携帯電話やパソコンでコミュニケーションを簡単に取ることができるようになった現在、手紙を書く機会がどんどん減ってきていますよね。手紙で気持ちを伝えることは、実はとても難しいもの。
絵文字などもない言葉だけの世界ではいかに要点をまとめ、限られたスペースの中でいかに伝えたいことを表現できるかが、綺麗な手紙を書くためのカギとなります。
そんな手紙に作法があることをご存知でしょうか。
手紙の作法をきちんと学べば、節目やお礼状などを書く際にも役立ちますので、ぜひ知識を身に着けておきましょう。こちらでは知っておくと役に立つ、手紙の作法についてご紹介していきます。
覚えておきたい手紙の用途
スマホなどの普及で手軽に人と連絡を取り合うことができるため、手紙の必要性を感じない方も多いかもしれません。ですが日本人は礼儀を重んじることで知られており、言葉を大事にする文化がまだまだ残っています。
例えばお祝いごとや弔事などの時に、相手へ手紙を書くことは礼儀の中の1つ。それはお返しの手紙を書く場合も同じです。結婚祝いや出産祝いのお祝い品をいただき、それを電話で済ます方も多いことでしょう。
実は本来なら「御礼状」として、手紙を書くことが必要となります。
もちろん親戚や親しい間柄では省略することもできますが、職場の上司や学校の恩師など、そこまで頻繁に会うことがない方や目上の方にはできるだけ手紙を出すことがおすすめです。
年輩の方は特に手紙を大事にする方が多いですし、物理的にメールなどのやり取りが苦手な方もいますよね。手紙を書く必要性が高い事柄を、こちらでご紹介します。
・お礼状・各種祝いに関すること・お見舞い・挨拶状・弔事に関すること・近況窺いなどが、特に手紙を書いた方が良い場合とされています。
また手紙とハガキを混同されている方も多くいるかもしれませんが、実はハガキと手紙においては用途が変わります。
手紙が正式な文章を書き込むものであるのに対し、ハガキはその形を簡略したスタイルであることを覚えておきましょう。つまり正式な文章を書く際には、ハガキは不向きということになります。
正式な文章というのは、相手へのお願いや正式な依頼、お詫びしたい事柄を記す際、また個人的な情報を書き込むことを言います。
文章が外に出るハガキには、文章によっては受け取った相手が不愉快に感じる可能性もあります。ハガキを使う場合はあくまで挨拶状や、簡単なお礼状などだけにしておいた方が無難ですね。
手紙を送る作法を解説!時期を大事にすること
手紙を出すタイミングも、実はしっかり考えなければいけません。お礼状を出す場合、お見舞い、お詫びなどさまざまな内容で手紙を書く必要があるでしょう。どの状態でもなるべく急いで手紙を出すことが必要です。
もちろん都合によりすぐに手紙を書けない場合もあるでしょうから、この限りではありません。もしも時期を逃してしまっても焦ることはありません。遅れてしまって出さないよりも、やはり手紙を送った方が失礼になりませんのですぐに出すようにしましょう。
こちらで理想的な手紙を送るタイミングをご紹介します。
・お礼状
お礼をするべき日のうちに出すのがベスト。
お見舞いのお礼状に限り、体調が快復してからにしましょう。
・報告状
結婚報告・引越し報告は遅くとも1カ月以内に出しましょう。
出産報告に関しては特別ハガキなどで知らせず、季節のあいさつと共に送るのが一般的です。
・詫び状
お詫びをするべき日のうちに出すのがベスト。
・年賀状
元旦から1月8日まで・寒中見舞い1月8日から2月4日まで・暑中見舞い梅雨明けから8月7日前後まで・残暑見舞い8月8日頃から月末までなどが通常良く送られているハガキや手紙になります。
ご紹介した中で、手紙を出した方が良いものは、お礼状や詫び状になります。お礼やお詫びは相手にすぐに伝えるのが作法ですので、何かいただいたり失礼があったらその日のうちにすぐに送りましょう。当然ですが集荷や場所の都合で出してもすぐにつかない場合もあります。できるだけ早めに出さないと、どんどん日にちが過ぎてしまうので気を付けましょう。
日にちが少し過ぎてしまったとしても、気持ちはしっかり届きます。遅くなったとしても出すことが作法だということも、頭に入れておきましょう。
手紙を書くのが苦手でも安心!書き出しをご紹介
手紙を書くのが苦手だという方もいますよね。まず書き出しから詰まってしまうと、後が続かなくなり時間ばかりかかってしまいます。そこでおすすめの書き出しをご紹介しましょう。
まずは手紙の書き方なのですが、大きく分けて手紙には4つの構成を作るのが理想的です。
あいさつなどの前文、次にメインの話題・そして相手への祈りなどの結び・そして日付や名前を記した後付です。
この4構成を基本とし、相手に合わせて文章に肉付けをしていきます。いきなりメインの内容に入るのは手紙として読みにくく、作法に背きますので注意してください。
書き出しは通常、季節に関する事柄を入れる様にします。
四季の変化を楽しむ日本ならではの、奥ゆかしさがそこにあると言えますね。
例えば冬にお手紙を書く場合、「日々寒さが厳しくなっておりますが、ご家族の皆様はおかわりないでしょうか」や、「街路樹の葉も落ち、寒さが厳しくなる昨今。〇〇様におかれましてはお仕事に励まれていることと思います。」などはいかがでしょうか。
冬の寒さに対し相手を気遣う文章で書き出しをすると、次に繋がりやすくなります。
これは夏場なら暑さを強調したり、秋なら「紅葉の良い時期になり」春なら「桜が見頃の時期になりました」など、その季節を象徴するあいさつを入れるのが良いでしょう。
これを時候のあいさつと言い、手紙の作法としては一般的なものです。
またこの時候のあいさつの前に「拝啓」などと入れることもお忘れなく。この「拝啓」は頭語と言い、手紙の書き出しの最初に入れるのが理想的です。
綺麗な手紙にするために、結びを忘れずに!
手紙には頭語・時候のあいさつ・そして主文があることをご説明しました。この主文の後に来るのは結びです。主文が終わった後に、いきなり手紙を終わらせてしまうのは手紙の作法に背いているので注意してください。
いくら内容の素晴らしい手紙を書いたとしても、結びがないとアンバランスな手紙になってしまいます。そこでこちらでは、綺麗な結びについてご紹介しましょう。
まず個人的なお付き合いがある方に書く手紙の場合は、結びに健康や幸せを願っているという様な内容を書き記すのが一般的です。
例えば「まだまだ寒さが続きますので、お体をご自愛下さいませ」などを入れると綺麗です。もしも仕事上の付き合いであれば、活躍や商売繁盛を願うのが良いですね。「〇〇様のご活躍をお祈りしています」などはいかがでしょうか。
またここで終わりにしてもおかしくはないのですが、寂しいと感じる場合は「またお会いできる日を楽しみにしています」や「皆さまにも宜しくお伝えくださいませ」などとするとまとまりが出るでしょう。
手紙の始まりはエジプト?
手紙を聞くと日本の平安時代などを思い浮かべませんか?簾の向こうにいる女性に、男性が愛の言葉を送る「文(ふみ)」は歴史ドラマなどでも良く見かけます。
実は手紙の始まりは古代エジプトであったと言われています。土の様な粘土で作った板に、象形文字を掘り手紙にしていたというのが通説です。
その後書く量によっては粘土板が重くなってしまうので、パピルスという紙に文字を書くことを始めたのです。紙で書いた手紙は持ち運ぶことも簡単にでき、とても重宝されたことでしょう。
日本に手紙文化が定着したのは、中大兄皇子と蘇我入鹿が戦った日本の歴史を変えた「大化の改新」から。その後は手紙により、民衆にも家族の安否を気遣ったりすることに役立ってきました。出稼ぎや奉公が多く、家族で暮らすことが難しいという時代に手紙はとても役に立ったはずです。
この後日本にはいかに美しく、季節を感じながら言葉を手紙に託すかということにこだわられてきました。その文化は時代を経て現在メールなどといったものに変わってきていますが、言葉を伝え合うという基本的な文化は変わっていませんね。
人は道具や速度こそ変わっていますが、誰かと言葉でコミュニケーションを取ることが必要としているという証拠なのかもしれません。
まとめ
こちらでは手紙についての作法をまとめてきました。
手紙とハガキの違いや、正式に手紙を書く場合の作法としての書き方を知らないと、書かなければいけない時に手紙の作法に背いてしまうこともあるので気を付けましょう。
また個人的なお付き合いばかりではなく、仕事上お付き合いのある方にも手紙を書く必要もでてくる場合もあります。その際に手紙の作法を知っていると、そこまで時間をかけずに手紙を書くことができるでしょう。
大人として手紙の作法を知っておくととても役に立ちますので、ぜひ心に留めておくのがおすすめです。