毎日何気なく摂っている食事にも、配膳のマナーがあります。では、自分の配膳は正しいと胸を張っていえる人はどの位いるのでしょうか?実は、合っていると思っているだけで、とんでもない勘違いをしているかも知れません。ここでは、そんな配膳のマナーを基本から見返してみるために、基本的な和食の配膳を中心に解説します。
食事の配膳にはマナーがある!?
毎日食事を摂る際、何気なくしている配膳ですが、配膳にはマナーがあることをご存知でしょうか?自分で料理を作る人でも、配膳のマナーまでは分からないという人も案外多いでしょう。配膳のマナーは、守ることでより快適に食事が楽しめます。少し気にしてみるだけで、食卓が美しく、美味しくなるでしょう。マナーと聞くと難しいのでは?と不安になるかも知れませんが、小さな子供でもすぐに覚えられる簡単なものです。では、基本的な配膳マナーを確認してみましょう。
洋食、和食、中華の配置はこれが基本!!
和食には、4つの種類があり、それぞれを「本膳料理」「懐石料理」「会席料理」「一汁三菜」と呼びます。近年では、お店などで提供される「コース料理」も和食スタイルの一つであるともいわれていて、これを加えた5種類の配膳方法がポピュラーです。和食は、既に食事が机上に用意された状態でお客様を招き入れるのがマナーです。お膳に用意しておき、お客様が揃ったら運ぶこともあります。懐石料理やコース料理の場合には、食事が順番に提供されることもあります。
自宅で主に摂る和食は一汁三菜という基本の献立に基づいています。その内容は以下の通りです。
- 汁椀(汁物で、味噌汁やスープなど)
- 主菜(肉料理、魚料理などメインのおかず)
- 副菜(煮物などサブのおかず)
- 副々菜(和え物など)
これに主食のご飯やお新香(お漬物)が付きます。
配膳の方法は、自分から見て一列目の向かって左側にご飯、右側に汁椀を置きます。二列目は左から副菜→副々菜→主菜の順で並べます。実はこの一汁三菜は、本膳料理や懐石料理などが簡素化したものです。
洋食の場合には、一つのプレートごとに提供されるものが多いため、真ん中にお皿を置けるようにします。お皿の左側にフォーク、右側にスプーン、ナイフを置きます。ナイフの刃は内側に向けておきましょう。コース料理など、お皿の数が多くなる場合には、カトラリーの本数も増えます。その料理に適したものを使う順番に外側から並べます。
パスタセットなど、メインの料理とスープ、サラダが同時に出る場合は、メインのプレートを真ん中に置き、スープを右側に、サラダはスープの奥で右奥、フォークやスプーンなども右側に置きます。
中華では、大皿から取り分ける方法が一般的です。中華の場合、取り皿は正面に置き、調味料用の小皿は左奥に置きます。取り皿の右横に箸を縦に置きます。この時、箸先を奥に向けましょう。取り皿の奥にはレンゲが、その右横にグラスが置かれます。大勢で食事を楽しむことがメインの中華料理なので、あまりマナーには煩くありません。
一汁三菜が揃わない場合は?
前述の様に、和食には一汁三菜という組み合わせがあります。一汁三菜は和食に限らず、洋食、中華でも汁物、主菜、副菜、副々菜に分けて盛り付けてあれば同様の置き方で構いません。
一般家庭では、洗い物を減らす目的などから主菜のお皿に副菜や副々菜を一緒に盛ってしまうこともあります。また、毎日品数がそこまで用意できないという事も考えられます。そんな時は、主菜の皿を真ん中奥に置き、主食、汁物を手前に置いて三角形になるようにします。丼ものとスープだけのという場合には、メインの右側にスープを置くようにしましょう。
お箸やお茶、お新香はどこの位置にするのが正しいの?
一汁三菜や主食の配膳は分かりましたが、それ以外のものはどこに配置すれば良いのでしょうか?
小皿などに盛られたお新香は、ご飯と汁物の間に置きます。デザートを一緒に置く際はお新香の少し奥あたりにします。
グラスや湯呑に入れられたお茶は右奥、しょうゆ差しなどの調味料も右奥にします。
お箸は一番手前に置きます。持ち手が右側、箸先が左側にくるようにし、箸先は箸置きに乗せます。箸置きが無い場合は、小皿を使っても構いません。
一旦食事が終了してからデザートをお茶と共に提供する場合には、お茶菓子が左側、お茶が右側にくるように配置します。
これは、洋菓子+コーヒーや紅茶などの場合でも同じです。お茶菓子を出さない場合には、お茶を中央か右端に置きます。お茶を飲みながら対面で会話をする場合など、右側に置いてあるとスムーズです。
違和感!?汁物を右側に置く理由は?
ご飯と汁物の位置に何だか違和感を覚える人も居るでしょう。特に左利きの人は強い違和感を感じるかも知れませんが、利き手に関係なく置き方が決まっています。では、なぜご飯が左、汁物が右側なのでしょうか。
日本では昔から「左側がより格上」といわれています。ご飯は、主食と呼ばれるくらい人間に重要な栄養なので、汁物よりも左側に置くようになったとされています。尾頭付きの魚も、頭が左側に来るように置かれています。この置き方は平安時代には既に確立していたという事実もあります。例えば、うどんセット、蕎麦セットなど、麺類とセットになっている場合でも、ご飯は左側に置かれます。
また、右側にご飯を置くのは、仏前へのお供えする際の作法なので縁起が悪いともいわれています。
配膳ルールは地域でも違う?
配膳のルールは地域や家庭で様々です。特に関西圏の特に大阪では、ご飯の後ろである左奥に汁物が置かれます。ご飯と汁物は同時に手で持つことは無いため、このような配置にする事で手に取りやすいと、利便性を追求した結果といわれています。この置き方をする人は関西圏以外にも多少見受けられます。自分の食べやすさで変えているのです。この方法は賛否両論といったところで、「マナー、作法的に見たらNG」という意見もあれば、「画期的で良い」という意見も多く見られます。正式な食事会や会食の席では勝手に置き換えないほうが良いですが、親しい人との食事であれば可という事なのでしょう。
配膳には食器選びも重要
美しい配膳のためには、食器選びも大切です。
主菜がはみ出していたり、器が大きすぎて食卓に乗りきらないなんて事もあるため、食事に合わせた大小バリエーション豊かな食器を持っておくと非常に便利です。また、夏にはガラスのような透明素材の器を使うと清涼感、季節感がアップします。一年中使うのは、ベーシックなものが良いですが、季節感を出すアイテムを数点持つとアクセントになるので素敵です。
お客様を自宅に招く場合には、家族人数よりも多めの食器が必要です。箸、茶碗、汁椀、取り皿、小皿、カップ&ソーサーなどは多めに用意しておきましょう。
まとめ
配膳には基本的なマナーがあります。かしこまった席での食事では、既に食器やカトラリー類が準備されているため、その位置を変えずに食事を楽しみましょう。自宅での食事の場合には、一汁三菜のメニューをベースとし、配膳を考えます。置き方は地域や食べる人によって多少異なりますが、基本的なところは全国共通です。利き手も関係ありません。食卓での配膳マナーを気にしてみる事で、より快適な食事を楽しんでみて下さい。