結納は結婚する男女の両家が顔を合わせて、家族となって縁が「結ばれる」ことを祝して贈り物を「納める」行事です。
結婚が決まったら早い段階でおこない、結納を通じて両家の結びつきを強めていくことが目的です。
結納といっても最近では略式で済ませるケースが増えており、昔ほど堅苦しいものではありません。
略式でも結納品の準備など、守るべきマナーはたくさんあります。
服装、日取りや場所などを結婚が決まったらセッティングしましょう。
今回は結納のマナーとして結納品や服装、日取りや場所などの知識を詳しくご紹介します。
結納のやり方は3種類ある
結納とひとくちにいっても、実はやり方を簡略化したり形式にこだわらなかったりとさまざまです。
結納を大きく分けると3種類のやり方があり、正式な形できちんと執り行う正式結納や少し簡略化した略式結納、そして結納にこだわらず両家が顔合わせをおこなう食事会があります。
それぞれの結納について、どのような特徴があるのかを見ていきましょう。
①正式結納
仲人をたてて両家に9種類の結納品、そして結納金を届けてもらう昔ながらのスタイルが正式結納です。
仲人がいての結納は、現代ではなかなか見かけなくなったやり方ですよね。
今では地域や家の慣習にしたがって、正式結納をおこなう場合もあります。
正式結納は主に仲人が両家を行き来して、使者として結納品や結納金を届けてくれるのです。
仲人や両家の距離次第では数日間にわたり結納がおこなわれることもあるため、大変手間のかかる行事となっていました。
現代では仲人自体がほとんどいないこともあり、正式結納をおこなうことはあまりないようです。
②略式結納
仲人に全てを任せていた正式結納とは異なり、両家がひとつの場所に集まって結納品や結納金や婚約指輪を納め合うスタイルです。
仲人に進行してもらうこともありますが、基本的には自分たちで進行していくのが一般的です。
少し前までは男性側が女性側の実家に出向く形式をとる場合が多かったのですが、現代ではレストランなどの場を借りておこなうことがほとんどです。
より結婚に関してカジュアルな考え方に傾きつつある現代、略式結納でも堅苦しいと考える人も少なくはありません。
③顔合わせの食事会
結納という行事にとらわれず、あくまでお互いの両親の顔合わせなどを重視する場合には食事会のみおこなわれます。
今は両親世代も共働きである場合が多いので、こうした簡単な食事会が人気となっているのです。
食事会の最大のメリットが費用を安く抑えられるところで、正式結納の10分の1以下で済みます。
顔合わせが中心のため結納品や結納金の受け渡しはおこなわれずに、写真撮影や懇談のための時間です。
現代ではこの顔合わせための食事会が、結納に当たる行事として定番化しているのです。
略式結納のおこない方とは?
食事会のみでは、結納はできないし、やはり簡単でもきちんと結婚するにあたり儀式は済ませたいという人も多くいます。
簡単に結納をおこないたいときは「略式結納」がおすすめで、簡易的ではありますがきちんとした結納品や婚約指輪などの受け渡しもあります。
略式結納のおこない方は、まず男性側の父親のあいさつから始まります。
結納の執り行いのあいさつが済んだら、結納品を女性側に贈ってください。
女性側がお礼を言って結納返しを贈り、婚約指輪などの記念品を披露します。
最後の締めのあいさつも男性側の父親がおこなうことが多いので、事前に打ち合わせをしておくとスムーズです。
結納が終わったら、その後は食事会や写真撮影をして両家の親睦を深めていきましょう。
お互いの実家が遠方にある場合は、結納の日が初めて顔を合わせるということも珍しくはありません。
最初はなかなか話も弾まずに少し気まずさがあるかもしれませんが、新郎と新婦2人で場の空気を盛り上げていくと良いですね。
結納品やその他結納に必要なもの
正式結納や略式結納では、結納品を準備する必要があります。
略式結納では結納品の代わりに婚約指輪を贈る場合もありますが、結納品について把握しておきましょう。
基本的には結納品は2で割り切れない奇数の数だけ用意をしていきますが、結納品の数の中には目録や受書も含まれるので調整しましょう。
結納に必要な9種類の品物は、以下の通りです。
・目録:結納品の内容と数を書く
・長熨斗:長寿を連想させる
・金包包:結納金を包むもの
・勝男武士:鰹節のことで男性の力強さを連想させる
・寿留女:スルメのことで末永い幸せの願いが込められている
・子生婦:昆布のことで、子孫繁栄を連想させる
・友白髪:白い麻糸のことで、白髪になるまで夫婦仲良くいられるように願いが込められている
・末広:白い扇のことで、末広がりの繁栄の願いが込められている
・家内喜多留:酒樽のことで、家庭円満を連想させる
結納品の9品目がわかったところで、
結納の際の男性側と女性側の持ち物をそれぞれ、見ていきましょう。
①男性の持ち物
・結納品の9種類の品目
・婚約指輪などの婚約記念品
・受書や家族書
・結納金
略式結納では結納品が9種類ではなくても「勝男武士」や「家内喜多留」、「子生婦」や「寿留女」を除いた5種類に減らしても問題ありません。
関西地方では、もともと結納品といえば5種類というのが一般的です。
②女性の持ち物
女性側は男性側に比べて、結納に持参する品物は多くありません。
・結納返し
・受書このふたつとなります。
結納返しは結納品と現金を用意しますが、
結納品はスーツやカバン、腕時計など実用性のあるものが良いでしょう。
結納の時に必要な金額とは?
結納の際には男性側が結納品とともに結納金を用意しますが、金額相場はどのくらいなのでしょうか。
結納金は昔に比べてだんだんと費用が抑えられている印象ですが、それでも50〜100万円は用意する家庭がほとんどです。
地域によっても結納金の金額には違いがあるので、家族と相談すると良いでしょう。
最近では女性側が結納返しで気を遣わないように、元から半額のみを結納金として贈るケースも増えてきています。
良くあるのが、男性側から女性に対して結納金の金額に関する相談をしたり結納金の有無を訪ねたりすることです。
男性側から結納金の金額に関して女性側に尋ねることは、マナー違反になるので注意しましょう。
結納金をいただいた後は女性側から結納返しをしますが、一般的に3〜5割を返したり品物を贈ったりする場合があります。
金銭に関することはきちんと決めておかないと、後々トラブルになることもあるので事前準備をしっかりおこないましょう。
結納の日取りはどのように決める?
結納の話が具体的に進んだら、今度は結納を執り行う日取りを考えていきましょう。
結納は基本的に男性側が進行していくので、日取りなどを決めて女性側に伝える必要があります。
結納のタイミングは結婚式をする3〜6か月前におこなうのがベストで、さらに「大安」や「先勝」などの吉日に設定します。
最近では六輝を気にせず、自分たちの好きな日にちを決めることが多くなっているのが特徴です。
両家の都合というものがあるので、日取りの候補は3日くらい考えて女性側に提案します。
時間帯は午前中におこなわれることが多く、結納が終わったら両家でお昼に食事会をする流れが一般的です。
両家顔合わせの食事会のみの場合は、両家がともに仕事が終わってからの夜に設定することもあります。
お酒を飲みながらだと話も弾むので、両家の親睦が深まりやすいというメリットがあります。
結納をおこなう場所はどうする?
結納をおこなう場所は、昔は女性側の実家でおこなうのが一般的でした。
最近では落ち着いて話ができるホテルや料亭などの飲食店などでおこなうことが多く、事前に予約などをする必要があります。
お店を予約する際は「結納で利用したい」ということを、お店側に伝えておきましょう。
ホテルや専門式場によっては結納に使うと伝えることで、専門のプランを用意してくれるところもあります。
結納の進行といってもあまり良さ詳しくは知らない人が多いので、結納の流れについて説明してくれたり進行を手伝ってくれたりするところもあるのです。
食事会のみの場合は、個室がある料亭やレストランでおこなうのが一般的です。
両親のタイプによって和食系なのか洋食系なのか、さらにカジュアルなお店なのかかしこまったお店なのかを選んでいきましょう。
顔合わせの食事会のみを選ぶ家庭の場合は、もともとかしこまった行事があまり好きではないことも少なくありません。
普段着でくつろぎながら食事とお酒を楽しめるお店も人気があるので、希望を聞いてみると良いですね。
一応本来ならば結納の席であるということで、あまりにカジュアルすぎる居酒屋などのチョイスは避けましょう。
結納をおこなう際の服装は?
結納は2人の結婚という新たな門出をお祝いする、第一歩といっても過言ではありません。
結納は結婚関連の行事で正式なものなので、服装もきちんとしたものを選ぶ必要があります。
結納の席ではけじめをつけて身だしなみを整えて、責任感があるという印象を相手に与えたいですね。
本来の正装は洋装であればモーニングドレスや黒留袖などのフォーマルスタイルですが、最近ではセミフォーマルが主流となっています。
結納の服装についての注意点としては、両家の服装に格差が出ないようにすることが挙げられます。
片方の両親がカッチリ正礼服を着用しているのに、もう片方の両親はセミフォーマルだとバランスがおかしくなってしまいます。
事前に両家の服装について、ある程度決めておくとこうしたトラブルを防ぐことが可能なのでおすすめです。
具体的にそれぞれ結納の席では、どのような服装をしていけば良いのか見ていきましょう。
①女性
女性の場合は、女性らしい明るめの華やかな色のワンピースがおすすめです。
料亭など和室で結納をおこなう場合は、座ったり立ったり動くことが多いのでスカート丈は膝下にすると良いでしょう。
両家の顔合わせではお辞儀をする機会も多いのが特徴なので、胸元が開いていないタイプで、髪の毛が長い場合はまとめておくと清潔感がでます。
アクセサリーも華美なものは避けて、ダラリと垂れるようなものやジャラジャラと音が鳴るようなものは避けてください。
パンプスはつま先が空いていないものにして、ピンヒールでないものを選びましょう。
そして素足でスカートを履くのはフォーマルな席では失礼にあたるので、必ず肌色ストッキングを着用してくださいね。
②男性
改まった席の結納では、スーツを着用して華やかな色のネクタイを締めましょう。
シャツはつい柄物などを選んでしまいそうになりますが、フォーマルな席では失礼にあたるので無地の白シャツを選びます。
和室で結納をおこなう場合は靴を脱いで上がるので、靴下はなるべく新品を履いておくと清潔感がアップします。
意外に女性側の母親は靴下など細かいところを見ていることが多いので、抜かりないようにしましょう。
③母親
きれいで落ち着いたワンピースにボレロなど、アンサンブルが良いでしょう。
ダークカラーにする必要はありませんが、新婦よりも目立たない服装にすることが大切です。
もし地味な印象になってしまったときは、コサージュやブローチをつけて華やかさをプラスしましょう。
母親もスカート丈は膝下の長めにして、足が出過ぎないように注意します。
④父親
父親もスーツが基本ですが、ネクタイは新郎よりも控えめにすることがポイントです。
新郎と同じく、シャツは無地の白にしてくださいね。
まとめ
略式結納のマナーとして結納品や服装、日取りや場所などの知識を詳しくご紹介してきました。
結納は現代では略式結納や食事会のみがメインとなり、結納品は9品目や結婚指輪で結納金は50〜100万円が相場です。
日取りや場所は男性側が決めていき、結納の進行もしていきます。
結婚式の2〜3か月前の吉日に設定し、服装はきれいめなセミフォーマルで行きましょう。
結納は両家の縁を結んでこれから長い付き合いをしていくという、大切な行事です。
身だしなみを整えて、滞りのないようにおこないたいですね。