念願の開業にこぎつけ、ほっとしている。緊張している、いろいろな気持ちが入り混じっている時ですね。忙しくて大変な時でもあります。でもそんなときでもお祝いをくださった方、開業を支援してくださった方にはきちんと感謝の気持ちを伝え、今後のお付き合いをお願いしたいものです。ここでは、開業のお祝いへのお礼の方法についてご紹介していきます。
開業祝いを頂いたら、お礼はどうする?
開業時は念願の開業を実現できるという喜びとこれからの事業がどうなるのかという不安といろいろな気持ちが入り交ざります。開業祝いにお返しは必要なのかと悩むかもしれませんが、開業祝いを頂くということは、その方が自分の開業を祝福し応援してくれるということです。これからのお付き合いを考えると、きちんとお返しをして、良好な関係を築いていった方がよいですね。ぜひ、礼儀に適った対応をしましょう。
ここでは、開業祝いのお返しについてご紹介します。
お返しの方法
開業祝いには、花輪やフラワーアレンジメント、観葉植物、置物、現金などいろいろ頂きますが、すべてがお返しの対象となる頂き物です。お花は対象外ということはありませんので気を付けてください。
お返しをする方法としては、2通りです。
- 開業に合わせてお店や事務所などのお披露目会やお披露目パーティを行う
- 内祝いの品物を送る
せっかく開業するので、新しいお店や事務所にお祝いをしてくれた方をお招きして、お店や事務所の紹介を行うのが一般的です。よく、飲食店などでは、正式な開店日の数日前にお客様を招待してお店で提供するお料理でおもてなしをしているのを見かけますね。
時期
開業祝いのお返しとして行うお披露目会やお披露目パーティは、開業前に行います。内装が完成しお客様を迎えられる状態になってから行うのが一般的です。お披露目会などを行わない場合は、開業して少し落ち着く、開業後1週間頃、遅くても2週間以内に送ります。
金額の目安
お披露目会を行わない場合や、参加できない方にお返しを送る場合は、頂いた金額の3分の1~半分程度を目安にお返しをしましょう。また、お返しを送る場合には、お祝いを頂いたことへのお礼を伝える意味でお礼状を添えるのを忘れないでください。
お披露目会とはどんなことをする?
お披露目会は、開業するお店や事務所を会場として立食形式で行うのが一般的です。飲食店を開業する場合は、お店の宣伝も兼ねてお店で提供する看板メニューや飲み物をふるまうことが多いです。こうすることで、メニューへの率直な意見を聞くことができる貴重な機会となるのです。飲食店以外の開業では、オードブルや簡単に食べられるお料理と飲み物をケータリング等を利用して用意します。
お披露目会に招待する方は、お祝いをくださった方はもちろんですが、その他に開業を手伝ってくれた方、お世話になっている方、取引先、業者、友人です。お披露目会に招待することで、開業したことを知っていただくよい機会にもなりますし、日ごろの感謝を伝える機会にもなります。迷ったら招待した方が今後のお付き合いを考えるとよいですね。
当日は、開業の挨拶とお礼をした後に乾杯をしてお披露目会を始めます。
お披露目会などを行うこと自体が、開業祝いに対するお礼になるため、他にお返しを用意する必要はありませんが、一般的には、引き出物を用意し「内祝い」や「粗品」として渡します。開業したお店や事務所の宣伝となるように、名前や電話番号・住所などを入れた引き出物を用意することも多いですね。
ただ、お披露目会を行うということは、費用のかかることです。開業時の費用として予算に入れておく必要があります。一人当たり千円~3千円程度で用意しましょう。
引き出物と内祝いの品物
開業する業種によっては、一般的にお披露目会を行わない業種もあります。このような場合とお披露目会を行ったけれど参加できなかった方には、お礼と今後のお付き合いをお願いしてお返しの品物を贈ります。
お菓子やジュースなどは喜ばれるお返しです。また、タオル、洗剤などの日用品・消耗品も内祝いの定番です。こうした日用品や消耗品は、生活の中で必ず使うため、いくつあっても困らず、どんな方にも贈ることができる定番の品物です。また、最近では受け取った方が必要なものをえらべるカタログギフトでのお返しも増えています。
お披露目会で渡す引き出物
お披露目会を行ったときにお渡しする引き出物は、開業したお店や事務所を知ってもらいたいため、開業したお店または事務所の名前が入った品物を用意することが多いです。一般的に多いのが、湯呑み茶碗やグラス、タオルです。
飲食関係の開業の場合は、グラス、マドラー、スプーンやフォークなどのカトラリー、お皿も人気の品物です。
事務所の場合は、ボールペンやシャープペンシルなどの筆記用具、メモ帳や付箋などの文房具も人気ですね。最近はおしゃれなマスキングテープが増え、使う機会も多くなりました。その他には、携帯ストラップなども人気の品物です。
病院・歯医者の開業の場合
病院などの医療機関を開業した場合は、開業した診療科目と関連した品物を贈ることが多いですね。歯医者を開業した場合は、名入れの歯ブラシが定番です。歯ブラシ自体に印刷をしたものを用意しましょう。
こうした名入れの記念品の他に、お店や事務所の名称・住所・電話番号・地図・営業時間を入れたパンフレットを作成し、引き出物と一緒にお渡ししましょう。
お返しのマナー
ここでは、開業祝いのお返しの贈り方とお返しの品物を選ぶ際の注意点として、タブーとされる品物についてご紹介します。
贈り方
お返しの品物は、必ずきちんと包装をして、熨斗をつけます。紅白の水引に内祝いと書き、水引の下には開業したお店や事務所・会社名を書きます。個人名ではなく開業したお店などの名称を書くのがポイントです。また、正式な贈り物ですので、簡略化した包装は避けた方が良いですね。
品物選びの注意点
ライターや灰皿
開業祝いのお返しでタブーとされているのが、『火』に関係するものです。ライターや灰皿はついつい送りたくなってしまいますが、火事を連想させるので避けた方がいいです。
ハンカチ
日々使う手ごろな品物に『ハンカチ』がありますが、こちらも開業祝いのお返しとしてははNG。これは、白いハンカチが亡くなった方の顔にかける布を連想させるため、お返しとしてはふさわしくありません。
お茶
煎茶などの日本茶は、弔事の際のお返しの品物として定着しているため、相手方によっては、違和感を感じる品物です。同じお茶でも紅茶はタブーとはされていませんので、お返しとして選ぶ場合は、紅茶やハーブティなどにしましょう。
履物・靴下・マット
履物や靴下、マットは、足でふむため、『踏みつける』ものです。そのため、お祝いとして贈ることもお返しとして贈るのも一般的には避ける品物です。足は体の中でも一番下にあるため、下のものやこき使う、馬鹿にするなどの良くないことをイメージするため避けましょう。
お返しをするときにのマナー お礼状も添えよう
開業祝いを頂いたら、品物を贈る場合はもちろん、お披露目会に参加していただいた方にも必ずお礼状を贈りましょう。
『内祝い』という考え方をすれば、直接お礼を伝えているので、それ以上わざわざお礼状を贈らなくても良いのですが、開業の場合は通常の『内祝い』とは異なり、お礼状を別途送付するのが一般的です。
これは、開業を支えてくださった方に感謝の気持ちを伝えることが目的ですが、それ以上に、これからさらに密で良好な関係を築いていくご挨拶のために必要です。また、お披露目会ではゆっくりとお話しすることができないことも多いので、改めてお礼を伝えるのに使います。
お礼状には、頭語といわれる『拝啓』と時候の挨拶を書きます。次に、開業祝いを頂いたこととお披露目会に参加いただいたことへの感謝の気持ちを書き、今後の抱負を書いた後、最後に引き続きのお付き合いをお願いし、結びます。
結語として『敬具』や『謹白』を記載します。
後付けとして日付と差出人名・宛名を記載して終わりです。
感謝を伝える表現
『このたびは、〇〇の開業に当たり、ご丁寧にお祝いを頂きありがとうございます。日ごろからご指導いただきありがとうございます。』や、『お祝いを頂きありがとうございます。お披露目会ではゆっくりとお話をする時間が取れずに失礼しました。普段からいただいていたアドバイスを活かして開業にこぎつけることができました。』などの言葉で感謝を伝えます。
今後の抱負
お礼状には、感謝を伝えた後は、今後頑張るのでご指導をお願いします、という内容を記載します。ここは自分の言葉で書くことで、誠意が伝わります。
まとめ
- 開業祝いにもお返しは必要
- 開業祝いのお返しは、お祝い会やお披露目パーティに招待し、食事の提供でOK
- お披露目会を行ったときも引き出物としてのお返しまたは記念品を渡します
- お返しの額は3分の1~半分程度
- お返しは、包装紙熨斗をつけて贈るのがマナー
- お礼状はお披露目会に参加した方にも贈る
開業という人生の一大イベントで、とても忙しい時期ですが、開業のお祝いを頂いた相手方には、礼儀にかなった対応をすることで、今後の関係が良くなるものです。周囲の応援があってこそ、開業がうまく軌道に乗るため、しっかりとお礼をすることから応援される開業の一歩を踏み出しましょう。