9月の第3月曜日は敬老の日です。
「父の日」「母の日」同様に日頃お世話になっている年長者に感謝の気持ちを伝えたり、プレゼントを贈る日ですよね。そこで悩むのは、プレゼント選びではないでしょうか。もちろん、日頃お世話になっている方々に贈るので、多少の好みは把握していると思いますが、特別なギフトを贈りたいと考えれば考えるほど悩んでしまいます。今回は、敬老の日の始まりからオススメの贈り物、ギフトを贈る上で大切な熨斗のマナーについて紹介していきます。
敬老の日とは
敬老の日をお爺ちゃんやお婆ちゃんが孫からプレゼントを貰って喜ぶ日、孫のいる高齢者だけが関係のある日だと思っていませんか。実は年長者を敬い長寿を願い感謝する日なのです。
ですので、本来は孫のいるおじいちゃんおばあちゃんに関係なく、日頃お世話になっている恩師や人生の先輩に感謝の気持ちを伝えたり長寿のお祝いをする大切な日なのです。
また、「敬老の日」は、家族や身近な年長者を敬い、健康を願う日として、日本だけでなくアメリカや中国、韓国などの国でも行われていることをご存知でしたでしょうか。
各国の代表的な祝い方
◆アメリカ◆
9月の最初の日曜日は「National Grandparents Day(祖父母の日)」という日がまります。始まりは1973年、1人の主婦がナーシングホームの孤独な老人たちのために始めた慰問活動とされています。この活動が話題となり、各地へと広がっていったそうです。そして、1978年に「先輩の人を敬う日」「孫が祖父母に対して感謝・尊敬の意をあらわす日」として正式に制定されました。では、どのようにお祝いをするのでしょうか。アメリカでは孫からおじいちゃんおばあちゃんへグリーティングカードやお花をプレゼントするのが一般的で、定番のお花は〝勿忘草〟です。
◆中国◆
旧暦9月9日は「重陽節」「敬老の日」として祭日となっており各地で高齢者に対する多くのイベントやサービスが行われます。また、「9」は中国語の「久」と同じ発音で「永久」「長寿」と言う意味があることから旧暦9月9日が「重陽節」「敬老の日」になったとされています。中国では「重陽節」になると「敬老」「尊老」「愛老」「助老」のスローガンが町中にあふれ政府指導者が高齢者施設をおとずれ入居者を見舞い、職員に労いの言葉をかけ励まします。
中国の敬老の日は、孫から祖父母・お世話になった恩師や人生の大先輩に対して行うと言うよりも、町中の老人や高齢者施設の入居者に対して行うと言うイメージです。
◆韓国◆
韓国では10月2日が「老人の日」と定められていますが、ぽどんどの人が認知いていないのが実のところのようです。なぜ、「老人の日」が浸透していないのでしょうか。それは国民性にあると言えるようです。年長者を蔑ろにしているのでは無くその逆で普段から年長者を敬い尊重することがしごく当たり前の為、「老人の日」が浸透していないようです。
「敬老の日」といっても国によってさまざまな由来や祝い方がありましたが、年長者を敬い尊重すると言う気持ちは共通しているように思います。
敬老の日はいつ?
では、敬老の日はいつなのでしょうか。先に書いた様に9月の第3月曜日です。
2022年(令和4年)では、9月19日月曜日となります。
敬老の日は、祝日法により1966年からスタートし2002年までは9月15日の固定日でした。ですが、2000年からハッピーマンデー制度が導入された為、固定日ではなく変動日の9月の第3月曜日となりました。
ハッピーマンデー制度
ハッピーマンデー制度とは、2000年に導入さらた制度です。週休2日制が広まった事に伴い、年間に16日ある「国民の祝日」と土曜・日曜を合わせて3連休以上の連休を増やすことで観光事業の活性化を目的とし、一部の祝日を固定日から特定の月曜日に移動させる制度です。
《ハッピーマンデー制度で日付が変更になった祝日》
・成人の日 1月15日から1月第2月曜日
・スポーツの日(旧 体育の日) 10月10日から10月第2月曜日
・海の日 7月20日から7月第3月曜日
・敬老の日 9月15日から9月第3月曜日
敬老の日と老人の日の違い
ここまで敬老の日についてご説明してきましたが、老人の日と言うものがあるのをご存知でしょうか。老人の日は老人福祉法により9月15日と定められており、敬老の日は祝日法により9月第3月曜日(旧 9月15日)と定められています。これで分るようにハッピーマンデー制度で変更になる前の敬老の日の日付が老人の日であることがわかります。
なぜ、そのような日付が老人の日になったのでしょうか。
敬老の日がハッピーマンデー制度により、9月15日から9月第3月曜日に変更になりましたが、それに変更に対して強く反対が起こった為に老人福祉法により、9月15日を「老人の日」として残す事になったのです。
敬老の日と老人の日の主な違いとしては、適応されている法律が違う事と敬老の日は国民の祝日ということです。それにより、認知度は敬老の日は高く、老人の日は低いように思います。
さて、老人の日は何をするのでしょうか。内閣府は、9月15日から21日までの7日間を「老人週間」とし6つの目標を掲げています。下記内閣府ホームページ参照
(1) すべての高齢者が安心して自立した生活ができる、保健・福祉のまちづくりを進め、ふれあいの輪を広げよう。
(2) 高齢者の知識、経験や能力をいかした、就労・社会参加・ボランティア活動を進めよう。
(3) 高齢者の生きがい・健康づくり、介護予防、感染拡大防止等への取り組みを進めよう。
(4) 高齢者の人権を尊重し、認知症高齢者への支援のあり方や介護問題等をみんなで考え、高齢者や介護者を支える取り組みを積極的に進めよう。
(5) 高齢社会における家族や地域社会等の役割を理解し、多世代がお互いに協力して安心と活力ある健康長寿社会をつくろう。
(6) 減災や防災への取り組みに関心を持ち、日頃から地域でのつながりを築こう。
老人週間には小中学校で老人と触れ合う時間がもたれたり、高齢者を対象にさまざまなイベントやサービスが行われ6つの目標を広め高齢者のイキイキとした生活をサポートしています。
敬老の日の由来
敬老の日がどのように始まったのかご存知でしょうか。諸説ありますが3つの説をご紹介していきます。
としよりの日
兵庫県多可郡野間谷村では〝お年寄りを大切にする〟〝お年寄りの知恵を借りて村作りをする〟という目的で1947年に「としよりの日」か設けられました。日付については農業の仕事が落ち着く9月中旬の9月15日とし、55歳以上の村人を対象に敬老会が開かれたそうです。その「としよりの日」が全国に広がり1966年に今の国民の祝日「敬老の日」になったとされています。
聖徳太子が悲田院を作った日
ご存知の方も多い聖徳太子が関わっている説をご紹介します。天皇中心の中央集権国家を目指す天才政治家の聖徳太子ですが、実は老人ホームや介護センターの創始者で1400年以上も前から「社会福祉事業」を進めていました。その頃の日本は合戦や病気などで身寄りのない人たちが多く無償で介護できる施設を四天王寺の境内に作りました。その1つが悲田院です。悲田院は今で言う老人ホームで、建設されたのが9月15日であったためにその日が「敬老の日」に選ばれたとされています。
元正天皇が養老の滝に御幸した日
今から約1300年前、美濃国(現在の岐阜県)のお話です。岐阜県の多度山麓に源丞内(げんしょうない)という貧しいキコリと目の不自由な年老いた父親が住んでいました。貧乏で毎日の食べ物にも困るほどでしたが、父親は何よりもお酒が好きでした。ある日、源丞内が山中で転んでしまい気を失っていました。目を覚ますと目の前には香り高いお酒の泉がありました。源丞内は驚きながらと目の不自由な父親のためにお酒をくんで帰りました。その夜、泉からくんできたお酒を父親に飲ませると、なんと目が見えるようになったのです。その不思議な話は広まり泉の酒は不自由な体を治すことができると有名になりました。そんな話を聞きつけ717年9月に元正天皇かこの地へ出向きました。そして、「これもひとえに親孝行の思いが天地の神々に通じたのでしょう」と源丞内を美濃国守に任命しました。そして「老人を養う」ことから、この泉を「養老の滝」と名付け、このめでたい年を記念して年号を「養老」としました。この元正天皇が養老の滝とされる泉を訪れだのが9月中旬とされており、全国的に9月中旬に地域のお年寄りを招いて敬老会を開くようになったことから9月15日を「敬老の日」にしたと言われています。
敬老の日の始まりには諸説ありますが、どの説も年長者を敬い大切にする気持ちから始まったと言うことがわかる心温まるステキなお話ですね。
敬老の日は何歳から祝う?
敬老の日は、老人を敬い長寿を願い感謝する日とお伝えしましたが、それでは老人とは何歳からのことを指しているのでしょうか。
実のところ成人年齢とは違い何歳から老人になるのか決まりはありません。
医療制度では65歳以上、道路交通法では75歳以上と高齢者にあたる年齢の規定はありますが統一した年齢ではない為、何歳から老人にあたるのかは曖昧です。人生100年時代の現代では65歳以上の方でもパワフルに若々しく働いている方も多くいらっしゃいますし、お年寄り扱いされたくないと思っている方も多くいらっしゃいます。
ですので年齢ではなく、両親義両親については孫が産まれたタイミングや就学したタイミング、お世話になった人生の先輩に贈る場合には仕事を引退されたタイミングなどで始めるのはいかがでしょうか。
敬老の日の祝い方
皆さんはどのように敬老の日をお祝いしていますか?もちろん、相手との関係性によってお祝いの仕方が変わってくると思います。一般的にはプレゼントを贈り、食事会を開くことが多いようです。老人ホームやケアハウスでは、ダンスや歌、クイズ大会などのレクリエーションなどを行います。また、都道府県によって、敬老の日に65歳以上の方は割引や無料になる施設やサービスがあったり、数え88歳・100歳に敬老金を贈呈している都道府県もあります。
孫から贈る人気ギフト
孫から贈るおじいちゃん・おばあちゃんへのプレゼントはどの様な物が良いでしょうか。もちろん、可愛い孫からのプレゼントなら何を貰っても嬉しいにちがいありません。ですが、子供が小さい頃は両親がどの様なプレゼントを贈るか考える必要がありますよね。
ここでは、孫から贈る人気ギフトについてご紹介していきます。
購入プレゼント
孫の年齢にもよりますが、高価な物ではなくお小遣いで買うことのできるハンカチやマグカップ、お花などが人気です。
ハンカチやマグカップは、写真やイラストをプリントしてオリジナル商品を作れるサービスなども人気です。
また、お花は「ありがとう」「長生きしてね」などの花言葉を持つピンクのカーネーションやかすみ草、ワレモコウや、リンドウが人気です。
手作りプレゼント
こちらも年齢によって手作りできるものが違いますが、幅広い年齢で人気の手作りギフトはおじいちゃんおばあちゃんの似顔絵、手形アート、オリジナルフォトフレーム、お手紙が人気です。
遠くに住んでいて会うことが難しい方は電話やテレビ電話をしても良いでしょうし、孫からのメッセージを動画に撮って贈ると言うのも素敵ではないでしょうか。
敬老の日、ギフトマナーについて
大切な人やお世話になった人に贈り物をする時に大切なのがギフトマナーです。
孫からおじいちゃんやおばぁちゃんへ贈る気軽なギフトであれば、然程マナーについて考える必要はないでしょう。しかし、恩師やお世話になった大先輩への贈り物であれば最低限のギフトマナーについては知っておくと良いでしょう。
のしについて
敬老の日は「年長者を敬い長寿を願い感謝する日」なので、慶事(お祝い事)になります。その為、熨斗ありの掛け紙(のし紙)を用いると良いでしょう。
一般的にのし紙と聞くと、掛け紙に水引きと熨斗(右上の飾り)が印刷された物や、掛け紙に水引きが印刷されたのもをイメージする方が多いのではないでしょうか。実は、右上にある飾りの事を「熨斗」といいます。その飾りが無く掛け紙に水引きのみの場合は「掛け紙」、熨斗が付いている場合は「熨斗ありの掛け紙」といいます。ただ、現在では熨斗があっても無くても「のし紙」と表現されているようです。
「熨斗」は元々、あわび貝を薄く干して熨して作る「のし鮑」の事をいいます。あわびは神様へのお供物の代表的な物であると共に、栄養価も高く日持ちもする為、不老長寿の象徴として贈答には欠かせない物でした。しかし、現在ではそれが簡略化されて黄色い紙をあわびに見立てた熨斗飾りや熨斗飾りの絵を印刷した祝儀袋やかけ紙を使うようになったのです。
さて、実際にどの様なのし紙(熨斗ありの掛け紙)をかけたら良いのでしょうか。
水引きのデザインは、結び目がほどけてもまた結び直せることから、何度あっても良いお祝い事に使用する蝶結び(花結び)を選びましょう。
表書きには「祝 敬老の日」「敬老の日」「寿」「御祝」「祝長寿」「敬寿」などが一般的ですが、敬老の日は、結婚祝いや出産祝いなどとは違いコレが正しい表書きというも決まりがありません。そのため、フランクな関係の相手であれば「おじいちゃん おばあちゃん いつもありがとう」「いつまでも元気で」などのようにメッセージ性のある表書きでも構いません。
次に一番間違えやすい名前(下書き)についてです。名前はギフトを受け取る側の名前では無く、ギフトを送る側の名前を書きます。
※ギフトを受け取った相手が、のしを見て誰から(下書き)どんな用途(上書き)で貰ったギフトかわかるように書く。と覚えておくとわかりやすいかもしれません。
のしの水引デザインや名前(下書き)を間違えてしまうと失礼になってしまうこともあるので注意が必要です。
まとめ
敬老の日は祖父母にプレゼントを渡すだけの日ではなく、日頃お世話になっている年長者に感謝の気持ちを伝え長寿を願い祝う日だと言うことがわかりました。また日本のみなら、ずたくさんの国で同じように年長者を敬い尊重する日があることもわかりました。父の日、母の日同様に、なぜその様な日が定められているのかを理解することにより漠然と過ごしていた日をどのように祝うべきか考えるきっかけになれば嬉しいです。