一汁三菜という言葉をご存知でしょうか?料理の品数が4品でも、一汁三菜というのですが、それはなぜなのでしょうか?日本では、昔から耳にする言葉ですが一体どんな食卓をいうのか、いまいち分からない人もいると思います。ここでは、そんな一汁三菜とおかずの数について詳しく解説します。
一汁三菜の意味は?
一汁三菜とは、和食の基本的な献立です。
一汁=汁物を1品、三菜=料理(惣菜)を3品という意味があります。
日本食には、本膳料理という献立があるのですが、それは、ご飯、汁物、漬け物、なます、煮物、焼き魚という様なメニューです。一番少ない品数のメニューですが、一般的に一番認知されているものです。本膳料理には、それ以外にも一汁二菜、二汁五菜、三汁七菜、三汁十五菜など様々なバリエーションがあります。招かれるお客様の位が高くなるほど、品数が増え、七膳八汁二十三菜という様なものまでありました。
料理の品数が4品でも一汁三菜というのはなぜ?
料理の品数が4品でも、一般的には一汁三菜の献立と呼ばれます。おかずの数が3品でなくても一汁三菜というのはなぜなのでしょうか?そもそも、一汁三菜は「ごちそう」に位置付けられており、品数が一番少ないごちそうという認識でした。当時、庶民はおかずの無い食事が基本であり、おかずが付くのは一日に一度程度でした。上級の武士でさえ一汁三菜よりも品数が少ないことが多く、一汁三菜はいわば憧れの食卓だったのです。
現代でも一汁三菜が食事の基本献立と言われますが、それは理想の一種であるといえます。おかずが3品以上あると、ごちそうで、急な来客のおもてなしにも対応できますので、専業主婦の多かった昔には外で働く男性がそれを希望していた節もあります。一家の主は他の家族よりもおかずの数が多いという、ねぎらいの一つでおかずを4品にしていたという家庭もあり、一汁三菜の食卓に決まりは無く、品数が多少前後しても構わないのです。
食の多様化で、個々が好きな物を食べたいと色々な惣菜を取り揃える家庭もあり、そんな中でおかずが4品になっても、一汁三菜の素敵な食卓と言えるのです。
一汁三菜は献立の基本?理想はこんなメニュー
一汁三菜の献立は、基本的、理想的なメニューであるといわれています。でも、一方で食塩や脂質過多になりやすいのではないか?という疑問も多く見受けられます。一般家庭では、主食や汁物の他に、魚又は肉の動物性食材を使用したお惣菜1品、野菜や海藻、大豆製品など植物性食を使用したお惣菜を1品を合わせて一汁二菜メニューにしていることが多いものです。惣菜が1品減る代わりに、デザートなどを付けることもあります。
焼き魚に豚汁、冷ややっこにひじきの煮物など、旬の食材を取り入れると飽きない献立が出来上がります。
また、副菜は彩りを考えて、トマトのマリネ、カボチャの煮物やサラダ、サツマイモの甘煮、人参と大根のなます、ブロッコリーとパプリカのサラダなど、カラフルな食材を選ぶと見た目も美しく華やかです。
栄養バランスの良いメニューを心掛けるためには?
一汁三菜の食事を栄養バランスの良いメニューにするためには、やはり多くの食材を用いる事が大切です。手に入りやすい旬の食材を幅広く使用する事で、メニューのバリエーションも増えます。
メニューを考える時に注目したいのが、赤、緑、黄の栄養バランス配分です。血や肉を作る赤、身体を整える緑、エネルギーを作る黄が満遍なく献立に入っていることが一つの目安です。
また、乳製品や果物など、メニューに取り込み辛い食材も摂れる工夫が必要です。ヨーグルトサラダにしたり、惣菜やサラダに果実を入れたりしても良いでしょう。
また、こってりした物には酸味を合わせるのも良いでしょう。唐揚げと酢の物などは食べ合わせや栄養バランスも良くおすすめです。
一汁三菜は食べる順番も大切
一汁三菜は食べる順番もおおまかに決められています。
まず、汁物に手を付けます。そして、その後はいわゆる三角食べと言われる食べ方をします。主食、おかず、汁物を順番に食べるのです。味のバランスを見ながら、主食、おかずを繰り返しても構いません。でも、どれか1品だけ早く食べ終わるということが無いように食べ進めていきましょう。
また、穀物よりも野菜を先に食べることで、インスリンの分泌を抑え、血糖値が上がるのを防ぐという効果があると言わてています。そのため、なるべく野菜を先に食べるという健康上の理由で食べ方を変えている人もいます。
作り置きを活用してみよう!!
惣菜作りには、案外時間が掛かります。食材を洗う、切るなど下処理をしてから調理をするという時間を考えると、毎日惣菜を沢山作ることは出来ないと考える人も多いでしょう。
そんな時には、日持ちする作り置きを活用しましょう。
休みの日や、時間が空いた際に少しずつ作っておくと、日々の食事が楽になり、より潤います。
作り置きは同じメニューでも夏場と冬場で日持ちが変わります。そのため、食材の足が速い夏場は、味付けを濃い目にしたり、防腐効果のあるお酢などを活用したり工夫してみましょう。
冷凍も便利に使える!!
冷蔵の作り置きも便利ですが、冷凍も合わせて活用すると更に便利です。
味付けをして冷凍しておき、あとは解凍して焼くだけ、煮るだけにしておくと主菜作りが便利です。また、野菜や食材をかっとして一回分ずつ分けて冷凍しておけば、すぐに使えます。市販の冷凍野菜などは、既に下処理をされていますので、それらを使うもの良いでしょう。
近年では、冷蔵庫の冷凍技術も上がっており、冷凍しても味が落ちない、凍ったままの肉や魚も包丁で切れるというものもあります。
安い時に食材を大量に仕入れて、冷凍しておけばコスト面でも助かりますので、上手に活用しましょう。
意外!?一汁一菜が健康の秘訣って本当?
日本には、惣菜1品にご飯、味噌汁などの一汁一菜の献立も存在します。
これは、いわゆる「粗食」に該当し、食の欧米化が進み、脂質・糖質過多や食べ過ぎを防ぎ、肥満や生活習慣病を予防する健康的食生活であるとも言われています。また、禅の道の僧侶などは、昔からこの一汁一菜を貫いており、寺の仕事や修行をこなし、粗食を摂り、早寝早起きという規則正しい生活で長寿を手に入れているといっても過言ではありません。
また、共働き家庭が増えた現代では、おかずを減らして手間を省く時短も重要視されています。おかずの数が減ると手抜きのイメージが有るかも知れませんが、食材を多く使う事で豪華さが演出できます。
料理の品数が少ない場合は、汁物に野菜をたっぷり入れるなど、栄養バランスが偏らない工夫も必要ですね。
まとめ
料理の品数が4品でも、一汁三菜の献立といわれますが、これは一汁三菜が日本人の憧れ・理想の食卓スタイルであり、基本の食事であるという認識を広く持たれているためです。おかずの数が多少多くても、豪華な食事という意味で「一汁三菜の食卓」という表現をしているのです。でも、現代では共働きが増え、料理に多くの時間を避けない家庭も増えています。一汁二菜や一汁一菜でも栄養バランスが摂れていればそれで良いという考えもありますので、自分の生活スタイルに合った食卓を楽しむようにしましょう。