皆さんは最近封筒を使いましたか?
一昔前ならば連絡手段として頻繁に使われていた封筒ですが、最近はメールなどの機能が向上していますから使う機会は少なくなってきているかもしれませんね。
そんな封筒について正しい使い方は知っていますか?
今回は封筒の正しい使い方についてご紹介したいと思います。
そもそも封筒はいつから日本で使われているの?
日常の中で自然と使われている封筒ですが、その起源をさかのぼると紀元前2千年には登場していたといわれています。
古代バビロニアで使われていたようで、この時代には紙ではなく粘土のようなものだったそうです。
古代バビロニアでは貿易などであらゆる取引や商談が行われていました。
その際に契約や公的記録を粘土板に記載したのです。
くさび型文字で書かれたその文書は薄く伸ばした粘土で包み、中の粘土板が損傷しないよう窯で焼かれました。
外側の粘土で中の文書を守ると共に、他の人間に文書を見られないようにする目的もあったようです。
この粘土で作った固いケースのようなものが封筒の始まりだといわれています。
その後、2世紀に古代中国で紙が発明されました。
紙の技術は7世紀になると日本へ伝えられ、9世紀の平安時代に入ると公的なものから私書など紙の手紙が盛んに使われました。
平安時代には紙の封筒ではなく、大切な文書などは木で作られた文箱や状箱といわれる箱に入れて文使いと呼ばれる使いの人間が手紙を運びました。
平安時代の貴族たちにとって手紙は欠かせないもので、公的な文書の他にも結び文といわれる恋文を意中の相手に送ることもあったようです。
この結び文は紙に香を焚きつけて、木や花の枝に結んでいたようですからとても優雅ですね。
私書として使われていた結び文とは異なり正式な文書などは立文と呼ばれる手紙を使いました。
これは縦長に畳まれた手紙をさらに紙で包み、その上から別の紙でくるんだ後に上下を折り返して使っていたようです。
この外側の紙は懸紙といわれ封筒のように機能し、中に入っている手紙を保護する役割もありました。
その後、江戸時代に入ると筒状の封筒が登場します。
絵封筒とも呼ばれるその封筒は幾何学文様や花鳥風月などの様々な絵が描かれました。
江戸時代では絵封筒の中に絵半切とも呼ばれる便箋を中に入れて手紙を送ることが流行していたようです。
昔は現代のように郵便制度が整っていたわけではありませんから、子供などにお金を渡して人づてに頼むか大切な信書などは飛脚を使ったといわれています。
江戸時代が終わり、明治時代に入ると文明開化の波が手紙にも押し寄せてきます。
1円切手に描かれている前島密が明治4年に東京と大阪間で官営の郵便事業を開始しました。
東京・京都・大坂に現代の郵便局の基盤である郵便役所を設けたそうです。
この郵便制度を皮切りに全国に郵便役所が全国に広まっていきます。
“郵便”や“郵便切手”という言葉も郵便事業を築いた前島密によって選択されました。
このようにして、明治時代から全国一律料金で手紙を届けてくれる郵便事業が始まったのです。
封筒の宛名、正しい書き方を知ろう!
封筒は縦長の和封筒と横長の洋封筒と種類が分かれます。
縦長の和封筒の場合は縦書きが基本です。
宛名の正しい書き方がありますので簡単にご紹介します。
① 切手は左上に貼るようにしましょう。
② 住所は郵便番号の一番右側にそろえて書き始めてください。
書き始めは郵便番号にぴったりと付けずに、一文字分空けるようにしてくださいね。
③ 住所の番地は漢数字で記入し、ビル名や階数も忘れずに入れましょう。
④ 会社宛てに送る場合、名前の前に会社名と所属部署を記入します。
※会社名と所属部署は一行で書く場合は、つなげずに一文字分スペースを空けましょう。
会社名と所属部署を2行に分けて書いても問題ありません。
⑤ 役職名がある場合、役職名が4文字以下でしたら名前の前に小さめに書いてください。
5文字以上の場合は行を増やして書きます。
名前の右側に小さめに役職名を書きましょう。
一方の洋封筒の場合は横書きが基本です。
① 切手は右上に貼ります
② 郵便番号の枠がある場合はそこに記入し、ない場合は左端から2文字ほどスペースを空けて書き始めてください。
③ 住所は郵便番号の左端と同じ位置から書き始め、番地は算用数字で書きましょう。
※ビル名などが入りきらない場合は住所の下に書きましょう。
住所の書き始めより一文字分空けて書き始めるとバランスが良いでしょう。
④所属部署は会社名の後に一文字分空けて書いてください。
⑤役職名がある場合、役職名が4文字以下でしたら名前の前に小さめに書いてください。
5文字以上の場合は名前の上に小さめに役職名を書きましょう。
封筒のサイズって何があるの?
封筒のサイズはさまざまな大きさがあります。
一般的に使われている封筒の多くはJIS(日本工業規格)で定められたサイズが使用されており、縦横と長さによって長形封筒・角形封筒・洋封筒に分かれています。
さらに封筒はその大きさによって「定形封筒」と「定形外封筒」に分類されています。
「定形封筒」とは日本郵政によって定められた条件を満たした封筒の事です。
この定形サイズの封筒は日本郵政が定めた条件を満たしていれば、郵便局の窓口に行かなくとも切手を貼って送ることが可能です。
82円切手か92円切手で送れる定形封筒の条件は重さ50グラム以内のもので厚さは1センチ以内、縦23.5センチと横12センチ以内ですね。
封筒の重さを入れて25グラム以下でしたら82円切手で送れますが、25グラム以上50グラム以下の場合は92円切手で送れます。
「定形封筒」の中でも封筒は長形4号と呼ばれる横90センチ、縦205センチのものがよく使われているサイズではないでしょうか。
こちらはB4サイズが三つ折りなどで入れることが可能な大きさですね。
その他の定形の基準を満たさない封筒は「定形外封筒」とされ、料金は重さによって変わっていきます。
ちなみに定形外の中でも縦34cm以内、横25cm以内、厚さ3cm以内で重量1kg以内でしたら“規格内”となり、その他は“規格外”と分類されます。
規格内も規格外も重ければ重いほど料金が高くなるのは同じですが、規格内の方がグラム単位は安いのがふつうです。
「定形封筒」も「定形外封筒」もサイズや重さによって郵便料金は細かく分類されています。
分からない場合、適当に切手を貼ってしまうと料金過不足で戻ってきてしまうこともありますので郵便局の窓口で、きちんと確認してくださいね。
切手の歴史を知っていますか?
切手は世界各国で使われていますよね。
切手が世界で初めて使われたのは1840年のイギリスです。
その後、数十年の間に切手は世界各国へ広がっていきます。
日本では郵便が始まった明治4年に初めて切手が発行されました。
発行当初は“竜文切手”と呼ばれる切手が使用されます。
“竜文”の“文”は江戸時代の通貨の単位です。
明治4年では通貨改革が行われていなかったため、この“竜文切手”が発行されたのです。
翌年の明治5年には銭の単位で変更された“竜餞切手”が登場します。
その後、切手の種類は金額ごとにどんどん増えて現代においてはキャラクターの切手や、ハート形などさまざまな切手が発行されています。
封筒のビジネスシーンでの正しい使い方は?
ビジネスで封筒を使う際に気になるのがマナーですよね。
現代は基本的にメールのやり取りが多いかと思いますので、いざ封筒を使うとなると正しく使えているのか不安になるかもしれません。
ビジネスで封筒を使用する際は手書き・縦書きが基本です。
パソコンで作った宛名シール等でもカジュアルなシーンならば問題ありませんが、お礼やお詫びなどの内容や、見積書・請求書などの重要な書類、目上の方へ手紙を出す場合は手書き・縦書きにしましょう。
ビジネスで封筒を受け取った時に、左下に「親展」と赤文字で記載されているのを見たことがあるかもしれません。
これは“外付け”と呼ばれ、注意すべきことがある場合に受け取った相手がすぐに分かるようにする配慮です。
“外付け”にはさまざまな意味があり、よく使われる「親展」は本人以外開封禁止の意味があります。
他にも「拝答」は返信を促す意味があり、「至急」や「急信」はすぐに中身を開封して対応してほしいとの意味があります。
このようにビジネスにおいて封筒を使う際はさまざまなマナーや常識がありますので、注意して使ってみてくださいね。
ポチ袋にもマナーがある?
お正月など親戚の子供が集まるとお年玉を渡すこともあるでしょう。
その時に皆さんが使っているのはポチ袋ではないでしょうか。
お年玉の他にも心づけとして渡す際に使ったことがあるかもしれません。
ちなみにポチ袋はもともと関西の芸子さんがご祝儀を「ポチ」と呼んでいたことからポチ袋と呼ばれるようになったのではないかといわれています。
そんなポチ袋にもマナーがあります。
ポチ袋のポチには「ほんのわずか」などの意味が込められておりますのでポチ袋は少額のお金を入れて渡すのが一般的です。
1万円以上の金額を相手に渡す際はポチ袋ではなくご祝儀袋を使いましょうね。
他にも上司や目上の人にはポチ袋を使わないようにしましょう。
絶対に使ってはダメという訳ではありませんが、ポチ袋はお金を折って入れますよね。
目上の方にお金を渡す際には折りたたまれたお金は失礼となってしまいますので注意してください。
日常でよく使うポチ袋はとても便利ですがきちんとマナーもあります。
皆さんも気を付けて使ってみてくださいね。
まとめ
今回は封筒にまつわる事についてご紹介をしました。
パソコンやスマートフォンばかりで最近は封筒を使っていないなんて人もいるかもしれません。
便利なメールは効率的でもちろん良いですが、たまには封筒を使って手紙を出してみてはいかがでしょう。
心を込めて書けばもらった相手へも伝わるものです。
ぜひ皆さんも封筒を活用してみてくださいね。