双子や二人目以降の雛人形をどうするか、悩む家庭は多いでしょう。雛人形を一人一つ買う、二人で一つの雛人形にする、どちらの選択もスペースや費用面、気持ちの問題でメリット・デメリットがあります。 本記事では二人目以降の雛人形を買うかどうかの考え方や、買う場合買わない場合の選択肢についてお伝えします。二人目以降や双子におすすめの「親王飾り」一人目の雛人形に付け足しやすい「つるし雛」についても、意味に触れながらご紹介します。
二人目以降も雛人形は必要?買う理由、買わない理由。
二人目以降の女児にも絶対に雛人形を買わなければいけないというわけではありません。家庭によって判断はまちまちです。
しきたりを重視して買うと判断する家庭もあるでしょう。置くスペースがなく買わないと判断する家庭もあるでしょう。
大切なのは家庭に合った判断をすることです。二人目以降も雛人形を買うか迷っている場合に考えたいことをご紹介します。
雛人形を飾る意味に注目
雛人形を買うかどうかの判断材料として、雛人形を飾る意味を知っておきましょう。雛人形には以下のように、子どもの「健康」や「幸せ」への願いが込められています。
・厄を祓い、健やかな成長を願う
昔は子どもの厄祓いのため、人形を川に流す「流し雛」という風習がありました。現代と違い子どもの死亡率が高かったため、人形に穢れを移し川に流すことで健康を願ったとされています。
いつしか時代の流れとともに人形の様式が華やかになり、川に流すこともしなくなったようです。川に流すかわりに「健やかな成長」を願いながら飾るかたちへと変化していきました。
・幸せな結婚ができるよう祈願
雛人形の上段には男雛と女雛が並んでおり、結婚式の様子を表しています。お内裏様、お雛様のような「幸せな結婚」を願う気持ちが込められています。
雛人形を買う理由として、上記のような意味を重視する家庭もあります。また、段飾りを買わない場合も意味を知っておくことで、かわりの商品を選ぶ際の参考にもなるでしょう。
雛人形を置くスペースがない
一人目の女の子に段飾りを買った場合、二人目にも同じ大きさのものを購入すると飾るスペースに困ることがあります。場合によっては、雛人形だけで一部屋がいっぱいになってしまうでしょう。
特に、昨今ではマンションやアパートなど、戸建て住宅に比べ床面積の少ない住宅も増えています。特に都会に行けば行くほど、その傾向が高いと考えられます。
また、収納の面でも雛人形は場所を取ってしまいやすく、段や人形が多ければ多いほど収納するものも増えてしまいます。マンションやアパートでは戸建て住宅に比べ収納が少ない家も多いでしょう。人形は湿気や日光にも弱いため、きちんと管理できる押し入れに収納しておく必要があります。
金銭的な問題
金銭的な理由から、買わない選択やより安価な商品を選択するという考え方もあります。
子供の教育にはたくさんの費用がかかります。子育て世代はマイホームのローンがある場合や、将来のために貯金に励んでいる家庭も多いでしょう。
雛人形は親王飾りでだいたい5万円~、段飾りを購入しようとすると最低でも8万円ほどかかるといわれています。
何に費用をかけるかは家庭によりさまざまですが、状況によっては雛人形よりも他の部分に費用を使いたい場合もあるでしょう。
子どもの気持ちと地域の風習
子どもが物心がついたときに「お姉ちゃんはあるのに、私の雛人形はないの?」と疑問に思ってしまう可能性を考慮する考えもあります。
特に一昔前までは“雛人形は一人一つ”という考え方が浸透していたため、お友達や周りと比べて気にする子もいたかもしれません。
現代では、姉妹で一つの雛人形という家庭も多いため、あまり気にする必要はないという考え方が一般的です。買わない選択をした場合は“姉妹みんなの雛人形”と伝えると良いですね。
地域によっては“一人一つ”の風習が根強い場合もあるでしょう。家族や両親とも相談して判断すると安心です。
二人目以降も雛人形を買う場合の選択肢。段飾りや親王飾りについて
二人目以降の女の子にも雛人形を購入する場合の選択肢をご紹介します。
一人目の時と同様の規模の雛人形を買う
一人目の時と同様の規模の雛人形にすることで、姉妹で差が出ることを防ぐ選択肢です。例えば、一人目の時が三段なら三段、五段なら五段と段の数が同じものを選びます。
【特徴や留意点】
- “一人一つ”が実現でき、平等であることを感じやすいでしょう。
- 段飾りを複数置くため、飾るスペースや収納場所の確保は必須です。
- 費用面でも高額となる場合があるため、家族と相談して検討しましょう。
親王飾り(立雛)
男雛と女雛を飾る段飾りの上段部分のみの雛人形を「親王飾り」といいます。
実は段飾りが作られるようになったのは江戸時代のことで、元々は親王飾りが基本でした。人形が立った状態で飾る立雛も親王飾りの一種で、伝統的なかたちといわれています。
【特徴や留意点】
- 段飾りよりも省スペースで済み、リビングや玄関の棚の上に飾ることも可能です。
- 立雛はコンパクトな商品が多く、スペースの面で不安がある場合に向いています。
- 親王飾りは費用面でも5万円程~と段飾りより安価に購入できます。
- 一人目が段飾りの場合は差を感じてしまう可能性があるため、より華やかなものを選びましょう。
一人目の時も二人目の時も、同様に親王飾りを贈る家庭もあるようです。
男雛と女雛のみ購入する
一人目の時に購入した雛人形に、二人目用の男雛と女雛を買い足す方法です。特殊な飾り方ではありますが、現代の暮らしに合った飾り方と考えられます。
【特徴や留意点】
- 一人目の雛人形が段飾り、かつ、段飾りを二つ以上飾ることは難しい場合におすすめです。
- 人形のみを買い足すことになるため、購入するときはメーカーや専門店へ問い合わせましょう。
雛人形を買わない場合は代わりの品を準備。おすすめの選択肢は?
雛人形を買わない場合は一人目の時に買った雛人形が“姉妹の雛人形”になります。雛人形があるとはいえ、初めての雛祭りのお祝いには代わりのものを準備しておくと良いですね。おすすめの選択肢をご紹介します。
つるし雛
二人目の雛人形の代わりとしてよく購入されているものは「つるし雛」です。
つるし雛は、雛人形が高級でなかなか買えないものだった江戸時代に一般家庭で用意されていました。つるされている一つ一つの人形は子どもの幸せを願い、家族や親せき、近所の人たちの手で作られていたといわれています。
【特徴や留意点】
- つるし雛は省スペースで飾れることや、見た目の可愛さから最近注目されています。
- 一人目の雛人形に付け足すかたちで飾っても華やかになります。
- 1万円~5万円程で購入できる商品が多く、比較的安価であるといえます。
人形や道具を買い足す
三人官女、五人囃子などの人形や小道具を買い足す方法もあります。人形や道具を買い足すことで雛人形がより華やかになり、見ごたえのあるものになるでしょう。
【特徴や留意点】
- 一人目の雛人形を親王飾りにした場合や、シンプルなものにした場合におすすめの選択肢です。
- 買い足す際はメーカーや専門店への問い合わせが必要になる場合もあります。
市松人形
市松人形も3月3日の桃の節句に雛人形と一緒に飾るものです。
元々は子どもが遊ぶための人形でしたが、現代では観賞用として販売されています。「健やかに成長するように」という意味や「美しく育ちますように」という意味を込めて贈られます。
【特徴や留意点】
- 市松人形はガラスケースに入っているものがほとんどで管理はしやすいものの、ある程度の収納スペースは必要です。
- 2~3万円ほどで購入できるものから数十万のものまで、商品によって価格が大きく違います。
タペストリー
最近ではお雛様や桃の花が刺繍、またはプリントされたタペストリーも販売されています。
【特徴や留意点】
- 名入れができる商品もあり、選ばれることが増えています。
- 安価で購入しやすく、壁掛けのためスペースをとらないといったメリットがあります。
双子の場合、どんな雛人形がおすすめ?
双子の場合も、スペースと費用面を念頭に置いて考えましょう。実際には以下の選択肢があります。
①段飾りを二つ、または親王飾りを二つ買う
ある程度のスペースが必要ですが、“一人一つ”と考えるならば同じものを二つ買うと良いでしょう。
②段飾りを二人のものとして買う
一つの段飾りを二人のものとして購入します。名前旗(札)は二人分の用意が必要です。
また、段飾りを買ったうえで男雛と女雛をもう1セット買い足し一緒に飾る方法もあります。
③双子用の雛人形を買う
双子用の雛人形もあります。男雛と女雛が2セットずつあり、つなげて飾ることが可能です。
費用は16万円程~ですが、すっきりと飾れるため一つの選択肢として考えてみても良いでしょう。
まとめ
今回は「双子や二人目以降の雛人形」についてお伝えしました。
双子や二人目以降の子に贈る雛人形は、スペースや費用面など考慮しなければいけないことが多いでしょう。一人に一つ贈りたいものの理想通りにはいかない場合もありますね。
最近はコンパクトなものや現代風の見た目のもの、管理が楽なものなど、現代の生活に寄り添ったさまざまな商品が販売されています。きっと家庭に合うものが見つかるでしょう。
昔の人が雛人形に込めた思いは、いつの時代も親の共通の願いです。「健やかに育ちますように」と願いを込めて、雛祭りを祝いましょう。