箸のマナーをご存知ですか?日本人が食事に使用する箸には、様々なマナーと、やってはいけないタブー行為があります。でも、毎日のように使っていながらも、実は詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか?ここでは、そんな箸のマナーとタブーについて詳しくご紹介します。
箸の使い方にはマナーとタブーがある!?
日本人なら食事の際に誰でも使う箸ですが、使い方にはマナーやタブーが存在することをご存知でしょうか?
箸のタブーな使い方はきらい箸、忌み箸と呼ばれていて、箸のマナー=和食のマナーともいえます。
箸の使い方やマナー、そしてタブーは代々親から子へ食卓を通じて大切に言い伝えられてきました。でも、近年では食卓もにも欧米文化が入ってきて、より多様なものになりつつあり、箸のマナーも以前ほど煩く言われなくなってきました。でも、それは個々の家庭単位の変化であり、マナ―やタブーに厳しい家も少なくはありません。では、具体的にどんな行為がタブーなのでしょうか?詳しくみていきましょう。
これはタブー!悪いのはこんな使い方
箸を使う上でタブー視されているのは、次のようなものです。
拝み箸
箸を両手の親指に掛け、手を合わせる様子をいいます。よく「いただきます」の挨拶をする際にしてしまいがちですが、これもマナー違反です。
寄せ箸
自分から遠い場所にある器に箸をかけ、自分の方に引き寄せることを寄せ箸といいます。器は手で持ち上げて移動させましょう。
ねぶり箸
箸だけを舐めたり、くわえたりすることをねぶり箸といいます。
刺し箸
食べ物に箸を突き刺すことを刺し箸といいます。大きい芋や肉など箸で持ちにくいものについ刺してしまうという人も多いのですが、器の中で箸を使い上手に切り分けるなど工夫をしましょう。
重ね箸
一つの器の物ばかりを食べ続けることを重ね箸といいます。好きな物ばかりを食べてしまう気持ちは分かりますが、バランス良く食べ進めましょう。
移り箸
器の中の食べ物に箸を付けたのに、食べずに他の器へ移ることを移り箸といいます。一度箸をつけたものを食べ終えてから次に移りましょう。
もぎ箸
箸に付いたご飯粒などを口でもぎ取ることをいいます。ねぶり箸と同様に良い印象を与えませんので注意しましょう。
振り上げ箸
箸を他人に向けたり、振り回すような行為は振り上げ箸といわれタブーです。
渡し箸
器の縁に箸を置くことをいいます。気付かずやってしまいがちですが、実はタブーな使い方です。箸置きに置くようにしましょう。箸置きが無い場合は、箸袋などを折り畳んで代用できます。
涙箸
食べ物から汁がしたたり落ちている様子を涙に見立てて表現しています。特に汁物などを食べる際に注意しなくてはなりません。器をしっかり持ち上げて食べるようにしましょう。
せせり箸
箸を楊枝のように使用することをいいます。面倒であっても爪楊枝を使用しましょう。
立て箸(仏箸)
ご飯に箸を立てるのは、死者に供える枕飯と同じためタブーなのです。
押し込み箸
箸で食べ物を口に押し込むことをいいます。急いでガツガツ食べている印象を与えてしまいます。
迷い箸
どの食べ物を取ろうか箸を伸ばした状態で迷う事をいいます。どれにしようか決めてから手を伸ばすようにしましょう。
探り箸
器の中を探るように下の食材を取り出すことをいいます。日本食では美しく盛り付けられていることも多いので、上の方から食べるようにしましょう。
拾い箸
誰かが箸で掴んだものを更に箸で受け取ることをいいます。これは、故人の骨をそのようにして骨壺へ納めるため縁起が悪いとされています。
搔き込み箸
器に口を付けて食べ物を搔き込むことをいいます。
また、箸ではありませんが、手を皿のように添えて食べるのもマナー違反です。
食べ終わりの置き方はどうすれば良いの?
使い終わった箸にもマナーがあります。では、食べ終わった箸はどのように置くのがマナーなのでしょうか?
食べ終わったら、懐紙で箸先の汚れを綺麗に拭き取り、箸袋に入れたり、箸置きに置きます。
懐紙を持ち歩いていなければ、飲食店に置かれている紙ナプキンを使用して汚れを拭き取ります。
食事の途中に箸を休めたい時は、箸置きに置いておきましょう。箸置きが無い場合には、箸袋を折り畳みその上に置いておきます。
箸を上手に使いたい理由は?
日本では、箸の持ち方や使い方を美しくしたいと願う人が多いものです。
中には、「自分が楽しく美味しく食べられるなら、マナーなんて関係ない」と考える人も居るかも知れませんが、誰かと一緒に食事をする際、お箸のマナーは意外と見られているものです。他の人が気になって食事が楽しめないことも考えられますので、自分の事だけ考えずマナーは守るべきなのです。また、社会人になると、上司など目上の方と食事をする機会もありますし、結婚をする際など習慣の異なる家族と食事をすることもあります。そんな時に自分が恥をかかないようにする為でもあるのです。もし、箸のマナーを見直す理由が見つけられない時には、趣味の一環として再度学んでみても奥が深くて面白いかも知れません。
海外ではマナーが異なることも!!
日本では細かく決められている箸のマナーですが、それが全ての諸外国で通用するとは限りません。
日本の食事、箸のマナーが海外ではタブーというパターンもあります。
日本と同じように箸を使う中国では、目上の人が箸を使うまで使ってはならない、大皿からは直箸で取り分ける、など日本には無いマナーがあります。また、器を手に持ってはいけない、食事を完食してはいけない、食べ物を噛み切ってはいけないなど様々な国で様々なタブーが存在します。海外では私達が異国人なので、多少は大目に見てもらえるかも知れませんが、注意を受けたら直ちに直すようにしましょう。
箸のマナーに外国人はビックリしている?
日本の箸のマナーの多さに外国から来た人は驚くと言われています。そして、「自分が楽しめれば良いのでは?」「全ては理解できない」など、少し辛辣な意見もあるようです。その反面、「半分くらいは元々知っていた」「日本人は一緒に食事をしていても、やはり所作が美しい」「和食の美しさは箸の使い方までがワンセット」「これを当たり前に守っている日本人は凄い」と高評価を受けることもあります。
このような細かいマナーのイメージから、箸=使うのが難しいと思われているのかも知れません。
他人の箸の使い方の間違い・・・指摘すべき?
もし、目の前で一緒に食事をしている人の箸マナーが間違えていたら、指摘すべきでしょうか?
昔から「箸の使い方で育ちの良し悪しが分かる」とも考えられていて、箸を指摘するのは即ち育ちを指摘すると言っても過言ではありません。そのため、相当仲が良い相手でないと間違いを口にできないのです。また、誰かが指摘することで、その場の雰囲気が悪くなることも考えられます。相当酷い事でなければ、受け流しておくのが懸命でしょう。また、他人がどうであれ、自分自身が美しい所作を身に付けておけば、困ることはありません。自分の家族であれば直してもらいたいところですが、他の人にまで自身が嫌な思いをして尽力することは無いのです。
まとめ
日本食では箸のマナーがあります。タブーな使い方が幾つもあり、何気なくやってしまっていることも多いものです。箸のマナーは難しいものですが、一緒に食事を摂る人を不快にさせないために大切な心遣いでもあります。
近年では、「箸検定」というものもあり、大人が身に付けたいマナーとして注目されています。特に、大人は自分自身でマナーを見直さないと誰も教えてはくれません。箸を上手に使えれば、もっと食事が楽しくなるかも知れませんね。