秋の気配が深まる頃、お店やおうちのあちらこちらに鮮やかなカボチャの置物を飾った光景が見られるようになりました。現在では秋の恒例行事となりつつあるハロウィンですが、いったいどのような由来があるかまでは知らない人も多いのではないでしょうか?こちらでは、日本でハロウィンを行うようになったのはいつなのか?アメリカのハロウィンの過ごし方と違いがあるのかをお伝えします。
ハロウィンの由来とは?
ハロウィンの歴史は遠い昔にさかのぼり、古代のケルト人が始めたものと考えられています。悪霊を追い払うこと・秋の収穫を願ったお祭りがハロウィンの始まりで、当時、ケルトの人々にとって10月31日が1年の終わりでした。秋が終われば冬がくる、冬が始まる頃には亡くなった人の霊が家族の元に訪れると考えられていました。
古代のケルトの人々は、冬が始まる頃に人々に害をもたらす魔女や精霊もおなじくして現れると考えていたのです。そこで人々は子どもや自分たちの身を守るために、仮面などで身を隠し、魔よけのための火を炊きました。
ハロウィンで飾る「ジャック・オー・ランタン」は、魔よけのために炊いた火を真似したことがはじまりです。カボチャをくりぬいた中にろうそくを立てていましたが、実はアメリカ大陸が発見される前まではカボチャではなくカブが用いられていました。
ハロウィンをキリスト教の行事と誤解している人もいますが、実際のところは、ハロウィンはキリスト教の祭りではありませんでした。なぜこのような誤解が生まれたのかというと、カトリック教会の祝日のひとつでもある「諸聖人の日」とハロウィンの日が重ね合わせるように定められたことで、ハロウィンはキリスト教に由来していると勘違いしてしまったのではないでしょうか。
現代ではほとんど宗教的な意味合いを持たずに、当たり前のように開催されるハロウィンですが、本来の意味は秋の収穫を願うこと・悪い精霊や魔女などから身を守る魔よけをするといった大切な行事です。
日本でハロウィンが行われるようになったのはいつ?
日本で初めてハロウィンの催しが行われたのは、キディランド原宿店がハロウィンに関連する商品を1970年代に販売したことです。同店は1983年にも販売促進を兼ねたハロウィンパレードを行い、原宿表参道には仮装をした人々が100名ほどでパレードを繰り広げましたが、認知度の少なかった当時の日本では参加者の多くが外国人であったそうです。
1970年当時はあまり盛り上がることのなかったハロウィンですが、東京ディズニーランドが1997年に行ったハロウィンに関するイベントとユニバーサルスタジオジャパンが2002年に行ったハロウィンのイベントにより、日本の人たちも多く関心を持つきっかけになりました。
現在でも東京ディズニーランドとユニバーサルスタジオジャパンでは、ハロウィンの時期には盛大なイベントが行われており、毎回、施設内には仮装した多くの人々でにぎわいます。ほかにもキディランド原宿店が始めた原宿表参道でのハロウィンパレードは今でも続いており、初めは少なかった日本人の参加者も年々増えているようです。
2010年以降にスマホが普及し、SMSなどを利用する人が増えてきました。ハロウィンのイベントをSNSなど通じて発信する人が増えたことにより、多くの人々が無意識的にハロウィンを認識され現在へと至りました。
アメリカのハロウィンの過ごし方
アメリカでも日本と同様に、ハロウィンは祝日ではありませんが、1年に一度、子どもの楽しめる民間行事となっています。アメリカで行われるハロウィンに関連したイベントはじつに多彩で、仮装パーティ・子どもたちがお菓子もらう行事・鬼火と同じ意味のあるカボチャの置物や不気味なものを飾るなど、大々的にイベントが行われます。
ハロウィンの1カ月前からさまざまなイベントが行われ、ハロウィン当日には各地でいろいろなイベントが開催されます。アメリカのハロウィンには3大パレードがあり、サンタモニカ通りで開催される「West Hollywood Halloween Carnival 」には毎年約50万人もの人が参加する仮装パーティが行われています。
仮装パーティのほかにも、子どもたちがお菓子を入れるためのバケツなどを持って他の家を訪れ、ドアを開けてくれた家の人からお菓子をもらう「トリック・オア・トリート」があります。訪ねてきた子どもの「トリック・オア・トリート!!」の声に「Happy Halloween!!」と答えながらキャンディなどのお菓子を渡してあげる心温まる行事です。
家の玄関にはカボチャのほかにも、おばけや魔女・コウモリや黒猫・クモといった不気味と感じるものを飾ります。不気味なものを飾り、魔よけをする点においてはハロウィン本来の意味を継承しています。
日本のハロウィンの過ごし方
日本ではハロウィンを祝日に設定されていませんが、10月にはいるとあちらこちらのお店でジャック・オー・ランタンなどのハロウィン仕様の飾りが目につきます。
ハロウィンの日にはさまざまな仮装をした人たちが街中にあふれて、大人よりも子どもの方がはしゃいでいる印象です。ハロウィンの翌日には、街中に多くのゴミが落ちていることも多く、マナーの悪さが際立ってしまうこともしばしば。ハロウィンの本来の意味も知らない人が多く、仮装だけが目的になっている印象もあります。
家に友達を招いてハロウィンパーティを行ったり、さまざまなパレードが行われたり、たくさんのお店がハロウィンの企画を設けたりと人それぞれ過ごし方はさまざまですが、友達と過ごす人も多く見られます。
日本でのハロウィンにおけるイベントのほとんどは宗教的な意味合いのなく、地域の活性化になるように行われるイベントや商業施設の販売促進を目的として行われるイベントが多数を占めています。仮装においても魔よけになるような怖い印象を受けるものではなく、かわいらしいもの・キャラクター・はやりのものなど自分好みの仮装をする人がほとんどで、魔よけというよりも仮装を楽しむ行事となっているようです。
2010年以降、スマホが世間で普及し始めたことでSMSなどを利用する人が増えたことで、ハロウィンイベントも多くの人が参加する季節の行事となりました。
アメリカと日本のハロウィンの違い
ハロウィンはアメリカも日本も同様の毎年10月31日に行われます。日本でも多くの施設や家庭でハロウィン仕様の飾りつけを目にしますが、アメリカでは日本よりもさらに盛大に国をあげてハロウィンのイベントを開催しています。
飾りつけのひとつである「ジャック・オー・ランタン」では、日本ではほとんどがオレンジのかぼちゃを使用しますが、アメリカではオレンジのカボチャに限らず、さまざまな色のカボチャを使います。ハロウィンのためだけに観賞用のカボチャ「pumpkin」が用意されるほどの力の入れ方です。
アメリカのハロウィンでよく見かけるのが、子ども達がお菓子をもらうためにバケツなどの容器を手にぶら下げていろいろな家を訪ねる光景です。「トリック・オア・トリート!」と子どもたちが声をかけると「Happy Halloween!」といってお菓子を渡す姿は見ているだけでとても心の温まる、アメリカのハロウィンでは恒例の子どもたちの行事です。一方日本では、子どもたちがお菓子を貰いに家を訪ねる姿は、ほとんど見られない光景です。
ハロウィンの時期になると、多くの店でハロウィンに子どもに渡すのためのお菓子が売られているのもアメリカならではといったところです。
ハロウィン当日にほとんどの小学生たちはみんなが仮装をして登校し、先生たちも仮装をして授業を行うそうです。日本ではハロウィンの当日に仮装をして登校をする小学生や先生などは見かけるといったことは皆無の等しいでしょう。このように、日本に比べてアメリカの方が国ぐるみで盛大にハロウィンを過ごしているといえます。
まとめ
ハロウィンの始まりは、悪霊たちから自分たちの身を守ること・秋の実りの収穫が豊富であることを願って行われた行事です。現代では、ハロウィンの本来の意味はそっちのけで、本来の意味とは関係のない仮装やイベントが多くなってきました。今度ハロウィンが訪れてきたときには、本来の意味を頭の片隅において楽しんでみるのもよいのではないでしょうか。