仕事でお付き合いのある方が独立することや友人が起業するなどで開業というおめでたいことをお祝いする機会ができた時、どんなふうにお祝いをしたらいいのか、悩んでしまうことがありますね。最近では、起業の機会も増えたので、ますます開業が身近になりました。開業祝いのマナーを知って用意するのと知らずに用意するのでは対応に差が出てきますよね。自分らしく、お祝いと応援の気持ちをしっかりと伝えられるように開業祝いについてご紹介します。
開業祝いにきまりはある?
開業というと自分とはあまり関係がないと思っていたら、仕事でお付き合いのある方が独立することになったとか、起業も増えてきましたので、友人や親せきが開業するという機会に直面することもありますね。そんな時にお祝いと応援の気持ちを伝えるものとして開業祝いがあります。
ここでは、開業祝いの決まりについてご紹介します。
時期
開業時はとても慌ただしく忙しい時期です。贈り物を届ける場合は、開店日や事務所オープンの日よりも前日までにお送りする方が良いです。届ける目安は、開業日の数日前から当日の午前中まで。縁起を担ぐことも多いので六曜の日柄を確認して吉日に贈ると良いですね。大安であれば一日中いつでもOKですが、先勝や先負では贈る時間を吉とされる午前・午後の時間を選んで贈ってください。
開業に合わせて行うお披露目会やお披露目パーティに招待されている場合は当日持参でもOKです。
予算
開業祝いの金額は、相手との関係により目安となる金額があります。仕事上関係がある場合には、今後のお付き合いの兼ね合い、過去に他の取引先に贈った金額とのバランスも考慮して金額を決めていきましょう。
取引先:1万円~3万円
重要な取引先:3万円~5万円
知人・友人:5千円
親しい間柄の知人・友人:1万円
親子:3万円~5万円
兄弟姉妹:2万円~3万円
親戚:1万円~5万円
開業祝いのルールとタブー
開業祝いは基本的には相手が必要なものを贈るのがベストですが、贈る機会が多くないため、ルールやタブーとされるものがあるのか知らないことが多いですね。喜ばれるものの他に、一般的に避けた方がいいものと相手先により避けた方がいいものについてご紹介します。また、通常の贈答ではタブーとされる現金・商品券ですが、開業したての頃は、何かとお金が必要な時期でもあるので、開業祝いの場合はタブーではなくむしろOKです。現金の場合は紅白の蝶結びの祝儀袋を用意して、きれいなお札を入れるのを忘れないでください。
喜ばれるもの
- 相手の名前入りの記念品
- 観葉植物・花
- 掃除機や加湿器などのどんなところでも使うような電化製品
- 酒
避けた方がいいもの
- 火気(ライター・灰皿・キャンドル):火事や赤字を連想させる
- 赤いもの(赤い花・品物):赤字を連想させる
- 櫛:く(苦)し(死)を連想させる
- ハンカチ:手布から手切れ・縁切りを連想させる
- 宗教的なもの
- 下着:身に着けるものだから
- 履物・マット:踏みつけることにつながるから
- お茶:仏事で使用されることが多いため、気にする人がいる
医院・クリニックでは避けた方がいいもの
- 香りが強いもの
- 奇抜なデザインのもの
開業したての頃はいろいろと必要なものが多い時期でもあるので、相手が必要なものを伺ってプレゼントとして用意するのも良い方法です。
贈る相手により適した贈り物はある?
開業祝いの贈り物を選ぶ場合、どんな業種で開業したかによって適しているかどうかが違います。人気の品物と選ぶ時のポイントを見ていきます。
一般的にOKなもの
- スタンド花:店頭に置く花で、外から見て開業したことが分かるため、宣伝効果抜群。
- 花・フラワーアレンジメント:開業祝いとしては定番。赤色の花は避ける。飲食店や病院関係は、花粉や虫を気にすることも。
- 鉢植え:「根付く」という意味からお客さんが根付き、経営が安定すると捉えられるために人気の贈り物。
- 観葉植物:飲食店でも花の香りや花粉を気にすることなく置ける上、インテリアにもなるため開業祝いの定番。
- 時計:インテリアとしても使用できるうえ、複数必要なことが多く喜ばれる。
- 花瓶:花を生けるだけでなくインテリアにもなる優れもの。
避けるもの
- 病院関係:奇抜なデザインや香りの強いもの
- 飲食店:香りの強いものや虫のつくもの
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オフィス |
飲食店 |
病院関係 |
スタンド花 |
〇 |
〇 |
〇 |
フラワーアレンジメント |
〇 |
△虫・臭いで食品への影響がなければOK |
〇 |
観葉植物鉢・植えの花 |
〇 |
〇 |
〇 |
酒 |
〇 |
〇 |
〇 |
招き猫・ダルマなどの縁起物 |
〇 |
〇 |
△あまり飾らない |
花瓶 |
〇 |
〇 |
〇 |
時計 |
〇 |
〇 |
〇 |
観葉植物は、インテリア・空気を和ませる効果・鉢植えのため縁起の良さなどの理由で、開業祝いではとても人気があります。
観葉植物の選び方
観葉植物は、置く場所や相手を選ばない優秀なお祝いの品物です。臭いが気になる飲食店や医院でも置くことができます。また、頂いた後のお世話も、簡単なことも人気が高い理由です。どの程度の大きさが良いか、事前に希望を伺えるとサイズ選びがスムーズになります。また、観葉植物にはそれぞれ花言葉があるため、お祝いの品物の他にお祝いのメッセージも届けることができます。ぜひ、選んだ理由もお伝えしたいものです。
観葉植物を選ぶ際のポイントとなる花言葉とお手入れを紹介していきます。
品物選びのポイント
・手入れに手間がかからない水やりのみの植物
・縁起の良い花言葉の植物
幸福の木
花言葉:幸福、隠し切れない幸せ
ドラセナ・マッサンゲアナが正式名称で、ハワイでは、玄関に飾ると幸福が舞い込むという言い伝えがあります。高さは30cm~100cm程度のものが販売されているので、好みのサイズを選べますね。
お手入れは、直射日光の当たらない明るい場所に置き、水をあげ過ぎないのがポイントです。
パキラ
花言葉:快活、勝利
パキラの別名は発財樹で、金運や仕事運をあげる効果ありです。高さは10cm~200cm程度のものが販売されています。
暑さと乾燥に強く丈夫ですが直射日光には弱いため、お手入れは、直射日光の当たらない明るい場所に置きます。水やりは、土の表面が完全に乾いたら水をあげますが、この時に月に2回程度は液体肥料をあげるのがポイントです。冬はさらに3日程度乾燥させてから水をあげますが、肥料は不要です。
ミリオンバンブー
花言葉:幸福、開運、長寿
ドラセナ・サンデリアーナが正式名称ですが、見た目が竹に似ていることから名付けられたミリオンバンブーの方が有名です。別名ラッキーバンブーといわれる、とても縁起の良い観葉植物です。直射日光には弱いため、窓辺を避けます。また寒さにも弱いため10度以下にならないように冬場は注意が必要です。
お手入れは、5~9月は、液体肥料を毎週あげ、土が乾いたら水をたっぷり上げるのがポイント。冬は月に1度程度液体肥料をあげましょう。
ユッカ
花言葉:勇壮、偉大、立派
すくすくと成長することから青年の木ともいわれるユッカは、乾燥や寒さにもさらに日陰でも大丈夫なため、植物を育てるのが苦手でも育てられるといわれています。お手入れの簡単さから開業祝いの贈り物に選ばれています。
水やりは他の植物より少なく、少し乾燥した状態が続いても枯れません。5月~10月は、レースカーテン越しに日の当たる窓際に置きます。この時期は、土が乾いたら水をたっぷりあげ液体肥料も月に3回程度あげます。10月以降は窓ガラス越しに直射日光が当たるようにするのがポイントで、この時期の水やりは、土が乾いた後も5日程度置いてから水をあげれば大丈夫です。
サンスベリア
花言葉:永久
見た目が特徴のあるサンスベリアは、とてもスタイリッシュでインテリアとして活用されることが多い観葉植物です。育て方が簡単なので初心者にも向いています。特徴的な葉っぱが虎のしっぽを連想させるため『トラノオ』とも呼ばれていますが正式名称は『千歳蘭』です。
お手入れは、日陰でも育つため窓辺に置かなくても大丈夫ですが、できれば、1日に数時間ほど日の当たる場所に置きましょう。春から夏にかけては土が乾いたらたっぷり水をあげ液体肥料も月に2回程度あげますが、気温が8度を下回ったら水をあげる必要はありません。
空気清浄効果がある植物のため、風水では、よいエネルギーを作り出す効果があるとされています。
立て札を書いてもらうこと
観葉植物などの鉢植えやフラワーアレンジメント、スタンド花をお祝いの品物に選んだ場合は、長方形の立て札を立てて贈るのが一般的です。こうした品物は、人の目に触れる場所に置かれるため、受け取った方にとっても贈った人にとっても開業する人と贈り主との関係をアピールする機会です。開業時に贈り主不明の花は並んでいるのは不自然です。必ず立て札を用意しましょう。
立て札は縦書きが多いのですが、先方との間柄がとても親しい場合やソフトな印象を与えたいときには、横書きの立て札を用意します。
立て札には、『開業御祝』を中央に書きそれを挟むように受け取る方の名前と贈り主の名前を書きます。
- 縦書きの場合:右側に受け取る方、左側に贈り主の名前を書きます。
- 横書きの場合:上に受け取る方、下に贈り主の名前を書きます。
立て札は、木の場合もありますが、紙の札の場合もあります。
観葉植物を購入するお店で、立て札の作成サービスも行っていますので、自分で用意するよりもお店にお願いした方がいいですね。
まとめ
- 開業祝いは、開業の数日前から当日の午前中までに贈るのがマナー
- 開業のお祝い会やお披露目パーティがある場合は、お祝いは当日でもOK
- 赤字や火事を想像させる贈り物はタブー
- 開業祝いの金額は、相手との関係により変わる友人の場合は5千円程度、取引先の場合は1万円~5万円程度
- 観葉植物は、花言葉と手入れの簡単さが魅力
- 観葉植物は、受け取る方の開業形態を選ばないため開業祝いの定番
起業が増えてるとはいえ、開業祝いを贈る機会は他のお祝い事と比べると少ないので、あまりマナーやタブーが知られていないものです。マナーを知ったうえで、受け取った方に喜ばれる、そしてお祝いの気持ちと応援の気持ちを伝えられる開業祝いを贈りたいですね。