お節料理と聞くと、重箱に詰められているイメージを持つ人が多いのでは無いでしょうか?重箱にも種類があり、大きさも段数も異なります。では、お節料理には一体何段のものを選べば良いのでしょうか?ここでは、お節料理の重箱は何段なのか?重箱や詰める物の意味などを中心にご紹介します。
お節料理の重箱は4段が基本なの?正式には?
お節料理の重箱は、一体何段を選べば良いのでしょうか?重箱を買うことはなかなかありませんが、いざ買おうとすると一段から五段くらいのものまで様々取り揃えられていて悩んでしまいます。お節料理の通販などでよく見かけるのは、一段から三段ですが、何段が正式なものなのでしょうか。
調べてみると、意外にも4段が正式なものなのです。これは、昔からの吉数である3に更に一段重ねた数であるために縁起が良いとされているのです。縁起の良いところに、更に幸せを一段増やすという意味があります。
また、重箱は重なる構造のため、「福を重ねる」「目出度さを重ねる」という意味があり、年神様をお迎えする新年にピッタリです。地域によっては5段重にして、一番下の五段目は何も詰めず、年神様から頂く福を詰める為に空けておくという風習があります。そのため、重箱を新たに購入する際には一般的に見る3段よりも4段5段にしておいた方が無難と言えるかも知れません。
お節料理それぞれの重箱の意味と詰めるべき料理
正月の三が日は火の神様が宿る台所を休ませ、家事をしなくても良いようにお節料理を作り、それで食い繋ぐという意味があります。そのため、保存を前提とした料理が詰められています。
では、それぞれのお重にはどんな意味があり、どんな料理を詰めるのでしょうか?
蓋を開けると一番上の重箱「一の重」です。この段は、祝い肴と呼ばれ正月に欠かせない料理が詰められます。具体的には、紅白蒲鉾、田作り、黒豆、数の子、酢ごぼうなどです。特に、黒豆、数の子、田作りの3種類を「3種の祝い肴」と呼びます。
「二の重」は口取りや酢の物を中心に詰めます。昆布巻き、栗きんとん、伊達巻、紅白なますなどです。
「三の重」は焼き物を詰めます。ブリの照り焼きやエビの塩焼き、鯛の焼き物などです。
「与の重」は煮物を詰めます。筑前煮などの煮しめや、タコの旨煮、金柑の甘露煮などです。
基本的にはこのように決められていますが、重箱にもサイズがあり、入りきらない場合は他の段に入れても構いません。
縁起を担いで与の重と呼ぶの?
重箱の4段目は、四の重ではなく「与(よ)の重」と呼びます。4は死を連想させ縁起が良くないと考えられ、与の字を使う事になったといわれています。
また、4段重は、一年の春夏秋冬を表わすともいわれています。5段重は土用を表わすといわれています。
4段重が正式な物とされる説もあれば5段重が正式な物とされる説もあり、どちらが正しいのかは考え方によります。
尚、3段重や2段重などは略式と認識されています。近年では、ワンプレートに盛り付ける重箱無しのお節料理も人気があります。
お節料理は吉数=品数を守ると良いって本当?いつ詰めれば良いの?
昔から5.7.9などの奇数は吉数と呼ばれていて、お節料理もその吉数の品数をそれぞれの段に詰めると縁起が良いといわれています。
詰め方には様々な方法があり、市松、七宝、八方、升詰、段取、隅取などバランスを見て詰めることができます。
いきなり詰めるのが難しい場合には、入れたいものを決めた上で予めバランやカップなどで仕切りを作って詰めると良いでしょう。仕切りは、吉数である3を意識すると美しく詰められます。重箱は上に重ねるため、高さを出して盛り付けることが困難です。上から食材がはみ出ないようにしておくと安心です。正面を決めて入れていくと、バランスが良くなります。
お節料理を作れるのは正月事始めである12月13日からです。でも、そんなに早くから作っておくことは難しい為、悪くなり辛い食材を徐々に準備していき、数日前、およそ12月28日頃から日持ちするものを作り始めます。重箱に詰めるのは、31日、若しくは元日の早朝が良いでしょう。
それぞれの具材と意味!
お節料理には、それぞれの具材や料理に意味があります。意味を理解して美味しくいただきましょう。
黒豆・・・黒く日焼けするほどにマメに働けるよう、健康と長寿を願います。
数の子・・・ニシン=二親から、子孫繁栄を願います。
田作り・・・昔、カタクチイワシを肥料にしたところ、豊作になったという謂れから、五穀豊穣を願います。
ごぼう・・・ごぼうは地中深くに根を張るため、運を開くと言われています。開きごぼうとも呼ばれています。
紅白蒲鉾・・・蒲鉾は日の出の形に似ている為、縁起が良いといわれています。
伊達巻・・・巻物に似ている為、学問や教養が身に付くことを願います。
栗きんとん・・・きんとんは金団と書き、金の団子という意味です。そのことから、金銀財宝をイメージさせるため金運を願います。
ブリの照り焼き・・・ブリは出世魚のため、仕事運を願います。
鯛の塩焼き・・・目出度いの語呂合わせから幸せを願います。
エビの塩焼き・・・エビは腰の曲がった老人になるまで元気で生きられるようにと長寿を願います。
紅白なます・・・慶事に使用される紅白の水引に似ている事から、祝い事に用いられます。
ちょろぎ・・・千代呂木、長老木、長老喜などと書かれ、長寿を願います。
蓮根・・・蓮の穴から将来を見通せるようにと願います。
昆布巻き・・・昆布=子生の字を充てて、子孫繁栄を願います。
くわい・・・くわいには大きな芽が一本出るため、出世を願います。
この他にも、様々な食材に意味があります。
新年を迎えるために大切なお節料理!手作りしやすいのは?
新年を迎えるのに大切にされているお節料理ですが、近年では家庭で作るよりも出来合いのものを購入してしまう人が増えています。
でも、新年は大人数集がまるため市販のものでは足りなかったり、人数分揃えるには高価になってしまう場合もあり、昔ながらの風習で家庭でお節料理を手作りすることもあります。
共働き家庭が多くなり料理の時短が叫ばれ、食材が容易く揃えやすくなった現代では、そのまま食べられる状態で買った物と手作りのものを併せて量を調節したり、豪華さを出したりすることも可能です。そのため、無理をして全てを手作りする必要はないのです。では、手作りしやすいのは一体どんなお節料理でしょうか?
自分に合う味で作れるという点で、煮しめは家庭で作るのがおすすめです。煮しめは日に日に味が染みるため、沢山作った方が美味しいとも言われています。
紅白なますや酢ごぼうも、食材が手に入りやすく、沢山作っても保存が効くためオススメです。
また、洋風のお節に登場する事の多いローストビーフ、ローストポークなども固まり肉で作り、新年に切り分けて豪華さを演出できるためオススメです。
まとめ
お節料理の重箱は4段が基本です。5段を使用する地域もありますので、購入の際は段数の多いものにしておくと安心です。重箱はその一つ一つに大切な願いが込められていて、縁起の良い食べ物が詰められます。
近年では、通販などで有名店のお節料理などを手軽に購入することができますので、便利に使用すると良いでしょう。ただ、購入するものは重箱が1段から3段のものが多く、正式な4段以上のものはなかなか見掛けません。出来合いの物と自分で作った物を合わせてもお節料理は完成しますので、そのような方法で作ってみると、新年を迎えるのがより楽しみになるでしょう。