お盆の時期になると子供と一緒に家族で帰省すると言う方は多いのではないでしょうか。日頃会えない家族や親戚と食事を囲み楽しい時間を過ごしたり、結婚している方は自分の実家だけでなく義実家に行ったり、子供がいれば両親や義両親に孫の顔や成長を見せる良い機会になりますよね。甥や姪、孫がいるという方は「お盆玉」をあげている方もいるのではないでしょうか。ここ近年、全国的に知られる様になった「お盆玉」ですが、まだまだ認知度は低い様に思います。ここでは、そんな「お盆玉」について由来や相場などを紹介していきたいと思います。
お盆とは何か
お盆とは、日本の夏の風習で先祖の霊を祀る行事のことを言います。一般的には先祖のお墓参りやお墓の掃除、迎え火や送り火を焚いたり、精霊馬と精霊牛、落雁を供えたり、盆踊りや灯籠流しに参加するという方もいるでしょう。
お墓参りと掃除
お盆にお墓参りに行く理由は地域により様々ですが、ご先祖の供養のためにお墓参りに行ったり、お盆に帰ってきたご先祖を家まで連れて帰るためにお墓参りをするなどの理由があります。
また、お盆はご先祖が帰ってくる大切な期間のため、お墓をいつも以上にキレイにしておく必要があります。墓石を傷つけない様に水洗いしたり、その周囲の草むしりなどしっかり掃除をして、ご先祖を迎える準備をします。
迎え火・送り火
お盆に帰ってくるご先祖の霊が迷わない様に迎える印として、玄関先や庭などで行う焚き火のことを迎え火と言い、逆にお盆の終わりにあの世へ戻るご先祖の霊を見送るために玄関先や庭などで行う焚き火のことを送り火をと言います。
最近では、玄関先や庭などで気軽に火を焚くことができないため、代わりに室内で電球式の盆提灯を灯すこともある様です。電球式の盆堤灯であれば、周囲の家に気を使うことなく、迎え火や送り火をすることができますね。
精霊馬と精霊牛
玄関に飾られたナスとキュウリに割り箸をさして作った供え物を見たことはあるでしょうか。精霊馬と精霊牛といって、お盆の時期にお供えするもので、ご先祖が仏壇のある家に早く帰って来られる様にキュウリを足の速い馬に見立て、そしてお盆が終わった後、たくさんの供え物を乗せてゆっくりと“あの世”に戻ってもらえる様にナスをゆったりとずっしりとした牛に見立て供えるものです。いわゆるご先祖の大切な乗り物と言うわけです。
落雁(らくがん)
「落雁」とはお供物に多く用いられる穀類から作られるデンプンを含む粉と砂糖や水飴を材料とする甘く乾燥したお菓子のことを言います。木の型にはめて作り、蓮の花や野菜の形をしています。お盆が終わった後は、お菓子作りや飲み物にいれたりして使う方が多いようです。
蓮の花は、極楽浄土の代表的な花で格上・最上の花ですので大変人気があります。
盆踊り
盆踊りは本来、お盆で帰ってきたご先祖の霊をあの世へ送り出すという意味が込められています。意味を理解したうえで踊ることで、よりご先祖をともらう気持ちが高まるでしょう。
灯籠流し
灯籠流しは、亡くなった方の魂を弔って灯篭(灯籠)やお盆のお供え物を海や川に流す送り火の一種です。
お盆の期間
お盆の期間は地域によって異なりますが、「7月盆」「8月盆」の2つがあります。2022年(令和4年)7月13日から16日、または8月13日から、16日の各4日間です。
お盆玉とは
お盆の時期に祖父母や親戚などから子供たちに渡すお小遣いのことをいいます。
お正月に渡すお年玉のお盆バージョンというわけです。
お盆玉の由来
江戸時代、山形地方では奉公人に「お盆小遣い」を渡す風習がありました。商家で働いていた丁稚(でっち)と呼ばれている子供たちはお盆とお正月にしか自分の家に帰れず、主人は丁稚が自分の家に帰るとき、お小遣いを渡していたことから現代のお盆玉の風習に繋がったとされています。
お盆玉はいつから始まったのか
先にも書いた様に、江戸時代の山形地方で主人が丁稚に渡していたお盆小遣いが始まりとされています。
ただ、日本中に知られるようになったのは2014年ごろからでしょう。山梨県の紙製品メーカーや郵便局からお盆玉用のポチ袋が販売されるようになり多くの方に認知されるようになりました。
お盆玉用のポチ袋は、「おぼんだま」と書かれたものから「好きなものでも」「また、遊びにきてね」「夏のおこづかい」などほっこりするデザインから、夏をイメージしたデザイン、人気キャラクターデザインなど様々な種類があります。
近年、キャッシュレス決済が広がり、手軽に送金できるようになりました。今後、お盆玉を電子マネーで渡すという方も増えるのではないでしょうか。
お盆玉の相場
お盆玉を渡す側になると気になるのが、いくら包むか、ではないでしょうか。親戚で話し合って決めている方もいるでしょう。ここでは年齢ごとの一般的な相場を紹介していきます。
●幼稚園・保育園児
就学前のため、渡していないという声が多くありました。渡す場合は、500円玉や666円(小銭を全種類1枚づつ)1,000円程度が目安のようです。
●小学生
1,000円から数千円が目安のようです。
●中学生
数千円から5,000円程度が目安のようです。
●高校生
高校生になるとお小遣いも高額になっていたりアルバイトで収入を得ている子供もいるでしょう。そのため、お盆玉の在り方を考えるタイミングかもしれません。
渡す場合の相場は、5,000円から10,000円程度が目安のようです。
●大学生
大学生にはお年玉をあげないという方も多く、お盆玉も同様に考える方も多いようです。
渡す場合は、高校生と同じく5,000円から10,000円程度、または10,000円前後が目安のようです。
お盆玉の相場は、お年玉の相場より少なくなっているようですが、滅多に会えない甥や姪、孫には年齢に問わず多めに渡すこともあるでしょう。
まとめ
お盆玉の由来、相場について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。久しぶりに会えた甥や姪、孫にお盆や帰省先で楽しい時間を過ごしてもらいたいという気持ちから渡すお小遣いという事がわかりました。私自身、子供の頃に親戚や祖父母からいただくお盆玉やお年玉をとても楽しみにしていたことを思い出しました。今は渡す側になり煩わしく感じる時もありますが、昔の気持ちを思い出し、甥が少しでも楽しいお盆や正月が過ごせるように包む様にしています。
昔から続くお盆玉と言う風習は日本人の相手を思いやる気持ちから始まった風習と言えるのではないでしょうか。