いに行く事も困難である。という理由が多いのです。
でも、前述の理由は、高齢者だけに起こり得ることではありません。病気や怪我など様々な理由から、若い人でも年賀状を作成し送る事ができなくなることがありますので、必ずしも高齢だけが理由ではありません。
また、若い世代の理由で多いのが、以下の5点です。
①断捨離
断捨離の一環で年賀状じまいをする若い人もいます。特に多いのが主婦層で、多くの葉書を翌年まで家の中に置いておく事をしたくないという理由や、疎遠になっている人間関係を整理したいという理由で行われています。例えば、子育てが一段落したタイミングで、義理だけでお付き合いのあったママ友や習い事などで知り合った人との関係を終わらせるなどがそれにあたります。
②メールやSNSの普及
若い世代で圧倒的に多い理由がメールやSNSの普及です。スマホひとつで簡単に連絡が取り合える現代では、わざわざお金を掛けて年賀はがきを送らなくても良いと考える人が急増しました。また、年賀状を止めてメールやSNSに切り替えることがきっかけで、逆に頻繁な交流が復活することもあります。
③コロナなど感染症の拡大
コロナなどの感染症が拡大したことで、人の手に渡りながら到着するものに嫌悪感を抱く人も増えました。そのため、2020年のコロナ禍をきっかけに年賀状作成を止めた人も少なくないようです。また、年賀状を出そうとすると、どうしても書き損じが出てしまったり、枚数が足りなくなってしまったりと、一筋縄ではいかず、外出機会が自ずと増えてしまい、そのことにより、コロナ等への感染不安が増してしまうという悪循環もあると考えられています。
④ストレスが減る
年賀状は、元旦から少なくとも松の内の間に相手に届く様に送られる葉書です。年末に決算を迎える会社などもあり、仕事が忙しい時期にプライベートの年賀はがき作成まで手が回らず、知らず知らずのうちに更なるストレスを抱えてしまうことにもなり兼ねません。仕事でもプライベートでも期限に追われるというのは、想像以上に厄介なのです。それならば、いっそのこと止めてしまえば、ストレス自体は減るかも知れません。
⑤金銭的理由
金銭的な事情で毎年の年賀はがきを買えないという人も居ます。2021年現在、一枚の値段は63円で、10枚買うと630円です。家族の人数が増えると関わり合う人も増え、送る相手も多くなっていきます。一家の平均枚数は50枚前後であり、多い家庭は200枚以上も用意すると言われています。作成のためには、ハガキの他にも、プリンターインク、パソコンなどが必要ですし、全て手書きにしてもペンなど最低限必要なものが揃えられなければ送れません。
年賀状じまいは何歳から?終活年賀状とも呼ばれている!?
前述のとおり、年賀状じまいの一番の理由は高齢です。年賀状じまいのことを別名「終活年賀状」といい、終活の一環と考えている人も居ます。終活年賀状を送る世代で多いのは、60代以降で、一番多いのが70代後半以降です。
一方、自分自身に大きな病気が見つかった場合などは、年代関係なく終活年賀状が送られています。
この場合、相手に失礼な印象を与えないように、丁寧且つ翌年から辞退したい旨を的確に伝えられる文面が必要です。例え病気であっても、それを事細かに記載する必要はありませんが、相手に「何らかの事情で送れないのだ」と分かるようにした方が良いでしょう。
挨拶はどんな内容が好ましい?具体的な文例は?
では、年賀状じまいをする際には、どんな内容を書けば良いのでしょうか?
まず、新年のご挨拶は丁寧に行いましょう。お祝いの言葉に添えて、自分の近況報告をしても良いでしょう。
続いて、年賀状じまいの理由を簡潔に記します。中には「何かと理由を付けて疎遠になりたかったのかな?」と勘違いをする相手が居るかも知れませんので、そうせざるを得ない理由を簡単に書いておくと安心です。また、「実は自分だけに送っているのでは?」という勘違いや誤解を防止するために、「皆様」や「どなた様も・・・」など全員に出していることが分かる文面にすると良いでしょう。
更に、「今回を最後に・・・」「来年からは・・・」など翌年分から辞退することが分かる文章を入れておくと分かり易いです。
では、これらを踏まえつつ、具体的な文例を見てみましょう。
<親しい間柄の方へ>
「明けまして おめでとうございます。
昨年はお世話になりました。本年も何卒宜しくお願い致します。
さて、勝手ながら、本年を最後に、皆様への年賀状を、控えさせていただくことにしました。
今後はメールやSNSをなど、ネット上のコミュニケ―ションツールを活用し、これまでと変わらぬ関係を築いていきたいと思っています。
SNSのID・メールアドレスは以下の通りです。」
「明けまして おめでとうございます。
昨年はお世話になりました。今年も宜しくお願い致します。
さて、毎年頂戴しておりました 年始のご挨拶ですが、私も高齢になり、寄る年波には勝てず、誠に勝手ながら本年をもちまして年賀状を失礼させて頂きたく存じます。
長きに渡り、皆様には暖かい賀状を賜り、有難うございました。
今後は電話やメールなどで連絡を取り合えたら幸いです。
皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。」
<ビジネス関係の方へ>
「明けまして おめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。本年も昨年同様変わらぬお引き立てを何卒宜しくお願い申し上げます。
さて、誠に勝手ではありますが、社の方針を受けて、今後は新年のご挨拶をメールやSNSでさせて頂く事にしました。
弊社の勝手都合により恐縮ではありますが、何卒ご承知おきいただると幸いです。」
このように、分かり易く簡潔にすることが重要です。連絡先も分かり易いところに書いておきましょう。
友人から年賀状じまいが届いたら、やっぱり寂しい・・・
年賀状じまいをする人が居るとは分かっていても、いざ自分に届くと予想外に寂しいと感じる人が多いのではないでしょうか?とはいえ、相手には様々な理由がありますので、今後は別の方法で親交を深めていくより他ありません。
一方、勢いで年賀状じまいをしてしまい、毎年売り場を見ては寂しい気持ちを抱く人もいます。特別な事情が無い限りは、一時の感情で決めてしまうと後悔する可能性がありますので、よく検討をする必要がありそうです。
また、年始からお終い・最後の挨拶を送るのは縁起が悪いと考える人は、敢えて年始を避けて、寒中見舞いで伝えています。
まとめ
年賀状じまいとは、終活年賀状とも呼ばれ、翌年以降の年賀状のやり取りを辞退する旨を記した最後の年賀状のことをいいます。理由は様々で、加齢、病気、断捨離、SNS普及など様々です。中でも比較的多いのが、高齢者と若者です。特にスマホやSNSでの連絡が当たり前の環境にある若者は、敢えて年賀状を送る手間を選ばない事にも納得できます。でも、勢いで年賀状を止めてしまい、後悔してしまうパターンも少なからずありますので、よく検討してから実行することをおすすめします。